振り返れば、いつも身近にHondaがあった

中途採用でHondaに入社した人見は、入社してから2021年5月の現在に至るまで、四輪事業本部の契約チームに所属しています。

そこでは、一貫して中国の完成車拠点との契約締結業務に携わってきました。

そんな人見のキャリアは、新卒で飲食のベンチャー企業に就職したところからはじまります。

しかし、入社後間もなく、激務だったことから体調を崩してしまい、半年後には計測機器を取り扱うメーカーに転職することになりました。そして転職後は6年半ほど、海外営業担当として中国や韓国で製品を販売するようになります。

なぜ、飲食業から海外取引のあるメーカーに転職したのか。そこには、学生時代の経験から来る、海外の国々とビジネスがしたいという思いがありました。

人見 「私は学生時代、英語がとても苦手でした。しかし、その必要性は感じていたので、英語嫌いを打破するために、思い切って1年間のアメリカ留学に挑戦したんです。留学先に日本酒を持っていったところ、現地の方に日本酒の製造方法などを根掘り葉掘り聞かれたのですが、質問に答えることができませんでした。

日本の製品が海外でも評価されることを体感できた一方、きちんと説明できない自分に不甲斐なさも感じたんです。その経験がきっかけとなり、『もっと日本のモノづくりについて知りたい、グローバルに仕事がしたい』と思うようになりましたね」

メーカーに転職した人見でしたが、次第に、より愛着が湧く、自分が好きな製品を扱いたいという想いが強くなり、再び転職することを決意します。

人見 「前職で扱っていた計測機器は、業界では信頼された優れた製品ですが、普段慣れ親しんでいる身近な製品ではありませんでした。それなら、自分が慣れ親しんでいる好きな製品を取り扱っている会社の方が、もっと意欲的に働けるのではないかと考えました」

自分が愛着を持てるものって、なんだろう──

そう考えたときに真っ先に浮かんだのが、Hondaの製品だったのです。

人見 「小学生の頃に父親がHondaの初代CR-Vに乗っていて、その車が好きでした。また、自分自身も高校入学時にTODAYというスクーターを買い、通学の際に乗っていたんです。

大学生の頃に新聞配達をしていた時の相棒はスーパーカブ。最近はADV150を買って近所を乗り回しています。意識していたわけではなかったのですが、気がつけばHonda製品はずっと身近にあって好きだったんです。『自分が愛着を持てる製品を扱うメーカーで働きたい』という想いで、Hondaの入社試験を受けたら、運良く採用してもらえました(笑)」

契約締結の鍵は、泥臭さ。関係性の構築が成功につながる

2017年にHondaへ入社した人見は、入社後すぐに契約の仕事に携わりました。

人見 「私が主に扱うのは技術使用許諾(技術ライセンス)契約です。たとえばHondaが技術を使用許諾すると、現地法人がその技術を使用して、アコードやCR-Vといった車を作るという仕組みです。Hondaは、技術の使用許諾として技術対価を回収しますが、金額は膨大で、中国から日本へ送金する際の政府規制などもあり、課題が山積みで苦労が絶えないです(笑)。とにかく、始めから終わりまで気が抜くことができない、とても重要な契約ですね。

そんな契約業務において、印象に残っているのは、入社後はじめて関わった契約です。相手との交渉が折り合いませんでした。オープンにすべき技術や知識、それに対する対価について、双方から激しい主張が繰り出され、交渉は何日も続いていきました。技術の使用許諾者としてのHonda(本田技研工業)にとって、知的財産やノウハウといった適正対価の守り切りは必須です。しかし、出資者としてのHonda(本田技研工業)としては、現地法人の発展にも寄与したい、という二足の草鞋を履くため、なんて難しい交渉なのだろうと衝撃を受けました」

前職の海外営業でも、お客様と直接交渉し契約を結んでいた人見。そのため契約締結業務にある程度の自信を持っていました。しかし、Hondaのライセンス契約はこれまでの経験とは毛色の異なるものでした。

人見 「交渉相手の企業は、Honda(本田技研工業)と現地法人の50%ずつの出資によって成り立っているので、Hondaの完全なる子会社ではありません。“半分身内で半分ビジネスパートナー”という微妙な関係性です。そういう相手との交渉は、非常に難しいのです。どのように交渉して相手と自分たちの双方が納得できる落としどころに持っていけるのか、今でもかなり苦労しています」

難しい交渉をまとめていくため、人見は現地法人との対話を特に重視しています。

人見 「現地法人の担当としっかり人間関係を構築し、そのうえで腹を割って話し合うことが合意形成につながっていると感じます。コロナ禍の以前は月に1回は現地へ行き、昼間は担当と交渉して夜は会食で親交を深めていました。

オンライン会議だとどうしてもよそよそしくなってしまう場面もありますが、現地に行って顔を合わせると、壁が取り払われた状態になり、お互いに言いたいことを言い合えます。結果としてwin-winの落としどころで交渉がまとまるという経験は何度もありました。現地法人の担当者と信頼関係を構築できていたからこそ、コロナ禍でオンライン会議が中心になった今でも、きちんと腹を割って話すことができているのかもしれません」

契約締結業務では、ひとつの契約を結んだ後に、他の製品などにも合意内容を展開する必要があります。ある交渉が長引いたことで締結しなければならない契約全般が滞り、このままだと実務の推進に影響が及んでしまうという窮地に立たされたこともありました。

人見 「どうしようかと思ったとき、上司から『中国で全ての契約を締結できるまで帰ってこなくていいよ』と半分冗談、半分本気で言われ、中国に出張へ行くことになりました。限られた期間内で締結をまとめられるよう、滞在中は、毎日広い完成車拠点を駆けずり回って各部門の担当と交渉をしていました。

最終的には全ての契約を結ぶことができ、実務に影響は出ませんでした。ただ、『契約締結まで戻ってこなくていい』という使命を告げられ、現地でやり方を考えながら動くという“突き放され感”に驚きましたね(笑)。契約をやり遂げた経験は、大きな自信につながりました」

一見すると冷たく感じてしまう「契約締結するまで帰らなくていい」という上司の言葉。しかし、人見は上司の言葉の裏にある愛情を感じていました。泥臭く取り組むことで勉強してほしい、強くなってほしいという気持ちがわかったからこそ、懸命に取り組み、成長につなげることができたのです。

人見 「泥臭さがないと何も上手くいかないというのは、Hondaで学んだことのひとつです。職場で実際に活躍している社員は、体力や精神力があり、困難な状況でもへこたれない、タフな人ばかりです。思い通りにいかなくても別の方法を考えてリスタートするような、芯の強さを持った人たちがたくさんいます。

先輩たちも、苦労しながら壁を乗り越えたことで今があるんだと思います。私も負けないように食らいついていきたいですね」

やるからには全力で。レクリエーションで狙うは「優勝」の2文字

▲有名メーカーのトレーナーを着て(左)社内レクイベント駅伝大会での一コマ(右)

人見が全力で取り組んでいるのは、仕事だけではありません。社内で開催されるレクリエーション(以下レク)にも、力を注いでいます。

Hondaには、運動会や駅伝大会などがあり、同じ部署の人たちとチームを組んで出場します。運動会は隔年で開催されており、各地域で予選を行い、勝ったチームは西武ドームで行う本戦に参加できるという仕組みです。

人見は、2018年に行われた向陽会*駅伝大会において、課のメンバー手作りの「くいだおれ太郎」の仮装をし、個人仮装優秀賞を受賞。さらに、同年の全社レクでは大縄跳びで2期連続本社代表を勝ち取っています。

契約締結業務という緻密で重要な仕事に携わる一方、レクでも存在感を発揮する人見。その背景には、「やるからには全力で楽しむ」という自身のスタンスがありました。

向陽会* 従業員向けレク団体の名称。地域ごとに団体があり、向陽会は青山・和光地区の組織。

人見 「レクなので楽しむことが1番だとは思いますが、やるからには勝ちたいとも考えています。チームメンバーとどうやって勝つかを話し合う過程もとても楽しいです。

2018年の駅伝大会では走力で勝負するのが難しかったので、個人仮装優秀賞を狙おうと戦略を立てました。結果が出たときはうれしかったですし、賞金ももらえましたが、なんといっても衣装作りから仲間と一丸となって狙ってきたので、達成感を分かち合うことができてよかったです。やるからには全力で取り組もうと考えています」

自身のスタンスと職場環境がマッチしたことも、人見がレクに全力を出せる理由のひとつです。

人見 「所属部署の上司も、レクに本気で取り組む人です。レクでは上司と部下の垣根が取り払われた状態で話し合いをするため、普段仕事では見られない、上司のお茶目な一面を見ることもできます。それによってアイスブレイクもできるので、チーム構築に副次的な効果もあると感じますね」

レクに全力で取り組むことで、意外な効果もありました。

人見 「打ち合わせで初対面の人にいきなり微笑まれて不思議に思っていたら、『くいだおれ太郎の人ですよね』と言われたことがありました。レクの様子は、他部署の人も結構見てくれているんです。私は中途入社であまり顔が知られていないのですが、レクがきっかけでコミュニケーションが生まれたこともうれしかったです」

さらに、人見は仕事もレクのように楽しくできるよう工夫をしています。

人見 「上司とあるプロジェクトを進めていた際に、目標金額に対して実際の契約が半分しか取れていないというギャップに悩んだことがありました。とても大変な状況でしたが、『辛い仕事こそ楽しくやってみなよ』と上司に言われ、一目散にGAPのトレーナーを買いに走りました。

ギャップをどうにか埋めなければならないので、GAPと書いてあるトレーナーを上司の分も買って『一緒に頑張りましょう』と渡したんです。上司も「何だよこれ」と言いながら、うれしそうに着てくれましたし、仕事を楽しく進めるための工夫ができたと思います(笑)」

Hondaファンを1人でも増やすために、今の自分ができること

人見は、「契約締結業務のやりがいは泥臭さを発揮して問題を解決できることだ」と感じています。

人見 「契約に関する揉めごとは、日々起こります。社内や現地法人から問い合わせがくるので、専門性を持った人たちに相談して、いかに周囲を巻き込みながら整合していくかを考えます。面倒なこともありますが、問題が上手く解決したときは達成感がありますね」

Hondaのファンを1人でも増やしたいという想いを、入社時から強く持っていた人見。現在携わっている業務が直結するわけではありませんが、間接的にファンづくりに貢献していると想像しながら仕事に励んでいます。

人見 「Hondaのファンづくりに貢献することは、私の仕事の原動力です。たとえば、技術使用許諾の対価について、私がきっちり契約を締結し現地法人から確実に回収ができていれば、Hondaがきちんと開発にお金を回すことができます。それによって魅力的な製品ができあがり、お客様がHondaのファンになってくれるだろうと想像しながら今の仕事をしています」

入社以来中国との契約業務を続けている人見は、今後の目標として2つのことを掲げています。

人見 「1つは、現在の部署で身につけた契約締結のスキルを、別の海外拠点に展開させることです。もう1つは、せっかく海外営業として入社したので、契約だけでなくヒト・モノ・カネ・情報を俯瞰し、深く理解できるようになることです。モノの動きとお金の流れを把握し、一気通貫でコトづくりにチャレンジし続けたいと思っています」

また、仕事だけでなく、レクも楽しむ姿勢は、今後もずっと貫くつもりだと熱く語ります。

人見 「やるからには、レクでも1位を目指したいです。何かしら賞を取っていきたいですね。私は『Hondaらしいね』とよく言われるのですが、Hondaで働く人は、昔から仕事にも遊びにも本気で、そんなカルチャーから社内のレクが誕生したそうです。会社のレクに対するスタンスと私のマインドは一致しているので、伝承していきたいと思います」

Hondaに入社してから、仕事もレクも全力で取り組んできた人見。

よく働きよく遊び、周囲を笑顔にしていく人見は、これからもHondaのファンづくりにひたむきに貢献していきます。