気持ちがいいコミュニケーション環境を整えるため、逆境のなかでもIT活用

情報システム部は、出光興産のIT化を担う部署です。社員が抱えるITの悩みを解決しスムーズに仕事を進められるよう、AIを取り入れたチャットボットを活用したサポートデスクを導入するなど日々新たな施策を展開しています。

そんな情報システム部の中でも共通IT推進課に所属する星野は、出光グループが共通で使用するアプリケーションの管理を担当。OutlookやTeams等のOffice365製品やクラウド型ストレージサービスのBox等の既存ツールの活用推進、また新しいツールの企画導入をする役割を担っています。

もともと共通IT推進課では、「心をつなぐIT」というキャッチフレーズを掲げ、いつでも・どこでも・誰とでも・ハートフルなコミュニ―ケーションができる環境を目指していましたが、一部着手できていなかった部分も新型コロナウイルス感染症対策の一環で一気に推進しました。

星野 「私たちはコミュニケーションをもっとシンプルかつスピーディーにすることを目指し、ITを使って“ハートフルコミュニケーション”をつくりたいと思っています。思ったことは何でも言えてすぐに聞ける、何でも言えて聞ければ心がつながる。これが個人と会社をより強くする土台であると考えていて、離れた場所でも心がつながる環境を整えていくことがミッションです。

またコミュニケーションツールの整備はもちろん、仕事がスムーズにできるようなネットワーク環境の構築も大切です。以前からIT化に向けた取り組みは進めていたのですが、これまで導入していたツールについても、コロナ禍を経てより積極的に活用されるようになりました」

2020年2月には、Box社のユーザー表彰制度において「ルーキーオブザイヤー」を日本企業で初めて受賞するなど、社外からもITを活用し環境を整えている企業であると認知されるようになりました。不測の事態が起きても、逆境をバネとしてIT化を促進する。あきらめずにやり遂げる出光の姿勢に、星野は共感しています。

星野 「私はもともとIT企業で働いていて、出光とはお客様という関係で、1年半ほど出光の方と一緒に仕事をしていました。正直、私は特別仕事熱心な人間ではありませんでした(笑)。しかし出光の社員がみんなで一心不乱にひとつの目的へ向かっていく姿を見て、なんてかっこいいんだろうと感じました。社会人になってから初めて仕事の楽しさを教えてもらい、この人たちの仲間になりたいという気持ちが止められず、転職を決めました」

人は、自分自身の力でものごとを変えることができる。だからこそ、出光の環境に染まって己を変えたい。そんな想いを抱き、星野は2018年10月に出光の社員となりました。

DTK事務局の一員として、社員の要望を叶えるきめ細かな情報発信

星野は情報システム部の業務のほか、DTK事務局の一員のような気持ちで、これまでメールからTeamsへの移行に関するガイドライン作成に携わったり、紙文書を電子化する取り組みに関わったりしてきました。

星野 「私の所属は情報システム部ですが、自称DTK推進室のIT担当だと思っています。所属は関係なくDTK推進室の皆さんと一緒になって働かせていただきました」

さらに星野はちょっとしたITのお役立ち情報を全社員に発信する活動もしています。

星野 「たとえばTeamsの新機能の共有、ITに関するちょっとしたノウハウやTipsを伝えるようにしています。また、オンライン忘年会に向けた社員用クイズプレートのつくり方や、パワーポイントを使って無料でエヴァンゲリオン風の告知文をつくる方法など、遊び的に小ネタも挟みつつやっています(笑)」

新しい機能や障害発生に関するお知らせは、以前から情報システム部が全社ポータルやメールで発信していました。しかし、どうしてもオフィシャルな内容に偏りがちで、社員の要望を叶えるような細かい情報が漏れてしまう。星野はそう感じ、自身が積極的に情報を発信していこうと考えたのです。

星野 「全員の役には立たなくても、ある人に一定の効果がある情報も大事だと思うんです。一部の人が少しでもハッピーになる情報を届けていくことで、少しずつ社員の満足度も上がっていくだろうと考えています。社員がDTK活動への接点を増やしていく意味でも、大事な活動だととらえています」

セミナー参加者に情熱をぶつけ、ITツールの活用を促す

新たなツールを導入する際は、社員に正しく使ってもらえるようにルールを定めることが多いもの。しかし、ツール導入時に厳格なルールは定めないことが多い。それは、もともと出光が過度にルールを作らない会社で、そのとき正しいと思ったことを進めればいいという風土が根付いているからです。

星野 「Teamsなどのツールは、コミュニケーションを活性化するために導入されることが多いですが、ルールでがんじがらめにしてしまうと柔軟な対応ができず、本来の目的である活性化が図れないと思います。だからこそ、基本的にルールはなし。性善説的ではありますが、社員であれば適切に使ってくれるだろうという前提で導入しています。

それによってカオスな状態になることもありますが、Teams自体がそもそも情報を整理しようと考えている製品ではないので、問題ないと個人的には考えています。その時にちゃんと情報が伝達されて、アクションにつながれば良い。大事なのは、コミュニケーションやコラボレーションがスムーズに成し遂げられるかの観点だと思っています」

また、社内で新たなツールの利用を促進するため、セミナーも定期的に開催しています。BoxやTeamsの勉強会は毎月定期的に行い、これまでに3,000〜4,000人が受講。当初は星野がひとりで運営していましたが、今では協力者も増え、情報システム部内で役割を分担しながら実施しています。

星野 「セミナーで情報発信をする中で、好感触を得られると嬉しくなりますね。2020年は特にセミナーに力を入れているので、『こういう会があってよかった』という意見をアンケートでいただくとモチベーションアップにつながります」

セミナーで星野が意識しているのは、「このツールを使うことで、事業に絶対良い影響が出ると確信している」という情熱を参加者にぶつけることです。

星野 「新しいツールを覚えること、変化が伴うことは人間にとって苦痛です。私も苦痛に感じます。ツールのメリットを説明しても、理解はされても納得感まで得られることは難しいです。だからこそ、まずはこちらの情熱に負けてみなさんに使ってもらうことが近道だと考えました。そしてそれを使って気持ち良くなる瞬間をみなさんにつかんでいただくことで、使い続けてほしいと思っています。

ツールによってコミュニケーションが活性化されれば、本人が気持ちよく働けるのはもちろん、会社も強くなるという信念を私は持っています。そのような想いが、セミナーの中でも伝わっていれば嬉しいですね」

働きやすさから、働きがいへーー会社に貢献する活動を目指す

コロナ禍に突入する前からIT化を促進していたとはいえ、出光でもリモートワーク環境へ移行する際に通信が不安定になるなど、不具合がなかったわけではありません。しかし、今ではネットワークもツールの使い方も安定し、社員からはコロナ以前の働き方と同じかそれ以上に生産性を上げることができている、という嬉しい意見も聞こえてきます。

ただし、この先もリモートワークが続いた場合にどうなっていくかは懸念点です。

星野 「これまで対面で話していたときは雑談によって人間関係のつながりを保ち、アイデアを得て、モチベーションを保っていた部分もあります。そうなると、リモートワークによってパフォーマンスが落ちる瞬間があるかもしれません。

そうした懸念をどう課題に落とし込んで解決し、会社をより強くしていくかが今後のミッションになると考えています。人が成長するためにどのような要素があって、それは果たしてリモートワークで再現できるのか。できないのであれば、どの程度の割合で出社を取り入れるか。そのような点を考えていきたいです」

ツールの導入によってリモートワークでの働きやすさは向上したので、今後は“働きがい”に重きを置くことが、DTK活動をITで支える星野が描くイメージです。

星野 「人によって感じ方は違うので、以前よりコミュニケーションが取りにくくなったと感じる人がいる反面、そう思わない人もいます。そうした人たちをいかにつなげていくかが、今後の課題です。

一方がコミュニケーションを取りたいと思っていても、他方が雑音を塞ぎたいと思っていると社内の中でも分断化が進んでしまう可能性があります。双方を違和感なくつなげていく方法を模索していますが、答えはひとつではないので、さまざまなアイデアを提示していきたいです」

DTKプロジェクトは本社だけの取り組みではなく、支店や製油所、精製会社を含めた全社の取り組みです。今後も全社に貢献するため、セミナーなどの活動に注力していきたいと星野は考えています。

星野 「これからDTK活動は、成果を実感するフェーズに入ってきます。ただ、個人的には数値的な効果だけを見てほしくはないと思うのです。DTK活動で一人ひとりが抱えてきた、施策にかける真剣で熱い想いが広く伝わってほしい。DTK活動は会社だけでなく、社員にとっても成長につながる活動なんだと多くの方に知っていただきたいですね」