大手事業会社でキャリアをスタートし、2018年にイグニション・ポイントに参画した近藤。女性管理職者となり、もうすぐ産休を予定しています(2022年7月取材当時)。そんな近藤が、キャリアアップの秘訣や仕事で重要視していること、こだわりのルーティンなど、仕事やライフスタイルに関する10の質問に答えます。
1.これまでのキャリアについて教えてください。最初に就いた仕事は?
自動車部品メーカーの商品企画部です。カーナビの企画業務で、国内と海外の自動車メーカーを2~3社担当していました。世に出る前の新車に触れたり、プレス向けの発表会に呼んでもらったりと貴重な体験をさせてもらったのが思い出深いです。その後、グループアセットの活用を目的に新設された新規事業部に異動しました。
当時は、日系大手総合電機メーカーの傘下だったので、“作れないものはない”というほど多種多様な技術の中から、どのような組合せにすれば新しい体験価値を生み出せるか腐心していました。今で言う「エコシステム」の構築をめざしていたわけですが、この仕事が新規事業を主軸にしようと決めるきっかけになりました。
2.現職に就いた経緯とその内容は?
さまざまな業種の新規事業に関わりたいと思って戦略系のブティックファームに転職しました。そこでは業務改善のような仕事を多くこなしました。事業会社とは違い、クライアントの課題解決をするという仕事にはやりがいを感じましたが、だんだん「私、何やりたかったんだっけ?」という想いが強くなってきました。
それで転職活動を始めて、「コンサルも事業開発もできる」というイグニション・ポイントに転職することを決めました。
3. 仕事において重要視していることは何ですか?
責任を持つことです。もしくは、責任を持てるくらい考え尽くすことです。当たり前ですが、自分の働きに対価を得ているので発言や資料に責任を持ってクライアントに向き合いたいと思っています。
仕事の難易度が上がったり忙しくなったりしてくると、つい「クライアントがそう言っているから」とか「上長がチェックするから」と逃げ道を作ってしまいがちですが、やっぱり逃げるとやり切れなかった後悔が残ってしまうので、自分がやりがいを感じるためにも大切なことだと捉えています。もちろんすべて完璧にはできませんが “こうありたい”と思って仕事に向き合うことが大事だなと思います。
4. キャリアの中でもっとも大きかったチャレンジは?
イグニション・ポイントに入社した直後に単独で事業会社に出向したことです。コンサルタントとしての自信もなく、どう振舞えば良いのかわからず不安で孤独で……。業務内容は、スタートアップとのオープンイノベーションということで、研究職出身のクライアントと一緒になって国内外のスタートアップをソーシングしたり、クライアント企業の事業部(技術系)とスタートアップとの協業プロジェクトを推進したりしました。
そのため、クライアントの中で単独で動くというチャレンジ、技術者に交じって技術を評価するというケイパビリティのないことへのチャレンジ、スタートアップとのオープンイノベーションという経験したことのない領域へのチャレンジが同時に押し寄せた感じでした。
クライアントからは「自分たちとは違う視点を持っているのだから」と期待される一方で、最初は違和感をうまく表現できなかったり、自分の考えが正しいかわからずに発言できなかったりと委縮してしまいました。
▲海外スタートアップのインキュベーション施設の一角
ただ、いくつか取り組みを経験する中で、判断軸をエンドユーザーに置けば意味のある議論ができるようになると気づきました。クライアントのメリットだけ考えていては協業が成り立たないし、私の経験則が応用できる範囲も限られていたので、このプロダクトにお金を払う人の気持ちになって自分の考えを言語化するようにしたんです。
振り返ればシンプルなことですが、バリューを出そうとするほど自分の考えに固執して空回りしていたのだと思います。その後は新しいことに出会ったらどこに判断軸を置くべきかを意識するようにしていますね。
▲海外スタートアップのインキュベーション施設の一角
5. キャリアアップの秘訣は?
仕事の向き合い方と同じになりますが、責任を持つことは1つあると思います。周囲から「ここは任せられる」と思われる状態を一つひとつ積み重ねることかな、と。
もう1つは、人によりますが、私は専門性を高めることも役に立ったと思います。キャリアアップの上では自身の頑張りを上手にアピールすることが必要になりますが、専門性があると発信しやすいな、と感じています。私はどちらかと言うと自己評価が低いタイプなので、新規事業開発という領域で経験を積んで、人から質問を受けたり人に教えたりする中で自信につなげてきました。
また、専門性を高めるとおのずと応用問題に巡り合うことが増えるので、知識のカバレッジやキャッチアップのスピードにつながっていると感じています。
6. 現職はどんな点がパーソナリティに合っていますか?
さまざまな業界の新しい領域に出会える点と、プロジェクト単位の短期集中型である点です。クライアントは大手企業が多いので最先端の技術や大きな社会課題に取り組んでいます。そういった案件では未経験の領域に出くわすこともしばしばで、その度にワクワクしますね。
また、1つの業務を繰り返すことや長期間コツコツ進めていくのが得意なタイプではないので、一定期間に集中してアウトプットを出すという働き方が私には合っているみたいです。
7. ワークライフバランスの取り方は?
ワークタイムはできるだけ時間で区切っています。朝は夫が出社した後、夜は20時を目途に業務に取り組んでいます。日中はGoogle Homeでアラームをかけ、残業が少なくなるよう時間配分を意識して仕事に取り組んでいます。
▲仕事に集中したいときは耳栓をしています。これらはこだわりの耳栓コレクションの一部
8. こだわりのルーティンは?
朝は、朝食を食べて、夫を玄関まで見送り、食器を片付けて、仕事に取り掛かるというのが私のモーニングルーティンです。夫のお見送りが切り替えスイッチになっていますね。コロナ後はずっと在宅勤務で、通勤という頭の切り替え時間がなくなってしまったので、自分の都合に関係なく発生する出来事をトリガーに「ONモード」にしています。その後、食器を片付けながら仕事の段取りを考えて、仕事に臨む、という流れです。家事も仕事も効率が上がるので一石二鳥ですね。
夜は、20時を目途に夕食の支度に入ることがナイトルーティング化しています。そのうち夫が帰宅し一緒にキッチンに立つことが多いので、仕事の悩み相談などをしながらご飯をつくっています。やはり人に話を聞いてもらうのが一番息抜きになります。
▲夕食に作ったタコス。姉がメキシコ人と結婚したのを機にタコスが好きになり、 トルティーヤプレスを手に入れて本格的に作っています
9. 休日の過ごし方は?
散歩を兼ねてモーニングを食べに行ったり、車で出かけたりしています。自由が丘や奥沢、二子玉川のカフェでモーニングを食べ歩いていますね。車でのおでかけはドライブというほどではないのですが、少し離れたところに買い物に行って1~2週間分の食品を買いだめしています。長期の休みは、コロナ禍の前は海外旅行に行っていました。コロナ禍以降は登山が趣味ですね。
▲ネパールのエベレスト街道の一幕。日本では見られない8000m峰の山並みは圧巻です
夫婦で山岳小説が好きなことと、旅行で行ったネパールのエベレスト街道の感動が忘れられなくて、今は日本の山の景色を楽しんでいます。
10. 今後チャレンジしたいことは何ですか?
ありきたりですが、子育てと仕事の両立です。2023年8月に子どもが生まれるのですが、きっとかわいがってしまうので子どもに時間をかけ過ぎず、これまでのように夫婦の時間も仕事の時間も大切にしていきたいと思っています。
仕事に関しては、クライアントの新規事業をローンチさせるまでサポートすることです。新規事業の場合、定型業務になっていないので、クライアントの異動や市況変化などさまざまな外部要因でお蔵入りしてしまうことが起こりがちです。お蔵入りしている間に世の中も変わってしまいますし、関係したメンバーも達成感を得られないので、事業が世に出るまでやり切るということをチャレンジし続けたいですね。