かんぽ生命の名古屋法人支店において、2021年4月に誕生した「新規タスクフォース」。メンバーは営業統括役の井出 哲広、課長代理の中村 優介、福島 琢也、水谷 充宏、主任の長谷川 祐希の5人です。中堅・大企業の新規開拓に奮闘する5人が1年を経て感じている気づきや大変さ、そして今後のビジョンまでを語ります。 

中堅・大企業の開拓へ向けて。徹底的なインプットとコーチングを取り入れたマネジメント

 

かんぽ生命は現在、法人営業において中堅・大企業の新規開拓に乗り出しています。

井出 「かんぽ生命は、100名以上の中堅・大企業の新規開拓に取り組むため、新規タスクフォースを、東京と名古屋と大阪の法人支店にそれぞれ設置しました。

私以外の4人は、元々東海エリアの法人営業で活躍していたメンバーで、活躍を認められて名古屋法人支店のタスクフォースに推薦された精鋭揃いです。年齢は全員30代です。

私はタスクフォースのチームリーダー(管理者)として、2021年4月に関東エリアからこちらへ着任しました」

かんぽ生命はなぜ、中堅・大企業の新規開拓に乗り出したのでしょうか。

井出 「かんぽ生命の法人契約の多くが中小企業です。そこで、中長期を見据えた企業基盤の安定に向けて、今後は中堅・大企業への開拓が必要ではないか、という議論がされるようになり、会社として重点を置き始めました。

このミッションのために、専門知識やコミュニケーションスキルを習得するための環境整備など、本社から充実したバックアップが展開されました」

そのひとつが「研修」です。

中村 「研修は、東京海上日動あんしん生命、大和証券、税理士事務所の方など、社外講師からのオンライン・レクチャーで、全15回(1回90分)ほど実施されました。

まずは、中堅・大企業に十分なご提案ができる知識を身につけるべく、研修によるインプットを強化したうえでスタートしました。退職金関係の一般的な制度にはじまり、小規模の会社への営業では用いることのない知識を吸収することができました」

福島 「税務、財務、労務などの勉強もさせてもらいました。これまでも個人的に勉強していましたが、改めて総合的に知識をブラッシュアップする機会となり、多くの気づきがありました」

さらに、タスクフォースをしっかりと築き上げるチームビルディングの観点から、チームリーダーの井出は、2021年9月~2022年3月にかけて、エグゼクティブコーチングの研修を受けました。

井出 「コーチングとは、対話によって自己実現や目標達成を図るコミュニケーション技法のことです。視点、視座、視野の3つに焦点を当て、思考の枠を広げて、普段は見落としがちな領域まで意識を向けて問題解決を図るようなコーチングを3週間に1回、受講しました。東京と大阪のタスクフォースのチームリーダーも同じ研修を受けています。

コーチングの研修期間中には、同僚、上司、タスクフォースのメンバーを対象に私についてのヒアリングが行われ、その結果がフィードバックされることで、他者から自分がどう見られているかを客観的に知ることができました」

コーチング研修を担当した、株式会社コーチ・ジネッツの吉里 彰二氏は井出の変化を次のように語ります。

吉里 「当初は東海エリアに着任したばかりで遠慮も見られましたが、コーチング研修の後半では“名古屋法人タスクフォースに井出あり”という存在になりました。メンバーに対しては穏やかで物腰は柔らかい中にも、伝えるべきことはしっかりと伝える、共感を醸成してリードするというコミュニケーション力は抜群です。タスクフォースプロジェクトの経験を活かして、さらに大きなフィールドで思う存分活躍してください」

コーチング研修の効果は、タスクフォースのメンバーも感じていたと言います。

中村 「私たちは、井出さんがどんな研修を受けているのか、詳細までは把握していませんが、社員のことをよくフォローしてくれています。些細なことでも気づいて褒めてくれたり、『よくアポイント取れたね』といった声かけをしていたり、働きやすい環境をつくってくれているな、と思います」

タスクフォースでの経験から得た「気づき」 を本社へフィードバック  

1年間の研修を受けたタスクフォースのメンバーたちは、それぞれの視点から気づきを得ていると話します。

長谷川 「たとえば、他社の商品ラインナップであったり、お客さまの真のニーズをとらえて提案する体制であったり、学ぶことがたくさんありました」

水谷 「私が一番印象に残ったのは、研修で使用されていたスライド資料です。こんな資料をどうやったらつくれるのかな、というぐらいのクオリティの高さで。要点がまとめられていてすごくわかりやすかったです。

当社の商品説明の資料やパンフレットにもお客さまにとってよりわかりやすい内容になれば、営業するうえでも全然違ってくるだろうなと感じ入りました」

福島 「元々、銀行で働いていた方が講師をしてくれた回で“課題解決型の提案”というお話があり、とても影響を受けました。

“お客さまの中で課題として明らかになっていないことにも、気づきを与えられる存在になる”という内容で、とても大切だと思いましたし、私自身もそこを目指して日々取り組んでいるものの、まだまだ足りないのではないかと気づいた回でした。

ただ単に“保険を売る”のではなくて、そのような課題解決型の提案を通じて、すぐに数字につながらなくとも、長期にわたってお客さまから感謝していただけるような、お客さま本位の営業を目指していきたいと改めて思いました」

中村 「研修を受ける中でとても印象に残っているのが、営業社員が抱えるさまざまな課題に対するバックアップ態勢の重要性についてです。

個人が壁にぶち当たったとき、営業社員をバックアップできる態勢をもっと拡充する必要があると感じました。私自身、課題認識と解決に向けた提案を本社に伝えていく使命を感じていて、すでに井出さんを通じて、困っていることやつまずいたところは伝えています」

このように、タスクフォースのメンバーたちによる研修を通じて発見された課題や気づきは、本社にフィードバックされています。

井出 「たとえば、営業で使用する商品説明の資料やパンフレットなどのツール類について、タスクフォースのメンバーたちの気づきを受けて、本社にいろいろと提案しはじめています。

中堅・大企業においては、経営者の一存ではなく、組織としての決定が重視されます。経営者の方に向けたものだけでなく、総務部長や財務部長の方向けのツールもあった方がいいのではないか、など新たな視点で提案しています」

280社のアポイント成功、そして契約へ。重ねた試行錯誤と挑戦

 タスクフォースはチームで一体となって、この1年間で280社ほどのアポイントの獲得に成功し、一部成約にも至りました。

中村 「私はかつて東京の法人営業開発部に4年以上在籍しており、大企業のお客さまへのアプローチも経験していたため、その経験が今回役立ったのではないかと思います。

ただ、東京では本社の関連企業とのリレーションを図ることもできましたが、名古屋はコネクションもない中、電話でアポイントを取得し面談するアプローチだったため、よりハードな面もありました。それでも、研修で実務ベースの内容も学んでいたので、業務に活かすことができました」

福島 「中堅・大企業への営業では、決定権者が社長とは限らないため、アポイントが取りにくくなったことが、非常に難しく感じました。

受付でお断りされることも多いので、決定権のある方へつなげていただくために、試行錯誤しました。研修はもちろん、前職の経験も役立ちました。

2016年にかんぽ生命へ中途入社する前は、新卒で金融機関の融資業務で営業職をしており、電話でアポイントを取得し面談につなげる営業を経験していたので、その経験も活かせたと思います」

水谷 「中堅・大企業の案件に取りかかったことで、競合対象が変化し、より幅広い知見が必要だと感じました。

中小企業の場合は、他社の生命保険会社との競合になりますが、大企業の場合、他社の保険だけでなく、DC(確定拠出年金)、DB(確定給付型企業年金)、中小企業退職金共済制度(中退共制度)など、保険以外のソリューションとも比較されることになります。

社長おひとりのお考えではなく、他の経営陣や関連部署など、さまざまな意見を総合して判断されるところも大きな違いですね」

長谷川 「私はこういった規模の企業への営業に初めてトライしていますが、1番辛かったのはなかなか成果が出ないことでした。

大きな企業なので、導入の検討も中長期にわたるわけですが、営業成果が出ないとモチベーションが下がるときもあります。モチベーションを維持するため、今までとは考え方を変える必要がありました」

これは中堅・大企業ならではの特徴であると井出は語ります。

井出 「大きな企業は、すぐに契約などの結論を出すのが難しい部分があります。しかし1年目にして多くのアポイントを獲得できましたので、今後は多数回訪問するなど、お客さまとの信頼関係を構築し、長い視野で今後につなげていくことが、特に大企業に対しては重要だと思います」

1年目の気づきを成果に……。絆を胸に未来へつなげたい

成果がすぐに出づらい中堅・大企業への営業。タスクフォースのメンバーたちは、チーム全体で課題を見据えたうえでの今後のビジョンを描いています。

中村 「これまでにない挑戦の時期で、困難も多くありますが、タスクフォースから新しいスキルやノウハウが獲得できれば、今後のかんぽ生命にとって非常にプラスだと思います。

今後も積極的に活動をして、さまざまな経験値やスキルを蓄積して、結果につなげたいです」

福島 「中堅・大企業のお客さまにかんぽ生命、そして、扱う商品の良さを知っていただく機会を増やすべく、今まで以上にアポイントを取り、お客さまにご紹介できる機会を作っていきたいです。

“課題解決型の提案”は、お客さまを知ることが何より大切だと思っています。また、自社商品だけでなく、DC(確定拠出年金)、DB(確定給付型企業年金)、中小企業退職金共済制度(中退共制度)、あるいは他社生保の競合商品についても、より深い知識を増やしていきたいです。

お客さまの現状やニーズを推測しながら、お客さまの気づいていないところをご提案して“お客さまに感謝してもらえる営業パーソン”を目指したいですね」

水谷 「せっかくタスクフォースに所属した以上、成果を挙げたいと思います。新規契約はもちろんですが、お客さまとの継続的な関係性を大切にしていきたいです。

せっかくアポイントを取ってご提案しても、そこで終わってしまい、次のチャンスにつなげられていないケースもあるので、情報を財産として管理する必要性をひしひしと感じています」

長谷川 「中堅・大企業向けの営業を通じて構築した、新しい営業スキルやノウハウなどを会社全体に展開できたらベストなのかなと思っています」

井出は2022年4月に部署を移りましたが、今後もタスクフォースとの連携は続きます。

井出 「今年、私は名古屋法人支店・二部の管理者となりましたので、組織改革などの中心的な役割を目指していきます。

タスクフォースは、一部・二部を兼務していることもあり、今後もチーム全体として情報共有や協力をしていきたいと思います」

新たな試みとしてスタートした中堅・大企業へのアプローチにおいては個々の創意工夫が問われますが、チームビルディングを意識した取り組みにより、今ではメンバー同士は強い絆を感じています。

中村 「同じ特殊な境遇に置かれて、お互いに気持ちも一致しやすいのかもしれません。それぞれがアプローチしている会社の状況を共有し合い、自分一人では知りえない情報や経験値が得られるように思います。

また、2カ月に1度、支店を超えて全拠点のタスクフォースのメンバー全員がミーティングを行い、意見交換できるのも良い刺激になりました」

困難から気づきや学びを得て、強い絆で着実にチームとして成長し、さらに前進するタスクフォース。新たな地平に乗り出したかんぽ生命を、2年目も力強く牽引していきます。