新本社移転に伴い業務を集約し、コア業務への専念を促す

出光興産株式会社では、2020年12月入居予定で新本社への移転プロジェクトを進めていました。当プロジェクトは部門横断プロジェクトとなりますが、総務部が中心部署として推進しています。総務部総務課には総務サービスチームと施設管理チームの2チームがあり、総務サービスチームがソフト面の整備、施設管理チームがハード面の整備を担っています。

木戸は総務サービスチームの取りまとめ役として、ソフト面で検討しなければならないことを担当者と話し合いながら進めています。

木戸 「私たちの今のミッションは、新本社の様々な運用をどうするか検討することです。たとえば、セキュリティカードを紛失したときはどうするか、社員の飲料やお菓子はどうやって補給するかなど、職場の環境に関わる細かい取り決めを行なっています」

木戸が新本社移転プロジェクトに関わりはじめたのは、2020年5月頃。前任者の引き継ぎとして参画しましたが、総務部には「みんなで一緒にやっていこう」という風土があるため、プロジェクトを進めやすかったと振り返ります。

木戸 「困難を感じるのは、全社の意見をまとめていくときですね。しかし、部長も含めてみんなが『新しいことを取り入れて、より働きやすい環境を作っていこう』というマインドを持っているので、環境には恵まれています。多少のトラブルが起きても、走りながら都度対応する形で仕事を進めています。新本社移転プロジェクトは部門を横断して進める必要があるので、部を飛び越えて活動しています」

全社における総務部の役割は、「どの部署も拾わなかった業務を拾うこと」です。決してネガティブな意味ではなく、自分たちが積極的に拾うことで、他部署が働きやすい環境をつくっています。

木戸 「これまでは、各部門にいる総務担当者が総務的な業務の一部を担ってきました。しかし、新本社移転プロジェクトでひとつのビルに集約されれば、他部門との連携も取りやすくなります。そのため、これまで各部門の担当者が担っていた機能を総務部にまとめます。

たとえばオフィスコンビニサービスやウォーターサーバーなど、各部で契約をしていたものを総務部が一括で契約することになります。そうすることで、他部署がコア業務に専念できるようにしたいのです。生産性の向上は難しいかもしれませんが、各部がそれぞれでやるよりも一括でやるほうが全社的に効率的です。また、1カ所に集中させることで予算が安くなるものもあります」

さまざまな部署の総務担当者の仕事を総務部に集約するため、木戸はひとつの部門に偏らない思考を持つことを心がけています。そうすることで、本当に集約が必要な業務を正しくまとめることができるのです。

仕事をスムーズに進めるため、大切にしている3つのこと

新本社移転プロジェクト以外にも、木戸は通常業務やDTK活動も行なっています。木戸がこれまでにおもしろいと感じた仕事として、2020年7月のコーポレートブランド刷新時に名刺のレイアウトを作ったことを挙げます。

木戸 「案を作って指摘をいただき、修正してというのを繰り返した結果、最終的に最初の案に戻ったことがありました。個人的には、そのプロセスがおもしろかったですね。

関係者のプロセスを経てスタートに戻ったけれど、一つひとつの合意をとって進めたことで、最終的に良いものを作り上げることができました。二転三転した経験が、私にとって非常に印象的でしたね」

名刺作りは広報とともに進めていましたが、二転三転しても木戸にネガティブな言葉を投げかける人はいませんでした。この経験から木戸は、働く人との環境が大事だと実感したのです。部署ごとにそれぞれいろいろな壁があるが、出光興産の環境だからこそ楽しむことができるのだと確信しています。

そして木戸には、仕事をするうえで大切にしていることが3つあります。1つめは、コミュニケーションです。

木戸 「メール1本でお願いするのではなく、同じチームメンバーであっても電話を入れてからメールやチャットでお願いするんです。今は特に対面が難しいからこそ、最初に電話で話をしたうえでお願いすることを心がけています。

少人数のプロジェクトメンバー内で意思確認し、議論をして方向性をひとつに決めて進めることが重要だと思うので、メンバーの一体感を高めるコミュニケーションを意識しています」

2つめは、「長考に好手なし」という考え方です。長く考えたからといって必ず良い答えが出るとは限らないため、とりあえずやってみてから振り返るようにしています。

木戸 「周りとの協力を大切にして、判断ミスがあってもどんな理由で決めたか、どんなふうに修正するかを説明すればいいと思っています。なぜそんな判断ミスをしたのかとがめられるとどうしようもないのですしモチベーションを下げてしまう要因にもなりかねないと思いますが、幸いにも周囲にはそういう人がいないのでありがたいですね」

大切にしていることの3つめは、納期とクオリティです。

木戸 「私は、仕事の内容にやりがいを持つのではなく、仕事そのものを楽しむタイプなんです。見返りを求めるわけではなく、自分がやろうと決めたことを期限やコストを守って成し遂げることに楽しみを覚えます。自分で決めたことができると、うれしいんですよね。

そのため、納期とクオリティを重視しています。いつまでにやりきるかを大切にしていて、クオリティを高めつつ予定どおりにできるかを常に考えているのです」

新しい取り組みで、気持ちよく働ける環境を目指す

総務部では、新本社移転プロジェクトに付随する新しい取り組みとして、ABW(Activity Based Working)の導入に取り組んでいます。ABWとは、仕事に最適な時間と場所を従業員が自分で選べるワークスタイルです。社内だけでなく、自宅やコワーキングスペースなどで自由に仕事ができます。

木戸 「ABWを実現するため、2020年1月から台場のオフィスをABWのパイロットオフィスにして実験しました。随時フィードバックしていくつもりだったのですが、新型コロナウイルスの影響で難しい状況になってしまいました。しかし、移転したあとも問い合わせに対応できるようなTipsが徐々に貯まりつつあります。たとえば、社内には固定席がないからこそ共有文房具や郵便棚を用意するなどしています」

また、もうひとつの新しい取り組みとして、マイクロソフトのPlannerを導入しました。新型コロナウイルスが流行しはじめた当初は、在宅勤務でタスクの見える化ができていなかったのです。そのため、木戸は情報システム部に相談しながら、Plannerを導入し業務管理を改善していきました。

木戸 「メンバーがタスクを全部洗い出した状態で、週1回のミーティングで進捗状況を話します。うまくいっていないことがあれば、対話しながらみんなで解決策を考えていきます。月1回は課長にもミーティングに参加してもらい、チームの仕事状況を把握してもらうようにしました。

こういった取り組みは、メンバーからも好評でした。特にマネージャーはテレワーク下では社員が何をしているか把握しにくいという課題を抱えているので、可視化によって仕事が円滑に進むようになりましたね」

以前情報システム部門にいた木戸には、ITによって課題を解決する志向があります。アナログで管理するより、デジタルのツールを探すことが多いのです。しかし、無駄が嫌いな効率主義者というわけではなく、自分の考えを他人に押しつけるのも嫌います。そのため、新しいものを取り入れる際も、理由をきちんと説明して進めることを大切にしています。

木戸 「総務でも、常に対話を意識しています。たとえば業務プロセスにおける書類を減らすペーパーレスに取り組もうと総務部内で話したときに、どんな方法でやっていくのか、どんなことが想定されるのかと質問されるたびに案を出し不安点をディスカッションして、解決策を探っていきました。

自分の性格的に、新しいことは一気にやってしまえばいいと思いがちですが、そうではない人の意見をないがしろにしたくないと思っています。みんなが気持ちよく働けるように、いろいろな人の声を集めてフィードバックをしていきたいです。ABWも、他部署の人が実際にやってみることでどんな意見が出てくるかまだイメージがつかないので、対話を大切にしていきたいですね」

雑談が増える空間を目指し、小さなホスピタリティを徹底する

木戸の直近の目標は、新本社移転プロジェクトを仕上げることです。

木戸 「コロナ禍でどうなるかわかりませんが、社員が本社へ行きたいと思えるような環境をつくりたいのです。そのために、各部署から情報を集めて足りない部分をきちんと改善し、もっと働きやすい・出社したいと思える環境を目指していきます」

木戸が描く新本社のイメージは、“雑談が増える空間“です。

木戸 「リフレッシュコーナーに電子ホワイトボードを置くとか、とにかくいろいろな人が対面で話して、新しいつながりや仕事が生まれていくような環境が良いと思います。そのために、私たちはちょっとした苛立ちが起きないように動いていきます。

たとえば、会議室のホワイトボードのマジックペンのインクを切らさないようにしたり、社内の掃除を社員にやらせないようにしたり。小さなことですが、毎日続くと不満が溜まっていきます。ちょっとした工夫やホスピタリティが、良い環境をつくっていくと考えています

これができたらワクワクする空間がつくれるという明確な答えはありませんが、カフェテリアでイベントを開いて社員が交流できるような機会も提案していきたいと思います」

さらに総務部では、スマートコンシェルジュ機能の導入を検討しています。

木戸 「新本社28階に3人のコンシェルジュを常駐させ、そこで困りごとや備品の相談など各種サービスを受けられるようにしようと考えています。総務部員が忙しいときでも、コンシェルジュというエキスパートがいればいつでも頼れるのではないでしょうか。困ったときはコンシェルジュに聞こうという状況になれば、全社員が働きやすい環境になると思います。

また、従業員のPCからコンシェルジュカウンターの空き状況が確認できるようにしたいとも考えています。カウンターでは、多くの方にいろいろな困りごとを相談してほしいですね」

他部署がコア業務に専念できるようにするため、巻き取れる仕事は総務が引き受け、働きやすい環境をつくりたいと考えている木戸。

対話を心がけながら新しいものを導入することで、職場環境を日々改善し、従業員の未来も会社の未来も明るくなっていくことでしょう。