「三越伊勢丹は劇場です」──人事の一言に感銘を覚え、入社を決意
子どものころからモダンバレエに熱中し、社会人になったら何か人の心を動かす仕事がしたいと考えていました。三越伊勢丹に就職する決め手になったのは、人事の方から言われた「三越伊勢丹は劇場です」という一言。
数百年続く実店舗を持ち、お客さまに感動や笑顔を届ける場。それが三越伊勢丹だという話に感銘を受け、「私はこの劇場で踊るんだ!」と即決したのを覚えています。
入社して一番驚いたことは、若手社員への権限委譲の大きさです。
入社2年目、私が三越銀座店の和菓子のお買場でスタイリスト(販売員)として働いていたとき、突然上司から「1週間のミニ催事を企画してみて」と言われたのです。
自分なりに一生懸命考え、「コーヒーと合う和菓子特集」というタイトルの催事を企画。お取組先との商談やチームの従業員への説明も自分で行いました。右も左も分からず取り組んだ仕事でしたが、多くの人の応援もあって無事に成功で終えることができました。
このときの経験が自信となり、その後の自分を支えてくれています。
三越銀座店全館を巻き込んでの、バレンタインデーのプロモーションを立案
入社3年目になり、今度は和菓子と洋菓子の仕入れを担当する商品係に任命されました。そして、いきなり三越銀座店のクリスマスとバレンタインデーのテーマ設定を任されることに。
「まだ3年目なのに、そんな重要なことを私が決めても良いの?」と半信半疑で取り組み始めました。
菓子店のパティシエがいる厨房まで足を運び、断られながらも粘り強く交渉したり、商品のカタログを作ったり。毎日が嵐のように過ぎていきましたが、お客さまが笑顔でカタログを見てくださっている姿を店頭で見たときには、すべての努力が報われた気がしました。
そして、入社4年目にはもっと多くの社員を巻き込んだ仕事をしてみたいとバレンタインデーに三越銀座店全館をピンク色にするというプロモーションを立案。自ら宣伝や装飾などさまざまな部門に働きかけました。
多くの方々の協力のもと、三越銀座店全館がピンク色に装飾された光景を見たときには、決して一人の力では成し得ない、チーム全員でひとつのものを作り上げる喜びをあらためて感じることができました。
サステナブルな社会の実現に向けた「エコバッグ」づくり
入社5年目からは現場を離れ、三越銀座店食品部門の広告媒体や目標の策定を担当する部署へと異動。それまでは、担当の洋菓子のことしか考えていませんでしたが、異動によって視野が広がり、「企業の社会貢献」というテーマに取り組みたいと考えるようになりました。
三越伊勢丹が企業として成長するだけではなく、三越伊勢丹が展開するビジネスそのもので社会課題の解決や、人々が幸せになるサステナブルな社会を実現していく。もちろん、それらは私一人ではできない壮大なテーマです。しかし、すぐにでも動き出せることはきっとあるはずだと考えを練る中で、三越銀座店のショッピングバッグをつくるというアイデアを思いつきました。
三越銀座店では、いわゆる「エコバッグ」がなかったこともあり、来店されるお客さまに何か来店された記念やお土産になるようなものを作りたい。こうした想いから、エコバッグ作りを始めました。
三越銀座店で働いているスタイリストたちも巻き込みたかったので、スタイリストにさまざまなヒアリングをかけて形を作りこんでいきました。そのため、4回も作り直しをしたのですが、結果的にはお客さまにも大変ご満足いただける結果となりました。
お客さまと日々接している従業員の声をしっかり反映し、あくまでもお客さま目線で制作できたことが、結果に結びついたのだと思っています。
若手社員に次々とチャンスを与えてくれる、三越伊勢丹
現在は、食品統括部という部署に異動になり、新宿・日本橋・銀座を中心に経営に近いポジションでさまざまなことを学んでいます。
三越伊勢丹には各カテゴリーのスペシャリストはたくさんいるのですが、全体を俯瞰したマーケティングに関してはまだ十分とはいえません。そこをいかに強化していくか、さまざまなトライアルをしているところです。
また、最近では勉強の一環として部長会議にもアシスタントとして参加しています。
部長陣から徹底して求められるのは、いかにお客さま視点で物事を考えるかということです。私のような若手社員にも意見を求められるので毎回とても緊張しますが、せっかくのチャンスと考えて、作成する資料にもできるだけ自分の意志や考えを込めるようにしています。
入社してから今までをあらためて振り返って思うのは、三越伊勢丹はよく私のような若手社員にも次々とチャンスを与え、大きな仕事をやり遂げる場所を用意してくれたという驚きです。会社が変化の途上にある中、若手社員に期待してくれていることをひしひしと感じています。
最後になりますが、若者はECサイトでモノを買うから、リアル店舗は求められていないのではないか。そんな声を時々耳にしますが、私はそうではないと思います。むしろ、若者はよりリアルな場、誰かと一緒に楽しさやワクワクを体験できる場を求めているのではないでしょうか。
人々がワクワクできる場を演出するのは、百貨店がもっとも得意とするスキル。楽観的な考えかもしれませんが、むしろこれからが百貨店が輝くチャンスだと思うのです。若手社員が積極的に参加することで、もっとおもしろい百貨店をつくっていけるのではと期待が膨らむばかりです。
※ 組織、役割に関する記載は、2020年3月現在の情報です