データサイエンスに関する技術開発がしたい。環境が整うHondaへ転職

モビリティサービス事業本部のコネクテッド戦略企画開発部開発課に所属する北は、2019年にHondaへ中途入社した社員です。テックリードとして次世代のコネクテッドカーをターゲットとする予測アルゴリズム開発を推進する一方で、Honda二輪車の一部で利用できるコンパニオンアプリ「Honda RoadSync*」のユーザーデータを活用した運用業務にも携わっています。

*本アプリを使用すると、Hondaのバイクに乗りながら、通話、メッセージ、ナビゲーション、音楽の機能にシンプルかつ簡単にアクセスできるようになる。

北は学生時代、大学院に進み数学を専攻していました。数学をコンピュータに実装する研究をしており、数理的知識を活用したいと考え就職先を決めたのです。

北 「新卒入社したのは、通信事業会社でした。入社後数年は全国から集まる膨大なデータを監視する部署にいたんですが、より一層数理的知識を活かせるところで働きたいと考え、データを扱う部署に異動しました。そこではIoTデータや携帯電話の位置情報、機械学習システムなどを担当していましたね」

その後Hondaに転職しようと決めたのは、興味のある仕事ができる環境が整っていると感じたからです。

北 「前職では既存技術を活用したサービス開発を中心に経験したのですが、次はデータサイエンスに関する技術開発にチャレンジしてみたいと思ったんです。そのため、データを幅広く集めることができ、かつ技術課題をある程度絞っている環境の会社で働きたいと考えました。
面談などを通じてHondaにはデータ基盤が整っていることが分かりましたし、運転手の安全で快適な環境作りをサポートするHMI*を作るという方向性にも共感できました。データ分析で解くべきユーザー課題をたくさん抽出できる環境であると感じ、転職を決めました。
前職でIoTログなどのテーブルデータの分析していたこともあり、Hondaでの車両センサーデータや位置データの分析に対してイメージが持ちやすかったことも良かったです」

*HMI Human Machine Interfaceの略 人間と機械が情報をやり取りするための手段や、そのための装置やソフトウェアなどの総称

データを活用した機能提案でユーザーをサポート

北はHondaに入社してから、新たな挑戦に苦労しながらもやりたかったことができていると感じています。

北 「Hondaの自動車に乗るドライバーに声かけをできる仕組みをつくるというのはイメージしやすく、ビジョンが持ちやすいです。一方、実装するまでに長い時間がかかるため、不確実な要素が多く、技術開発に真っ直ぐ取り組めるものではないのが難しいところですね。
自動車は安全性を重視するプロダクトなのでどうしても開発に時間がかかりますが、最近ではソフトウェアにならってスピーディーに開発する部分も増えています。開発のやり方が変わってきているのはおもしろいですね」

北は2021年10月からRoadSyncの運用に携わっていますが、その前から「機能提案」を技術開発テーマとして取り組みを進めています。ユーザーの行動に基づいて機能の利用提案を行い、ユーザーが機能を使いこなせるようサポートするのが目的です。

北 「今までに販売したクルマを使った方のデータを活用してユーザーを理解し、今後リリースするアプリやサービスに活かすというのが共通のロードマップです。機能提案はそのうちのひとつで、機能の利用状況を踏まえて、ユーザーがあまり認知していない機能を提案することで、ユーザーに学習の機会を与えることをねらっています。
ユーザーの行動を分析すれば、そのニーズを掘り起こすことが可能です。二輪や四輪というモビリティの種類ごとの垣根は下がってきているので、データサイエンスの領域でそういった種類にとらわれない開発に取り組んでいきたいと考えています」

Hondaに入社したことで実感できた自身の成長

RoadSyncの運用業務では、スマホアプリから送信されるデータからユーザーの行動を分析し、UX(User eXperience)の改善に取り組んでいます。

北 「アプリから送信されるデータを分析することで、ユーザーがどのくらいの期間アプリを使っているのか、どのような機能が好んで使われているのかといったことがわかります。どの機能がよく使われているのかわかったら実際に新機能をリリースしてみて、得られるリアクションを確認するんです。そこで予想より利用されていないという結果になれば、次回以降の開発に活かすことができます。自動車の開発においても、データを活用するフェーズが広がっていると感じています」

データ分析によって問題が確認でき、それを解決するための取り組みを進めることもあります。

北 「アクティブユーザー数を追いかける主な指標のひとつとして、どの程度のユーザーがバイクに乗るときBluetoothでペアリングしてアプリを使っているかを確認しています。そこでBluetoothの接続がどのくらいの頻度で切断しているかがわかれば、ユーザーの離脱を防ぐための重要なデータとなります。
Honda RoadSyncはローンチ後の歴史がまだ短いので、これからユーザーを増やしていく段階です。いろいろな指標を見ながら、開発にフィードバックしています」

Honda RoadSyncの運用業務に携わるメンバーのうち、Hondaでデータサイエンティストとして携わっているのは北だけです。そのため、2019年に完全子会社化したDrivemode社のデータアナリストと協力しながら仕事を進めています。

北 「データを分析する際は、エラーの検知などデータに関する全般を担当します。私は比較的最近プロジェクトに加わりましたが、Drivemode社の方はもちろんHondaの開発メンバーも以前からRoadSyncに携わってきました。
そのような方に対してデータ分析のレポートをすると、自分ごととして熱量高くリアクションしてくれるので、議論は絶えません。フィードバックもすぐに得られる環境ですね」

Hondaに転職し、興味を持っていた仕事に携わることができている北。新たな挑戦をするなかで、自身のスキルアップを実感しています。

北 「Hondaではプロジェクトで最初にA00を設定するように、ミッションを自立的に考える文化があります。転職前までミッションは上から降りてくるものだという感覚があったのですが、今の職場ではミッションを考えることに時間をしっかりと費やすので、自立性は自然と身についてきていますね。
また、データサイエンティストという立場としても、世界中のデータサイエンティストが集まるコミュニティであるKaggleに参加しています。また学会に参加して内容をシェアしたり、付随して開催されるコンペにチームを組んで参加したりして、技術に関する話題をシェアしているんです。Kaggleや学会での学びを自分自身の開発テーマに活かせないかいう視点で考えるようになったのは、成長した証だと思いますね」

希望した仕事に携わりながら、今後は技術開発をもっとおもしろくしたい

北が所属するコネクテッド戦略企画開発部開発課には、中途入社のメンバーが多くいますが、Hondaの文化や仕事の進め方は組織に根付いており、皆で開発を進めているのです。

北 「Hondaの文化をベースとして、より良いものを目指しています。開発サイクルが早くなっていることもあり状況がすぐに変化するので、A00のミッションを軸に考えつつも、変わることを前提として皆でミッションを設定して取り組んでいますね。現在Hondaは従来の良さを残しつつも変わろうとしている姿勢が見られ、過渡期にあると感じています」

北はHondaに転職して2年ほど技術開発に携わるなかで、もっとプロダクトに近いところで仕事がしたいという希望を上司に相談していました。その結果、RoadSyncの運用プロジェクトに関わる機会に恵まれたのです。

北 「プロダクト開発におけるデータ分析については、個人としても組織としても経験が不足していると感じていました。RoadSyncを通じてその領域を率先して行けることにやりがいを感じています。今後は技術開発もプロダクト開発との垣根がなくなってくるところがあるので、これまでのプロダクト開発の経験が活かせるかなと思っています。そうすると市場のリアクションが得やすくなって、もっとおもしろくなっていくんじゃないかと思いますね」

明確な道筋がなく、不確実性と向き合わなければならないデータサイエンティストの仕事。モビリティのユーザーが多く、豊富なデータを持つHondaだからこそ、データをさまざまな場面で活用することができて、やりがいを感じることができるといいます。

北 「データに基づいたレポートや理論は、開発者にも喜ばれます。なんとなくこうじゃないかと仮説を立てていたことがデータから見えてくると、やりがいを感じますね。四輪や二輪の開発者と話をして、どれくらいユーザーに活用されているかを調べて盛り上がることもあります」

自身も楽しみながら仕事ができている北の今後の目標は、データサイエンティストとしてより良い開発に貢献することです。

北 「技術開発とプロダクト開発をよりスムーズに接続して、技術開発をもっとおもしろくしていきたいと考えています。市場の変化や技術の導入にかかるスピードがどんどん早くなって開発サイクルも高速化していくはずです。そのような状況下で、組織にとってもそれぞれの研究者にとってもより良い開発体験ができるよう、スムーズな接続に貢献したいと思います」

不確実性が強いデータサイエンティストの仕事を楽しみながら、開発にこれからも貢献していきたいと意欲を見せる北。

Hondaのモビリティやサービスを活用するユーザーに、さらに豊かで楽しいモビリティライフを提供すること目指し、北をはじめとするメンバーはこれからもデータを活かした開発を進めていきます。