本当は定時上がりのOLになりたかった。決めたのは“直感”

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▲2016年、初々しさが残る入社式のときの写真

2016年に大学を卒業し、新卒社員としてアイデンティティーへ足を踏み入れた浅香莉野。

エージェントとして営業を経験したのち、アシスタントをしていた人事へ2017年8月に正式に配属された、アイデンティティー唯一の人事担当です。

2018年10月現在、浅香は採用全般はもちろん人材育成や社内制度の整備など、多岐にわたる業務をこなし、社員が過ごしやすい環境を整備するために日々奔走しています。

浅香 「最初はベンチャー企業で働くなんて考えていませんでしたね。
専業主婦になりたかったですし、大手の企業に就職して定時で仕事を終わらせて、帰りに買い物して家でゆっくりくつろぐという生活をしたいってずっと思っていましたよ。なのに、今となっては友達の中でも結構働いている方じゃないかなって」

アイデンティティーを知るきっかけになったのは、当時新卒研修を行なっていた社員からのダイレクトリクルーティングでした。

浅香 「代々木公園でいきなり話しかけられて。最初は怪しさしかなかったんですけど本当に一生懸命勧誘してくれて。熱意に打たれて説明会へ行ったのがはじまりでした。
当時していた『3day’sインターン』に参加し、選考に進んで内定をいただきました。実際に社員の人と関わったとき、どんな小さな質問にも答えてくれる人のよさに惹かれましたし、入社前でも何度もご飯や会社に呼んでくれて親密なコミュニケーションを取る機会をいただき、決めました。
その時はもう早く就活を終えたくて、就活も1カ月ぐらいしかしてませんでした。本当ろくでもない就活生でしたね」

しかし、今ではどの社員よりもアイデンティティーへの愛情が深い浅香。入社後、研修を終え営業へ配属され、多忙な日々がはじまります。

アイデンティティーの起爆剤に。「変えたい」一心だった営業時代

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▲営業として毎日遅くまで業務に励んでいた頃

営業として初めての仕事は、“パートナー訪問100件”。

浅香は3カ月で100件、1日4〜5件パートナー企業のもとを回りました。時には移動の合間をぬって、公園のベンチでアポイントを取ることも。

浅香 「1年目だからやらなきゃダメだって使命感もあって、当時は必死でした。裁量が大きい分、目標数字に追われる日々が続き働いている時間も長く大変で。本当に“きつかった”、それ以上の言葉はないですね」

それでも毎日全力で仕事に向き合い続けたある時、月の営業成績で全体のトップ3に。日々の努力が報われた瞬間でした。

しかし、喜びもつかの間、翌月の成績は“ゼロ”。

浅香 「1カ月の成績がゼロの時は本当に焦りました。
その前の月にトップ3になれたことで自信過剰になっていましたね。1カ月間でゼロって仕事をなにもしていない状態に近いじゃないですか。それなのにお給料も普通にもらって……なにをしているんだって」

浮かれていた自分を引き戻し、先輩からのアドバイスをすべて聞き入れ、とにかく動くことに。

同時にこの頃、浅香は会社に対し引っ掛かりを感じるようになります。裁量の大きい営業ではルールがなかなか守られず、無法地帯となっていると感じていたのです。

その時、浅香は当時の先輩社員から言われた一言を思い出しました。

アイデンティティーの起爆剤になれーー。

浅香 「私自身、当時の状況をみていて、このままだったらこれから入ってきた人も絶対きついし辞めていくだろうなってすごく感じていたのもあって。その言葉を思い出し、この人数ならまだまだ意見の通る環境だと思いました。
自分で現状を変えていくんだって決心しましたね。これはおかしいのでは?と疑問に感じたら、先輩でも関係なく意見をするようにしました」

けれど、新卒1年目の力だけではなかなか及びませんでした。

しかし2年目を迎えた頃、大きな変化が起きたのです。

ここで負けるわけにはいかないーー。代表の一喝を機に人事一本へ

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▲2018年の新卒社員。浅香は彼らの新卒採用に携わった

当時から人とのコミュニケーションが得意だった浅香は、先輩たちに推され新たな道を開きます。

浅香 「人事にならないかと打診をうけました。会社を変えられるかもしれないという希望が生まれた反面、正直その時は本当にいいのだろうかという疑問もありましたね。
人事ってキラキラしてそうってイメージがあるじゃないですか。『人事になりたい!』っていう新卒の子もいますし。いわゆる会社の顔。だから、私でいいのかなっていうのが正直なところでした」

最初は人事アシスタントと営業の兼任からはじまりました。しかし、兼任しているとはいえ、営業での目標はフル達成をしなければいけませんでした。

そうした中で、「私は営業と採用を兼務しているから、中途半端になるのは仕方がない」という考えが頭をよぎります。

浅香 「どっちつかずな甘えた自分がでてきてしまって。それをみていた代表の今野に一喝されてすごく悔しかったのを覚えています。『中途半端になっていて、何もできていない』って。その通りだって思いましたし、『ここで負けるか!』という気持ちが芽生えて、踏ん切りがつきました」

そこで浅香は、人事一本でいくことを決意。

しかし、人事の唯一の先輩が退職することに……。

浅香 「本当、もうどうしようですよ。人事としての経験もほとんどなくてなにも知識がないままアイデンティティーでたったひとりの人事になりました。わからないことだらけで一つひとつネットで調べて進んでは止まって、みたいな」

それでも人事として踏みとどまらせたのは、はじめて採用を担当した新卒社員たちでした。

浅香 「私が人事になってからはじめて採用したのが2018年入社の新卒社員なんです。社内でも『いい人材が採用できた!』と盛り上がって、すごく嬉しくて。だからここで負けるわけにはいかないと思いました」

また、既存の社員にも救われたと振り返ります。

浅香 「経験の乏しさから、うまく行かないことももちろんありました。会社が、本当にいい方向に進んでいるのかな?という不安もあって。
そんな時に同じ目線に立って、社員たちや社外の人事の方が話を聞いてくれたんです。ただ話を聞くだけじゃなくて、ちゃんと一緒に考えて一緒に動いてくれたんです。
そんな社員たちや社外の人事の方がいたから乗り越えられて、挫折も挫折と感じていないことが多かったんだと思います。今も支えてもらってばかりで、いつも感謝の気持ちでいっぱいです」

奔走し続けた日々の先にみえたもの

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▲営業時代は、毎日が挫折だった。それでも人事として新たに奮起した

浅香には人事担当として心がけていることがあります。

浅香 「面接でも新卒採用の時は同じ目線で話し、一人ひとりに寄り添って採用担当者としていい点や悪い点をフィードバックするようにしています。
そのお陰か面接が終わっても『支えになってくれました』『緊張したけど楽しかったです』って学生に言ってもらえることもあって本当に嬉しいです。
中途採用の場合は、自身に経験がないので実際に面接に同席させてもらい色々な方の考えを聞くようにして工夫するようにしています。
営業時代は大変でしたが、そこで培ったコミュニケーション能力と察する力が役に立っています。最初に営業としての経験を積めてよかったです」

浅香が人事になってから新たに中途入社の方が増えていきました。さらに、2018年からは、社内でもクールビズや退勤時間の調整、フレックス制度と新たな制度が動きはじめています。

アイデンティティーを変えたいーーその想いが叶いはじめています。

浅香 「挫折だらけの日々ですが、人に支えられて乗り越えられた今の自分がここにあるから、今度は自分がアイデンティティーに貢献できるような行動がしたくて。
いい人材を採用して、入社してくれた社員たちにもアイデンティティーに入ってよかったと思ってもらえるようにしたいと考えています」

浅香のこれまでは挫折だらけかもしれません。

けれど、誰よりも人の温かみを感じてきた浅香だからこそ、アイデンティティーをより良い方向へ導くことができるのです。

浅香の挑戦は、これからも続きます。