リチウムイオンバッテリーリサイクルプロジェクトで活躍──設備技術部のミッションとは
田村は2020年のキャリア入社直後から、リチウムイオンバッテリー(LiB)のリサイクルプロジェクト(LiBリサイクルプロジェクト)に参画しています。このLiBリサイクルプロジェクトにおける田村のミッションは、技術を安全性や作業性、メンテナンス性等を考慮した設備として形にすることです。
田村 「LiBリサイクルプロジェクトでは、将来予想される使用済み車載用LiBの大量発生に備え、LiBからレアメタルを取り出し、再びLiBの原料として直接利用する『クローズドループ・リサイクル』を目標に据え、日立の技術開発センターにおける研究開発やJX金属サーキュラーソリューションズにおける実証試験操業を実施しています。
このプロジェクトは、JX金属としても、注力している事業の1つです。そこでの私の業務は、プロセス開発担当者がベンチスケールの設備でさまざまな試験を繰り返して開発した技術を、生産設備の形にすること。具体的には、パイロットプラント(実証プラント)の設備建設に従事しています。技術開発センターやJX金属サーキュラーソリューションズの担当者と協力しながら、業務を進めています」
そんな田村が在籍する技術本部設備技術部の業務は、非常に多岐に渡ります。
田村 「部署のメンバーは、本務メンバーで現在は20名ほどで兼務を含めると30人弱の方が本社設備技術担当として活躍しております。中堅以上の方が多く、元工場長や部長経験者など、大ベテラン社員が多く在籍しています。
最近ではキャリア入社で、比較的若い方も入社されていますね。LiBプロジェクトのような新規事業開発支援の他、事業部支援や育成、各事業所の災害、故障、火災の3つのゼロ化、SDGs関係の取り組みもまた、私たちの部署で担当しています」
技術本部設備技術部における、LiBリサイクルプロジェクト以外の田村の業務は「事業部支援と育成」です。
田村 「事業部支援では、設備担当者がいない、あるいは少人数の関係会社等に対して、工程改善や設備投資案件のエンジニアリング支援を実施。また、事業部支援を通して、一緒に仕事をするキャリア採用の方々に対する育成も担い、私の経験を伝えています」
田村が仕事の際に大切にしているのは、「理解すること/してもらうこと」です。
田村 「自社のプロセス担当者とエンジニアリング会社の間に立って、うまく設備化することを目指し動きます。他にも重要なことはたくさんありますが、キャリア採用として入社しそのときどきでいろいろな方と協力して業務を行う中では、プロジェクトを円滑に進め、良好なコミュニケーションを実現するためにも、相手をしっかり理解すること。そして自分たちを理解してもらうことが非常に重要。
その点はいつも気にしています。一方で、気にし過ぎて自分の意見を言えなくなることがないように注意しています」
「設備関連業務の経験」を活かしたい──転職を決意したきっかけ
田村の前職は、新卒入社した大手ガラス会社。そこで田村が携わったのは、設備関連業務でした。
田村 「大学は工学部で機械工学を専攻し、流体数値シミュレーションの研究室に在籍しました。ガラスの製造ラインのシミュレーションの現場で、学んだことが活かせるかもしれないと考え、新卒では大手ガラス会社に就職しました。研究室の先輩が就職していた会社だったので、話を聞けたことも、入社の決め手になりましたね。その先輩は、私の入社前に退職されてしまいましたが(笑)。
その会社には、新卒から14年間在籍しました。キャリアの前半は保全関係、後半は設備改善の業務がメイン。さまざまな設備や技術に触れた経験が、現在、JX金属でも活かせていると感じています」
自身の経験をさらに活かすために、転職を考えるようになった田村。
田村 「前職は比較的良い環境で、人間関係も良く、気持ちよく仕事ができていました。一方、積み重ねた経験を活かし、さらに伸ばしていくための選択肢として、他社への興味も湧いてきたのです。当時、私の年齢が40歳直前(38歳)という節目だったこともあり、さまざまなことを総合的に判断して、転職を決意しました。
そして、事業拡大に伴い、新工場の建設や新規設備の導入を意欲的に計画・実施しているJX金属とご縁がありました」
JX金属に入社して、田村がまず感じたのは「なじみやすさ」でした。
田村「JX金属は積極的にキャリア採用を行っており、私の所属する技術本部もキャリア採用の方が少なくありません。ちょっとした飲み会などコミュニケーションの場も多く、大ベテランの方にも気軽に声をかけていただける環境になじみやすさを感じたのを覚えています。
また、JX金属は新規事業にも非常に力を入れており、私の入社後は業績も良く勢いを感じることが多いですが、適材適所のキャリア採用を実践し補強することで、それらを実現しているのかな、と理解できました」
なじみやすい環境で働きながら、順調にキャリアアップを果たしている田村。
田村 「入社時は管理職手前の『技師』として採用され、入社1年後に現在の『主任技師』という管理職のポジションを拝命しました。『若くても優秀な人材は積極的に管理職に上げていく』という取り組みがJX金属にはあり、それは若手社員にとって大きなやりがいとなると思います。
私は入社直後から現在まで、一貫してLiBリサイクルプロジェクトに携わっていますが、管理職としてさらに責任感を持ち、プロジェクトに尽力したいと思っています」
焦りや不安に寄り添ってくれる環境がある──後輩ができた喜びもやりがいに
JX金属に入社して3年目を迎えた田村にも、達成感を覚える瞬間がありました。
田村 「私は、LiBリサイクルプロジェクトにおいて、回収したレアメタルを結晶にして回収する設備を担当しています。この結晶が現段階における製品となるわけですが、設備が完成し、結晶が出てくるところを見られたときは心から安堵し、大きな達成感も味わいました。
設備建設や試運転、操業開始している現在でもさまざまなトラブルが発生しますが、関係者の皆さんと積極的に関わり、協力し合い、助けてもらいながらプロジェクトを進めることに、大きなやりがいを感じていますね」
そんな田村も入社当初は、焦りや不安を感じることがあったと振り返りますが、JX金属は、そんな田村の焦りや不安にしっかりと寄り添ってくれたと言います。
田村 「キャリア入社ということで『JX金属のコア技術や設備技術の理解を深めなくては』という焦りもありましたし、管理職(主任技師)となって『自社の事情をまだまだ知らない自分に部下や後輩がついてきてくれるのか』と不安にもなったことを覚えています。
けれどもJX金属には、Web形式で各事業部や工場の技術を紹介する取り組みがあります。幅広い活動・事業を俯瞰的に学ぶことができて、とても助かりました。『もっと理解を深めなくて大丈夫か』という不安も出ましたが、当時の上司が『若い時からコア技術や設備技術に携わる人を容易に超えることはできないかもしれないけれど、田村さんには田村さんの強みがあるから、それを活かして頑張ればいい』と言ってくれたことも、不安を払拭する上で大きかったです。
JX金属には、キャリア入社の方を知識面・精神面の両面で支える環境があります。それぞれの方が最大のパフォーマンスを発揮できるように助け合える風土なので、これは非常に良い特徴です」
そんな環境の中、田村は新たな喜びを見つけました。
田村 「前職ではずっと部署内の最年少で、後輩ができたことはありませんでした。しかし、JX金属に入社し、事業部支援を通じて多くの後輩と接することができたのです。後輩に自分の知識が伝わり、相手の理解が深まる瞬間は本当に嬉しく思いますね。逆に学ぶことの方が多いですが、それも良い経験です」
活躍の場が多数あるJX金属──チャレンジする人を応援したい
田村は2022年12月現在、プロジェクトの成果を世に出すことに情熱を燃やしています。
田村 「LiBリサイクルプロジェクトは、新型コロナウィルスの感染拡大やウクライナ情勢、半導体不足などの影響で、電気部品の納期が定まらなかったり、価格が上昇したりと困難な状況が続いています。
その中で、できる限り円滑にプロジェクトを進め、いい製品をぜひ世に出したい。自分が関わった製品で社会貢献できたらうれしいですよね。──これが、私がJX金属に入社を決めた理由の1つですから、頑張りたいです」
思い切ってJX金属への転職を決め、非常に良い経験ができたと語る田村。
田村 「1つの会社に長く在籍することで得られる経験もある反面、新しい場所で得られる経験はまた違います。私は40歳目前での転職でしたが、JX金属はさまざまな事業を展開しているほか、ここ数年は大型のプロジェクトが何件も立ち上がっているので、どこかに、皆それぞれの経験が活かせる場がある。経験を活かしつつ、裁量権を持って意思決定にも関わることができるため、高いモチベーションで仕事ができています」
これから一緒に働く仲間を、田村は精一杯応援したいと考えています。
田村 「私自身、転職後は上司やメンバー、そして会社が力になってくれました。『わからないことは学びながら、前に進む』という意識を持って取り組めば、できないことは基本的にありません。私のような中堅〜それ以上の方はもちろん、若い方も、積極的に新しい世界に飛び込むことで、非常に良い経験ができるのではないか、と思います。
もし、さまざまな理由で現状に迷っているような方がいれば、環境を変える挑戦はぜひ実行してみてほしいですし、もし一緒に仕事をすることになれば、私も応援していきたい。ぜひ一緒にチャレンジしていきましょう」
積極的に周囲とコミュニケーションをとり、不安をも克服してきた田村。後輩を育てる喜びもかみしめながら、これからもプロジェクトを牽引し、前進を続けます。