一休におけるデータサイエンスの役割とは

▲一休のデータサイエンティスト 平田 真人。自身のキャリアで2社目となる一休へ入社して、2019年10月で半年が経った

一休のデータサイエンス部では、一休が保有するビッグデータを分析・活用し、『一休.com』『一休.comレストラン』といった各サービスへ向けた施策を行っている。

データサイエンス部ではデータ収集や分析はもちろん、そのためのデータ基盤の整理、ツールの開発、マーケティング施策の展開など、すべてのサービスのデータに関わる業務を幅広く担当する。

平田 「少人数の部署なので、きれいに役割分担が決まっているというよりも、その都度、今事業の成長に必要なことは何か?を意識しながらやっているんです。
私も入社してすぐは『一休 . comレストラン』の営業担当者が使う営業支援ツールの機能追加や改善をしていましたが、すぐにクーポン施策の担当もすることになり、今は並行で担当しています。多くの方がパラレルでプロジェクトを掛け持っている感じですね」

しかし入社から半年が経ち、 入社前イメージしていたものとのGAPが生じた。

平田 「良いとか悪いとかいう意味ではなく、イメージしていたものと根本的に異なっていました(笑)。
入社前は、データサイエンスってのはもっと理論に基づいて『真理の探究』をするような──『研究室』に近いようなニュアンスが強いのだろうと考えていました」

前職はエンジニアだったので、他社のことはわからないが、一休のデータサイエンティストは前職のエンジニアと違った。当たり前だが一休は事業会社なので「事業の成長」につながることが一番大事で、それに貢献する施策を打ち出すための道具としてデータの分析・活用をしている。

平田 「一休ではデータの分析・活用は、目的ではなく、あくまで事業を成長させるための手段なんですよ」

入社からわずか半年で頭角を現してきた平田。そのバックグラウンドとは

▲高校時代の平田
平田 「小さいころから家に PCはあったので、誰かに教わったというよりは幼稚園くらいから自然と PCに触れていましたね。その中でネットを使うようになったり、ネット上にフリーゲームがあって、見つけてやってみたり。それが記憶に残る PCとの出会いですね」

そして、小学生のころのある出来事が、今の平田に通じるものとなった。

平田 「小学生のころ、 RPGをつくるゲームが流行っていて、そういうのに使われるゲーム音楽っておもしろいなと興味をもちました。良いと思った曲のファイルを探してみると、ファイル形式が MIDIだということがわかって。
今の MP3形式と違って、音楽が譜面で見えておもしろいなと思い、じゃあ流行りの音楽はどういう構造になるんだろうかと自分でつくってみる……といったことをしていました。それをきっかけに、小学校高学年ごろから作曲活動をしていましたね。
最初は流行りの曲をまねてみるところからでしたが、そのうちに構造を考察したり、なぜ良いと思ったのかを考えたりしていました。今やっている『データを見て仮説を立てる』といった仕事に通じているかもしれないですね」

作曲活動以外で今に生きている経験はライバルとの切磋琢磨だったと言う。

平田 「高校時代に一緒に某有名国立大学を目指すライバルがいて、一緒に切磋琢磨した経験も大きいと思います。
彼のことは私が勝手にライバル視してたんですが(笑)、非常に優秀な方だったので切磋琢磨するのも大変でした……。
でも、勝てなさそうだからといってライバルから外したり、そこから逃げたりするのは違うと思っていて、勝てないとなっても目指す方向性はそこでありたいと思ってたんですよね」

「自分はここまで」と上限を勝手に決めて、実際にそこまでしか行かないよりも、その人にベクトルを向けていけるところまでいこう──切磋琢磨し続けるからこそ、もっと上を目指せる。

平田のこの考えこそが、今のキャリアをつくってきたと言えそうだ。

キャリアのスタートは興味を持ち続けていた音楽業界だった

平田 「大学院でも音波に関する研究をしていました。『音』に関わる仕事がしたいという漠然とした想いがあり、新卒で音楽系の社団法人に入り、 3年間エンジニアをしていました」

業務としては、マイページのリニューアルや申し込みのシステムの開発、動画配信・決済関係……と幅広く担当した。大きな会社ではないので、フロントエンドからバックエンドまでひとりでプロジェクトを回すことが比較的に多かった。

平田 「歴史のある組織だったので開発環境や開発言語はレガシーかもとイメージしていましたが、当時の上司はトレンドのキャッチアップがすごくうまい方で、新しい言語の導入や取り組みは結構多かったですね」

憧れの「音」の仕事に関わることができた平田。

しかし、そんな彼にも苦労はあった。

平田 「開発言語は『これで開発したい』とか『これで開発しなければならない』いうエゴやしがらみよりも、一歩引いて開発工数や保守のしやすさ、実際に使用されるユーザー目線で考えたらどの言語が良いか?で決めていたので、勉強しなくてはならないことが多くて、帰宅後はひたすら自主勉強でしたね。
学生時代に PHPを使った開発経験はありましたが、この 3年間で本当にできることが広がりました」

もっと良いサービスにするためにデータサイエンティストに求められること

▲新たな施策提案
平田 「一休のデータサイエンスでは 3つ必要なものがあると、よく部内でも話になります。ひとつは『データ分析スキル』、もうひとつは『データ収集 /基盤周りのスキル』、最後に『ビジネスセンス』。一休のデータサイエンスおいてはビジネスセンスがかなり大事だと感じますね」

自社内にデータはたくさんあるが、余計な情報を入れてしまうとプログラムは重くなり、むしろノイズになってしまう。ユーザーにとって何が大事なのかをつかみ、取捨選択することが必要不可欠なのだ。

平田 「これまでの経験で『データ分析』や『データ収集 /基盤回りのスキル』はある程度やれるようになってきたな、という感覚は持っているのですが、『ビジネスセンス』はこれからもっと磨いていかなければと思う日々です」

データサイエンス部内でクーポン配信のロジックの検証コンペが行われる。一番効果が出るものを競うのだが、このコンペには社長の榊 淳も参加すると言う。

平田 「榊さんは社長でありながら、データサイエンティストとして今も最前線でコードを書いています。榊は、まさに “ビジネスセンスを兼ね備えたデータサイエンティスト ” なので、一緒に仕事をしていて吸収することが多いです。役職とか関係なく社長自らフラットに競争するのも一休のおもしろいところですね(笑)」

社長、社員関係なく切磋琢磨できる環境だからこそ「ビジネスセンス」を最前線で学べるのではないだろうか。

これからも平田の挑戦は続く。