“何でも屋”の企画課で、こぼれる仕事を拾い仕組みづくりもこなす

出光興産の需給部門の1つである供給企画部は、燃料油事業に関連する需要と供給、サプライチェーンにおける原油調達から製品の製造・輸出の全体を調整している部署です。

そのなかでも新居が所属する企画課では、中期経営計画に沿った燃料油部門の中期事業戦略の策定及び推進や、サプライチェーン全体の収支管理を行っています。

また、人事・総務・経理・システム業務の部門間窓口として、効率的で多様な働き方に応じた業務環境の整備と社員のやりがい向上の実現を目指し、日々業務を行っています。

新居 「企画課の仕事について、私はいつも“何でも屋“と言っています。原油を買う、計画を作るなど業務内容が分かりやすい部署もある一方で、業務をしていくなかでこぼれてしまう、誰かがしなくてはいけないような仕事が必ず出てきます。それを企画課が拾い、何でもやっています」

さらに、新居はシステム担当として、情報システム部が導入したシステムやツールを部内で展開したり、部内の要望を受けて情報システム部に相談し、仕組みをつくったりもしています。

新居 「たとえば、捺印関係で請求書や契約書を締結したり、捺印する作業をシステム上で何とかできないかと相談を受けた際には、できる限り皆さんにストレスなく仕事をしてほしいという気持ちから、一連の業務フローをWF化しました。

また、コロナ禍での部員の在宅勤務実施に伴うパソコン導入サポートや、ワークフローの整理等、自宅で仕事を完結できる仕組み作りの協力もしました」

新居は2013年に入社してから5年ほど、製油所で勤務していました。プロセスエンジニアとして、どうすれば省エネに繋がるかを考えて装置の改造を提案したり、実際に運転しているオペレーターの方とテストをしながら運転改善をしたりしていました。

新居 「その後、現在の部署に異動になりましたが、システムが特別得意なわけでもありませんし、収支の取りまとめや事業戦略を作った経験もまったくありませんでした。だからこそ、現在の部署に異動してからの学びは多かったですね」

全員が納得する方向性を目指して調整した引っ越しプロジェクト

出光では、統合新社が永続的に発展するための業務フロー・働き方改革である「DTK(だったらこうしよう)プロジェクト」を2019年7月から実施しています。新居は、需給部門の課題を解決するためにDTKプロジェクトは必要だと強く感じていました。

新居 「もともと需給部門は属人的な業務がとても多いので、将来を考えて誰でも対応できる仕組みをつくりたいというのが常に部門の課題としてありました。そのため、RPAやシステムで業務改善をしていましたが、なかなかうまくいかないこともあったのです。

しかし、不便なところを変えたいという気持ちは皆さん持っているので、今回在宅勤務になっていろいろと不便なところが表面化されて、無駄だと思ったことを変えるため積極的に賛同して協力してくれています」

需給部門のDTK活動として、部門のルール作りなどを行なってきました。そのなかで、新居は需給部門の取りまとめをするとともに、「引っ越しプロジェクト」の旗振り役となったのです。

新居 「需給部門は4部計140名ほどの組織なのですが、製造部などの関係する一部の関連部署とは拠点がバラバラでした。そこで、それら関係する部署をひとつのフロアに集約する執務室の一体化が計画されたため、引っ越しプロジェクトを発足しました。供給企画部だけでなく、ほかの部署とも調整しながら進めなければならなかったので、大変でしたね」

常に新しいことに携わりたいと考えている新居にとって、引っ越しプロジェクトは良い経験となりました。しかし、部内のメンバー全員に納得してもらったうえで引っ越しをするのは、骨が折れる作業だったのです。

新居 「皆さんに納得していただける方向性を最初に決めるのが、とても大変でした。全員の意見を吸い上げ、叶えたいと思いながらも、すべてを叶えるのは難しいものです。誰かにある程度折れてもらわなくてはいけないというとき、どういうアプローチで説得しようか悩んだこともありました」

特に、引っ越しに伴ってABW(Activity Based Working)の方針のもと、固定席が廃止されることには、反対意見も多くありました。

新居 「こういう働き方をすれば固定席がなくても上手くやっていけるのではないかと調整や妥協案を出しながら、皆さんに納得してもらうことを意識しました。

マイナスにはさせたくない、できる限り皆さんの期待には応えたいという想いが根底にあったので、最初はやはり固定席を廃止することに心配の声もいただきましたが、最終的には皆さんに納得して協力的に動いていただけました」

大変だった一方、引っ越しプロジェクトを実施したことで良かったこともありました。

新居 「いろいろな方と話すようになって、声をかけてもらえるようになりました。知り合いが増え、ある程度顔が売れたのかなと思っています。

私の普段の業務は取りまとめが多いので、話したことがない人が部門にほぼいないというのは、DTK活動を進める上で有効でした。これはあの人に聞こう、とすぐに判断でき、スムーズに話しかけられるので、数字に現れているわけではないものの引っ越しプロジェクトの成果はあったと感じています」

DTK活動を進めることで起きた変化と見えてきた課題

引っ越しプロジェクト以外に新居が中心となって取り組んできたDTK活動として、まずペーパーレス化が挙げられます。

需給計画の説明会議では、何十枚にもおよぶ資料を何十部も刷らなければならず、紙が無駄だと感じていました。ペーパーレス化を推進するため、まず書庫に保管されている紙文書の処理より先に、新しく印刷する紙文書を減らせないかと情報システム部に相談しました。

新居 「ペーパーレス化をはじめた2019年当時は、今のようにモバイルパソコンを全員が持っているわけではなく、大きく持ち運びに適さないノートパソコンで仕事をする方も多かったのです。

そういった方々も、紙を印刷しなければ印刷時間の10〜15分を削減できます。まずは印刷物を減らすため、会議などにフラッと持っていけるようなツールとして、iPadの導入を検討しました。やるからには徹底しようと、部門の希望者全員に導入したのです。課長も同意してくださり、ペーパーレス化を一気に進めることができました」

また、ワークフローの仕組みの導入も進めていきました。

新居 「汎用ワークフローを導入する前に、紙に印刷して決裁文書を回すのは面倒なので、部門の中だけで電子承認を取る方法はないかと考えていました。結果的に、コロナ禍で導入が早まった形ですね」

ワークフローのツール自体が便利でも、実際に部門で活用してもらう際にはルール不足が浮き彫りになりました。

新居 「ツールを使うことになっても、どう使おうかという一歩が踏み出せず、承認を取るワークフローは実際に何の承認を取ればいいか、今までのメール承認ではなぜダメなのかという議論が生まれました。

具体的にルールを定めなくてはいけないと思いましたし、ルールを定めて動かしはじめても、浸透している方とそうでない方がいて、レベルの統一や引き上げが今後も課題だと感じています」

成果を見える化し、新たなものを生み出すための時間を作りたい

需給部門がパイロット部署となってペーパーレス化を進め、80%の紙削減を達成したことは、出光全社に良い影響を与えました。需給部門での成功があったからこそ、ペーパーレス化を全社に広められたのです。

しかし、紙を減らしたりワークフローを改善したりしたことによる成果は、中々目には見えません。新居は、DTK活動において成果を見える化することも大切だと感じています。

新居 「たとえばシステムの導入によって今までの作業時間が何時間効率化されたという数字は出ますが、その数字が本当に成果となっているのかは疑問です。

業務改善につながっていることは皆さんも当然実感されていると思いますが、それが形になっていない部分もまだあるので、DTK活動を実践してきちんと目に見える形で成果が出ましたというところまでいかないと、実感は湧きづらいのかなと思いますね」

また、新居はDTK活動を業務効率化だけで終わらせず、新たなものを作るところに結びつけないと意味がないと考えています。

新居 「DTK活動に携わっていろいろな人と話し、業務の幅を広げていくなかで、できた時間が新たなものを生み出すことに使われきれていないことをもどかしく感じています。業務に追われているとなかなか余裕ができず、余裕がないと0から1を生み出すことは絶対にできないと思うので、余裕の時間を生み出してあげられたらいいなと思っているところです。

ペーパーレス化もワークフローの改善も、あくまで効率を上げるための手段のひとつです。DTK活動によって新たに生み出された隙間時間を生かすための仕組みづくりを進めるとともに、私自身も新たな時間でプラスアルファを生み出すことに使っていかなくてはいけないと考えています」

業務効率化を推進する一方で、仕事を依頼するのも新居の役割です。だからこそ、メンバーに余裕ができれば新居自身にとってもプラスになります。

持ちつ持たれつで進める改善活動により、需給部門に余裕が生まれ、創造につながる。

そんな好循環を実現するため、新居は今日もDTK活動を推進します。