生活を変える挑戦をしたい。チャレンジングな環境を求めてHondaへ

モビリティサービス事業本部のコネクテッド事業統括部コネクテッド戦略企画開発部開発課で働く田は、中国出身のエンジニアです。中国の大学でコンピューターサイエンスを専攻し、技術者の道を進もうと考えていました。

子どもの頃から身の回りに良質な日本製品があり、日本のモノづくりに憧れていた田は、卒業後、日本に留学することを決意したのです。日本の大学院に入って知能システムを専攻し、2009年に卒業。新卒で大手IT企業に就職しました。

田 「最初に就職した会社では、6年ほど開発者向けのプラットフォームやミドルウェアの開発をしていました。仕事内容は好きでしたが、エンドユーザーとの距離が遠かったため、自分の作ったものがどのように社会に貢献できているのかはよくわかりませんでした。

当時から自動車業界は100年に1度の変革期と言われており、自動運転やコネクテッドが流行っている時期だったので、今度はサーバーエンジニアとして自動運転のベンチャー企業に就職したんです」

2015年に転職したベンチャー企業で、田ははじめてクルマに関わる仕事に携わりました。

田 「機械学習や人工知能の技術を活用した歩行者認識やダイナミックマップの作成など、サーバーサイドのシステム開発が仕事でした。自動運転やコネクテッドは人の生活を変えられる技術なので、やりがいを感じていましたね。

しかし、当時はクルマ側の先進技術やインフラ、法律法規の整備に時間がかかっており、ベンチャー企業ではなかなか自動運転の実用化に至りませんでした。完成車メーカーのほうがやりたいことを叶えやすいのではないかと思い、転職を考えはじめました」

日本の完成車メーカーについて調べたところ、Hondaが目に留まったのです。

田 「会社の歴史や創業者である本田 宗一郎氏の言葉を書籍などで目にし、Hondaは技術者を大切にしてくれそうな会社だと思ったんです。また、四輪や二輪、ライフクリエーション*、ジェット機などさまざまな分野をカバーしているチャレンジングな会社だと感じました。数ある日本企業のなかでもわずかな会社しかできない、“生活を変える挑戦”をしていることも魅力的でしたね」

*「人々の暮らしを豊かに創造する」製品という意味。Hondaは発電機、耕うん機、芝刈機、除雪機やそれらの動力源ともなる汎用エンジン、船外機や蓄電機など、暮らしや仕事に役立つ様々な製品を展開している。

さらに、田がHondaで働きたいと強く思ったのは、Hondaがソフトバンクと共同研究した内容に惹かれたからでした。

田 「2016年、HondaとソフトバンクがAI技術の『感情エンジン』を活用した共同研究を開始しました。ソフトバンクが持っている感情認識のシステムをクルマでも活用するというニュースを見てとてもおもしろいと思い、Hondaに転職することにしたんです」

海外子会社との共同開発でテックリードを務める

2016年にHondaへ入社した田が最初に取り組んだのは、“車の走行データをどのように活用して人を理解するか”というテーマの研究でした。

田 「人工知能や機械学習、データ分析などによって予測モデルを作成したり、人の特徴を収集したりする研究に携わりました。その後は、研究したものをシステム化するためのシステムアーキテクチャの設計や、クラウド側の開発や検証などを行いましたね」

田の武器は、これまでの仕事で身につけてきたIT技術やソフトウェア開発スキル。もともとクルマに特別詳しいわけではなかったので、転職後すぐに未経験の仕事に携わることになり、最初は不安を覚えたといいます。しかし、Hondaには周囲と高め合いながら働ける環境が整っていたのです。

田 「周りのメンバーも9割ほどが中途採用で入社していて、その多くがIT業界からの転職でした。そのためクルマにあまり詳しくないメンバーもいますが、一緒に勉強しながら仕事を進めています。Hondaは自動車会社ではなく、多岐に渡る事業を展開しており、移動や暮らし全体に関わるビジョンを持っているので、クルマだけにこだわりすぎないスタンスで仕事ができると感じました」

2021年4月から、田は「Honda RoadSync」のプロジェクトに携わっています。「Honda RoadSync」はDriveMode,Inc.*が主体で開発したスマホアプリです。このアプリを使用すると、Hondaのバイクに乗りながら、通話、メッセージ、ナビゲーション、音楽といったさまざまな機能にシンプルかつ簡単にアクセスできるようになります。

「Honda RoadSync」をHondaが継続的に進化させるため、田が所属する開発課のチームが中心となって連携を進めています。田はチームのテックリードとして、複数のプロジェクトを横断するマネジメントをしているのです。

*本社が米国カリフォルニア州にあるスタートアップ企業。スマートフォンを活用したコネクテッドサービスの開発・運営を携わっている。2019年にHondaの完全子会社化

田 「現在私は各プロジェクトの状況をヒアリングしながら、人員リソースの配分や開発に関する技術支援、人材育成を行っています。私のチームはサーバー技術に特化した開発者が集まっていて、モビリティサービスの製品化を中心に行っています」

シリコンバレーに本社があるDriveMode社のメンバーとコミュニケーションを取るときは、英語を使わなければなりません。チームにはあまり英語が得意でないメンバーも多いものの、デイリーミーティングやスクラム開発*のイベントでは積極的にコミュニケーションを取るようにしています。

*ソフトウェア開発手法の1つで、ソフトウェア開発チームが一丸となって迅速に開発を進めるための方法論をまとめたもの

コトづくりで新しい価値を提供する

海外の企業と共同開発を進めるのは、田にとってはじめての経験でした。そのため、言語以外にもつまずくポイントがありました。

田 「DriveMode社は、流行しているツールや環境を積極的に導入しています。一方、Hondaでは法規やインフラの問題があるので、取り入れたいものがあっても短期間で使えるようにするのは難しいんです。

相手と同じインフラやツールで共同開発を進められないのは、組織のなかで障壁となっています。そのため私のチームでは、ベンチャーやスタートアップと同じようなツールを使い、速いスピードで進められるような環境づくりにも取り組んでいますね」

プロジェクトを上手く進めるために、田は定期的にコミュニケーションを取ることを心がけています。

田 「私はどちらかというと開発の部分にフォーカスしてプロジェクトに関わっていますが、最も重要なのはコミュニケーションです。そのため、プロジェクト関係者とのデイリーミーティングをしたり、メンバーとの2週に1度1on1ミーティングを行ったりして、個人とチームのパフォーマンス最大になるように引き出しています」

コネクテッド戦略企画開発部開発課の仕事の魅力は、モノづくりだけでなくコトづくりを経験できること。所属部署の仕事について、田はそう考えています。

田 「当部署では、いくつかのプロジェクトを並行して進めており、旅行などのサービス開発にも携わっています。クルマというモノをつくる会社で、シェアリングや経路検索などのサービスというコトを提供し、移動に関するユーザーの付加価値を向上させる。それに携われることが、この部署で働く醍醐味だと思います」

さらに田は、新たなサービスを生み出すコトづくりを行ううえで、Hondaの文化は大きな強みだと感じています。

田 「人の移動に関わるのはクルマだけではないので、さまざまな分野のパートナーを探して良いサービスを作ることが必要です。その際、個々の意見が尊重されるのがHondaの良い文化です。外部と連携しながら自分で企画し開発して運用できることが、当部署の魅力だと思います」

モノづくりだけでなくコトづくりによってユーザーが受け取る価値を高めるというのは、田が率いるチームのメンバー全員が共通して持っている目標です。

田 「全員が同じ目標に向かって仕事ができるように、チームのミッションやバリューの振り返りを定期的にしています。我々は開発中心のチームなので、世の中にあるアジャイル開発*のカルチャーをベースとして、当チーム特有のものを加えて新しいカルチャーにすることを意識しています。それが正しいかどうかはわかりませんが、まずはトライしています」

*ソフトウェア開発手法の1つで迅速かつ適応的にソフトウェア開発を行う軽量な開発する方法

成長できる環境で、変化を楽しみながら未来を描く

Hondaでプロジェクトを進める田のモチベーションを向上させているのは、周囲のレベルの高さや社会貢献の実感です。

田 「エンジニアとして、環境の変化を追求し続けることは大切だと思っています。Hondaには最新の技術を持ったエンジニアや機材の専門家など、さまざまなスペシャリストがいます。優秀なメンバーから刺激や影響を受けて日々自分を変えていけるのは、非常におもしろいですね。

また、自分が手がけている仕事によって自分の生活が便利になったり、社会に貢献できたりする実感を得られることもモチベーションアップにつながっています」

田はもともとサーバーエンジニアとして開発に注力していましたが、Hondaに入社してからはモビリティサービスの立案、プロトタイピングやアジャイル開発を通じた仮説検証、プロジェクトマネジメントなど、幅広い仕事に力を注いできました。今後はこれまでの経験を活かしながら、エンジニアとしてのキャリアを歩んでいきたいと考えています。

田 「私が現在率いているチームには9人のメンバーがいますが、さらに人数を増やし、競争力を強化していきたいですね。技術の専門性だけではなく、トレンドの技術を随時吸収することも大切です。最終的に仕事を通じて、メンバー各自の成長、企業の社会貢献に繋げていきたいと考えています」

そのために今やるべきは、チームの課題を解決すること。田がマネジメントしている開発チームの課題のひとつが、プロジェクトを進めるスピードです。

田 「コネクテッドのプロジェクトは“スピードが命”です。より迅速にサービスを提供しユーザーエクスペリエンスを改善するために、システム開発のやり方を改善しました。従来のベンダー管理から、社内で企画、開発、運用までを担う手法に切り替え、内製アジャイル開発を推進しています。

この取り組みにより開発周期を約半分に短縮できました。また、開発のノウハウを蓄積しながらプロジェクトに活用することで、Hondaの競争力強化に寄与できると考えています」

そして、チームのもうひとつの課題として、人材教育が挙げられます。

田 「メンバーの大半が中途入社ですが、その多くは若手社員です。したがって、早期育成を通じてチームの戦力となってもらうことが最重要だと思っています。

メンバーがどのようにスキルアップできるか、最近マネジメントに加わり考えています。定期的なメンバーのスキルチェック以外に、外部の知見や有識者の意見を取り入れながらスキルアップための環境作りをさらに進めたいですね」

今後ますます進化していく、Hondaのコネクテッド開発。田は変化を楽しみながら働いていける人と仕事がしたいと考えています。

田 「オープンマインドを持って周りとコミュニケーションできることが重要だと考えています。考えていることをきちんと言葉にし、フラットにコミュニケーションを取ることができれば、プロジェクトも円滑に進められます。

また、コネクテッドのプロジェクトは変化が激しいので、そういった状況を前向きに楽しめる人がチームには多いですし、向いていると思います。最新技術を追い続けながらチャレンジし続けられる方、モノづくりだけはなくコトづくりを経験したい方といっしょに働けたら嬉しいですね」

100年に一度の変革期である自動車業界に挑戦し、その変化を楽しみながらHondaのコネクテッド開発を支える田。今日も最前線で開発を続けます。