支店から法人営業開発部へ異動。未開拓の法人営業領域に挑む
株式会社かんぽ生命保険(以下:かんぽ生命)の法人営業開発部は、2014年に前身の総合法人部が発足し、その後2017年に現在の形に改組した新しい部署。関東地区のある支店にいた大澤は、東京のマーケットで挑戦してみたいという想いで自ら手を挙げ、2015年に法人営業開発部の前身である総合法人部に加わりました。
大澤 「法人営業開発部は、今でこそ新卒からの配属もありますが、これまでは基本的に公募制。全国の法人営業担当社員の中から、我こそはと希望したメンバーが集まっています。そのため、現在在籍している20数名の営業社員は、ほとんどが地方出身で、部署内ではいろいろな方言が飛び交っており、聞いていて飽きないですよ(笑)」
会社として取り扱うプラン、商品自体は全国どこでも同じですが、各支店の法人営業部と大きく違うのは、法人営業開発部では従業員100名以上の企業さまの新規開拓を主な仕事としていることです。かんぽ生命としては、これまでご提案ができていなかった領域であり、今まで以上にご提案を強化すべく、法人営業開発部を立ち上げました。
新規のお客さまに対して、どのようにしてお取引を開始していただけるかを常に部署内で考え、議論し、挑戦している、と大澤は語ります。
大澤 「まっさらな状態からのアプローチなので、データをもとにアポイントをいただくところからのスタート。最近では、すでにご契約いただいている企業さまからのご紹介も増えてきてありがたいです。
このように、これまでかんぽ生命をご利用いただいていなかった規模の企業さまに対する営業活動や、既にご契約をいただいている企業さまのご契約のアフターフォロー、さらに今ご利用いただいている保険内容の見直しのための営業活動が、法人営業開発部としての主な仕事です」
法人営業開発部に入った社員は、一定の経験を重ねると、元の地区の支店に異動することもあります。法人営業開発部で得たノウハウやお客さまから教えていただいた経験を持ち帰ってもらい、各支店でも色々な企業さまに営業活動を広げていくことが、法人営業開発部のもう一つの役割でもあるのです。
企業さまの福利厚生の充実を目指し、知識を高める勉強会にも積極的に参加
法人営業開発部に所属して7年目を迎える大澤。同部のほかの社員と比べて、長く同部署に留まっているのは、なぜなのでしょうか。
大澤 「法人営業開発部はかんぽ生命の中でもまだまだ発展途上の部署。連携や開拓の方法を変えながら毎年新しいミッションを掲げています。それは、他の部署ではほとんど経験できないことなのではないかと、私自身は感じています。また、普段なかなか出会えないような方々とお話をさせていただく環境に身を置くことで、自分が成長し続けられている実感があり、この部署の業務に魅力を感じているんです」
母体が大きい組織だと、新しいことは簡単に始めにくい傾向にある。しかし、ここ法人営業開発部の営業については、会社が柔軟に方針を変えてくれていることを肌で感じられる、と大澤はいいます。
大澤 「法人をお客さまとして想定しているので、従業員さまの福利厚生というかたちで保険にご加入いただく提案が多くなります。そのため、その会社さまが既に取り組まれている退職金制度や社内規定まで理解した上でご提案内容を考えなければなりません。法務上や財務上の確認作業も必須なので、ご提案からご契約をいただくまでには通常よりも多くの時間がかかります」
設立からある程度の年数が経過して安定している状況にある企業の場合、福利厚生や退職金制度はすでに整えられているケースがほとんど。当然のことながら、新規参入はそう容易ではありません。また、新興の企業であれば、福利厚生や退職金制度がまだ整っていないことも多く、お話は聞いてもらいやすいかもしれませんが、実際にお話をしてみると「まだそこまで考えられる状況ではないので」と断られることも多々あります。
大澤 「お客さまから具体的なご要望やお悩みを電話で教えていただけるメンバーもいますが、私の場合はアポイントを取って実際にお会いしてみないとなかなかご要望や実際のニーズを教えていただきにくいというのが正直なところです。お話ししていく中で、ご提案できる余地のある部分があるのかを探していくイメージですね。
お客さまからのご相談をしていただけるようになるためには、私自身の知識をまずは高めていかないと、そもそも相手にもしてもらえませんから」
メンバーのスキルアップのため、法人営業開発部では定期的にさまざまな勉強会も開催。退職金制度や直近の税法上の変更点、確定拠出や確定給付のメリット・留意点などを、法務税務に携わる連携会社にレクチャーしてもらい、知識をアップデートし続ける必要があるためです。このように、お客さまとのやりとりの中で生じる疑問について遠慮なく聞ける環境を、大澤は積極的に活用しています。
営業としての矜持を改めて胸に刻んだ、営業ができなかった1年9か月
大澤もこれまで、数字的な目標も明確に持ち、保険商品の営業活動を行っていました。しかし、2019年にかんぽ生命は保険の不適正募集問題が発覚。それ以後1年9カ月の間、会社全体として保険の営業が一切停止という事態を経験することになります。
大澤 「新規の営業がまったくできない環境の中で、私自身、辛さやもどかしさを感じてもいました。しかし、すでにご契約いただいている企業さまに、これ以上のご迷惑やご不安をおかけしてはなりません。定期的にお詫びと現状説明のために訪問させていただきました。
厳しいお言葉をいただくこともありましたが、一方でお客さまから『大変だね』『頑張って』とねぎらいや励ましのお言葉をいただけたことが本当に嬉しく、心の支えになりました」
また、不適正募集により契約された可能性のあるお客さま全員に対して調査を行うため、全国のご契約者さまを対象に個別訪問する必要があり、法人営業開発部のメンバーも各支店へと出張し、現地のメンバーと共に調査へ加わりました。
大澤 「1年9カ月の間はずっと、お客さまへの個別対応などのさまざまな経験を通し、お客さま本位の営業活動がいかに大切かを今一度考え直していました。営業に携わる者であれば、誰しも営業成績を気にするところは少なからず持っています。しかし、それでもやはり、お客さまのご意向に沿わない提案は決してあってならないこと。お客さまにご納得いただいてご加入をいただくことが絶対条件です。
営業という仕事が好きでやりがいを見出していた自分だからこそ、営業として当然のことがいかに大切なことかを改めて胸に刻みました」
営業ができない1年9カ月の間は、本当にお客さまが求めているものは何か、どんな営業ならば喜んでもらえるのかという問いに向き合い続ける日々。その後、かんぽ生命は再発防止の研修を継続しながら、2021年4月に保険の営業を再開しました。
弱みは改善するより共有し、個々の強みはさらに磨いて、部署の力を高めたい
法人営業開発部への異動に、自ら希望したことは、当時の自身にとって最も大きな挑戦だったと振り返る大澤。さらに、営業で新規のお客さまへ電話をしたり訪問したりすることの一つひとつが、今でも大きなチャレンジだと感じています。
大澤 「法人営業開発部がお客さまの信頼をより広く深く得ていけるようになるために、自分自身としてどんな立ち居振る舞いができるのか、それが部にどのような影響力をもたらすかを考えながら行動しています。
自分自身の成長を感じられる機会って、なかなかないものですが、同僚や後輩が私に質問したり意見を聞いてくれたりしたときは信頼されているのがわかりますし、そうした瞬間に、大きなやりがいを感じますね」
営業は契約件数が数字として表れるため、成果が体感しやすい職種ですが、達成感を得られるのは契約数だけではないと大澤は確信しています。
大澤 「ご契約をいただいた会社で働いていらっしゃる社員の方から、『こういう福利厚生制度ができて良かった』という生の喜びの声をうかがうと、自分がおすすめしたことが間違っていなかったんだ、とホッとしますし、とても喜びを感じます」
法人営業開発部を希望する社員は、みんな個性派だと笑う大澤。それぞれに強みも弱みもありますが、弱みを改善したいと悩むより、それぞれの強みをさらに磨き上げてほしいと考えています。
大澤 「ある人の弱い部分があったとしたら、そこを別の得意な人が補っていけるような部署にしていきたいですね。そのためには、みんなの強みや特性をしっかりと見極めて、部署の力を高められるような存在に私がなっていかなければと思います」
各支店から法人営業開発部を目指す社員が増え、さらには、かんぽ生命に入社したいと学生からも思われるような会社にしていきたいと意気込む大澤。かんぽ生命の信頼回復という大きな課題にも真摯に向き合いながら、見据えているステージはさらなる高みにあります。