強いマネジメント組織をつくり上げる。新時代のタレントの育成・開発とは

私は2020年現在、新入社員やマネジメント層向けに階層別のトレーニングを行うTalent Developmentチーム(以下、TDチーム)に所属し、マネージャーを務めています。タレントの育成・開発が主なミッションで、階層別研修のみにとどまらず幅広くタレント育成・開発に関わっています。

マネジメント層向けには、新任管理職研修のほかにもマネージャーの必須要件を基にしたコンピテンシーの策定・浸透、360度サーベイ研修によるフィードバック機会の創出、新たに昇格基準を設け昇格審査を実施するなど、さまざまな施策を進めています。

現在は、サクセッションプランを立て次世代経営者候補を特定し、コンピテンシーアセスメントを実施。特定したサクセッサーに対して、必要なアサインメントやタレント育成・開発面でのフォローアップ内容を明確化し、取り組みを進めています。

これまでは、「プロフェッショナル集団」構築に必要なコンサルタントのマインド・スタンスおよびスキル開発のために、さまざまなトレーニングを構築してきました。それらを継続的に進めながら、さらに「強いマネジメント組織」構築に向けて、先の施策を実行していきたいと考えています。

新卒社員に関しては、これまで入社1~2カ月は集合研修、その後はOJTとフォローアップ研修という育成方法でした。しかし、2020年度は事業本部から3名のマネージャーを選出し、TDチームと協業での新卒育成プロジェクトをスタート。新型コロナウイルスの影響下で、いち早く全員をオンラインによる在宅勤務で受け入れる決断と準備をし、4月1日の入社式を含め滞り無く入社時研修を2カ月間全面オンライン化で実施するなど、これまでにない新卒育成にチャレンジしています。

中途採用の社員には、入社後1カ月程度の研修に加え、フォローアップ研修、Step up研修という社内独自の研修を実施しています。いずれもOJTとOFF-JTを融合することで「本質的な人材紹介ができる基礎」を構築するとともに、より即戦力となる人材の育成を目指していくことで、配属先部署での育成負荷を軽減する狙いもあります。

このように、さまざまなタレント育成・開発のための施策を実施していますが、まだまだ改善点も多いというのが現状ですね。この状況を打開しながら、進化していきたいと常に考えています。

今後は会社がキャリアをつくってくれるのではなく、自らがキャリアをつくる

私は、2002年に新卒1期生として入社しました。現在は全社で約1,000名の社員数ですが、当時はまだ100名ほどの規模の会社でした。そんな会社をファーストキャリアとして選んだ理由はふたつあります。

ひとつは、大学で「労働経済学」を専攻していたことです。当時日本の失業率が過去最高だった中で、社会に貢献できる仕事をしたいと考えました。そして、「働けない人がいる」ことを社会的な課題と捉えて、そこに少しでも貢献できないかと人材関連業界に絞った就職活動をしていました。

もうひとつは、2002年から新卒採用をスタートさせると聞いて、その1期生になりたいと単純に思ったことも決め手として大きかったです。大学でキャリア開発などを勉強する中、「今後は会社がキャリアをつくるのではなく、自らがキャリアをつくる時代になる」という考えを学び、1期生として会社をつくりたい気持ちが強くありました。

また、卒業論文で「日本から海外、海外から日本へ、ボーダレスな転職が今後増える」という主旨でまとめたことも影響して、海外事業に強いネットワークを有するJACに入社し、自身の卒論の仮説を検証したい想いもありました。

入社後行った業務は、3カ月ほど新規の飛び込み営業、その後はテレアポでの新規求人開拓です。社内の研修体制が整っていない中、自分たちで主体的に解決し、仕事をつくらなければならない状況でしたので、暗闇の中を走っているような感覚はありましたね。

それから3年間はリクルートメントコンサルタントを務め、その後は経営企画に異動し自社の新規サービス企画や、求職者との面談調整などを行うコールセンターの立ち上げなどを行いました。

それに加えて、当時の社長と話す中、社員向けの「スキル研修」をつくる話で盛り上がりました。新人、マネージャーの階層だけでなくコンサルタントのスキル視点での研修です。

私自身がコンサルタントの経験があったことも大きく影響しました。そのような流れもあり、社員育成に携わりたい想いが強くなってHRへ異動。

その後、一度転職をしました。今思えば若気の至り……しかし、30歳になって「もう少し違う業界も見たい」という気持ちがあったのです。製造業での人事採用教育のポジションを選びました。そのメーカーで人事採用教育の仕事をしていたのですが、3年弱経過したときに転職をしたいという想いが強くなって。

そのときに転職希望者として、ジェイ エイ シー リクルートメントに登録しました。そこで転職相談をしたときに、現在の社長の松園から「うちに戻って来ればいいじゃないか」と言われたことを機に再入社することを決意。在籍当時から会社のカルチャーや働いている人たちについては良いと思っていましたし、何より声を掛けてもらったことが嬉しかったのでその場で決断しました。

「わかって、できる」と「わかっているけど、できない」を明確化

ジェイ エイ シー リクルートメントに再入社してから、まずは新卒採用を担当しました。その後、新卒採用・中途採用・教育の領域で責任者を務め、2020年現在では教育を中心としたタレント開発・育成専任として従事しています。

コンサルタントの仕事はとくに「まねして学ぶ」「背中で学ぶ」暗黙知的な要素が多く、形式知にしづらい。そのため研修コンテンツをつくる際には、「いかにまねしやすいようにするか」を重要視しながら考えています。

さらに、コミュニケーションスキルは「わかったら、できる」となりがちなのも難点です。そこで、リアリティーの高いケースワークを用意し、「わかって、できる」と「わかっているけど、できない」を明確化することを意識しています。その上で「わかっていない」ことに対する打ち手も考えます。

今年は新型コロナウイルスが深刻化し始めたタイミングだったこともあり、初めて全面在宅によるオンラインでの新入社員研修を実施しました。新入社員のみなさんが心理的安全性を担保することを第一優先に、大胆かつスピード感を意識しながら、毎日試行錯誤を繰り返しました。

ひとつの成果としては、全面オンライン研修に切り替えた中でも、直近で入社した中途入社の方がこれまでにないスピードで初成約を獲得していることです。

オンラインによる研修は主体性が重んじられます。主体性がないと、どんどん後れを取ってしまうためです。とくに意識したのは、今までのように1時間講義をするという研修ではなく、ポイントだけ伝えて有効な問いかけをし、自らアウトプットする流れをつくることです。

「受講者が主体性を発揮し、自ら必要なことを吸収していただく」ことを意識して研修内容を再構築しました。オンラインの優位性に思考を迅速にシフトさせ、「インプット」が中心だった研修内容を「アウトプット」中心に変えたことで、受講者のスタンスを「待ち」ではなく「攻め」にできたことは大きかったと感じています。

「世界No.1」の会社を目指して──転職が一般化する時代に問われる真価

現在のチームでの仕事を全うすることで、「日本の人材紹介のステータス向上」を目指しています。

それは入社当時から変わっていません。私はこの仕事の社会的意義や貢献性を日々感じています。これまでの日本は終身雇用が中心で、転職が決して前向きなものとは捉えられておりませんでした。しかし、現在は転職や採用による雇用の流動化と適正化が、当たり前の社会になっています。その中で今後は、より人材紹介会社の役割や真価が問われる時代になっていくと思うのです。

一方で、この業界は参入障壁が低く、全国に競合他社が約2万事業所もあります。非常に競合が多い中、質が担保されていないエージェントが増えたという声を、ネット上や顧客からよく耳にすることも。ジェイ エイ シーは、おかげさまでこれまでの実績から評価と信頼を得ていますが、今後は業界全体をけん引する存在になりたいと思っています。そのためには、「強いマネジメント組織」構築と「プロフェッショナルの集団」の育成が欠かせません。

また、会社としては「世界でNo.1」のインターナショナル リクルートメントコンサルタンシーになることを目指しています。

それは売上や利益などの数字だけではなく、サービスの「質」での世界No.1です。とくに転職希望者に対してただ求人を紹介するだけではなく、転職者のキャリアプランやライフプランを理解した上で、その人に適切なコンサルテーションを提供し、新しいキャリアをご紹介できるようになっていきたいです。

求人情報だけでなく、転職者が希望する業界やマーケットの転職状況や採用状況を俯瞰し、転職者が知りえないジェイ エイ シー独自の情報をしっかり語ることができるか。そういったことができる優秀な人材が集まり、お互いを刺激しあえるコンサルタント集団であることが理想です。

そのためジェイ エイ シー リクルートメントでは、プレイングマネージャー制にしています。マーケットが見えてこそ、戦略も立てることができますし、そのマーケットでの勝ちパターンを明確化することができるためです。

また、マネージャーは、ただ業績管理を行うのではなく、ジェイ エイ シー リクルートメントのパーパスとコア・コンピテンス(当社ならではの存在意義と他社には無い優位性)を理解し、チームメンバーの心理的安全性を保ちながら、部下に適切なフィードバックを提供すること。そして、チームメンバーの成功やプロセス含めた好事例に対してしっかりと称賛することなどが求められます。

その結果として、永続的に成果を上げ続けられる組織であること、業績をしっかり達成できる強い組織であることを目指したいと思っています。

個人としては、HRとしての専門性とリーダーシップを高めていきたいと思っています。組織開発やHR Tech、ピープルアナリティクス、評価など、HRとしてのスペシャリティを高めていき、それを通して会社を成長させたいですね。