まちづくりについて学びたいという想いから土木学科へ進学

▲土木本部 土木工事部の澁谷 紗英

京王建設初の女性土木施工管理者として現場の施工管理を担当する澁谷。現在は、コンクリート構造物補修工事の現場に配属されています。

澁谷 「1日の仕事の流れとしては、朝礼でその日の業務内容を確認し、その内容と安全管理、衛生管理の指示を職人さんに出します。また、職人さんに同行し、現場の様子を撮影します。それが17時ごろまで。その後、事務所に戻り、施主様に写真をお送りしたり、書類を整理したりします」

そんな澁谷がこの業界に興味を持ったのは、小学生の授業がきっかけでした。

澁谷 「小学生のときに、多摩ニュータウンの成り立ちについて学びました。もともとは山があって、そこを切り拓いてまちにして……そんな話が記憶に残っていますね。中学生のとき、実際に多摩ニュータウンを訪れて、そこからまちづくりに興味を持つようになったんです」

そして、興味は熱い想いに代わり、大学では土木科に進学。そこでは都市計画やまちづくりについて学びました。

大学3年生の夏には、市役所のインターンシップに参加。この経験が今に活かされていると振り返ります。

澁谷 「インターンシップで発注者側の意図や考えに触れる機会がありました。施工者として、『発注者はどうしてこういうことをするのだろう?』と疑問を抱くことがありますが、発注者側の立場を少しでも知っていると、相手のことを考えながら仕事ができます」

京王建設との出会いは、大学内のOBOG限定会社説明会です。そこに京王建設の社員が参加していたことをきっかけに、3年生の冬には京王建設のインターンシップに参加しました。

澁谷は、生まれ育ったまちで仕事をすることがやりがいにつながると思い、地元で仕事をしたいと考えていました。そこで京王建設に応募し内定にまで至りました。

入社の決め手はインターンのときに学生に寄り添う姿勢が感じられたところです。

澁谷 「先輩社員や現場の方が『うちの会社に入ってね』ではなく、『いろいろなところと比較して、良かったら入ってね』と言ってくれました。そういうことを自然に言える会社って、普段からもきっと相手のことを考えて行動をしているからなんだろうな、と思ったんです」

新しい物事に触れるとき、“楽しい”という気持ちを生み出す

▲社会人としての心得を身につけた新人社員研修

新入社員研修を経て、ゴールデンウィーク後に桜ケ丘事務所へ配属。学生時代に学んだことが活かされていると感じる一方、新しい知識は現場で身につけることも多いといいます。

澁谷 「コンクリートに関する知識は用語しか知らなかったので、実践的なことは現場で学んでいます。新しい物事に触れるのは楽しいです。その日学んだ知識を翌日確認できる環境にいるので、知識を取り入れることや勉強することは苦ではありません」

仕事を楽しいと思うときは「新しい物事に触れる」とき。新しいことを知ったり、新しい材料を手にしたり、新しい業務が始まったりするときに、澁谷はワクワクするのです。

澁谷 「疑問に思ったことを、そのとき、その場にいる人に聞きます。社員や職人さんに『これはなんですか?』『なんのためについているのですか?』とたくさん聞くので、うるさがられているかもしれません(笑)」

現場に配属されて数カ月経ち、澁谷が感じはじめているのは「維持管理の難しさ」です。

澁谷 「コンクリート構造物は、年数が経つとどんどん劣化していきます。協力会社や職人さんに劣化部分を見てもらい、それを補修するのですが、実際工事を進めていくとほかにも見つかる場合が多いのです」

構造物の維持管理に関する幅広い知見を有する人材が不足していることも背景にあると澁谷は語ります。

澁谷 「一つひとつ点検して『ここが劣化しています』と指摘するには、人も足りないし、時間もかかる。どうすれば効率よくできるのかを考えますね。おそらく目で見るだけではなく何か別の手段を使わないと追いつかないのでは、と感じています」

大学の授業で学んだことと、実際に目で見て、体験してみてわかる課題にどう向き合うか。澁谷はそのようなことを考えながら今日も現場に立っているのです。

今できる精一杯の技術で未来にいいものを残したい

▲点検業務も先輩について仕事を覚える

施工管理の仕事の大変なところは、関わる人が多く、全体の状況を把握しつつ現場を指揮していくこと。とくに、職人の立場を考えた上での工程管理の難しさを感じていると澁谷はいいます。

澁谷 「職人さんの多くは固定給ではなく、実際に働いた日数だけお給料が出る『日当』で働いています。たとえば天気が悪くて仕事に出られなかったり、長期休みが多かったりすると賃金も減ってしまう。そのため、職人さんの中にはできるだけ工事を早く終わらせて、別の仕事を入れたいという人もいらっしゃいます。

施工者である私たちが工期に余裕を持ちすぎると、職人さんをひとつの現場に縛ってしまうことになります。適切な工期を見極めることの重要さを感じていますね。まだ、私はそうした調整に携わっていませんが、どうしたらいいのかを今からでも考えておきたいと思っています」

日々、先輩や職人について仕事を覚える澁谷だからこそ、関わるすべての人が、より良い環境で働ける現場について考えています。今後、主任技術者など責任者になったときに注意すべき点は、現場の中だけに限りません。土木の工事では、大型の車両や機械を長期間にわたって使います。そのため、騒音や振動、粉塵は避けては通れない問題です。

澁谷 「私はまだ現場に配属されて4カ月なので、大きい音はうるさいと感じるし、粉塵が出ていたら汚いなと思ってしまうんです。その感覚は、周りの住民の方の感覚に近いと思っているので、この感覚を忘れずに、現場の責任者になったときも、環境や周辺への配慮を怠らないようにしたいです」

そんな澁谷には大切にしている価値観があります。

澁谷 「建設業はつくったものが長く未来に残るもの。たとえば、世間が求めていないものをつくってしまったとしても、その建物は未来に残ってしまって、維持管理する必要性が生まれてしまいます。そうならないように、今できる精一杯の技術で未来を見据えつつ、未来の人の維持管理への負担を減らすような仕事をしたいと思っています」

好奇心が未知への不安を打破する

▲未来のために必要なものをつくるには、新しいことにチャレンジできる仲間の存在が必要

未来のことを考えて仕事をする──そう語る澁谷はどのように仕事と向き合い、どんなビジョンを描いているのでしょうか。

澁谷 「京王線に関わる工事が多いので、工事が京王線にどんな利益をもたらすのかを意識しながら仕事をしていきたいです。また、工事を通して、京王線沿線の住民の方の安全にも貢献したいと考えています」

実際に、生活の中で住民の方々が利用するイメージを膨らませることで、新たにチャレンジしたいことも出てきました。

澁谷 「一級土木施工管理技士の資格はもちろんのこと、コンクリート診断士の資格取得を目指しています。試験の勉強は大変だと思いますが、知識の量を増やすことも仕事のひとつ。取り入れた知識をどんどん現場で活かしていきたいです」

未来のために必要なものをつくるには、ひとりの力では実現できません。そのためにも、「好奇心のある人」と一緒に働きたいと澁谷はいいます。

澁谷 「好奇心旺盛だとなんでも楽しめると思うんです。何か問題や課題が現れても、それをどう解決していくかというところに楽しみを見いだせたり、新しいことに不安を感じつつもチャレンジできたりします」

これはまさに澁谷のスタンスでもあります。自らと同じように、一緒に新しいことへ飛び込める仲間を求めているのです。

そして仕事で存分に力を発揮するためにも、ワークライフバランスを意識していると澁谷は語ります。

澁谷 「出勤から退勤までしか仕事のことを考えないようにしています。家では仕事の話はしません。現在の仕事は、オンとオフをしっかり分けられるので、どちらの時間も有効的に過ごしています。プライベートの時間では、楽器を演奏したり、ゲームをしたりして充実感を味わっています」

未来の維持管理や環境のことを考え、日々の仕事にまい進する澁谷の姿を見て、お手本にしたいと思う後輩も生まれてくるはず。また、未知への挑戦を恐れない姿はそうした後輩たちに勇気を与えることでしょう。