パッケージは“整理の究極系”──幼少期の壁新聞作りが原体験

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デザインに興味を持ったきっかけは、幼少時代でした

赤堀 「幼稚園くらいのころから新聞を作って、マンション中の子どもたちに配るのが好きで。小学校や中学校でも学年新聞を作ったり、何かをまとめたり、イラストを書いたりすることがすごく好きでした。気がつくと、デザイン業界を目指すようになっていましたね」

また、お菓子や化粧品のパッケージが好きで、気に入ったものを見つけては収集していたといいます。

赤堀 「子どものころから好きだったのもあるんですが、美術大学でパッケージや広告デザインを学んでから、さらにその楽しさに惹かれました。短い言葉や一枚の写真だけでコミュニケーションを行うところがパッケージの魅力。余計な情報を可能な限り削ぎ落とし、デザインとしてまとめ上げていく……。いわば“整理の究極系”みたいなところが魅力だと感じていました」

パッケージデザインに携われるかどうか、また商品に愛着をもって取り組めるかどうかを軸に就職活動をしていたという赤堀。中学・高校時代の思い出がきっかけで、自然と伊勢半グループへと関心が向いていったと話します。

赤堀 「中学・高校時代に部活動でミュージカルをやっていたんです。そのときの舞台メイクとして使っていたのが、ヒロインメイクのアイテムでした。当時からずっと愛用していたので、商品だけでなく、会社にも愛着がありましたね」 

ここでなら、やりたい仕事ができる──伝統と挑戦を兼ね備えた伊勢半グループへ

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赤堀は、大学3年生のときに伊勢半グループのインターンシップに参加。そこで“顔採用、はじめます。”という取り組みがあることを知ります。

赤堀 「この取り組みは、メイクやファッションなど、自分らしい見せ方を通して、自分自身を表現してもらおうという伊勢半グループ独自の採用方法のこと。その存在を知ったとき、200年近い歴史を持つ老舗企業が、こんなユニークな取り組みに積極的にチャレンジしているのかと、すごく感銘を受けたんです。
そんな柔軟性のある企業であれば、自分のオリジナリティが遺憾なく発揮できて、自由に発言・提案できる環境があるんじゃないかなと思ったことが、入社の決め手になりました」

インターンシップで、先輩社員との交流を深めた赤堀。印象的だった言葉があります。

赤堀 「社員の方に『会社には、どういった人が集まっているんですか』と質問したとき、『“今もいいけれど、今よりもっと良くしたい”というポジティブな考えを持った人が多いかな』という答えが返ってきたんです。そんな人が集まる企業だと知れたことも、背中を押す一因になったと思います」  

赤堀は開発職として入社。期せずして、自身が愛用していたヒロインメイクのチームに配属されます。現在は、商品プランナーとして、商品名からキャッチコピー、色のネーミングに至るまで、開発業務全般に関わっています。

赤堀 「最初に任された仕事は、サンプルのデザインや、商品のパッケージに貼り付けるアテンションシール*のような小さな資材のデザインでした。自分が一から作るのではなく、ブランドのフォーマットや戦略に合わせてデザインを考えていく点が難しかったですね。学生時代は自分の思うように好きにデザインできていましたが、今は店頭でお客様に目を留めていただくにはどうすればいいかを重視してデザインしています」

日々の業務では、先輩社員に指導を受けるほか、積極的に店頭へ足を運んで調査し、自分でつかんだ情報を商品開発に活かしているといいます。

赤堀 「月に2回以上、新宿や渋谷などにある主要店舗を、多い日で8店舗ぐらい回っています。店舗内でお客様がよく立ち止っている場所を見かけたりすると、その理由を分析してみるんです。キャッチコピーの内容に興味を示したのか、それともそのパッケージのデザインや全体的な配色なのか……。そうした生の情報を一つひとつ吟味することが、すごく勉強になっています」

学生時代は美しいデザインや色使いを追求していたという赤堀。商品開発の現場に身を置くようになり、その視点ががらりと変わりました。

赤堀 「入社後は、美しさもさることながら、商品の魅力が店頭で伝わるようなデザインを意識するようになりました。たとえば、ヒロインメイクの魅力のひとつである耐久性をアピールする部分では、特に目に留まりやすくするために文字の大きさや配色などの細かい調整を行なっています」

* 商品の特長を効果的に伝える、広告としての役割があるシールのこと

 

成長を実感できた成功体験──丹念な調査が導き出した心に響くフレーズ

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2022年で入社2年目を迎える赤堀。入社以来、自分を最も成長させてくれたと感じる仕事は、ある商品のパッケージに貼るシールのデザインだといいます。

赤堀 「商品の一番伝えたいポイントをポップシール上でアピールするという仕事でした。店頭やSNSなど、どういった言葉がターゲットに響くのか、徹底的にリサーチしました。ハッシュタグを調べたり、同じカテゴリーの他社商品が店頭で使用している文言を分析したり……。結果的に、ある重要なキーワードにたどり着くことができました」

小さなシールとはいえ、売上に関わる重要な施策。大きなプレッシャーがかかる中、無事にやり遂げることができました。

また、新規企画の際は先輩社員からかけられた、ある言葉を大切にしているといいます。

赤堀 「日々の生活や店頭調査など、いろいろなものを目にする中で、『きれいなものを見てワクワクする気持ちを大切にしてほしい』といわれたんです。そして、なぜ自分がワクワクするのか、なぜきれい、かわいいと思うのかを自分の中で深堀りしてみる——店頭やSNSで注目が集まっている商品に対して、『なぜ人気があるんだろう』と考えることが、デザインや企画のアイデアにつながると。そう教えていただいて以来、いつも心がけるようにしています」

仕事以外でも、バラエティーショップに立ち寄っては、あれこれ観察してしまうという赤堀。一方、日々の業務では、売上データのチェックなど、デザイン以外の業務も多いと話します。

赤堀 「商品企画について、入社前まではアイデアを形にするクリエイティブな仕事というイメージを漠然と持っていたのですが、実際はマーケティングの知識も大切で、調査と分析をたくさん積み重ねてロジカルに結論を出し、そこにクリエイティブな要素を掛け合わせるような仕事なのだな、と感じています。
マーケティングに関しては学生時代にはあまり触れてこなかったところなので苦労している部分はありますが、すべてがお客様に愛される商品の開発に集約されるという思いで、日々勉強しています」

より多くのお客様に愛される製品を。プランナーとして広がる視点

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化粧品の商品プランナーといえば、華やかなイメージがともないますが、実際の仕事の多くは地道な作業なのだといいます。

赤堀 「マーケティングもそうですが、たとえば、化粧品の中身の色であったり、印刷の色であったり、そういったディテールを微妙に調整していく作業が少なくありません。繊細かつ地道な作業ではありますが、こうした努力の積み重ねが、魅力的な製品に繋がっていくのだと思います」

今の目標は「最新トレンドに精通した商品プランナー」だと話す赤堀。ファッションのトレンドだけでなく、社会情勢や人々のマインドの移り変わりにも気を配っていきたいと意気込みます。

赤堀 「ニーズやトレンドを企画に落とし込む過程が、この仕事のとてもおもしろいところだと感じています。ニーズやトレンドは社会の状況と密接に関わっていて、たとえば、コロナ禍では、マスク着用時も印象が良く見えるよう、アイメイクに注力するようになったり、不安な状況下でもポジティブでありたいという心の表れから、明るい色を使ったカラーメイクが流行したり……。
社会の動きや人々の考え、マインドの変化がトレンドに深く関係しているんです。そういう社会の流れのようなものも踏まえて、お客様が求めているものを敏感に察知できるようなプランナーになりたいと思っています」

入社当初は「自分のオリジナリティを活かせる仕事を」と考えていたという赤堀ですが、現在は“求められる商品の開発”という新たな志を持ちながら、自分らしい遊び心を足していけたらと語ります。  

社会という大きな波を捉え、彼女自身の独創性を発揮した商品が店頭を飾る日は、そう遠くないはずです。