言わば、技術と事業の架け橋。市場を見極めて「勝ち筋」を描き出す

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▲JX金属の主力製品でもある【圧延銅箔】を扱う機能材料事業部で活躍している谷川

新規製品が市場で売れるためにはどうしたらいいか。そのための「勝ち筋」を描き出すのが、谷川のチームのミッションです。

谷川 「私が今、扱っているのは金属と樹脂を貼り合わせた複合製品。今後、当社が技術立脚型企業として社会に価値を提供するために大きなポイントとなる、新規複合製品の事業化を目指して動いています。

具体的な業務としては、素材や部品を開発する部隊のサポートをすること。開発チームに対し『開発スケジュール短縮のために、こういったアクションはどう?』と確認したり、『マーケットに受け入れられるには、こういった視点が必要かもしれない』と投げかけたりします」

加えて、事業化の進捗管理を行ったり、市場や収益性を検証したり、競合メーカーの動きを見たり──。統括営業部の業務は、多岐にわたります。

谷川 「どうすれば当社の新規製品の利益を最大化させられるのか。市場を見て未来を描きながら、適した戦略を打ち立てていくような部署です」

谷川たちの働きかけによって、開発チーム・営業で一丸となり市場ニーズによりマッチした製品を開発できるようになるのです。

谷川 「もともとは、私たちのポジションは存在していませんでした。しかし、開発の初期段階から量産化・事業化を想定して動くことがやっぱり重要だよね、という話になったんです。そこで、基礎開発の段階から私たちのような営業人員が関わるようになりました」

谷川の仕事は、言わば、技術の種と事業化をつなぐ架け橋のようなセクション。現在は、3つのプロジェクトを担当し、同時並行で進めています。

谷川 「担当のうち、2つのプロジェクトは新規の案件で、残る1つは撤退の案件になります。実は立ち上げ支援だけでなく、事業撤退も私たちの大事な仕事なんです。

プロジェクトの中には、環境の変化などを理由に、市場における勝ち筋がどうしても描けなくなるものも出てきます。その場合、残念ながら事業活動を断念することになるのですが、かといって簡単に即時やめてしまうことはできません。納入先のメーカーとの付き合いがありますし、ご迷惑を極力かけないかたちで円滑に撤退できるように調整する必要がある。その調整を行うのも私たちの業務です」

各国を飛び回り、現地へ足を運んで交渉。そうやって事態を切り拓いてきた

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▲どのような環境でもコミュニケーションを大事にしている谷川

谷川は、2012年に新卒で入社して以来、銅箔製品の製造や管理に長らく関わってきました。

谷川 「圧延銅箔事業は、JX金属が高いシェアを誇る事業のひとつです。ただし圧延銅箔以外では、競合が市場を独占している銅箔製品もあります。かつていた部署で私は、そのような遅れをとっている分野への後期参入を担当していました」 

当時の谷川の業務は、他社が先行する分野において、当社製品の量産化を推進することでした。製造を担う工場とのやり取りを日々行い、顧客で新規採用してもらえないか交渉します。交渉の際は、相手先企業と直接会話をしながら調整を進めていくのが、谷川のスタイル。そのため、実際に顧客工場に足を運んで対応することもよくありました。

谷川 「まだ新型コロナウイルス感染症の影響もない時代でしたので、頻繁に海外出張をしていました。行き先の国もさまざまで、まず中国に行って、韓国に行って、台湾に行ったあとにまた中国に行って……みたいな。毎週の様に海外に行く時期もありましたね」

基本的には英語で意思疎通をはかり、英語が通じない中国企業などに対しては、通訳を介してコミュニケーションを取りました。難しい状況でも相手をじっくり説得することで、事態を切り拓いてきたのです。

谷川 「市場参入に向けた交渉をしたり、製品の勝ち筋を描いたりするという意味で、当時の業務は今に通じていると思っています。さらに、当時も今も銅箔を使った複合品を扱っているので、その意味でも、当時の延長線上に立っているといえるかもしれませんね。

しかし、今では働く環境はだいぶ変わりました。当時は量産立ち上げの真っただ中だったので工場に頻繁に行く必要がありましたが、現在は新型コロナウイルス感染症の影響で直接工場へ訪問することはできません」

そこで、Web会議などで代替しながら業務を進行させています。

谷川 「出張ばかりだった日々に比べて、移動の時間が大きく減りました。その分の時間で、顧客や開発チームとのミーティングができるようになったので、結果的には仕事の密度が上がったように感じています。サッカーでいうと、ピッチに立っている時間が大きく増えたような感覚ですね(笑)。充実していますよ」

「アウェーな環境で勝ち取った」競合メーカーの独占マーケットへの参入を実現

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▲入社以来、営業を中心に様々な経験を積んでいる谷川。そんな谷川の忘れられない経験とは──

そんな谷川には、現在の部署で経験した忘れられない仕事があります。新規開発した銅箔を、スマートフォンのマーケットに新規参入させることに成功したのです。

谷川 「その新規銅箔の市場は、競合メーカーがマーケットをゼロから創造したこともあり、独占状態。その競合メーカーは10年以上の実績を有していたため、参入ハードルがとても高かったんです」

そのような厳しい状況の中、谷川は得意先へのアピールを続けます。何度もコミュニケーションをとった結果、次第に先方は「この材料、いいね」と好意的な反応を見せるようになりました。

谷川 「しかし、得意先にある銅箔を加工する設備の設定が競合メーカーの材料にあわせたものになっていたので、そのまま当社の銅箔を導入することは難しかったんです。設備の条件を少しだけ調整してもらえればJX金属の銅箔を使えるのですが、調整してもらうハードルがまた高くて。すぐに採用してもらうという話には至りませんでした。

というのも、製造サイドの方々は、変化をリスクと捉えがちなんです。たとえば、材料を変更したせいで良品率が低下したら、誰が責任を取るのかというような話になりますしね」

そこで谷川たちは、とにかく先方の現場に入り込んで説得しようと決めました。

先方は、中国にある工場。谷川はエンジニアを連れて製造現場に足を運びます。実際の製造工程を細かく見ながら、粘り強く交渉を重ねました。

谷川 「当社製品の導入に反対する人もいるアウェーな環境だったので、いかに論理的に説明するかを意識していましたね。『なぜやるべきなのか』のストーリーを立て、どのくらいのメリットを生み出せるのかを相手に見せるなどの工夫もして。あのころは、月に2回くらいは中国の工場へと足を運んでいたと思います」

努力の結果、徐々に状況は変わっていきます。そして、ついに念願だったスマートフォンのマーケットへの参入に成功。これをきっかけに、銅箔の事業は横展開されるようにもなりました。

谷川 「この経験をしたことで、技術サイドの人間と一緒に仕事をするコツを知りました。当社はメーカーなので、商社と違って『モノを売る』だけでなく、エンジニアをサポートすることも重要な仕事です。技術サイドの人々の信念を敬って、モチベーションもケアしながら顧客対応をすることがとても大切なのだと学びました」

JX金属には「求めれば与えられる」環境がある。だから常に夢を持って動ける

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▲「夢を持ち続けること」を大切にしていると語る谷川。その真意とは──

周囲を巻き込むことで、さまざまな課題をクリアしてきた谷川。成功の背景にいつもあるのは、「とにかく動いてみる」というフットワークの軽さです。

谷川 「何か課題が見つかったときは、一堂に会して話をした方がいいんです。だから自分は、現場に行くことを大事にしますし、現場では議論をリードすることも意識しています。

営業が議論を主体的に展開すれば、自ずとみんなの意見が生まれ、そこから仕事が動き出します。だから私は営業として、『この意見は9割間違っている』と自分で認識しているときであっても、あえて言葉にしてみるようにしています」

とにかく動き、話す。その姿勢は、学生時代からの谷川の個性です。

谷川 「大学時代、急にタイに留学に行ったことがありました。ゼミの先生に『タイに行ってみろよ』と言われて、『行ってみます』と簡単に返事をしてしまって(笑)。

でも、そうやって行動したことが、今につながっているんですよね。タイに行って途上国の開発や難民キャンプを見たことで、将来は社会基盤・インフラを支えるような仕事をしたいと思ったんです。その想いが就職活動に影響した結果、今があるので」

自分で行動を起こすことで、想いを実現させてきた谷川が大切にしているのは、「夢を持ち続けること」。

谷川 「人って、将来が見えているからこそ、ゴールまでの道のりを明確に描けると思うんです。だから、夢を持ち、常に2手3手先を見据えて動くことが大切かなと思います。

そんな私の今の夢は、外部企業との協業やM&Aなど、今とは別の視点で会社の経営戦略に関わる仕事をすること。今の自分は、営業・マーケティング・技術への理解はある程度あるものの、ファイナンスの知識がまったくの空白です。ファイナンスの知識を新たに身につけたら、今までの経験とのシナジー効果が生まれるのではないかなと期待しています」

次の目標に向けて目を輝かせる谷川は、JX金属という環境をこう捉えます。

谷川 「求めれば与えられる。そんな会社です。みんなが自分の意見や目標を持つカルチャーがあり、自分で発信すれば、叶えるための環境を周囲が考えてくれる。本当に皆さんいい人ばかりで、すごくやりやすいなと常に感じています」

「求めれば与えられる会社」で、のびのびと夢や未来を描き、行動し、着実に実現していく。谷川の歩みは、これからも続きます。