大規模な宅地造成工事の経験を携えて、京王建設に転職

▲土木本部 課長 苑田 将希(そのだまさき)

八王子上川霊園の造成工事は、京王建設にとっても予算が億単位となる巨大なプロジェクトです。そうそうある案件ではありません。この巨大プロジェクトを無事に竣工できたのには、ふたりのキーパーソンの存在があります。

工事全体の責任者である土木本部の課長 苑田 将希と、営業責任者として進行全体を管理した営業本部の課長 矢内 慎一です。

苑田は、土木工事の監督として20年以上のキャリアがあります。京王建設には2004年に転職。もともと祖父が大工ということもあり、大学でも自然に土木を専攻しました。

前職もゼネコンで、主に仙台や秋田など東北エリアの宅地造成工事に携わっていました。大規模な霊園の造成工事も3件任されました。それでも京王建設に転職した大きなきっかけは、家族の成長です。

苑田 「ゼネコンの仕事は転勤が多く、案件ごとに単身赴任は当たり前。前職では、結婚して定年するまで奥さんと一緒に住んだことがない人もいました。


当時、私は第一子が1歳になり、妻が第二子、第三子を妊娠したころ。東北6県を現場ごとに転々とする暮らしではなく、一箇所に安定して家族と暮らしたいという気持ちが日増しに強くなっていきました」

東京都内で転勤のない建設会社はないかと探し始め、理想の条件にぴったり合ったのが、京王電鉄沿線の開発を中心に行う京王建設だったのです。

転職し、宅地造成工事のほかに河川工事や鉄道工事等一貫して土木工事というひとつの道でキャリアを積んできた苑田。その苑田と非常に対照的な道を歩んできたのが、もうひとりのキーマン、矢内でした。

営業以外の業務経験が、営業という役割を最大限に発揮する糧に

▲営業本部 課長 矢内 慎一(やないしんいち)

上川霊園造成工事の営業責任者、矢内 慎一は、新卒で京王建設に入社すると、バラエティに富んだ道を歩むことになります。

入社後は土木事務部門に配属され7年間土木工事部社員のサポートを行いました。その後、管理部、購買課を経て、品質管理部に異動。ISO14001 取得業務をメインで担当。

そして2003年に今の営業部門の配属になります。実は、こうしたさまざまな職種の経験はすべて今に生きていると矢内は言います。

矢内 「上川霊園プロジェクトという非常に大きなプロジェクトを任されたのも、過去の業務歴が関係していると思います。入社直後に土木業務を担当していたころにお世話になった先輩方が、今、土木の責任者になっているので、顔見知りの方が多かったんです。すでに人間関係ができていたので構えることなく、相談しながらこの大きな案件をスムーズに進められました」

そう、営業にとって人間関係は非常に重要なファクターなのです。また営業のことを、矢内は「お客様と自社の間に立って、さまざまな調整を行いながらプロジェクトを進行させるディレクターのようなもの」と表現します。

矢内 「このプロジェクトは、すでに設計事務所さんの図面をもとに社内の土木本部に見積もりを依頼しました。


もちろん会社として達成すべき売上目標もありますし、お客様にもご要望と予算もあります。双方の利益がバランスよく見合うところを目指しながら、調整していくのが営業の役目だと思います」

もっとも良いバランスを見いだす──。そのために、さまざまな人の間に立つことが多いと考えると、やはり人間関係の基盤ができていることは、プロジェクトのスムーズな進行に欠かせないのです。

一途に土木の道を歩んできた苑田と、豊かな経験を積んできた矢内が、初めて出会ったのが今回のプロジェクトでした。

山を切り開く厳しい工事。予期せぬ事態の連続をどう乗り越えたか

▲山を削った造成区域の施工前後の比較写真(上部:施工前、下部:施工後)

工事が始まったのは2018年10月。そして完工予定は2019年12月28日。約14カ月間、簡単な道のりではありませんでした。

これだけの規模の敷地で山を切り開き、森を伐採し造成するには、 非常に難易度が高く厳しいスケジュールでした。すでにスタート時点で、「高い技術が求められていることは痛感していた」とふたりは口をそろえます

さらに追い打ちをかけるような出来事が起こります。2019年は二度の大型台風など、まれに見る雨の多い年となったのです。

苑田 「今回、5月から8月は雨が少なく、工事の最盛期となります。ところが2019年はとにかく雨が多かった。八王子市はいわゆる関東ローム層と呼ばれる地域。構造物を建てるには地盤としては非常にいいのですが、雨に弱いという性質もあります。雨の翌日に歩くと、靴の裏にぽっこり土が貼りついてしまうような土なんです。


私たちの仕事は、山を削って構造物を構築していくのですが、これでは掘削した土を外に出せなくなってしまう。なかなか工事が進みません。休むわけにもいかないのですが、無理に工事を進めて品質に影響があっては絶対にいけません。

いかに効率よく進めていくか。日々悩みながら、状況を見ながら進めていきました」

毎日1回、現場の関係者とミーティングを行い、日々、最善策を選択し続けるという形で工事は進められました。このような天候など想定外のトラブルで生きたのが、やはり「前職での大規模の宅地造成工事の経験だった」と苑田は断言します。

もちろん予期せぬ事態は、雨だけではありません。

これだけの規模のプロジェクトの場合、日々さまざまな調整ごとや変更が起こります。その都度、設計事務所や施主であるお客様のもとに、苑田と矢内はふたりで足を運び、報告し、課題を解決していきました。

お互いに初めてタッグを組んだ案件でしたが、「同じ体育会系の匂いがする」という第一印象を持ち、すぐに信頼関係を結ぶことができたと言います。

言葉にならない想い──仲間と乗り越えてきたいろいろなシーンが蘇り……

▲完成後の上川霊園をバックに(苑田:写真左、矢内:写真右)

そんな信頼関係に結ばれたふたりの連携により、12月28日、無事に“竣工”となった上川霊園造成工事。

苑田 「12月28日の15時にすべての工程が完了して、初めて自分で車を運転しながら敷地内を走ったときには言葉にならない感情が込み上げてきましたね。


工事期間中たくさんの方々に支えられ、応援され、ようやくこの日を迎えられたという安堵感、これまでの苦労が報われた達成感、これまで支えてくださった方々への感謝の想い、皆さんに支えられたからこそ、この日を迎えられたんだなとなんとも言えない想い、言葉では言い表せない想いがあふれてくるようでした。

関係者の皆様から『やっと完成したね』『ありがとう』と言葉をいただいて……。全体の風景を見わたしながら、ちょっと泣きました(笑)。それくらい感動しましたね」

一般的な宅地造成とは異なり、霊園は人生の最後を過ごす場所。そのため、土地から見える風景や、お墓が入る土そのものにもとても大事にこだわります。大きな石があれば、それも全部入れ替えるほど。

工事規模としては巨大でありながら、施主様の先にいるお客様にとって、いかにご満足いただけるものになるか、そこに細心の注意をはかる感性も忘れない──。どちらの視点も決して手を抜かない、これが京王建設の目指すものです。

矢内 「引き渡し日には、お客様といっしょに現場を確認する作業があるんです。


そこに至るまでに現場が相当に苦労して整備してくれていることは十分知っているので、不具合のないことはわかっているんですが、施主様は私たちと違う視点で見られるので、時には何か指摘が出ることもあります。

でも今回は一切指摘もなく、とても喜んでいただき、本当に良かったなと感じました」

このプロジェクトは、周囲の人たちの助け合いと協力がなければ絶対に成功しなかったとふたりは口をそろえて言います。

苑田 「人との出会いは財産です。とくにこの仕事は現場で発注者から作業員までさまざまな業種・年齢の方々と出会います。私はこれを大事にしてきたので、壁にぶち当たったときにいつも周りが支え助けてくれていると感じます。


人間関係には礼儀を尽くして誠意・熱意を持って接すれば必ず困ったときに助けてくれる。だから生きていく中で出会ったすべての人とのつながりを大事にしてほしいと思いますね」

一緒に工事に携わった若手社員は、こうした教えを学びながら、プロジェクトを通じて、技術や経験のみならず社会人として確実に一歩成長を果たしたことでしょう。次代を担う後継者への期待を胸に、ふたりの眼差しはすでに京王建設が手掛ける次の大規模工事へと向いています。