国内外の拠点から課題を抽出──“気づき”を生む品質管理の仕事
吉田は、JX金属に入社した2018年から2022年7月現在まで、一貫して技術本部の品質管理部に所属しています。
吉田 「ここは、他部署との兼務者1名を含めて計9名のメンバーが在籍する、近年立ち上がった部署です。製品やサービスの品質管理を含め、仕事自体の質を高めるために行う監査が、この部署のメイン業務です。
監査では何をするのかというと、主に国内・海外の製造・サービス拠点を対象に、まず『ルールやお客様との契約通りに業務が行われているか』、『お客様の要望・要求を満たせる製品・サービスを提供できているか』などの項目を効率の点も含めて評価します。その次に、評価結果を分析し、課題を見つけ、対応策を考え、実行します。
つまり『会社を望ましい姿に導き、管理するために調整する活動』であり、一言でいえば、 "品質マネジメント"に近い業務です」
監査は、メンバー全員が関わる業務。2〜3人でチームを組み、進めていきます。その他にも、品質管理部には、仕組み整備、教育、業務標準化などの仕事があり、メンバーそれぞれが担当領域を持って働いています。
吉田 「そもそもこの部署が立ち上がった背景には、世間でのさまざまな事案を受け、品質管理についての注目度が高まってきたことがあります。品質管理の不備はそのまま経営危機につながりかねないということですね。立ち上げ以来、『品質管理の不備や不正を生み出さない体制を作ろう』を方針にして取り組んできました。
吉田は、監査を“気づきの機会”であってほしいと考えています。
吉田 「監査では、監査を受ける側の人たちの困りごとを上手く引き出すことが一番重要です。単に時間だけ取られて、監査をする側の知識や経験に基づく一方的なダメ出しをされて終わりではなく、受ける側にとっても気づきの機会になれば、と思っています。そして、その気づきこそPDCAサイクルをうまく回すきっかけにもなると信じています。
監査を気づきの機会にするためには、まず相手の気持ちや状況に寄り添うことが大切です。親身になって話を聞き、同じ目線で言葉を交わせる関係性を構築することを意識していますね」
キャリアアップを目指して転職。社内の品質教育にも意欲的に取り組む
大学では工学部で化学全般、大学院では応用化学を学んでいた吉田。2009年に新卒で就職したのは、建材メーカーでした。
吉田 「製品開発、素材を売る技術営業を経て、海外の工場で国際規格を基準に品質管理をする仕事に携わり、品質管理のおもしろさを知りました。
それから転職を考え始めたのは、経験を活かしてキャリアアップをしたかったからです。当時世の中で品質の不正が話題になり始めていた時期だったことも、決断を後押しする要素でした」
吉田はJ X金属のキャリア採用に応募し、2018年に品質管理部に入社しました。
吉田 「入社してからの仕事は、同じ部署に一貫して在籍していることもあり、今の仕事と大きく変わりません。そうした中で印象に残っている仕事が、2021年に第1回目を行った、eラーニング教育です。
具体的には、コンテンツを制作し、配信していました。イメージとしては、『お客様にご満足いただき、愛される企業になれるかどうかは、みなさんの仕事にかかっている』という視点を伝えられるコンテンツですね」
手軽に基礎的なマインドを学んでもらうために、1つのコンテンツにつき10分〜15分程度で学べるように設定。eラーニングは、従業員一人ひとりに、仕事の質を向上させることの重要性を認識し、自分ごととして捉えてもらうための役割を担っています。
吉田 「2022年現在は第2回が進行していて、今回対象としているのは、東京の本社地区にいる従業員です。将来的には、グループ会社も含めて全社的に展開していきたいと思っています」
「木を見て森を見ず」にならないように──業務を通じて感じるやりがい
品質管理部の仕事、中でも監査では多くの人に関わり、関係構築をします。関係性がうまく作れたときには、モチベーションにつながる言葉をもらうことも。
吉田 「監査に行った先で『ありがたい』と言われたり、親睦会の会食で『ここが良かった』などの会話ができたりしたときは、非常に嬉しさを感じる瞬間です。
後は、『また来てください』と言われたときは、やはり1番嬉しかったです。こういう言葉をもらえるときは、監査を受ける側も気づきを前向きにとらえている場合が多いです。なので、信頼関係を深めながら会社の品質向上に貢献できていると実感でき、大きな喜びを感じます。
一方で現状、すべての部署や部門と本音で語り合えているわけではありません。そこは目下の課題です」
監査では、海外拠点とも関係を築く必要があり、言語の違いによってコミュニケーションで苦労するケースもあります。
吉田 「通訳、ボディランゲージ、ホワイトボードに絵を描いて伝えるなど、さまざまな手段を講じています。ですが、コロナ禍でオンラインでのヒアリングとなっていることもあり、今はまだ円滑なコミュニケーションができているとは言えません。ここは今も、苦労している面です。
ただし、海外拠点とのやりとりは、異文化と接する機会でもあるので、発見や刺激があり、楽しさを感じることも多いです」
多くの部署や人と関わる品質管理部。そのため、全社的な視点や、部署・部門間の調整が求められます。この関われる規模の大きさに、吉田はやりがいを感じています。
吉田 「全社的な視点で物事を考えて、施策を立案・推進する──その結果、実際に成果が上がった話も聞きました。不良率の低下やコストダウンなど、直接目に見える成果もすばらしいですが、俯瞰してみないとわからない、全社的な規模の課題にコミットできるのは大きなやりがいですね。
『木を見て森を見ず』という言葉がありますが、現場では発見できない課題を見つける、つまり『森を見る』ことこそが私たちの仕事なのです」
「相手の気持ちに寄り添える人」なら、ここで活躍するのに出身分野は関係ない
これまで業務を通じて学び、経験を積んできた吉田。今後は、それらを糧に事業所や工場単位でのマネジメントに携わりたいと考えています。
吉田 「個人的には、日本だけでなく海外の事業所を転々としつつ、世界中を巡るように監査をする働き方ができたらかっこいいな、と思いますね。そのためには、多様な働き方を選択できる体制が必要です。その環境づくりにも力を入れていきたいです」
また、2022年4月からは、主任技師に昇格し、品質管理部のマネジメントの立場も担っています。マネージャーとして重点を置くのは、人材育成を強化すること。
吉田 「一人ひとりに対して、仕事に必要な力量は何かを明確にして、それを培うための教育プログラムや資格、キャリア形成を提示できることが、人材育成における最終的な理想形だと考えています。
まだビジョンの段階ですし、品質管理部だけに収まらない話かもしれません。しかしこの分野に踏み込んでいきたいという想いは強いです」
品質管理部の仕事は、知識を習得する意欲を持っている方、お客様から伝えられる課題を「改善のチャンス」と捉えられる方に向いていると、吉田は語ります。
吉田 「また、従業員の中には、英語を学ぶことに積極的な人が非常に多いと感じています。実際、海外駐在を経験している人も少なくありません。
それに、海外拠点とのやり取りでは、文化、態度、人との接し方、仕事の向き合い方など異なる点ばかりです。それらをシンプルに受け入れて飛び込んでいけるような、物怖じしない性格の方はJX金属に向いていると思います。
海外拠点と関わると、国内での仕事以上に考えることがあります。しかしだからこそおもしろく、楽しいのです」
吉田が在籍する品質管理部は、バックグラウンドに関係なく活躍できる環境。キャリア採用のメンバーには、メーカー出身者が多いものの、鉄道車両、半導体など出身分野が違っているのも特徴です。
吉田 「JX金属は素材メーカーなので、理系出身者が多いイメージかもしれませんが、文系の方も大歓迎です。もちろん、理系の素養を持っていると、品質管理における統計処理の知識なども習得しやすい面はあります。
しかし、文章を読む力、人間関係を築く上で必要な人の心を読み取れる力があれば、専門性は必要ないです。知識は後から学べばついてきますから」
信頼関係を構築しながら、全社的な視点で貢献できる。そして、バックグラウンドに関係なくグローバルに活躍できる環境が、JX金属・品質管理部にはあります。
吉田は今後も、メンバーと共に顧客満足度を上げ、お客様に愛される企業になるために、チャレンジを続けていきます。