地域活動に取り組むことで気づいた仕事の意義

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▲ソフトボールのコーチ姿

私は3児の父で、インテージヘルスケア市販後エビデンス事業部で働くほか、キャリアコンサルタント、小学校PTAの役員やサッカーとソフトボールの小学生チームのコーチ、消防団の団員でもあります。 

仕事以外の活動への広がりは、子育てがきっかけでした。10年前に初めて育児休業(以降、育休)を取得した当時、男性の育休取得率は数%(2011年の男性育児休業率は2.63%。ただし、岩手県、宮城県、福島県を除く。厚労省発表)でした。

子どもというのは授かりものです。不妊治療が続いていたこともあり、自分の子どもが生まれるのはこの子が最初で最後かもしれない。だとすると、子育てでできることはやりたい、このチャンスは逃したくない。そんな想いから、思い切って育休を取得することにしました。

いよいよ妻が産休に入る前の最終出社日を迎えたのですが、それが2011年3月11日でした。

そう、東日本大震災が起きた日です。これから生まれてくる子どもは、私たちが経験したことのない世の中を生きていくことになるだろうな、と感じたことを覚えています。だからこそ、なおさら二人三脚で子どもと一緒に成長していく機会を作っていけたらと思うようになりました。

それから10年が経った今、私は3児の父になっています。第一子誕生当初は「子どもに寄り添って」と思っていました。

しかし3人いたらそうも言っていられません。一人ひとりできることも違うしやりたいことも違いますので、親2人では手が足りず、子ども1人のときと変わらない寄り添い方では無理だ!と気づきました。親として独り立ち、自律できるように育てたい、育ってもらわないと困る。そんな切実さも子育てに積極的に関わっている理由かもしれません。

そんなわけで、子どもが小学校に入ったらPTA活動に参加しようとも考えていました。実際に二番目の子どもが小学校に入学した2020年度から役員として参加しています。

しかし、2020年はコロナ禍で例年の学校行事やPTA行事がほぼ中止となり、思うように活動できませんでした。そんなときに、サッカーやソフトボールのチームが活動を再開するという話を聞いて、子どもが打ち込める場所・機会を守りたいという想いから、お手伝いを始めました。1年経った今ではサッカーもソフトボールもコーチという役割までいただいています。

すごい外交的な人間に見えるでしょう?

実は、めちゃめちゃ人見知りをするし、出不精で内向的な性格です。お家大好き人間だったのに、と妻によく言われます。子どもができてからは「自分」ではなく「子どもたち」のためにという意識が生まれ、行動が変わってきました。

上記の独り立ちともつながりますが、子どもたちはいつの日か親元を離れていきます。親から離れても自分らしく幸せでいられるような社会をつくりたいし、自分自身で自分らしい幸せな人生を歩める人間となってほしい。そんな風に考えて、未来のためにと、様々な活動に取り組んでいます。

“仮面”をつけていた自分からの脱却

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▲チームMTGの一コマ(オンライン)

実は2、3年くらい前までは、子育てをする自分と仕事をする自分というものを使い分けていました。子育てをするときは子育ての“仮面”、仕事をするときには仕事の“仮面”をつけていて、自分であっても自分ではないと感じるときがありました。

そう感じていたのは、新卒入社したときに、「仕事は仕事だからプライベートとは切り分ける」と教育を受けたことがあり、意識として根強く残っていたことが影響していたのかもしれません。

自分自身でも、“キャリア=仕事”という捉え方をしていて、仕事以外のことに自分のリソースを使っている状況に引け目を感じて認めきれていない部分がありました。そんな自分を守るために、無意識に“仮面”を使い分けていた感じです。

でも、様々な活動に参加してみると、あらためて仕事について考える機会にもなりました。

仕事とは、もちろん生活をする上で必要なお金を稼ぐ手段でもあるのですが、社会とのつながりを作る場であり、社会を変える場でもある。そしてもっというと、未来を作る場でもある、と考えるように変わってきました。

それって、私が子育てや地域の活動に参加している理由と同じだな、と気づいたのです。しかも、仕事(会社)はメリットがすごく大きいです。やったことに対して必ずフィードバックをもらえる。学びの場でもある。仲間も作りやすい。これって、すごいことです。得難いものが揃っています。

子育てをしているのも仕事をしているのも、どちらもありのままの自分でいい。

そう気づいてからは“仮面”を外しました。というか、実際のところはいつのまにか外れていた感じです。ありのままの自分でいいと気づけたことは、在宅勤務が進み、仕事とプライベートの切り分けが難しくなっていく中でも助けになっています。

最初は戸惑いがあった在宅勤務も、活用次第、捉え方次第なのだと徐々にわかってきました。在宅勤務では、子どもとの時間がたっぷり作れますし、子どもを寝かせた後は自分の時間としてオンラインのセミナーなどで学べます。通勤や残業をしていないことで、仕事を終えた後にも時間と気力・体力が残っていることが大きな要因です。

仮面が外れた今は、子育てと仕事の両方をやっているのが自分だと知ってもらい、理解してもらうために、コラムやSNSなどで積極的に発信しています。こうした子育ても仕事もできる環境のあるインテージグループに所属できていることは、すごく幸せだと感じています。感謝しています。

ダイナミックな行動の変化を起こせば人は変われる

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▲インタビュー中の碓井

2回の育休や時短での子育てを経験したことで、男性育休の意義や利点を私はすごく感じています。その一方で、社会全体としてはまだ理解が得られていない部分があるとも感じています。

なので、まずは男性が育休を取りやすい社会を作るということに目を向けていきたいです。世の中の人に対して、“男性も子育てしようよ。子育て楽しもうよ。”と伝えたいです。

もちろん、子育てと仕事の両立は簡単なものではありません。しかし、子育てをすることで仕事への良い影響もありました。

時短で働いている分、仕事に使える時間は限られています。その限られた時間内で効率よくアウトプットして、最大限の価値を発揮することを考えるようになりました。また、メンバーのちょっとした表情・言動の変化に気づけるなど、人の感情にもアンテナを張るようにもなり、チームワークに貢献できているのではと思っています。

子育ては思い通りにならないことが本当に多く、一歩進んで一歩下がるような感覚によくなります。なので、仕事が思い通りというか、予定通りに進まなくても、「そんなこともあるよね」「意見が違うこともあるよね」「その意見もいいね」と思えるようになり、これからどうするかと切り替えがうまくできるようにもなりました。

私が自分の経験を通じて感じることは、これまでにない結果を得たいと思うならこれまでにない行動が必要だ、ということです。

今はVUCAの時代、変化の時代と言われています。その時代の中では仕事一筋の生き方ありきではないだろうと考えています。もちろん仕事一筋で頑張ることを否定する気は一切ありません。その選択もとても素晴らしいものです。

私がお伝えしたいのは、様々な活動をする中で今や行動の選択肢・可能性が自分の思う以上に幅広くなっていることに気づかされる、ということです。これまで理解が得られにくかったり、一緒にやる仲間を作りにくかったりなどの理由で避けられてきた行動を、選択肢の1つとして改めて考え直すことも有益ではないでしょうか。

私の個人的な意見としては、これまで無意識に選択してこなかった行動を意図的にやってみることをおススメします。

このようなダイナミックな行動の変化を起こすと、新しい自分の一面を知ることができます。自分への理解が深まります。この自分の理解を深めることが自分らしい自分を体現できることへとつながっていきます。

私にとっては、育休が浸透していない時代に育休を取得することが最初のダイナミックな行動の変化だったのだと、今になって実感しています。

とはいえ、育休取得時に「10年後の今」を明確に見据えていたわけではありません。私自身はよくわからずに突き進んでいました。目の前にやってきた機会に飛びつくことで精いっぱいでした。

こうして言語化できるまでに10年かかっています。「あいつ何やってるんだ」と思っていたメンバーもいるかもしれません。それでも、10年もの間付き合ってくれたメンバーにはありがたいなという気持ちでいっぱいです。

こうした経験を踏まえて、今、私はキャリアコンサルタントの仲間と小中学生向けのキャリア教育の研修ツール作成や育休に悩むママパパ向けの研修ツール作成に取り組んでいます。大人になってから自分の生き方を意識して考えるのではなく、子どもの頃から自律することについて考えて生活してもらいたいからです。

子どものときからの積み重ねは、きっと大人になってから社会で花開くと信じています。また子どもの自律には親の関わりも大事だと思います。産前産後や乳幼児期の子どもの目まぐるしい成長という大きな変化にしっかりと向き合って、子育てと仕事の両立のよりよいスタートをきれるように支援ができればと考えています。

“自分が人生の主人公”という気持ちで人生を楽しむ

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▲子どもたちと共に

今はまだ子どもが小さいので、そばにいて子どもが触れ合いたいときに触れあえる環境を作るように心がけています。その触れ合いの中で、私としては“父親の背中はでっかいぞ”と子どもに見せつけていきたいです。

でもそれは、いつまでも子どもの前で立ちはだかるという意味ではありません。子どもが大きくなればどこかで横に並ぶ日が来て、追い抜かれたり、違う道を進んだりする日がいつかやって来ます。いつそうなってもいいように、自分らしく生きる人生を行動で示したいのです。

この先の時代は、一人ひとりが自分ならではの人生を歩み出すようになるのではないでしょうか。同じ道を辿る、完全に一致するようなロールモデルはいなくなると思っています。

だからこそ、誰か一人を丸ごとロールモデルとするのではなく、一側面一部分をロールモデルと捉える柔軟な考え方を知ってもらいたいですし、そういったロールモデルになりうる人は世の中にたくさんいることを知ってもらいたいです。

SNSや幅広い活動を通してそういった情報にアクセスして、人生や考え方を参考にしながら自分はどうだろうと考えていくのが大事だと思っています。

そして、自分の子どもたちにはもちろんのこと、社会全体で「自分がだれかのロールモデルになる」「自分が自分の人生の主人公になる」といった気持ちを共有して、自分の人生を楽しむ人を増やしていきたいです。

自分で決めたことに本気で取り組んでいると、必ず応援してくれる人や一緒に取り組む仲間があらわれます。そういう経験は感謝の心を育み、今度は自分がだれかを応援したくなります。そんな素敵な循環が生まれるきっかけとなりうる、自分で決めるという行為が本当に大切だと思っています。

一方、仕事では組織開発や人材育成への興味が数年前からあり、これまでも異動の希望を出したり、キャリアコンサルタントの勉強をして、資格を取得したりしていました。

先日、執行役員にキャリア開発をやりたいという相談をしたところ、育成担当のポジションで異動することになりました。今後は、自分で自分のキャリアを作っていく人を社内でも増やしていきたいです。

2021年度は自分のキャリアを考えるきっかけづくりとして、キャリア開発ワークショップを実施しました。行動を起こせば反応が必ずあり、その反応から改善点や課題が見えてきます。

今回のキャリア開発ワークショップの取り組みでも、たくさんの改善点や課題がわかりました。中には、そうだろうなと漠然と感じていた課題が、明示的に曝け出されたものもあります。一つひとつ丁寧に真摯に向き合い、これからの取り組みを考えていきたいです。

今は、キャリアを考える場を継続的につくろうとの考えで、個別のキャリア相談会を実施しています。今後は年代別のキャリアセミナーなど、体系的な取り組みを整備し、一人ひとりの価値発揮を最大化する支援をするとともに、結果として人生100年時代を心身ともに健やかで、自分らしく幸せを感じて生きることへもつなげていければと考えています。

今までは子育てや地域の活動と仕事とにはつながりがなく、それぞれを別々で取り組んできた感じでした。

ですが、最近はそれらが融合してきたように感じています。どれか一つではなく、またどれが主軸でもない。全部が合わさっての自分らしさだということです。これからも仕事を含め、自分が大事だと思うことは全部取り組んでいきたいです。

続けるか止めるかはやってみて決める。そんなスタンスでいたいと思っています。