新卒で工場に配属。みんなが働きやすい環境を目指した日々
新卒で入社した浜野の最初の配属地は、茨城県北茨城市にある磯原工場でした。日本国内に複数の工場を持つJX金属株式会社のなかでも、この磯原工場は特に規模が大きく、関係会社・協力会社の人員を含めると1,000名以上が勤務している拠点です。浜野はこの工場で2014年から3年間勤務。人事・総務担当として、工場採用・本社採用のどちらの業務にも携わりました。
浜野 「磯原工場で働く約1,000名の従業員のうち、JX金属の社員は500名ほど。毎年、本社採用と工場採用のあわせて20名ほどが新しいメンバーとして入社しています。工場採用の業務では、特に高等専門学校卒の学生を採用することに熱を入れていました。とはいえ、現在、技術系の企業から引く手あまたの高専卒生を採用するためには工夫が必要でした」
採用活動のため、東北や九州の高専にも足を運び、各学校の先生に会って、直接採用について働きかけることもあったといいます。次世代を担う人材との出会いを目指して全国を駆け回る日々と並行し、浜野は労働組合の窓口としての業務や人事異動・評価に関する業務、教育・福利厚生に関する業務など、採用以外の業務も担当していました。
浜野 「工場にいる総務課の人員はそれほど多くないので、担当する領域は広く、様々な業務を学べる貴重な機会でした。私が教育係として担当したのは、4月に入社する高卒・高専卒の社員たちに向けたマナー研修。新社会人である彼らに、社会人としての基本を伝えていくものでした」
一方、本社採用の新入社員たちは、本社で教育を受けた状態で入ってくるのが基本。彼らには、工場全体についての研修をしたり、先輩社員たちから専門的な説明を聞くための場をセッティングしたりと、違う角度から接することを心がけていたといいます。背景や年齢の異なるさまざまな社員が働く工場という環境に少しでも早く馴染んでもらえるよう、交流のための場も積極的に設けました。
浜野 「人数が多いとはいえ、お互いの顔や人柄を覚えてもらえるような規模感でもあるので、工場長など幹部クラスの社員も含めて、交流の場を設けるのは重要な仕事だと考えていました」
入社の決め手は、人の誠実さ。今でもそのイメージは変わらない
大学では工学部で学んだ浜野ですが、自身が就職活動を開始した頃はまだ漠然とした将来像しかなかったと振り返ります。
浜野 「修士課程で研究分野を深めていきたいという考えがあまりなかったこともあり就職活動を始めました。でも当初は、何かやりたいことが見つかればいいな、という程度の気持ちだったんです。そんな中、学内の説明会で、当社に出会いました。JXという名前はエネルギー系の分野で聞いたことがあったのですが、金属を扱うJX系の会社があるというのはその時に初めて知りましたね」
浜野は当時、最終製品そのものを扱う会社ではなく、製品を縁の下で支える素材を扱っている会社に魅力を感じていたといいます。JX金属が銅などの非鉄金属素材の供給を通じて、身近な電子機器やインフラに至るまで広く貢献しているということは心惹かれるものがありました。しかし、浜野が最も強い興味を持ったきっかけは「人」だったのです。
浜野 「その説明会には複数の企業の採用担当やリクルーターが来ていたのですが、話をしている中で、ほかの会社には感じられなかった親近感と誠実さを感じました。とにかく話しやすくて、第一印象として、この会社は自分に合っているなと思ったんです」
その後も、何度かJX金属の単独説明会に足を運んだ浜野。さまざまな職種の社員と会う機会を経てみると、誰と話しても馴染みやすく、「ここは自分に合う人が多い会社のかもしれない」という印象を第一に受け、入社に至ります。
浜野 「当時出会った採用担当者は、実は今は同じフロアにいてよく話もします。結局入社してからも第一印象とのギャップを感じることはなく、とてもいい雰囲気で仕事ができていますよ」
入社前に浜野が会社のメンバーに感じた「誠実さ」のようなものを、実際の仕事の現場でも感じることが多いといいます。
浜野 「採用活動に携わり、様々な年次・職種の面接担当者やリクルーターと接するようになりましたが、自身の経験や職場の雰囲気含め、取り繕うことも無くしっかり伝え、納得して入社してもらいたいと考える人ばかりでした。
入ってもらって終わりではなくて、ぜひ長く働いて活躍してもらいたい。チームとして一緒に様々な課題に取り組んでいける人を採用したい。今振り返ってみると、きっと、私が学生だったころに会った先輩たちも、そういった強い思いがあったから誠実に接してくれていたんだなと思います」
工場でのあらゆる業務経験は、現在の本社業務と地続き
3年間の工場勤務では、仕事だけでなくJX金属ならではのコミュニケーションスタイルを学べたのも良い経験になったといいます。
浜野 「今はコロナの関係でなかなか難しくなっているかと思いますが、工場勤務時代は、よく懇親会を開いて新入社員といろいろな話をしました。仕事のことだけでなく、私生活のことも話をしました。都会から少し離れた場所にある工場なので、その土地に縁もゆかりも無い人たちが配属されてくることも多い。ですから、実際に生活する際のちょっとした心配事なども含め、なんでも話してねといっていました」
コミュニケーションを取り合っているのは、職場内だけではありません。工場内では縦・横・斜めの交流も盛んで、部活動も行われています。浜野は、サッカー部とバレー部を兼部。初心者でも楽しめる和気あいあいとした雰囲気でありながら、定期的な練習や市民リーグへの参加などもあり純粋に競技も楽しめる。一方で、練習したあとはみんなで打ち上げをするなど、サークルのような雰囲気もあります。
浜野 「部活動にかかる費用は福利厚生の一環で会社が一部負担をするのもあり、多くの社員が楽しんで参加しています。若手だけでなく、40代50代のメンバーもいて、年齢層で分けたチームでガチンコで勝負をするなんてこともありました。私は総務なので、大会の企画運営庶務に携わることもありました」
サッカー部では毎年、各工場・事業所との交流大会を実施。浜野は、100名を超える大規模な大会の企画を担ったこともありました。
浜野 「磯原工場のサッカー部員は30名くらいなのですが、ほかの工場のメンバーも集合し、100名規模の人が参加する大会になりました。ホスト工場以外は遠方からの参加となるため、ホテルの手配や懇親会の準備、会場設営などいろいろなことをしましたね」
工場ならではの経験をしたのち、本社に異動した浜野。最初の3年は、新卒採用を担当しました。このとき、工場での勤務経験がとても役に立ったといいます。
浜野 「工場に身を置いていたことで、会社説明会の際に職場の雰囲気や実際の生活面を正確に伝えられたり、本社人事として工場側にどんな働きかけをしたらいいのかが見えてきたりと、業務がスムーズに進められました。
磯原工場ではPCやスマートフォンなどに欠かせない最先端の非鉄金属素材を作っているのですが、最終製品とは異なり、特長や当社の強み等が伝わりにくい部分もあるので、実際に日々現場で見聞きしていたことを説明できるのは大きなプラスになっていると思います」
多様な働き方ができる企業へ。大きなミッションのもと、新しい風を取り込む
2020年7月から浜野は人事部労政企画チームのメンバーに加わり、現在は労働組合との窓口として各種折衝や全社に関わる制度・規則の制定・改正などを行っています。特に最近では、2040年長期ビジョンの達成に向けた重点課題への取り組みを進めています。
浜野 「当社では2040年までの長期ビジョンを策定していますが、その達成のためには、人事部として『多様な人材が多様な価値観を持っていきいきと活躍し、付加価値を創出し続ける環境・制度』を作っていくことが重要であると考えています。例えば、2020年度に導入した『コアタイムなしフレックス制度』も従来の画一的な働き方から、より社員の自律的な働き方を推進していくことを目的としています。
その他にも、様々なライフイベントがある中で、仕事と生活を両立するための環境を整えていくことなど、世の中においても重要になっているテーマについて施策を検討しています。社員一人ひとりが最大限に力を発揮できるような会社にしていくことが大きなミッションだと感じています」
新しい風を取り込むために、視野を広げて改革を目指す浜野。今後は、「さらに多面的な観点で施策を提案できるよう幅広い知識・経験を身につけていきたい」と語ります。
浜野 「人事分野の業務もまだまだ勉強途中ですが、営業や経理など人事以外の方がどういった視点を持っているか、というところも吸収していきたいですね。いずれは事業を運営する立場の業務にも携わりたいと思っています」
工場、本社というそれぞれに異なる環境で日々挑戦をしてきた浜野は、若手でも意見をいいやすい環境が社内にあるといいます。だからこそ、これから入社するメンバーには、「自分が会社・職場で何をやっていきたいのか」を考えながら働くマインドを持っていて欲しい、とも。
浜野 「こういうことをやりたいという思いをしっかり持って、それを実現していくために自己研鑽含めて取り組んでいくことが大事だと思っています。もちろん、入社前には具体的なビジョンがなくてもいい。当社は、たとえ若い社員でもさまざまな挑戦ができる雰囲気があります。だからこそ、人とのつながりを大事にし、周囲のメンバーを巻き込みながら、自分の考えを発信していってほしいです。
一人で完結できる仕事は基本的にはありません。コミュニケーションを大事にしながら、誠実に物事に向き合うという価値観のある人は、当社の雰囲気に合うと思います」
多くの人を巻き込み、さまざまな企画を実現してきた浜野。多様性が求められるこの時代、彼の取り組みの幅はさらに広がっていきそうです。