仮想都市メタバースアプリの運営責任者をやり続ける、強い想い
2021年にローンチした、仮想都市のコミュニケーションスマホアプリ「REV WORLDS(レヴ ワールズ)」の事業を発起させました。そこから、主な仕事内容として事業の運営責任者を担当しています。
私には大事にしていることがあります。REV WORLDSはメタバース空間ですが、リアル店舗の「三越」「伊勢丹」のように、長く愛されるサービスをめざすこと。10年、20年と続くものをつくりたい。やり続けるという強い想いが、私の仕事を支えています。
心に秘めていた「バーチャル伊勢丹」への想い。自主制作し、経営に提言
私が三越伊勢丹に入社した2008年、世の中が大きく変わる出来事が起こりました。リーマンショックと、iPhoneの誕生です。一時的に景気が下向きになった時期に新入社員として伊勢丹メンズ館で販売を担当していた私は、この二つの出来事をきっかけに本格的なバーチャルの時代が来ると直感しました。
じつは、当時からセカンドライフなどのバーチャルサービスが一部で話題になっており、いよいよ機は熟したと思ったのです。時間と空間を超えてお客さまが伊勢丹に来ていただけるようになれば、もっと充実した接客やサービスを提供できるはずだ。そんな「バーチャル伊勢丹」の構想を思いつき、その実現に向けて動き始めました。
「バーチャル伊勢丹」の構想は、事業計画書を書いて何度も会社に提案しました。しかし、思うような結果が出ません。立ち上げの機会を得ることができず、他の社員にも話せずにいました。
入社11年目、当時同じ部署の先輩と部下に勇気を持って構想を打ち明けたところ大変興味を持ってくれ、そこから「山」が大きく動き始めたのです。部下の提案で「バーチャル伊勢丹」の制作に挑戦することになり、独学でCGのモデリングを学びました。
3人とも3DCGはまったくの素人。しかし情熱が勝れば何事も形になるものです。このCGサンプル動画を持って経営にプレゼンテーションを行い、承認されて事業トライアルが正式に決まりました。
百貨店のリソースを生かした、最高の顧客体験を提供するプラットフォーム
私たちは、あえてサービスの名称を「バーチャル伊勢丹」とは名付けませんでした。なぜなら、この事業を一般的なECサービスにしたくなかったからです。
私たち百貨店の魅力は、購買体験です。友達や家族と一緒にお店を訪れ、店内を散策して、偶然出会う商品に興味を惹かれる。それこそが私たちの提供する百貨店の価値なのだから、REV WORLDSも同じように最高の顧客体験を提供するプラットフォームとして機能するよう設計しました。
お客さまがアバターを操作し、バーチャルな新宿の街を散策する。人とコミュニケーションしてショッピングやイベントなどを楽しんでいただく。そんなアナログな購買体験をそのままREV WORLDSに再現することが私たちの目標でした。
仮想都市の街の発展とともに、次のビジネスが見える
REV WORLDSは、さまざまな年代の方にご利用いただいています。
たとえば、お子様が参加するイベントを開催すれば、その様子を見に祖父母の方々が来てくださる。これは、安心・安全のイメージがあるのれんの力であり、類似のメタバース空間にはないREV WORLDSの強みです。
また、衣食住の豊かなコンテンツがある百貨店は、メタバースとの親和性が高い事業だと言えます。たとえば、有名ブランド企業様とコラボし、アバターが着るデジタルウェアの購入や、コスメのトライアルやデパ地下イベントなど、その可能性は無限大です。
これからも百貨店のリソースを生かし、オンとオフを自在に行き来する新しいメタバースの在り方を提示していきたいと考えています。
REV WORLDSでは、「仮想都市」の中にさまざまな企業様に出店いただき、街全体としての発展をめざしています。リアルでもECでもない新しい「街」の中に、三越伊勢丹の次のビジネスが見えるはずです。
※ 組織、役割に関する記載は、2023年2月現在の情報です