自ら志願したプロジェクトへの参画をきっかけに、総合職へのキャリアチェンジを決意

article image 1

福島県出身の菅野は2010年の新卒入社後、仙台新契約サービスセンターで保険契約の申込書類を確認し、保険をお引き受けする業務を担当してきました。

菅野 「かんぽ生命へ入社した理由は、かんぽ生命の商品を取り扱っている郵便局が全国に2万局以上あり、地域や年代を問わず、幅広い年代のお客さまの保障をお引き受けできる点に魅力を感じたからです。初期配属の仙台新契約サービスセンターでは、お客さまからの保険の申込書類と当社の加入基準を照らし合わせながら、保険のお申し込みをお引き受けする仕事をしていました」

転機が訪れたのは、本社新契約サービス部の業務を兼務することになった入社6年目の2015年12月。お客さまに保険にご加入いただけるかを機械的に判定できるようにする「自動査定システム構築プロジェクト」が立ち上がりました。菅野は同プロジェクトに参画し、加入基準策定の分野でリーダーを任されました。

菅野 「このプロジェクトの目的は、保険のお引き受け業務を、人から機械へと移行し、少しでも早くお客さまの保障をお引き受けするため、業務効率化を進めていくことでした。申込書類を確認する実務経験者として自ら希望して参加し、システム構築には2年ほど携わりました。

その後、2018年度には、お申し込みの加入基準そのものの見直しのための専任チームが新契約サービス部に発足し、私もその業務に携わりました。そこで、社内のキャリアアップ支援制度を利用し、本社の新契約サービス部にて勤務することとなりました。キャリアアップ支援制度とは、会社が実施する施策で異なる組織の業務を幅広く経験することにより、社員のキャリアアップや職務の広がりの支援および各組織間の人財交流につなげるため、希望する社員が本社業務にチャレンジできる制度です。

ただ、キャリアアップ支援制度の期間は3年間。3年経てばもともと所属していた仙台新契約サービスセンターに戻ることが初めから決まっていました。お客さまのお役に立てる可能性が見えてきた中、チームを去ることに、自分の中で消化しきれない想いがあり、もっと今の業務に関わりたいという気持ちが次第に強くなっていきました。

また、お客さまからの申込書類一枚いちまいに向き合い、保険をお引き受けするサービスセンターでの仕事にもやりがいを感じていました。ですが本社新契約サービス部での業務を経験したことで、加入基準の見直しに携わることができれば、一人でも多くのお客さまに保険を届けることに貢献できるのでは、とより大きな可能性を考えるようになりました」

菅野は一大決心をして、エリア基幹職から総合職コースにキャリア転換する試験に挑みます。結果、努力が実り、2021年4月にキャリアチェンジを果たし、本社新契約サービス部での仕事に取り組むことになったのです。

新契約サービス部のミッション──保険にご加入いただいたお客さま全員の公平性を保つ

article image 2

2022年8月現在、菅野は保険の新規加入のお引き受け業務を担う新契約サービス部の医的基準担当に所属しています。

菅野 「一般的な商品の場合、消費者が市場で何かを購入するときに、購入を断られるケースはあまりないと思いますが、生命保険の場合、保険会社がお客さまからの加入のお申し込みをお断りしなければならないことがあります。

というのは、生命保険は、『みんながお金を出し合い、誰かに万が一のことがあれば、みんなから集まったお金で助け合う』という、“相互扶助の精神”で成り立っているものだからです。生命保険に加入する方の“健康状態”が一定範囲内になければ、加入者全体に不公平が生じてしまいます。新契約サービス部は、保険をお引き受けするにあたり、お客さまの健康状態を的確に把握し、ご加入いただくお客さま全員の公平性を保つというミッションを担っています。

私が所属する医的基準担当では、“お客さまの健康状態”の観点から、保険をお引き受けできるかどうかを判断する基準の策定や見直しを行っています」

加入者全体の公平性を保つというミッションに取り組む菅野。しかし同時に、かんぽ生命に加入したいと思っていただいたお客さまの気持ちに精一杯応えたい、といいます。

菅野 「数ある生命保険会社の中から、かんぽ生命を選んでいただけたわけですから、そのお客さまを心から大切にしたいと考えています。それにも関わらず、ご加入をお断りするのは、非常に心苦しい想いでいっぱいです。一人でも多くのお客さまにかんぽ生命の保険にご加入いただき、『保険に入れてよかった』と喜んでいただくためにはどうすればよいのかを考え、2つのことに取り組んでいます。

ひとつ目はビッグデータの分析結果を踏まえた加入基準の見直しを行い、一人でも多くのお客さまに保険をお届けすること。ふたつ目は、より分かりやすくスピーディーに保険をお引き受けできるよう手続きを整備すること。『保険に入れてよかった』『かんぽ生命に加入してよかった』とご満足いただけるお客さまを一人でも増やすことが仕事のモチベーションにつながっています」

ビッグデータの統計分析から見えてきたこと。加入基準の見直しに取り組む

article image 3

保険のお引き受けをお断りするお客さまを一人でも減らすため、お客さまの健康状態を的確に把握し、加入基準の見直しに取り組んだ菅野。お客さまの中には、持病があって保険に加入できるか不安を抱えている方も多いといいます。ですが、生命保険業界全体をみると、生命保険にご加入しやすくなるよう変革している傾向にあります。その背景には国民の健康意識の高まりや医療の発達、そして、それらを裏付けるビックデータの分析体制の整備がありました。

菅野 「かんぽ生命は歴史が長く、規模も大きい会社なので膨大なお客さまのデータ、いわゆるビッグデータを保有しています。過去には十分に活用しきれていませんでしたが、ビッグデータを分析・活用する体制が整備され、ご加入時の健康状態とご加入後の保険金のお支払い状況の統計を分析できるようになりました。

その結果、それまではお引き受けできなかったケースでも『この健康状態であれば保険をお引き受けできるのではないか』といった、加入基準の見直しのための情報が見えてくるようになりました」

その例として、がんに罹患されたことのある方の加入基準の見直しがあります。

菅野 「がんは死亡原因のベスト5に入るほど重篤な病気です。そのため、一度がんに罹患された場合、保険をお引き受けすることは当然難しくなります。ですが、ここ数年で医療技術が進歩し、新しい治療薬や手術法が生まれた結果、がんの経過は改善傾向にあります。

そこで、がんに罹患されたことのある方でも、保険をお引き受けできる方が一定数いるのではないかと考えました。検討にあたって、当社の保有するビッグデータを活用することで、あらゆる情報が見えてきました。部位や進行度によって加入基準を細分化することで、がんに罹患された方でも、お引き受けしやすくなるよう、加入基準を見直しました」

お客さまに選ばれる生命保険会社になるために。お客さまはもちろん、営業社員と同じ温度感をもつ

article image 4

お客さまに選んでいただける保険会社になるためには、保険の加入をより分かりやすく、スムーズにする必要がある、と菅野はいいます。

菅野 「かんぽ生命は、簡易生命保険として、簡易な手続きで国民の生活を保障するという社会的使命を持って誕生しました。そのため、保険のお申し込みに際して、医師の診察が不要で、告知書に健康状態について記入するのみの簡易な手続きとなっています。

しかし、保険のお引き受けに際しては、健康状態を的確に見極める必要があります。お客さまが健康状態について記入する告知書の内容だけでは見極められないケースもあり、追加で告知書をご記入いただくようお願いすることもあります。それを追加告知書というのですが、『質問内容が分かりにくい』『どのように回答したらよいか分からない』『質問項目が多すぎる』など、お客さまからさまざまな声をいただいておりました。これではお客さまにスムーズにご加入いただくことはできません。

そこで、追加告知書を徹底的に見直すことにしました。見直すにあたって、お客さまからご意見をいただいた追加告知書を、一つひとつ見返しました。根気のいる作業でしたが、お客さまの立場に立って読みかえしてみると、『説明文が長く、確かに分かりにくい』ということに気付きました。

そこから、なるべくシンプルな質問形式に変更しようと改善を図っていきました。質問をシンプルにし、質問項目を少なくすることは意外と難しい作業でした。質問項目を少なくすることで、健康状態をしっかり確認できなくなる恐れもあります。

他にも、ご加入いただいた後、保険金のご請求があった際に、告知内容に不足があったために、保険金のお支払いが難しくなり、かえってお客さまにご迷惑をおかけすることがないように考慮する必要もあります。それらの課題を解決するために、質問内容と加入基準を見直し、関連部と調整することで、より簡易な手続きに改善することができました。現在では、『追加告知書が分かりにくい』というお客さまからの声は減ってきています」

保険にご加入いただいているお客さまへはもちろんのこと、同時に、お客さまと接する営業社員への対応にも、心を砕きます。

菅野 「医的基準担当者のなかでは、お客さまはもちろん、営業社員を大切に考える意識が浸透しています。営業社員の立場に立ち、同じ温度感をもって考えてみることで発見することがあります。実際に追加告知書を一枚いちまい見返すことで、多くの気づきがありました。

営業社員からは、『なぜこのお客さまはご加入いただけないのか』『どうにかなりませんか』といったお問い合わせをいただくことも少なくありません。詳細な加入基準に係る情報は、機密情報であり、営業社員にも示せないため、なかなか詳細に回答することができずジレンマも感じます。『現場のことを考えてくれていない』と思われている方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。

そのような状況ではありますが、営業社員の方ともっとコミュニケーションをとって、お互いに理解し合えたらと思っています」

医的基準担当のなかで、お客さまや営業社員の視点を大切に業務に取り組めているのは、上司や同僚と一緒に、CX向上の実現のために同じ意識を共有して働けていることが大きい、と菅野はいいます。

菅野 「かんぽ生命では、CX向上の実現を重要課題として全社員が認識し、日々業務に取り組んでいます。生命保険という形のない商品の価値をお客さまやご家族等に最も感じていただける場面は、保険金のお支払いのときです。一人でも多くのお客さまにかんぽ生命の保険をお届けすることで、保険金のお支払いという生命保険の持つ、お客さまの人生を支えていける力を、より多くのお客さまに体験していただくことができます。

『一人でも多くのお客さまにかんぽ生命の保険をお届けすること』が、会社の目指しているCX向上の実現に直結するのだとチームメンバー全員が認識しているからこそ、同じ目標に向かって仕事を進められています」

今後、他の部署に異動することがあっても、新契約サービス部で得た経験を活かしていきたいと語る菅野。かんぽ生命が全社を挙げて推進するCX向上の活性剤となるべく、仲間とともにまい進しています。