ミッションクリティカルなシステムのAWS移行を支援。過去の経験が成功のカギ

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田中が直近で参画したのは、インターネット接続サービス事業を展開する会社がオンプレで運用してきたシステム基盤を、全面的にAWS(Amazon Web Services)へ移行する案件だ。このシステムは、数百万人規模のユーザーが使用するシステムであり、24時間365日の安定稼働が求められるミッションクリティカルなシステム。障害発生時にも安定稼働できる、堅牢な基盤の構築を必要とした。

田中 「外部要因で障害が発生した際、復旧後に膨大なデータが同時に入ってくることが予想されます。しかし、データが入ってきてからサーバのリソースを増やすのでは間に合いません。スケールを自動的に合わせることができる基盤を用意するために、AWSのマネージドサービスを効率良く組み合わせ、クラウド活用の最適化を図ることが構成の肝になります。

そこで今回、EC2は使用せず、コンテナとAmazon Kinesis、AWS Lambdaで業務部分のすべてを構築し、クラウドのメリットを最大限に活用しました」

また、従来のシステム運用・保守のプロセスは手作業だったため、システムの複雑さが増すにつれて工数とコストが増加するとともに、人為的ミスによるトラブル発生のリスクも高まっていた。そのため、最適なコストで効率良く運用できる基盤を構築する必要もあった。

田中 「昔は手作業でしかできなかったインフラ構成ですが、今は書いたコードに従って自動的に設定してくれる仕組みがいろいろと出てきています。今回は汎用的なツールとして、Terraformを採用しました。Terraformで書いたコードを実行すると、AWSの設定が自動的にでき上がる仕組みになっています。

また、インフラ構成のコード化によってGitでの管理ができるようになり、承認フローもスムーズに進められます。これらのツールを使うことで、運用・保守のプロセスを大きく効率化できました」

本案件でもっとも難しかったのは、障害発生時にも耐えられる基盤をどう構築するかという点だった。実際に障害発生時と同様の想定負荷を起こすことはできないが、十分の一の負荷をかけたときの動きを見て、運用のリハーサルを実施した。こうして対処できたのも、田中がこれまでインフラ・運用を含めたシステム構築についてすべての要素を経験し、高いセキュリティレベルや安定性が求められるシステム構築についての理解を深めてきたからだ。

田中 「トラブル発生時の原因を突き止めるのは得意分野です。事象が起こる原因はさまざまですが、クラウドの場合はとくに目に見える範囲が多くありません。AWSならCloudWatchやメトリクスを確認すれば、ある程度把握できますが、裏でどのようにネットワークの通信が走っているか、どのようにデータが流れているかなどを想像できるのは、過去の経験が活きているからだと思います。

サービスとして公開されているのはほんの一部で、中身はブラックボックスになっていることも多いです。だからこそ、これまでの経験をもとに想像することで、迅速な原因究明を行います」

いかにしてフルスタックエンジニアとしてのキャリアを積んだのか

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田中は1993年に新卒でJMASに入社。入社当初は、日本能率協会(以下、JMA)のマシン室配属となり、ホストコンピュータの運用保守を担当した。その後も、JMAグループ向けのインフラ基盤構築を実施し、システム運用の基礎から、情報基盤の設計構築スキルを習得した。

インフラエンジニアは基本的に、インフラ業務に専念するケースが多い中で、入社7年目に最初の転機が訪れる。

田中 「入社7年目に、Javaの開発プロジェクトに参画しました。証券会社のフレームワーク構築案件にメンバーとして参画し、設計・構築・テストの技術を習得。次に、別のお客様のWebアプリ開発案件で、リーダーとして開発プロジェクトを推進しました。JMASがSI事業として提供している、開発とインフラと運用のすべての工程を経験しました」

さらに、入社12年目のころ。金融機関の連結決算システムのインフラ構築案件に参画し、行内インフラ基盤のほとんどを把握するまでに活動規模を広げた。

田中 「金融機関の案件を通して、銀行システムとしての品質の考え方やセキュリティレベルを理解し、運用も含めた安全なシステム基盤の構築について理解を深めることができました」

そして、スマートデバイスが普及し始めたころ、JMASのスマートデバイス領域への事業展開にインフラエンジニアとして参画。協業先と連携しながら、スマートデバイス向けの新しいサービスを企画・検討したことも、田中にとって転機の一つだった。この活動により、JMASのスマートデバイスサービスは幅が広がり、SI全体としてのサービスの質も向上したのだ。

その後田中は、Microsoft Azureでスマートデバイス向けのサービス開発を進める。同時期に、金融機関のAWS移行案件に参画し、クラウドを活用したミッションクリティカルなシステムの設計、構築から運用サポートまでのすべてを実施した。以降も、クラウドを活用したさまざまな案件に携わっている。

クラウド導入に欠かせないクラウドアーキテクトの仕事。大事なのは「日々勉強」

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システムの設計、構築、運用、保守まで、エンジニア業務におけるすべての経験と知識を持つフルスタックエンジニアの田中。とくにクラウド領域においては豊富な実績があり、さまざまなプロジェクトを牽引している。

田中 「2022年9月現在のミッションは、クラウドアーキテクトとして、クラウドの採用計画をお客様と検討し、安全なクラウド環境の設計、構築から、クラウドアプリケーションの開発、運用、保守、改善まで支援することです。トラブル発生時の対応もしています」

そんな田中が今後取り組みたい技術は、GCP(Google Cloud Platform)とコンテナだという。AWSなどで構築したクラウド環境の冗長化を図るために、GCPを使ってマルチクラウド環境を構築したいという要望が増えている。また、コンテナの利用促進は、インフラとアプリの技術者の境界線をなくすために積極的に進めたいと考えている。ベテランでありながら技術を追求し続ける田中が、仕事をする上で大事にしているのが「日々勉強」を積み重ねること。

田中 「私自身、決まったことを、ただ同じように繰り返すことを良しとしていません。似た案件に携わるにしても、何か改善できるかことはないかと常に考えています。より良い結果を出せるよう、常にアンテナを張って最新技術をキャッチアップし、自己研鑽に励んでいます」

幅広い技術領域がJMASの魅力。エンジニアとして成長できる環境がここにある

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田中は自身の強みについて、幅広い技術領域での経験と知識を積み重ねてきたことだという。

田中 「さまざまなことを吸収するのが好きで、最新の技術に関してもどんどん挑戦していきたいです。最近は、お客様も技術的に詳しい方が多いので、お客様の判断材料になるよう、常に広い範囲で技術的な下支えができればと思っています。

また、今後のビジョンとして、若手の成長をサポートしていきたいと考えています。とはいえ、知識や技術は、実際にいろいろな現場で経験を積むことで初めて身につくもの。若手には意欲的に挑戦してほしいと思います。もし、困っていることがあれば、しっかりフォローします」

そう話す田中に、技術を身につける秘訣を聞いてみた。

田中 「近道として、まずは動くものを作ってみること。その動くものに対して、Terraformなどのコード化を行うことでどのようなパラメータがあり、どのような設定で動いているのかを見ます。サービスのドキュメントにパラメータが載っていることが多いので、そこからこのサービスでは何ができるのかを紐解いていくと、より早く理解が深まります」

JMASではクラウドエンジニアとして成長していきたい人を募集している。そのような人たちにとって、JMASには他社に負けない強みがあると田中はいう。

田中 「技術領域として、クラウドだけではないのが一番の強みだと思います。SIとしての基本的なシステムの考え方がありつつ、ツールとしてクラウドを活用していくことがベースの考え方になっています。この考え方である限り、クラウド専業のシステムベンダーには負けない幅広い経験と知識の積み重ねがJMASならできると思います」