成長過程にあるアイベステクノで再びチームに
前職は電材商社で営業職に従事していた吉岡は、当時担当していた顧客のうちの一社であるアイベステクノの営業部長、天野 道廣の誘いで2005年2月に入社しました。当時のアイベステクノは徐々に受注量が増えつつあり、営業担当者が不足していたため、吉岡に声がかかったといいます。
吉岡 「実は、天野は前職の先輩にあたります。働いていた時期は異なりますが、前職の職場環境や状況もよく知っていましたし、自身の経験からもアイベステクノのほうが仕事面や制度面で私に合っていると感じたから、声をかけてくれたのだと思います。半年ほど悩みましたが、これから大きく成長する可能性を秘めた企業で挑戦してみたいという想いで入社を決めました」
その1年半後の2006年には小野山が入社。アイベステクノでの営業活動にやりがいを見出していた吉岡が声をかけたことがきっかけです。
小野山 「私はアイベステクノがある地域で生まれ育ったので、幼いころからよく知っている会社でした。当時は零細企業でしたが、徐々に成長拡大している様子も見てきました。
とはいえ、吉岡に声をかけてもらった時、私は35歳。3度目の転職になりますし、妻子もある身だったので、相当の覚悟が必要でした。しかし、既知の間柄である吉岡がしっかりと根付いて活躍していたことと、自分自身が幼少期から知っている会社ということもあり、最後のチャンスだと思って飛び込みました」
そこからさらに5年経った2011年、柳田が入社しました。
柳田 「私は誘われたわけではなく、諸先輩方の活躍を見たり、話を聞いたりしているうちに入社したいと強く思ったんです。当時は営業としてアイベステクノを担当していましたが、自社商品の電材よりも自分自身を熱心に売り込んでいたかもしれません(笑)」
三者三様の背景ながらも、アイベステクノ営業部の中心を担うことになる3人が揃いました。
電材から盤へ。営業活動の変化と難しさ
同じ営業職と言えども、前職の商社と現職のメーカーでは、その営業スタイルはまったく異なると言います。
柳田 「前職ではカタログに記載されている電線や配線部材などの商品をお客様に販売することがメインで、商品を売れば売るほど良しとされていました。さらに価格や納期面などを鑑みて、よりお客様にメリットがあるような商品を探し、提案することも大切な仕事だったので、さまざまなメーカーの製品情報を入手したり、仕入れ先を開拓することも必要でした」
一方、盤メーカーであるアイベステクノではこんな事情があります。
吉岡 「画一的な製品を大量生産しているメーカーであれば、ある程度明確な製造計画が立てられると思うのですが、当社はお客様からの仕様に基づいたフルオーダーメイドの製品を作っています。
形も何もない段階で受注し、納期から逆算して各部署の生産工程を計画しなければなりませんし、工場や設計者の繁閑具合なども、その時のタイミングによって違います。おかげさまで、近年は受注が好調で繁忙感が続いているため、断腸の思いで受注をあきらめることもあるんです」
小野山 「商社の場合、仕入れた価格に利益を上乗せして顧客に販売するのが基本ですが、当社の場合は、決定した受注金額の中で工面する必要があります。
事前に細かな積算を行い、さまざまな試算を経て受注金額を決定するのですが、それでも網羅しきれない費用が発生してしまうこともあるため、赤字になる案件もあります。かといって、高い見積額を提示すると競合他社が受注してしまうので、バランスが難しいですね」
オーダーメイドであるがゆえの困難ですが、1案件ごとにストーリーや思い入れがあります。その積み重ねが3人を強くしなやかに鍛え上げます。
急成長する会社と自分の働き方。転職したからこそわかること
吉岡と小野山が入社した2000年代後半、アイベステクノは急激な成長期に突入します。その背景を柳田は次のように語ります。
柳田 「もともと当社は、上層部の社員が最前線で働く社風なんです。日々それを目の当たりにするため、中堅以下の社員も触発されて会社全体が勤勉な雰囲気です。さらに、『仕事を断らないこと』をモットーとしていて、社員一丸となって取り組むという一体感や団結力を肌で感じました。
また、自由な発想を広く受け入れ、メリットがあることは即実行に移す点も、私がこれまでに経験してきたどの職場よりも柔軟かつスピーディーで、良い意味で衝撃的でした。そんな会社に入った以上は、人の2倍も3倍も取り組まなければ決して追いつけないと思い、がむしゃらに働きました」
吉岡は、前職の経験を活かした挑戦を始めていました。
吉岡 「前職では、新規のお客様の開拓が何より重要でしたが、アイベステクノは既存の顧客との取引が中心でした。そこで、私は新規のお客様の開拓に注力することにしました。新規案件を受注しても会社全体で必ずサポートしてくれると信じているので、安心して仕事を取りに行けるんです。
その結果受注額が伸び、顧客からの信頼を得られて、また次の仕事を依頼していただけるという、非常に良い循環が生まれたのだと思います。成長の追い風にうまく乗ることができたんです」
専務である天野を筆頭に、営業部長の小野山、部長代理の吉岡、課長代理の柳田と、現在はそれぞれ管理職の立場にあります。
小野山 「転職して10年以上経ちますが、私たちはずっと良い仲間であり、ライバルなのだと思います。前職では肩を並べていた同僚だったのに、今ここで差が出ることになってしまっては悔しいですから、追いつけ追い越せでやってきました。みんな負けず嫌いなんでしょうね(笑)」
他を知っているからこそわかる、現在地の良さや厳しさ。自分自身と会社の成長のため、過去の経験を昇華させ、さらに前へと進みます。
営業担当者として語る、アイベステクノの今後
2023年現在、6600億円の市場規模と言われている制御盤製造業界で、アイベステクノの売上高は60億円と全体の1%程度のシェア。また、業界における慢性的な人手不足や技術革新により、競合他社の淘汰や合併は今後さらに進んでいくとみられています。そんな中で、10年以内に売上高100億円をめざすアイベステクノ。3人はその将来を、それぞれに見据えます。
柳田 「私は常々、当社はまだまだ伸びると実感しています。元来の社風のもと、設備やマンパワーを強化して上をめざすベクトルがある一方で、足元のごく基本的なことがおろそかになっている部分もあるんです。それらを一つずつ改善すれば、さらに強い組織になるはずです。常に改善し続けることが、会社の成長には欠かせません」
吉岡 「私は、当社を知らなかったお客様に対して、『今日アイベステクノという会社を知ることができて良かったですね』と話しています(笑)。とんでもなく上から目線の言葉ですが、会社に自信を持っているからこそ言えるんです。
まず引き合いをもらわないことにはビジネスは始まりませんし、実際に取引に至るかどうかは100%お客様次第です。それでも、当社を視野にいれておいても決して損はさせませんという矜持のもと、一人でも多くのお客様に当社を知ってもらうことを心がけています」
小野山 「現実として技術を持った人材は減りつつあり、代わりにAIなどの最先端技術がその部分を補完する時代が来ています。仕事を受注する場面でも、電子入札という方法もあります。しかし、やはり営業は人対人だと思っています。機械にょる正確さや効率化も大切ですが、お客様の抱えている『何か』を機敏に察知し、それに対して熱意や温かみのある言葉でつながりを持てるのは、人にしかできませんよね」
新たな挑戦を続ける3人は、さらに大きな展望も抱いています。
小野山 「今後は海外展開にも注力していきたいと考えています。子会社の海外拠点であるタイやベトナムを中心に、さらにグローバルな取引を展開し、世界に打って出たいですね。日本だけで仕事をこなすのではなく、エッジの利いた攻めの姿勢で挑戦していきたいです」
抱く想いはそれぞれ違いますが、共通するのは「もっと上へ」という熱量。アイベステクノへ続く扉を開けば、熱い男たちが待っています。
※ 記載内容は2023年5月時点のものです