「これが、俺が杭を打った建物なんだ」父への尊敬からゼネコンの道へ

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2018年に京王建設に入社した境英雄は、建築本部建築管理部の管理課に配属されました。建築現場からの依頼事項の処理や、現場で発生した原価や今後の受注予定のなどを取りまとめて各関係部署へ報告をするのが主な業務です。

境 「現場の粗利益はどれくらいか、何にどれほどお金を使っているかなどをまとめます。他業種と比べ、建設業で扱う予算は億単位で、かなり大きいものになります。

実は数字は苦手ですが、経営状況や事業の成長を実際に数字で目の当たりにするのは、純粋に興味深いしおもしろいです。それに現場の方々の頑張りの結果がこの数字に現れていると思うと尊敬の気持ちも生まれます」

数字が苦手な境は、大学では法学部に所属していました。しかし好奇心旺盛な境は、法だけでなく経営学や経済学など興味のままに幅広く積極的に学んでいたのです。話を聞いておもしろそうだと思ったら、とりあえずチャレンジしてみる。そんな学生生活を過ごしていました。

好奇心旺盛な境ですが、就職先はゼネコンしか考えていなかったといいます。

境 「父が杭打ち工事の営業をしています。幼い頃はいろんな場所に連れていってくれて『これは俺が杭を打ったんだ』と自慢するんです(笑)。あんな大きな建物に携わっているんだ、すごいなと素直に思いました。自然に建物に興味を持ちましたし、憧れもしました。漠然とゼネコンに進みたいとずっと考えていましたね」

就職活動では規模の大小にかかわらず、さまざまなゼネコンの面接を受けました。その中のひとつが京王建設でした。

境 「京王建設は、規模が大きいわけではないですが、その分担当者とのコミュニケーションの距離が近く、魅力を感じました。それまでに受けた大手ゼネコンでは、求職者が多いせいもあって企業側から見定められているような印象を受けていましたから。

京王建設は自社のことを知ってもらおうとする姿勢を感じました。会話をしても就活生を一生懸命に大切にしている印象を受けたのが入社を決めた大きな要因ですね。

それに小規模な組織は、逆にチャンスを掴む機会も多いと考えました。学閥などもなくフラットに、ひとりひとりにチャンスがある。その方が働いていても楽しいのではないかな、と」

入社後、建築本部へ配属となり、配属後の半年間は現場研修から始まります。そのときの現場で、いまだに忘れられない出来事が起こったのです。

たとえ何年経っても、いつも心の奥底にある所長の言葉

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「仕事は自分で探すもの」

所長のひと言が現場に響きました。建築現場では、まだ右も左もわからない新人にとって、キツい言葉かもしれません。しかし境には「自分に仕事の厳しさを教えてくれた言葉」として胸に焼き付いています。 

境 「当時は建築の仕事もなにひとつ理解できていませんでしたし、所長も先輩も忙しくて全員が動き回ってる状況。そんな中で私は自分のやることがわからなくて、“棒立ち”になっていました。そこへ所長から喝がはいったんです。 

それ以来、仕事をする上で、この言葉は常に私の中にあります。もともと面倒くさがりなタイプで、学生時代もずっと好きなことだけ、興味のあることだけを選んできたんです。でも仕事は自分から探すものだと、このとき痛感させられました。これまでの人生で自分が逃げてきたところを指摘された気がしましたね。それで意識を切り替えることが出来ました」

研修期間を終えて管理課に配属されてからは、領収書の処理から始まり、現場事務所や派遣社員の管理など少しずつ担当業務が拡がり、現在の計数管理業務に携わるようになりました。

境は2021年4月で4年目に入りましたが「まだまだ足りていない」と自分を分析します。一方で先輩のすごさを、より感じるようになっていました。 

境 「私たちの仕事は数字やデータを扱う仕事なので、どこかひとつ間違うと連鎖的にいろんな数字やデータに影響が出ます。いったんミスをすると原因を探すのは大変なんです。業務のスピードは大事ですが、速さを重視しすぎるとミスが起きかねません。

でも先輩たちは速いのに見直しや確認を行うので、丁寧かつ正確なんです。すごいなと思います。いまの私の課題は、スピードと丁寧さのバランスを学ぶことです」

業務を覚えながら感じるのは、就職活動のときにも感じていた、京王建設らしい人間関係の魅力です。これが仕事のやりがいやおもしろさにもつながっていると境は感じています。

衝突したっていい。大事なのは“自分”をわかってもらうこと

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境が感じている京王建設らしい人間関係の魅力のひとつは、先輩後輩関係なくさまざまな年代の社員と幅広くコミュニケーションがとれること。

境 「京王建設は良くも悪くも人間関係の距離が近いです。上司にも話しかけやすいですし、部長にいたってもそう。事務職だけでなく現場との関係も近く、全社的な傾向だと思います。幅広い年齢層の人と人間関係を築けるのは、とてもプラスだと思っています」

多様な意見を持った世代の異なる人と触れあう機会の多い会社だからこそ、日々のコミュニケーションで心がけていることがあります。

境 「自分は感情の起伏が激しくて、何か食い違いが起こるとすぐにカッとなってしまうタイプなので、これまでは人を遠ざけてしまうこともありました。

だからこそ、そうならないよう普段から周囲の人たちといろんな会話をして、自分を知ってもらうように意識しているんです。自分を理解してもらえれば、なぜ怒っているのか相手にわかってもらいやすいのではないかと思いますし、私に対して余計な気遣いも減らせるのかなと思っているんです。

万が一ぶつかった場合は、自分から積極的に話しかけて関係を修復するよう心がけています。相手は気まずいかもしれませんが、そのままにするとそれこそ関係が終わってしまいますから」

もっとも印象に残っている衝突の相手は、経理の先輩でした。

境 「先輩から『そっちがやるのが当然だから』と書類を突き返されたことがありました。説明もないのが理不尽で許せなくて『なぜですか。わからないです』と食ってかかって。何度もその先輩とはぶつかりました」

時間とともに衝突する回数は減っていき、境は気付きます。

境 「先輩は未熟な点を指摘してくれていたのに私は単純にその伝え方が理不尽だと反発してしまった。結局は私の知識不足が原因でした。私が成長すること、私のことを知ってもらうことで指摘もなくなったんですね。ちなみに激しくぶつかったときには間に入って調整してくれる先輩もいましたから、もちろん関係がこじれることはありませんでした(笑)」

よき人間関係を築くために衝突も恐れない境は、後輩との関係のなかでも自分がよくするミスや失敗談などを自己開示することを心がけています。

好きな仕事を続けてほしいから。後輩たちに伝えたいこと

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境は後輩に自分と同じ失敗をさせないために、後輩が職場で人間関係で悩んでいるときは、自分の思う留意点や対応策などをできるだけ積極的にアドバイスしています。

境 「一般的に、どんな職場環境であっても人間関係で悩むことはあると思います。でも人間関係が良い状態であれば、たとえやりたくない仕事があっても乗り越えられると思うんです。反対にどんな好きな仕事でも人間関係がうまくいっていないと、職場にも行きたくなくなると思います。だから後輩が職場でよい関係を築けるように、いろんな話をするんです」

こうした人とのやりとりを大事にする境は、今後の仕事について新たな興味を密かに抱いています。

境 「育成だけでなく、いろんな人とコミュニケーションがとれる人事の仕事に興味があります。それにやはり京王建設に勤めたのだから、土木の仕事にも今後関わってみたいですね。建物とは規模がまったく変わりますから」

学生時代から自身の興味関心に導かれるままに、チャレンジしてきた境。仕事においても好奇心は留まることはありません。「チャンスが多い」と選んだ京王建設で、境らしく自分自身を表現しながら、チャレンジの機会をつくっていきます。