負けず嫌いな自分が「わかる」にこだわったわけ

▲取材中の泉山

大学に入るまでは、そこまで勉強が好きではありませんでした。

興味がわかないと、どうしても理解が追いつかないことが多く、どうやったら興味を持てるようになるのだろうか?と、“教え方”に関心が向くようになりました。そこで多くの人が、興味をもって学びに向き合えたらと思い、大学では教員免許を取得しました。

教育実習では母校に帰り、当時の担任の先生に“自分の教え方スタイル”を見てもらって、興味をもつキッカケ作りのための授業の仕方について議論した記憶があります。

塾講師のアルバイトもしていました。自分のように勉強に興味を持てない生徒の「やる気」のスイッチを入れることにやりがいを感じていましたね。当時小学4年生だった生徒とは、いまだに年賀状のやり取りをしています。その子から「先生に憧れて、私も先生になりました!」と連絡をもらったときは、本当に嬉しかったです。

振りかえると、勉強の教え方に関心が向いたのも、勉強が好きになれなかった自分に対して負けず嫌いの性格が出たからかなと思います。今までも、負けず嫌いな自分自身の「やる気」のスイッチが入った経験が何回もありました。

特に思い出すのは、新卒で入った国会議員秘書の仕事です。親戚の紹介もあり面接に行ったところ、政治にそこまで興味がなかった当時の私は、聞かれた質問にまったく答えられませんでした。

そこで自分の「やる気」のスイッチが入り、書籍を片っ端から読んでレポートにまとめて提出しに行きました。その結果、採用となったんです。

議員秘書を退職後、数社経験し、インテージグループには、はじめ契約社員として入りました。それまでもマーケティングリサーチに携わったことがあり、データで結果が出ることを非常に面白いと感じていました。

また、自分が想定していない結果が出ることや、様々な視点の消費者がいることに、興味を覚えていました。そんな中、マーケティングリサーチで国内最大級の会社で仕事がしたいと思い、「インテージに入りたいがどうしたらいいか?」と電話してみたことが、入社のきっかけです。

グラレコとの出会い

▲インテージファミリーDAYの時の娘と娘の絵日記

入社後は、カスタムリサーチに携わっていました。その頃は、リサーチに絵を活用していくなんて思ってもいませんでした。

私がグラフィックレコーディングと出会ったのは、業務でワークショップのサポートをした時でした。社外のグラフィックファシリテーターの方が参加していて、これは私が家でやっていることでは……!?と思ったのが始まりです。

子どもが小さい頃は、「なんで友達とケンカしちゃったの?」と聞いても、ちゃんとした言葉が出てこないですよね。そのため、子どもの話を聞きながら、絵を描いていました。「そっかーここがモヤモヤするんだね。このモヤモヤの中に何がいると思う?」と。同じようなことを、大人のワークショップで、仕事としてできるんだ!と知り、衝撃を受けたんです。

もともと学生の頃から絵を描くことが大好きでした。文字だけだと理解が追いつかない授業も、絵でまとめると理解を深められました。私の学校では、テスト前にきれいにまとめてある子のノートがクラス内で出回ることがあって、人気がありましたが、私の“絵”でまとめたノートも、テスト前に一定のニーズがあったんですよ(笑)。

多分、私と同じように、文字以外の手段なら理解が進む人たちがいたんだと思います。受験用に漫画を使った歴史の教材と似ていますね。

勉強に限らず社会でも、難しくて意味がわからないことを言われると、思考が停止しちゃうことがあると思うんです。でも、そこで興味が薄れてしまうのは、もったいない。別の言い方や、絵など、色々な伝え方・教え方・コミュニケーションの方法があると思っています。

このワークショップへの参加を機に、“仕事で活かせないかな?”と模索を始めました。最初は、グループインタビューの発言録の参考資料としてお客様へ提出していました。すると、それを気に入ってくれて、グラレコをリクエストされるお客様もいたんです。そんなことをほそぼそと続けていました。

グラレコから広がるリサーチの世界

▲インテージ社員著書『リサーチ』という書籍で、グラレコ×リサーチの紹介ページを描きました

2020年から、インテージクオリスという定性調査専門会社に所属し、グループインタビューやデプスインタビューの内容をグラレコで可視化しています。

例えば、グループインタビューでは対象者さんの表情を絵で表現するんです。それで、ただ美味しい場合と、すごく美味しい場合があったとして、文字で表現すると、「おいしい」で両者の違いがないんです。でも、絵にすると全く違う表現スタイルとなります(※参考)。

基本的にはインタビューを見聞きしながら、絵を描き、仕上げていきます。終わった後にその絵をもとに振り返りやディスカッションした場合は、その場での議論の内容を、さらに追加します。また、速報としてその場で描いたものを提出して、翌日清書したものを出すこともあります。 

最近はデジタル化が進み、タブレットで描くことが多いですね。紙とは違い、余白や描いた位置を後から簡単に直せますので、だいぶ楽になりました。

インテージクオリスでは、グラレコをワークショップ、インタビュー後の振り返り、納品物として活用しています。

定性調査のグラレコだけでなく、ペルソナの作成や、写真を出せないケースでの新商品の説明、さらに写真はいやだけど似顔絵ならいいというケースや、説明資料に絵があると分かりやすいからといってリクエストされるケースなどもあるんです。幅広く活用される可能性があると感じており、お客様とトライアルをしながら、商品化している最中です。

社内コミュニケーションにも、グラレコを活用しています。オンライン飲み会ではいつもグラレコをしていて、参加していなかった方も後で楽しめるらしく、好評価です。

グラレコはやりたい気持ちがあれば意外と誰でもできると思うので、社内でも描き方セミナーのようなものをやっています。とはいえ、全体を的確に表現するには、一定のスキルと経験が必要だと感じます。自分でも他のグラフィックレコーダーの方が描いたものから勉強し、日々研鑽を積んでいます。

これからやっていきたいこと

▲社内でやったワークショップ

絵を使って、理解を深めていくことに、まだまだ多くの可能性を感じています。リサーチでの活用もまだまだ広げられると思いますし、学校教育や、地域復興の場など、様々な分野で活用できると思っているんです。

グラレコを書道や、日本語以外でもやってみたいですし、とにかくやりたいことがたくさんあります。

言葉や絵に限らず、他にも様々なコミュニケーションの方法はあると思っています。例えばブロックで表現することだってできるんです。その流れから、レゴ®シリアスプレイ®メソッドと教材活用トレーニング修了認定ファシリテーターの資格も、数年前に取得しました。

コミュニケーションには色々な方法があるし、それを単一ではなく複数掛け合わせることで、きっと可能性は深く広くなっていくと感じています。まだまだ自分の知らない方法がありますので、あらゆるチャレンジを続けていこうと思っていますし、人生の中で悔いがないように、やりたいことをやり尽くしたいです。