現在の業務と並行してDTKプロジェクトに取り組む意義とは

出光興産の千葉事業所人事課に所属する藤原は、1977年に入社しました。

藤原 「人事課に所属する前は装置の運転や自主保全活動を行っていましたが、1年半前に人事課へ異動してからは、おもに業務改善関連の事務局の業務を行っています。現場を改善する活動の事務局業務を20年間行った経験を活かして、DTK(だったらこうしよう)プロジェクトに関わることになりました」

藤原は千葉事業所で毎月2000件以上出される改善提案に対応しており、1件1件の内容を分類した上で調査し、各課へフィードバックしています。

千葉事業所管理課に所属する尾花は、現在入社3年目です。

管理課は事業所内の経営管理や予算・投資管理を受け持ち、尾花は主に千葉事業所の予算・実績管理をしています。

管理課では中期経営計画を推進する中で、デジタル変革の推進なども行っているため、DTK活動では管理課の経営企画的な要素と人事課の業務改善活動を合わせて行っています。

藤原がいる人事課では研修や教育にも対応していて、人の成長に着目しています。

藤原 「『働き方改革』『DTK』『業務見直し』など、従来の職務に加えてさまざまな活動が求められます。現場の皆さんにとっては、『業務以外の活動がたくさん入ってきた』という印象を持たれてしまうこともあるのが現実です。

製造現場であるため、私たちの使命で最も大事なのは、安全・安定運転を継続することです。それに向かって不具合があれば直し、働き方、業務改善をきちんとしていこうという思いで行っています。昨今はとくに若い人材が増えてきて、効率化の観点から現場・現物がおろそかになりそうなこともあるため、そこには注意して進めています。

最も大事なのは人の成長で、そこに結びつけるために、一人ひとりに自信を持たせたいと思っています。人は自信がつくとさらに頑張ろうという気持ちになって前進しますので、その一点に絞り、そういった人間を育成することを目指してDTK活動も推進しています」

業務改善活動で意識したのは「スポットライト化」

▲所長賞表彰での一枚

千葉事業所ではもともと業務改善活動が積極的に行われていたため、尾花はDTK活動を推進する中で社員の地道な取り組みにスポットライトを当てることを考えました。

尾花 「これまでは、25の課室がそれぞれに業務改善を行っていたため、その改善活動に日の目が当たらないという状況が続いていました。また横への展開もできていなかったため、これまでの活動をきちんと吸いあげて、横展開・スポットライトを当てていくことが重要だと考えました。

必要な改善活動は横展開すべきですし、本来あるべき姿に対してスポットライトを当てています」

しかしDTK活動を始めた当初は現場の人に浸透せず、スポットライト化も満足にできない状況がありました。尾花は「DTKプロジェクトを理解してもらうことが非常に難しかった」と振り返ります。

尾花 「積極的に改善活動を行ってくれる方もいれば、業務がまた増えるのではないかと考える人もいました。そのため、千葉事業所としてのやり方をきちんと決めていくことに難しさを感じました」

その中で、特筆すべき取り組みに対する所長表彰を新設するなど、事業所幹部を巻き込んだ活動を続けていき、少しずつDTK活動を浸透させていきました。

藤原は尾花と連携しながら、DTK活動の趣旨を理解してもらえるよう努めています。たとえば、提出された改善事例シートを毎月各課へ展開し、参考にしてもらうよう働きかけるなどです。課によっては改善活動を盛り上げることが難しいですが、藤原は諦めていません。

藤原 「スタッフ課や保全は時間削減の改善点を出せますが、運転課はこの点での改善は難しいと思います。運転課の時間削減が厳しい要因は、業務習得中の若手が中心になってきているからです。若手に対しては、現場だけでなく、制御装置のコンピューターの扱い方など、教えることが非常に多くあります。そのため、現場の業務活動の改善まではなかなか手が回らないという現状があります。

しかしその中でも努力してくれているので、そこにスポットライトを当てていきたいと思っています。先ほどの『所長賞』で運転課が表彰されることもありました。そうすることで、モチベーションアップにつながると思います」

DTK活動に対する認識変化のキーパーソンは課長

意義が十分に理解されていなかったDTK活動も、地道な活動を続けることでポジティブに受け取ってもらえるようになり、少しずつ変化の兆しがみえるようになりました。

藤原は所長賞の候補にあがった課の課長からお礼のメールがきたことを例にあげ、業務改善活動を進める上で大切なのは、「課長」だと考えています。尾花も同様に、現場の課長がDTK活動を積極的に推進しているおかげで、業務改善活動が活発化していると感じています。

 藤原 「収益の改善や省エネ活動はすぐに目の前に結果が見えてきます。一方で現場の業務改善はすぐに効果は見えてきません。所長賞候補にあがった課の課長から送られてきたメールに『今後の業務に期待ができます』とありました。目には見えないところもしっかり評価をしていくのが課長だと思っていますので、そこが大事であるということは伝えていきたいと思っています。」

尾花 「現場の課長が私たちの行っている活動を積極的に推進してくれるおかげで、課長から業務改善が活発になっているということを聞くと、非常に嬉しく感じます。ただ、これを今後も継続していくことが重要だと思います。課長や現場の人の声を拾い上げて、モチベーションアップにつなげるようにしていきたいと思っています」

さらに、予算管理を行う尾花は、業務削減とコスト削減については考え方に共通点があると感じております。

尾花 「私は千葉事業所の予算管理を行っておりますが、その中でコスト削減は重要な業務の一つです。コスト削減を実施する際は、現状の予算を“なくす”“へらす”“延期する”の三本柱で進めていきます。この考え方は業務効率化を進めていく上でも基本的には同じで、業務を“なくす”“へらす”“頻度を見直す”という観点でまず進めていくことが大切であると感じました。

当初DTK活動を任せて頂いた際、今までとは全く違う業務で自分にできるか自信がなかったですが、一見異なる業務でも今まで培った経験が活きるということを強く実感しました。」

仕事の質的変化を実感することでモチベーションを高めたい

DTK活動を推進した結果、千葉事業所ではDTK活動の機運が高まりましたが、まだ目に見える効果を実感できるまでには至っていません。尾花は業務効率化や付加価値業務へのシフト面で課題を感じています。

尾花「現在は業務効率化を努力してもらっていますが、その効率化で生まれた時間をどのように活用していくかについて、具体的なものはまだ見えていません。付加価値業務にシフトしていく面でもできていない分野があります。ですから、来年度以降はこの点をしっかり取り組んでいきたいと思っています。

各課の付加価値業務といいますと、省エネの課題やコスト削減があります。付加価値業務を行うと、会社としては利益につながりますが、業務時間が減るわけではなく、課員のモチベーションアップにまではつながっていないのかなと思います。各課が行った活動で仕事の質が向上したことにフォーカスしてスポットライトを増やしていきたいと思います」

まだまだ課題がある一方で藤原は、千葉事業所の可能性を感じています。

藤原 「1月に出光グループ全体の方が参加した事業所部門の発表会がありました。11テーマ中、千葉事業所が一位になりました。発表したグループは、間もなく組織改編でなくなるタイミングだったので、最後に一位受賞という有終の美を飾ることができました。本人たちもまた所長も非常に喜んでいました。それもその人たちの次の職務での自信につながりますので、本当に良かったと思います。

事業所内代表で選ばれること自体、大変なことです。毎年4回ほど発表会があり、20以上のテーマから選ばれますので、そこまでいくのは本当に大変です。『次の職場でも今以上に頑張りたい』という言葉を聞けたことが、励みになりました」

今後の課題をあげながらも、業務改善によって生まれた時間をうまく活用して後輩社員の育成にも今後深く関わりたいと尾花は話します。

尾花 「管理課に後輩が3人いますが、その中で昨年着任した新入社員の一人は外国籍で今まで日本に住んだことがありませんでした。そうした状況下でも、日々着実に業務を習得しております。一方業務の指導はもちろんですが、彼が普段からどういった考えをもち、将来的にどうなりたいのかといったことにまで踏み込んでコミュニケーションを取れればと思っております。

多様な価値観を吸収することは当社の経営ビジョンであるD&Iそのものであると思っておりますので、業務改善によって生まれた時間を活用していきたいと思います。」

ベテランの藤原と共に奮闘する尾花。それぞれの視点を持ちながら千葉事業所のDTK活動の推進をリードしていきます。