全社的な課題を解決していく、スケールの大きな仕事

猪瀬が2021年11月現在所属している経営企画部は、20名ほどの組織。予算策定等を取りまとめる計画担当、ファイナンスを担う財務担当、そして、事業創出や全社体制の整備を行う企画担当という3つのグループで構成されています。

猪瀬は、2021年4月に企画担当グループへ加わりました。

猪瀬 「新規事業の立ち上げ支援や組織再編、M&Aの立案・交渉など、会社の将来を構想し、幅広く全社的な課題に取り組んでいます」

現在、変革期を迎えているJX金属。これまでは大規模な設備で大きな商材を量産するというシンプルなスタイルでポジションを確立してきましたが、メーカーとして世界市場でのプレゼンスをより高めるべく、会社として転身を目指しています。

猪瀬 「当社ではこれを『装置産業型から技術立脚型への転身』と謳っています。日本の優れた技術を持ったメーカーとして、グローバルでも戦えるように事業ポートフォリオを見直したり、M&Aやアライアンスの件数を増やしたりし始めているところです」

実際にここ数年、スタートアップ企業と手を組む事例も出てきています。それは、ただ単に「出資して利益を得よう」という発想ではなく、既存事業とのシナジーが生まれやすい企業、もしくは、将来的にJX金属の事業として持っておきたい技術を保有している企業を選んで出資しているのです。

猪瀬 「お互いの相乗効果を発揮できる外部パートナーは、常に探し続ける必要が出てきています。私はその検討や交渉などの業務をしているので、日頃から情報収集を欠かさないようにしています」

数年前には、技術戦略部という、外部パートナーとの連携に重きを置いた組織が新設されました。ここは、外部パートナーとのシナジーを技術的な観点でジャッジするための部署。猪瀬はこの技術戦略部とも連携を取り、会社の舵取りとなる大きな判断を下す日々を送っています。

工場配属の営業職という出発点から学んだのは「現場の大切さ」

▲2014年からの2年間、台湾日鉱金属に出向(写真左端)現地での営業だけでなく、組織づくりにも挑戦

経営企画部に異動になるまで、長らく営業畑で活躍してきた猪瀬。新卒で入社したのは2004年のときです。最初は神奈川県にある倉見工場の営業部門へ配属され、5年間を過ごしました。

猪瀬が扱っていた商品は、スマートフォンなどの高機能製品に使用される電子部品用の合金材。生産の進捗を追い掛ける日々の中で、さまざまな苦労があったと語ります。

猪瀬 「まずは何事も現場を知るのが重要ということで、工場勤務スタートとなりました。そこでは出荷管理やデリバリー対応が主な業務でした。

ただ、当時は、現場の担当者との関係性次第で、生産ラインを確保してもらえるかどうかに影響が出てくることも多かったので、直接お願いをしに行かないと生産が進まないケースもありました。なので、現場と事務所を行ったり来たりする日々を送っていましたね。

現場のライン設備の管理担当にどうにか進めてもらいたい一心で、必死に関係性を築いていきました(笑)。今はもっとシステマティックに組織の分業化なども図られているので、そういった、人によって生産の進捗が変わるようなことは少なくなってきていますけれどもね」

若手としては苦労の日々でしたが、現場があってこその営業部門なのだと身にしみて感じたという猪瀬。商品を卸してくれる商社とともに、電子部品や金属加工のメーカーへと足繁く営業活動をしました。

猪瀬 「元々、就活のときから、特定の商材へのこだわりはないもののメーカーの営業職には興味を持っていました。JX金属に入社したのは、製品用途が多様な高機能素材を取り扱っており幅広いマーケティング活動ができること、そして今の時代だけでなく、これからの時代にも不可欠な素材を生産しているので将来性を感じたことが大きかったです」

JX金属では、猪瀬のようにまずは工場に配属となるケースが多くあります。長く在籍して働き続ける社員が多いため、将来の活躍を見据えて最初は工場で経験や知識を培うことを重視しているためです。

猪瀬の場合は、工場で勤務したのち、2009年に本社の機能材料事業部へと異動。営業マーケティングを担当し、2014年から2年間は台湾日鉱金属へ出向もしました。

猪瀬 「台湾では現地組織でのナンバー2のポジションに就かせてもらい、実質、営業部長として仕事をしていました。組織の方向性の議論に関わるなど、日本にいた時よりも一段高い視点を鍛えてもらえる貴重な機会でしたね」

JX金属に関連する海外の各拠点では日本とは異なる貴重な経験ができることから、キャリアアップのためにも出来る限り一度は海外経験させようという方針を持つチームも多くあります。猪瀬にとっても、こうした異なる環境での経験が、その後に大きく活きることになります。

「転職に近い」ほどの予想外の異動にも17年の営業経験が活きている

▲上海で開催された展示会。参加したメンバーで記念撮影

猪瀬は17年間にも渡って営業畑での経験を積み、2021年より経営企画部へ異動となりましたが、これは猪瀬にとってはまるで予想していなかった展開だったといいます。

猪瀬 「経営企画部への異動は正直なところ、『なぜ私が?!』と驚きました。もう業務が違いすぎて最初は転職に近い覚悟でしたね。

ただよくよく考えてみると、いろいろな新規のビジネスをやっていこうという流れがあるにも関わらず、経営企画部には法務関係・経理関係の出身者ばかりで、実は営業出身者が少なかったのです。中枢に営業的な目線を入れていきたいという目的もあり、このような人事になったのかな、と思います」

予想外の配属に驚きながらも始めた新しい業務。しかし猪瀬は、不慣れな業務に対して日々勉強が必要だと感じる一方、これまでの営業での経験が活きていることを日々実感しています。

猪瀬 「要素分解していくと、営業の業務と現在の業務は共通する部分があると感じています。営業時代、私がとくにやりがいを感じていたのは、新規マーケットの開拓でした。

たとえば、ある素材を売るために新規用途分野の開拓をしたり、販売拡大のために市場分析をして、潜在顧客を洗い出したりするという業務ですね。開拓の筋道を立て、実際に顧客へのアプローチや交渉もしましたし、製造に改善が必要となれば、工場の技術職の人との連携も行う、各所とともに新しいものを作れるところに面白さを感じていました」

このように、課題を整理して製品戦略としてのPDCAを回していくのも、営業の業務だったと語る猪瀬。現在の経営企画部においては、リソースが事業部内だけでなく全社になり、扱う業務の規模は大きくなりましたが、当時から培ってきたノウハウを今も活用・駆使しています。

猪瀬 「ビジネスの基礎力や調整力は、営業時代に身につけられたと強く思います。多様な案件がある現在でも、自分がこれまで関わっていた電子材料関係のプロジェクトの比率が比較的高いので、イメージも持ちやすく、やりやすいですね。その意味でも、これまでの経験に感謝しています」

フレキシブルなマインドで、変革期という荒波を乗りこなしていく

▲営業部門の送別会で記念撮影。経営企画部に異動した後も前所属部署との交流は続いている

猪瀬が今後の目標として掲げるのは、コーポレート部門と事業部のコミュニケーションを活発化させることです。

猪瀬 「事業部側からこちらへきてまだ日数が浅いのですが、だからこそ、コーポレート部門と事業部の橋渡しのようなことができればいいなと思っています。

現状、経営企画部をはじめ、コーポレート部門と事業部間での情報共有がまだまだ足りていないと感じています。なので、オープンにできる情報があれば、積極的に事業部とコミュニケーションを取って、コーポレート部門と事業部間での情報共有を促進していきたいと考えています」

変革期を迎えているからこそ、全社的な情報共有の重要性を感じている猪瀬。実際に、彼が経営企画部に来てから現在までの5ヶ月の間にも、組織体制の変更や新会社の設立など、大きな動きが起こっています。

猪瀬 「変革期にやらなければならないこと、整理しなければならないことは無限にあります。そういったことを一緒に考えながら、チームとして新しいビジネスを形づくっていけるメンバーが今後のJX金属に加わってくれたら嬉しいですね。

近年、JX金属では電子材料の分野にフォーカスを当てていますが、その市場変化はかなり激しく、細かな方針転換が急に起こる毎日です。そういう意味では、フレキシブルなマインドを持っている方が向いていると思います」

営業部門での経験をもとに、経営企画部という新しい業務に取り組んでいる猪瀬。チャレンジングな業務ではありますが、日々やりがいを感じながら、JX金属の未来図を描いている真っ最中です。