デジタルの力で金融を支える新しいサービスの開発を。未知の領域に挑む難しさと醍醐味
私が所属するデジタルファイナンス統括部は、エンタープライズビジネスユニットの金融ソリューション事業部門の組織のひとつです。アンチマネーロンダリング対策へのAI活用や顔認証決済といった金融領域での新しいサービスの企画や開発のほか、金融機関のお客様との共創活動をリードするような業務に取り組んでいます。
中でも、私はデジタルファイナンス統括部内にあるグループのディレクターとして、コーポレートファイナンス、グリーンファイナンス、Web3の3つのプロジェクトを進めています。
コーポレートファイナンスに関しては、企業の財務部門に対して資金管理高度化ソリューションを金融機関と共創する形で企画が進行しています。
グリーンファイナンスに関してもサステナビリティ領域でどのようなビジネスが可能か、金融機関の方々とワークショップなどを実施しながら探索しています。
Web3については、CBDCなどのデジタル通貨含め金融機関が新しく考えていく金融ビジネスの実現に向けた提案活動やサービスの企画開発を検討しています。
新しい技術領域や世の中のトレンドは、言葉が独り歩きしてしまい話題先行で企画が立ち上がることが少なくありません。そのため、お客様の目的が明確でなかったり、日本電気株式会社(以後、NEC)内部でも何を実現したいか見えていなかったりする中、あるべきサービスの姿についてお客様とディスカッションを進めていくのはとても難しい作業です。
一方で、そうやって最先端のデジタル技術やトレンドの中で新しいものを生み出すこと。また、サービス開発を通じて社会に貢献できている点に大きなやりがいを感じています。
高度なITスキルが身につく環境を求め、新天地へ
私にとってNECは2社目。大学を卒業して入社したのは大手印刷会社でした。学生時代にインターンシップに参加し、雑誌や書籍、包装資材だけでなく、商品企画やマーケティング戦略支援など幅広い事業を手がけている点に魅力を感じたのが理由です。
入社後は、包装事業部で主に食品メーカーに対して包装資材などの営業活動に携わりました。新商品企画やパッケージデザインから、商品販売後のプロモーション施策まで、顧客ビジネスの上流から下流まで一連の業務を経験させてもらっています。
その後、社内公募を利用してFintech領域でサービス企画をする部署に異動しました。先進的なビジネスに関わって、新聞の紙面を賑わせるような、世の中に対してより大きな影響を与えられる仕事がしてみたいと考えたからです。
異動先ではオンラインの本人確認(eKYC)サービスのPoCからサービス立ち上げ、不正検知ソリューションの営業促進などを担当していましたが、eKYCサービスにおいてNECの顔認証技術に関わったことがその後のキャリアの道筋を方向づけることになります。
ITサービスの企画に携わる中で感じたのは、このトレンドが目まぐるしく変わっていく業界で仕事をしていくには、常に自分自身のスキルアップをしていく必要があるということ。そして、よりITに特化した企業に身を置いたほうが世の中の流れを感じることができ、さらに自身の成長につながるのではないかということでした。
また、他IT関連の会社と関わる中で、さまざまな技術的な強みを持っている会社と出会いました。
たとえば、NECは研究開発を手がける研究所があり、あらゆる分野で優れた技術を持っています。そのような優れた技術と自分自身のスキルアップを掛け合わせて、社会にインパクトを与えるサービスを企画開発できるのではないかと転職を考えるようになりました。
最終的にNECに決めた理由は、技術の高さもさることながら、職場の雰囲気など前職と大きなギャップがないと思えたからです。顧客としてNECの方と接していた時から、同じような会社風土があるのを感じていたことが入社の決め手になりました。
入社数カ月で横断的プロジェクトを担当。部門間連携を強化し新サービスのローンチへ
入社後、社内の雰囲気や風通しの良さは想像していた通りでしたが、上層部から社員に向けてメッセージを発信する頻度が高いことに驚きました。とくに、2021年に森田さんがCEOに就任してからは、月に1度タウンホールミーティングを開催してくれているほか、BU長らがメールやブログを通じて想いや考えを発信するなど、上層部との距離感が非常に近いと感じています。
また、入社数カ月後に大きなプロジェクトにアサインされたのもNECだからこそかもしれません。マイナンバーカードの活用に向けたコンサルティングサービスとして2021年に発表したもので、所属していた部署のトップの方から直接声をかけられたことが参加のきっかけでした。
当時、社内で複数の部署が別個にマイナンバーカードを活用できる本人確認・当人認証サービスの開発に取り組んでいたんです。そこで、それぞれの担当者にヒアリングした上で、社内のコンサル部隊にも相談を持ちかけたところ、マイナンバーカードの活用を検討しているお客様に対して、NECの本人確認・当人認証サービスを使った新しいサービスや最適な利用法を提案するサービスとして提供する話が持ち上がりました。
ただ、お客様から見たら、NECの複数の類似サービスにもかかわらず、サービスネーミングや訴求ポイントは部署ごとにまちまち。かつ、どの部署のどんな人たちが関わっているかが部署の外からは見えにくい状態だったため、全体像を把握しながら人と人をつないで、まとめていく作業には困難がありました。
調整に苦労しましたが、結果的にビジネスユニットを越えてまったく違う部署の人と関わることができた経験は大きかったです。NECは会社が大きいだけにどうしても組織が縦割りになりがちです。
そうやって自分たちが部署と部署をつなぐハブのような役割を果たせたことは意義があったと感じています。
プレーヤーとしてもマネージャーとしてもスキルを高め、環境を選ばず活躍できる存在に
入社して丸3年になりますが、仕事の進め方からキャリアにおいて成し遂げたいと考えていることまで、NECには社員のWillをしっかりと受け止めてくれる度量の大きさがあると感じています。
たとえば、NECは高い技術力によって成長してきた会社なので、お客様に対してどう売り込むかを考えるのが不得手なところがあります。そんな中、前職で営業なども経験してきた立場から、「ネクストアクションはこれでいきましょう」「考えるよりもまず担当者に話を聞きにいきましょう」と私が提案すると、従来のやり方に固執することなく、皆さん柔軟に受け入れてくれました。
周囲の意見を頭から否定せずに受け入れ、まずはやってみるという考え方が浸透しています。とくに、デジタルファイナンス統括部はメンバーの平均年齢が30代半ばくらいと若い組織。若手が自由にアイデアを出しながら活躍しやすい環境があると思います。
一方で、技術力に優れるNECゆえの魅力も感じています。顔認証をはじめとする生体認証など、技術に強みがあることが広く知れ渡っているので、お客様のほうから問い合わせをいただくことが少なくありません。
また、研究所で開発中の新しい技術をもとに提案することがあるのもNECならでは。最先端の領域で、社会に対してインパクトのあるビジネスができていると実感しています。
今後の目標は、NEC金融ソリューション事業部門を代表するような社会にインパクトを与えるサービスを企画開発することです。現在はディレクターとなり、裁量が大きくなっため、それをうまく活用して、メンバーと共に目標の実現に向け邁進していきたいと考えています。そして、自分自身のスキルアップも怠らず、担当するプロジェクトを通じて奥行きを広げ、いずれは環境を選ばず活躍できるような存在になりたいです。
また、メンバーのマネジメントを任されるようになったことで、若手がスキルを身につけ活躍してくれることに喜びを感じるようになってきました。現在、月に1度のペースで1on1を実施してメンバーの考えや悩みなどを聞いて、アドバイスしたりフィードバックしたりしていますが、管理職としてのスキルにも磨きをかけ、メンバーから信頼されるようなディレクターでありたいと願っています。
※ 取材内容は2023年7月時点のものです