高校以来の友人が仕事におけるライバルへ

▲田邊 悠策(写真左)と井上拓海(写真右)

井上と田邊は、同じ高校の出身。井上曰く「お互いによく似ている」というふたりは、気がつくと仲良くなっていました。大学進学時には、同じ大学の同じ環境安全工学科を選択。同学科内で、田邊は化学系、井上は土木系を専攻しました。さらに学生時代のアルバイト先が一緒で、下宿先も近所ということで「ほぼ毎日一緒にいた」といいます。

就職活動では、井上は土木関係の仕事に就きたいと精力的に活動しました。建設会社はもちろん大手企業も中小企業もいろんな会社を回り、インターンシップも何十社も経験。その中から京王建設への入社を決めました。

井上 「京王建設に決めたのは、社員の印象です。多くのインターンシップに参加する中で、『絶対にうちにおいで』と薦めてくれる会社もありました。でも、京王建設は『いろんな会社を見たほうがいい』とこちらの意見にゆだねてくれました。それに面談でも社内の雰囲気の良さが伝わってきたんです」

一方の田邊は、もともとは化学系の就職先に進むつもりでした。しかし、ある建設会社のインターンシップを経験して施工管理の仕事の面白さを知ってからは、施工管理や土木、建築系の会社にベクトルを定めました。いくつか内定も得た時点で井上に相談したとき、「京王建設はどうか」と紹介されます。

田邊 「僕は化学系の専攻で、建設業界は畑違いです。それでも、京王建設の面談では『それでもいいから来ないか』といってくれたんです。素直に嬉しかったですね。面接を受けた中では、一番自分のことを考えてくれている会社かなと思いました。この会社のために働きたいと思いましたね」

初めての現場研修での苦い体験が、今の自分のスタイルをつくった

▲工事の記録を撮影する田邊

入社配属後、まずふたりを待ち受けていたのは1カ月に渡る新入社員研修。田邊には、現場研修で印象に残っているエピソードがあります。

田邊 「現場で先輩に片付けを指示されて、まだ使っているハシゴを片付けてしまって、職人さんから注意を受けたんです。『まず先に聞いてから片付けて』と。そのときは現場に誰もいなかったし……と腑に落ちなかったのですが、今思うといい経験でした。いろんな方が関わっている現場では、たしかに“ホウレンソウ”が大事なんだと、早い段階で実感できたからです」

建設現場では、施工業者や職人などいろんな人の間に立ち、工程・安全・品質の管理をすることが重要です。田邊は、最近ではコミュニケーションをするうえで、相手を理解するコツも少し掴んだといいます。

田邊 「相手が話好きな方なら話を聞けばいいし、何か質問をして嫌な顔をされたら、それ以上詮索しない。こちらが何かのアクションを起こしたときに相手が右に出るか左に出るか。その出た方向に寄り添っていけばいいんだと思いました。そうすると相手の人となりが自然にわかって、仕事もしやすくなります」

井上にとっても印象的なエピソードがありました。

井上 「現場研修で、所長や先輩に『明日何するの?』とよく聞かれたんです。でもいつも見ているだけだったので、答えられませんでした。わからなければ相談するとか何らか方法もあるのに……自分の至らなさを痛感。下準備や先を見る大切さを知りました」

それ以来、井上は準備を重視。現在ではかなり先を見られるようになったといいます。

井上 「作業にかかる時間の目安がわかるようになったので、工事のスケジュールを自分で組み立てて上司に参考にしてもらうこともあります。また工事の記録を写真にとる重要な仕事もあります。撮影箇所が多く、ひとつでも漏れると大変なので、入念なチェックリストを準備するようにもなりました」

現場研修での小さな失敗が、その後の大きな成長につながっています。

失敗も成功も日々の仕事のすべてが成長の糧になる

▲日々の業務をしっかり記録に残す井上

準備に余念のない井上は、自分の考えた工程どおりに現場がスムーズに進んだときに、やりがいを感じるといいます。「正直にいうと“どや顔”したくなるくらい、いい気持ち(笑)」と井上。もちろんその成果は、日々の努力に裏打ちされた結果です。

井上 「毎日事務所に戻ると、どのくらい補修にかかったかなど、計算してノートにまとめているんです。だからノートを見れば、この作業は何人でどれくらいの日数が必要かどうかわかります。自分の経験という財産をこんなふうに増やしていくことは、すごく大事だと思っています」

田邊は「新しい建物ができあがっていく、その様子を日々見られるのが幸せ。この建築に自分が携わっているということ自体も楽しい」といいます。そんな田邊が一番気をつけているのは、「同じ失敗を繰り返さないこと」です。

田邊 「2回同じ失敗をして先輩に怒られたことがあります。自分でも何をしているんだと悔しくて……。それ以来、予防線として失敗が生まれないルートを探しながら、仕事を組み立てていくようになりました。

1回目は知らずにやったミスでも、2回やればロスが生じます。さらに小さなミスでも積み重なると、大事になります。だからミスをしないために、ホウレンソウや確認は重要ですね」

日々前向きに仕事に取り組むふたり。それぞれに支えているものがあります。

井上 「負けたくないという気持ちがモチベーションにつながっています。所長に認めてもらいたいという気持ちがあるので、同期や先輩にも負けたくない。ミスした悔しさも、決して忘れないでそれをモチベーションに変えるようにしています。ただし、嫉妬は絶対にしません。嫉妬って相手に対しての悪感情になってしまうから。むしろまず相手をすごいなと認めて、そこを越えてやろうと鼓舞する気持ちが近いかもしれません」

田邊 「僕はつらいときに、みんな頑張っているのに自分だけここで諦めていいのか、と自問自答します。この次に頑張ればいいやと諦めてしまう人生は嫌だという気持ちで、モチベーションを保っているんです。

昔、親に『頑張った』という言葉は自分ではなく、人から言われる言葉と教えられたことがあります。だから『今日はよく頑張った』と安心するのではなく、『次も頑張るぞ』と思うように心がけています」

そして仕事で大変なことがあったときは、ふたりで笑い話に変えてリフレッシュするといいます。仕事では同期として切磋しながらも、仕事が終わればまた友人に戻る。高校時代からの仲の良さは今も変わりません。

自分が理想する姿が身近にあるから、日々の成長に貪欲になれる

▲休日も一緒に過ごすことが多い田邊と井上

お互いの存在を良きライバルとして切磋琢磨しているふたり。それぞれが理想とする姿は、やはり自分がこれまで一緒に仕事をしてきた所長の姿です。

田邊 「理想は、施主さんの要望どおりだけではなくて、いかにコストを削減して、そのうえで理想の形に近づけるかなど、プラスアルファを提案できる所長です。今担当している現場の所長もそうです。かっこいいと思うし、少しでも近づきたいと思っています。

今は1日の仕事を完璧に終えることに精一杯ですが、所長の細かな動作や言葉は逐一メモをとってノートに書き込み、繰り返し見るように習慣づけています」

井上 「今担当している現場の所長は、本当にいろんな意見を見事に調整して対応されるんです。施主さんからも信頼され愛され、現場でも慕われています。間近で見ていて、僕も将来そんなふうになりたいと思いながら、今は自分の仕事を精一杯して、先を予測しながら動くようにしています」

所長の姿に、未来の自分を重ね合わせながら、一番身近な目標は資格の取得です。「僕たちの仕事は資格ありき」という井上がチャレンジしているのは、1級土木施工管理技士。田邊は、1級建築施工管理技士はもちろん1級建築士にもチャレンジしたいといいます。

それぞれの場所で、自身の理想の実現へ向けて、着実に一歩ずつ階段を上っている最中です。