「根拠」を大切にすること。何が大事か、まず「行動」で示していくこと

藤田は、株式会社かんぽ生命保険(以下:かんぽ生命)高岡支店で、法人のお客さまからいただいた保険の申込書類の確認や、請求書の確認といった営業事務を主とした業務を担当しています。

藤田 「入社して5年間は、現在と同様に営業事務の仕事をしていました。その後、職場の総務事務を担当し、2度の育児休業を取得しました。そして、育児休業から復帰後、6年ぶりに再び営業事務を担当することになりました。

復帰した直後は、6年間で様変わりした仕事の内容がわからず、悔しい思いもしました。特に営業社員からの質問に答えられなかった際、『休業明けだから仕方ない』と心のどこかで言い訳をしている自分が許せませんでした。営業社員とその向こう側にいるお客さまのためにも、どんな質問にも答えられる自分になりたいと強く思いました」

藤田は、最新の業務をキャッチアップするために何度も基本的なマニュアルを確認しました。その内容が頭に入ったら、次は、過去のお客さまからのお申し出をまとめた事例集も学んでいきました。その甲斐もあって、質問されてもわからずに焦ることはほとんどなくなりました。

さらに、質問に正確に回答するための習慣も身に付いたと言います。それは、回答する際に「根拠」をまず確認してから回答するということです。「根拠」となるものを確認しなくとも、記憶のみで回答できる場合もありますが、藤田は必ず確認します。その理由は、後輩やチームの育成のためです。

藤田 「後輩社員に、『根拠』を確認するよう単に口で伝えるだけではなく、マニュアル類の該当部分を示しながら質問に答えることで、後輩社員が自らマニュアルを確認し、自分で日々成長していけるように心掛けています」

後輩社員をフォローする一方で、自身の業務知識やスキルのブラッシュアップにも余念がありません。隙間時間を見つけ、実務をする上で必要なポイントがまとめられている社内誌を読むことも苦にならないという藤田。

藤田 「他の部署が発行している社内誌にも興味がどんどん湧いてきて、空いた時間に読んでいます。他部署の業務内容の理解といった間接的効果もありますし、直接、目の前の仕事の役にも立っています。また、大量の情報の中から要点を把握する練習にもなります。何より知識を増やしていくこと自体が楽しくて仕方ないです」

業務に必要な情報を社内のポータルサイトで確認することが多いものの、他の職場とのちょっとしたコミュニケーションから得る情報も大切にしています。また、自分が身につけた業務知識やスキルは、月一回の職場の勉強会で職場内に共有したり、自分で業務知識やスキルを共有するためのツールも制作したりしています。

藤田 「例えば、私以外の社員の自発的な学びに繋がったらとの想いで、自作の日めくりカレンダーを職場内に掲示することにしました。そのカレンダーには、営業事務を行う上で注意すべき事項と、その『根拠』となっているマニュアル類を合わせて記載しています。

最初は自分のために作ったのですが、せっかく作ったツールなので、職場のみなさんに少しでも役立ててもらえたらいいなと思い職場内に掲示したところ、思った以上に好評で、とても嬉しく感じているところです」

行動面でも、藤田には心掛けていることがあります。それは、職場の植物の世話や、お越しいただくお客さまに応じたお飲み物の準備など、部署全員が担当となっている日常業務について率先して対応し、主体的・能動的に行動すること。言葉も大事ですが、言葉で表現するより先に行動し「背中でみせる」(何が大事か、まず「行動」で示す)ことにこだわりをもっています。

藤田の「背中でみせる」姿勢は、周囲にも確実に伝わっています。例えば、北陸エリア内の支店における業務品質向上のための合同会議では、参加者からなかなか意見が出ない状況でした。しかし、藤田が毎回、業務上の自身の工夫について率先して発言したところ、他の参加者からも様々な意見が積極的に出て、会議が活発化しました。そういった経験が、藤田の姿勢に対する確信へと変わっています。

育児休業からの復帰。突きつけられた現実に溢れた涙

以前は、他の社員から質問されたら関係するマニュアル類を確認するなど受け身の姿勢でしたが、今は、質問される前から想定して、必要な準備をしておくなど、能動的な仕事への姿勢を「背中でみせる」ように日々取り組んでいるという藤田。姿勢の変化には、大きなきっかけがあったといいます。

藤田 「育児休業の復帰初日に、郵便局から新しく発売する保険商品についての照会がありました。私は答えることができず、悔しさから昼休みにロッカー室で泣いてしまったんです。悪い時には悪いことが重なるもので、同じ日に、追い打ちをかけるような出来事がありました。

保険を解約したいというお客さまのお申し出に対して、自分だけではご満足いただけるようなご対応ができなかったのです。その時は、後輩社員が私を助けてくれました。後輩社員は、お客さまのご要望の背景、真意をしっかりとお聞きし、適切なご提案をしました。その結果、保険を解約せずにお客さまのご要望を満たすことができ、お客さまは満足してお帰りになられました。ご解約手続きの方法を確認することで精一杯だった私は、後輩社員の対応に感動する反面、自分が情けなくなりました」

育児休業を取得するということは、復帰時に業務知識などについて、キャッチアップが必要になることも覚悟していたはず。それなのに、なぜこんなに情けなくなるのか、藤田は自問自答しました。自分に業務知識があれば、後輩社員のような対応はできなくとも、一旦、お申し出自体にはしっかりと対応した上で、お申し出の背景、真意を確認し、他の社員に相談することもできたかもしれません。しかし最低限の業務知識も足りなかったことから、お客さまの真意の確認の手前で止まってしまいました。

藤田は、その夜、子どもを寝かしつけた後、自分が情けなく、そして悔しく涙を流したといいます。

家族の励ましをきっかけにさらに勉強し、仕事の新しい面白さに気づく

すっかり意気消沈していた藤田でしたが、そんな時、自宅で義母に叱られたといいます。

藤田 「義母から、『悔しくて泣いている暇があるなら、前を向いて努力しなさい!子どものためにも笑顔で仕事に行くママになりなさい!』と叱咤激励されました。

そして、『何が何でも自信をもって仕事ができる自分になる!』と決意しました。自身を追い込むために、また、義母の後押しもあり、次の日には金融系の資格取得のための予備校に入学しました」

それからは子育ての傍ら、必死に勉強をした藤田。子どもを寝かしつけてから勉強する日々が続きます。時には疲れきって子どもと一緒に寝てしまうこともありました。それでも会社の昼休みなど時間を見つけては勉強を続けました。

藤田 「背中を押してくれた義母をはじめとした家族のサポートにはいつも感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ、知識を身につけることで、自分の職場に、そして会社に、ひいてはお客さまに貢献できるという一心で勉強しました。その結果、2級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能検定、日商簿記検定3級、ビジネスマネジャー検定に合格できました」

藤田は資格取得のための予備校に通うことに加え、会社の支援として、通信教育講座や資格取得奨励制度も活用したといいます。

藤田 「通信教育講座では、当該講座を修了できると受講料が半額助成される制度があります。また、資格取得奨励制度は、会社が推奨する資格を取得した社員に対して、奨励金が支給される制度で、いずれもモチベーション維持のために活用しました」

かんぽ生命では、保険業務に従事するビジネスパーソンに必要な基礎知識として、全社員に推奨している資格を定めています。取得に向けてサポートする体制も整っています。

藤田 「以前勤務していた支店は、会社の制度を活用して、自己研鑽することが自然体の職場でした。毎月資格取得者がいたような職場だったので、お互いに刺激を受けながら、切磋琢磨し会社の制度をフルに活用して勉強に励むことができました」

実際に勉強するなかで得られた知識は、すべて何かしらの形で実務に活かすことができるものでした。未使用の物品の在庫確認などの日常業務と会社全体の決算との関係性等、仕事の趣旨・背景までより深く理解できるようになりました。

藤田 「仕事を趣旨・背景まで含めた全体像で捉えることができたときに、一種の快感がありました。これは資格取得の大きなメリットの一つだと考えています。また、FP、簿記、ビジネスマネジャー検定で得た知識や業務上の知識はコミュニケーションスキルに比べて、成果がわかりやすいので、コミュニケーションスキルを磨きつつも、自身のモチベーション維持のためにも、着実に伸びるそれらのスキル向上に取り組んでいます。

資格取得の意義やメリットに懐疑的な方には、こういったメリットを是非知ってほしいし、仕事が面白くなるきっかけになるので、ぜひ挑戦してほしいと思います」

現在藤田は、CFP(認定ファイナンシャル・プランナー。FPにおける上位資格で国際資格)やビジネス実務法務検定等の取得に向けて、勉強に励んでいます。

120%以上の力で、目指していく目標

育児休業を取得する前と今を比べると、「8時間」という勤務時間の重みが全く違ったといいます。

藤田 「育児休業を取得する前も100%全力で働いているつもりでした。ですが、育児休業を取得した後では、家庭との両立のため、勤務時間が限られてくる上、休業した分、業務知識・スキル面のキャッチアップも必要でした。そのため120%以上の力で働かないと、育児休業を取得する前以上の成果は上げられないことを痛感しました。

120%の力を出すためにはどうしたらいいのか、と考えた時に、私の場合は、基礎的な知識のインプットも含めた事前準備が必要不可欠だと思いました。だから私は業務知識を日々ブラッシュアップすることや、資格取得のための勉強に明確な目的が持てています」

さらに藤田はかつてを振り返りながらこうも話します。

藤田 「私は、20代の時の自分を後悔しているんです。なぜなら30代の自分と20代の自分を比べた時に、勉強するにしても集中力が落ちているなと感じているからです。加えて私の場合は、育児休業による約3年間のブランクもありました。だから20代の時にもっと自己研鑽をしておけばよかったと後悔しています。けれど、一つ言えるのは、勉強しよう、チャレンジしよう、と思った『今日』は明日の自分より若いんです。だから過去を後悔していないで、『今日』を大事にしようと思えるようになりました。

何もしないで40代になったら、努力をしなかった30代のころの自分を後悔するかもしれません。『今日』を120%の力で働いて、いい仕事をして、自分が家庭と仕事を両立した女性社員のロールモデルの一人になりたいと思っています」

経験してきた営業社員の事務サポートなどの業務に加え、「夢が大きすぎると言われるかもしれない」と前置きしながら、営業領域にも挑戦の意欲があり、「どの仕事でもスペシャリストになりたい」と語る藤田。そんな藤田のモチベーションの源は、日々成長している自分を感じられることだといいます。

藤田 「家庭を両立しながら、仕事で120%の力を発揮しようと思ったら、やはり自分自身も楽しく面白いと思える部分がないと続きません。常に今日の自分よりも明日の自分のほうが成長していること自体が楽しい、面白い、と思えるからこそ続けられる。もしも心や体が苦しくなったら、休憩したらいいと思います。自分自身は毎日変わっているので、もしかしたら将来的には今とは違う考えになっているかもしれませんが、『自分自身の成長が楽しい、面白い』と思っているうちは、勉強し続けながら、働きたいと思います」

自己研鑽を欠かさず、まわりとともに日々成長しながら、能動的・主体的に仕事に向き合う藤田。温かい家庭と「背中でみせる」仕事を両立した女性社員のロールモデルになることを目標として、今日も、明日の自分自身に挑戦し続けます。