電車の安全な走行を支える。その仕事に魅力を感じて入社

▲土木本部 線路施設部の川浪 了

毎日線路を歩き、悪くなっているところはないか、レールの左右の高低差で揺れが発生しているところがないかなどを確認し、必要があれば補修する――。そんな軌道保守の仕事に就いて、6年目を迎えた川浪 了。彼が工業高校を卒業後、京王建設への入社を決めたのは、同じ高校の先輩が京王建設での軌道保守の仕事に携わっていたからでした。

川浪 「『線路の中での仕事だから、一歩間違えば大事故にもなるし電車を止めることにもなってしまう。そんな中で、自分たちの手で線路を補修して、安全な運行を守っていくことにやりがいを感じている』という先輩の話に魅力を感じたんです。

私は、元々、工業高校の都市工学で、土木や道路の管理業務について学んでいました。道路の補修や測量などに興味を持っていて、特別に鉄道が好きだったわけではありません。でも、先輩の話を聞いて軌道保守の仕事に就きたいなと思うようになりました」

その想いから、川浪は2015年に京王建設へ入社を果たしました。川浪が配属されたのは、土木本部の線路施設部。川浪は、八幡山管理所で技術員としての一歩を踏み出しました。

川浪 「入社してすぐは先輩に付いて、使った資材の数や点検内容の記録をつけたり、工具の管理をしたりしていました。そういったことをしながら、先輩に技術的なことを教えていただき、少しずつ覚えていきました。

初めて先輩に教えてもらいながら補修した時のことはよく覚えていて、翌日に電車に乗っていたら、その補修箇所を走った時に揺れが収まっていたんです。その時に先輩から聞いていた“やりがい”を実感しました」

わからないことへの不安を、経験を積み重ねることで払拭

▲一つひとつの経験の積み重ねが、社会人としての自信と自覚につながっていくことを実感

入社当時、川浪は、技術的にわからないことには手を出さないという、少々弱気なところがあったといいます。

川浪 「失敗するのが怖かったんです。でも、先輩が『失敗したら私が責任を取るから、恐れずにやってみたらいい』と言って背中を押してくれました。このことがきっかけで仕事へのモチベーションが変わったし、いろいろとチャレンジするようになったので経験も増えていきました」

先輩技術員のOJTによる指導で、着実に技術を身につけていった川浪ですが、予想外に苦労することがありました。それは“コミュニケーション”です。

川浪 「学生の頃は同年代の人としか話す機会がなかったし、この仕事もチームメンバーとコミュニケーションを取れれば大丈夫だろうと思っていました。でも実際は、京王電鉄の方に不良箇所の報告をしたり予算計上の説明をしたりと、他の会社の方や自分よりずっと年上の方と話す機会が多い。そうした面での敬語の使い方が難しく、苦労しました。入社してすぐにコミュニケーション研修があったんですが、必要不可欠な大切な研修だったと感じています」

仕事を覚えてできることが増え、そしてまた困難に直面する。困難をいくたびも乗り越えていくうちに、川浪の心境に少しずつ変化が芽生えてきます。

川浪 「仕事をしていく中で、だんだんと『自分は、京王グループの鉄道部門の安全を任されているんだ』との自覚が芽生えてきました。京王グループの一員として、責任を持って行動しないといけないと思うようになりましたね」

一つひとつの経験の積み重ねが、社会人としての自信と自覚につながっていくーーこれを身を以て経験していきました。

責任のある立場を任されて感じる、プレッシャーと仲間のありがたさ

▲後輩が入社し、人を育てるという新しいやりがいも

軌道保守の経験を重ねていく中、川浪は4年目で現場作業責任者になります。担当した現場をどのように補修していくかなどを決める、責任のある役割です。

川浪 「作業効率を考えながらきちんと補修するのはもちろんですが、事故の元になる工具の置き忘れがないか、まだ入社したてで現場に慣れていない後輩のフォローなど、自分のことだけではなく周りを見る必要があります。とくに、新入社員は電車が来るタイミングなどに慣れていませんから、逐一退避指示を出すなど、安全第一で進めています」

「現場責任者になった当初は不安もあった」と語る川浪ですが、上司や先輩にサポートしてもらって、今ではだいぶ慣れてきました。

川浪 「今でもいち作業員として現場に出ることもあるけれど、やはり作業員と現場責任者では、責任の重さが違うのを感じます。ただ、今所属している南大沢管理所は、『作業員みんなが現場責任者の気持ちで確認していこう』という方針を掲げています。みんなで声を掛け合って気をつけているので、そういったところでも仲間に助けられています」

多くの人に支えられて、入社6年目を迎えた今、川浪にも後輩ができ、人を育てるやりがいも感じています。

川浪 「自分が教えた後輩が、検査担当などの役割を果たせるようになっているとうれしいですね。また、私が教えたことを後輩がいつの間にかできるようになっていて、先回りして、声をかけてくれることもあるんです。そんなときに後輩の成長を感じます。自分が教える側に回ったことで、先輩方も私に根気強く教えてくれていたんだなというのも実感しています」

京王建設では、年に1回、高卒の若手社員で集まってのコミュニケーション研修があります。そこでも川浪は年長者になってきました。

川浪 「やはり入社したばかりの人たちは、職場の人間関係や雰囲気に悩んでいることが多いです。そういうときに、どうしたらいいかアドバイスをしています」

業務内容や部署に限らず、先輩として後輩に声を掛けるようになった川浪。彼らに、入社当時の自分の姿を重ね合わせているのかもしれません。

技術的にも人としても次の段階へ 技術員としての誇りを胸に鉄道を支える

▲入籍を控え、仕事でもプライベートでも充実した日々を過ごす川浪

現場責任者としての経験を重ね、後輩の成長も感じる順調な毎日の中、川浪には新たにチャレンジしたいことも出てきました。

川浪 「現在、笹塚駅~仙川駅区間で行われている連続立体交差工事(25箇所の踏切道を解消するための工事)に関わってみたいと思っています。連続立体交差区間は、以前私が保守を担当していた場所なんです。自分が保守のために歩いていた場所が高架化されるとのことで『どのようになるんだろう』とワクワクしています。上司にも希望は伝えていますが、まだ自分の経験が浅いので実現するかはわかりません。でも、少しでも関われたらうれしいですね」

 “中堅”と呼ばれるポジションまで成長した川浪は、この先どのように働き、どんな人を目指すのでしょうか。

川浪 「これからは、ベテランの技術員が引退されて、新人が入ってくることも増えるでしょう。そうなれば、中堅の私たちが技術をさらに勉強して、そこを補っていかなければなりません。自分も線路に関する本や線路図面を読むなどして専門知識を増やすようにもしていますが、部下の教育も積極的にしていきたいですね。今の所属長は、周りをサポートしたりやり方や手順を教えたりできて、周りからも信頼されている人。将来的にはそんな人になりたいと思っています」

先輩の話がきっかけで軌道保守の仕事を知った川浪は、この仕事を次のように語ります。

川浪 「保守の仕事は非常に地味だし、目に見えてかっこいい仕事でありません。台風でも雪でも現場には出なければなりませんし、夏になると非常に高温になって大変です。でも、私たちが保守業務を行うことで、電車が安全に走れて、さらに乗り心地もよくなったりする。そうして初めてお客様の笑顔も守れるのです。そう実感しているから、すごくやりがいのある仕事だと思っています。」

軌道保守の業務に対する責任とそれ以上のやりがいを感じ、充実した日々を過ごす川浪。近々、お付き合いをしている彼女との入籍が決まっており、守りたい人が増えることで、ますます気が引き締まっていると語ります。

鉄道の安全を守る仕事への憧れから始まり、先輩の背中を追いながら中堅社員へと成長した川浪の背中を追いかける後輩たちも増えてきてきました。しかし、技術員としての誇りと経験を糧に、これからも川浪は成長へ向けての歩みを進めていきます。