お客様により良いサービスを提供するために。ユーザー視点でIT環境を整えるのが使命

article image 1

ICT(Information and Communication Technology)課は、ホンダモビリティランドのIT部門。現在、入社12年目の北楯はここでセキュリティ・運用管理チームのリーダーを務めています。

鈴鹿サーキット、モビリティリゾートもてぎは、国際的なレースを開催するレーシングコース、小さなお子様も自ら乗り物を操ることができる体験型自動車遊園地、交通教育施設、リゾートから成り、モビリティリゾートもてぎは自然体験施設も備えます。二つの施設はお子様から大人の方まで楽しめるモビリティパーク。ICT課の業務は、来場されるすべてのお客様の利便性向上に直結しています。

「施設のホームページをはじめ、問い合わせや予約、チケット購入が使いやすく整備されているか、便利に買い物や飲食ができるかなど、お客様の利便性を向上させるのは、私たちICT課が導入するシステム。お客様の動きの一つひとつに関わっています。

ICT課のミッションは、施設を利用するお客様の行動にITの力で応えること。さらに、社内のスムーズな連携にも深く関わっています。課は4チームに分かれ、システム開発と保守・管理運用を行っています」

システム開発チームが、施設を利用するお客様向けと社内向けのシステムをつくり上げるべく、IT戦略の企画を立案し、ベンダーと一緒に構築。インフラチームが、システムを支えるネットワークやPC環境を整え、セキュリティ・運用管理チームがそれらの適切な運用を統括し、運用チームがシステムの運用サポートや保守業務を支えています。このうち北楯はセキュリティ・運用管理チームに所属し、チームリーダーとして、4名のメンバーのマネジメントも行っています。

仕事をする上で大切にしていることは、お客様の存在を常に意識することと話す北楯。

「私たちはIT部門ですが、お客様の利便性向上を常に意識しています。たとえば、システムを入れ替えるときは、入れ替えること自体が目的ではなく、『これでお客様がもっと楽しめるようになる』『従業員の業務が効率化して、お客様へ向けたサービスの向上にさらに時間を充てられる』という気持ちで遂行しています。

ホンダモビリティランドが営むのはサービス業。どうしたらお客様にとってより良いものを提供できるかという視点でIT環境を整えることが、私たちの使命だと思っています」

こんなにも楽しい場所があることを知っていただきたい。

大学では農学部で農業土木を専攻した北楯。学んだことを活かすべく、就職活動では土木系やゼネコン、鉄道や自動車に関する企業を中心に選んでいました。

「土木系だと、大学院に行っていないとなかなか専門分野が活かせないという職種が多く、苦戦する中で、自分の好きなことや趣味に近い企業を一つだけ受けてみようと。それがダメなら大学院に進もうと思ったんです。

昔から『F1』が大好きで、叔父や家族らと鈴鹿サーキットの『F1』、モビリティリゾートもてぎの『トライアル世界選手権』『花火の祭典』など、よくイベントに遊びに行ったり、レース観戦をしに行ったりしていたんです。その憧れから、ホンダモビリティランドをどうしても受けたいと思い、選考に挑みました」

自分の好きなことに絞って応募したホンダモビリティランド。 

「内定が出たときは嬉しかったですね。すぐにモータースポーツ好きの叔父に『受かったよ!今度は働く側でF1に行く』と大喜びで伝えたのを覚えています」

入社前はレーシングコースばかり訪れていたという北楯。体験型自動車遊園地であるパークの存在を知ったのは入社後。その本当の魅力を知って衝撃を受けたと言います。

「鈴鹿サーキットでは、親子でレーシングカーに乗ってタイムアタックができたり、小さなお子様もバイクに乗れるようになるアトラクションがあったり、お客様自身で操縦できるアトラクションがたくさんあって、モビリティへの興味を導くものばかり。『こんなにも楽しいアミューズメントパークがあったんだ!』と衝撃を受けました。

学生時代に足繁く通ったモビリティリゾートもてぎにも、レース・イベントやホンダコレクションホールだけでなく、お子様から大人の方まで楽しめる本格的な森のアクティビティや、車を組み立てて走らせるワークショップ、さらに安全に危険を体験できる交通教育施設まであることを入社して初めて知りました。

このすばらしい施設をもっとたくさんの方に知って楽しんでいただきたい。そのために、この会社に貢献しようと決意しました」

念願かなって、北楯は鈴鹿サーキット パーク事業部 モビリティ・アミューズメント課へ。2年目に、現在のICT課に異動しました。

「ICT課に来た最初の頃はIT知識があまりなく、電話をたくさん取って受け答えをしながら専門用語を覚えました。ICT課で約4年間、ひと通りの業務を経験したところで、鈴鹿サーキット ホテル・フードサービス部 フードサービス課へ異動。そこでホテルレストランの企画担当として、メニューをどう見せたらおいしそうに見えるか、キャンペーンをどう打った良いかなどを考え、3年間経験を積みました。

自分の仕事が売上やお客様のご来場数としてリアルに結果が出るので、この3年間は学びが多かったと思います。労働組合の専従書記長を2年務め、総務系の知識も習得することができました」

その後、ICT課に戻った北楯にはプライベートで変化もありました。

「ICT課に戻った当時、息子の年齢は2歳。ワークライフバランスも重視していました。ホンダモビリティランドは子育て中の私にとって働きやすい環境です。息子は現在4歳になり、私と同様にF1好きに育っています。2週間に1回は鈴鹿サーキットに遊びに行くので、パークのことは親目線でも子ども目線でも知り尽くしていますよ(笑)」

お客様をより夢中にさせる新しい仕掛け──大きな成長へ

article image 3
▲北楯が開発に携わった「サーキットチャレンジャー」

これまでさまざまな部門を経験してきた北楯。とくに成長できたという鈴鹿サーキットのアトラクション開発での経験をこう振り返ります。

「入社3年目に、社内の企画コンテストで私が提案した鈴鹿サーキットの公式アプリが採用され、実際に開発を始めました。同じ時期、鈴鹿サーキットのアトラクションをリニューアルするプロジェクトが立ち上がっていて、私もそのメンバーに抜擢されたんです。

若手で大きなプロジェクトを経験できるチャンス。どんなアトラクションにするのか、どのような仕組みを使えば良いか、プロジェクトメンバーとアイデアを出し合うところから始めました」

さまざまな案が出る中でヒントとなったのが、プロのレーシングドライバーの走行データ。レーシングドライバーはデータが命。走行データを読んで、1000分の1秒の違いを分析。なぜこのポイントが速くなったのか、部品を変えたことに起因しているのだろうかと考察し、マシンの開発を進めます。お客様にこの体験をしていただけないだろうかと考えます。

そして、約2年の歳月をかけて完成したのが「サーキットチャレンジャー」。レーシングコースをマシンで体験走行し、その走行データをお客様ご自身でチェックいただけます。北楯が並行して開発した鈴鹿サーキット公式アプリから、ランキングを確認できる仕組みもつくりました。

「お客様は、開発ドライバーという設定で5つのミッションに挑みます。たとえば、最初のシグナルに合わせてスタートの瞬間にアクセルを踏んで、誤差が小さいほど加点され、フライングなら0点といった具合です。データを見たお客様は、『もう1回トライしたい』という気持ちに駆られることから、リピーターを増やすことにも成功しました。

この『サーキットチャレンジャー』のIT領域を私は担当しました。マシンに乗るときにデータカードを書き込む仕組み、システムの構成や仕様決め、モニターの選定や機械のデザイン、さらにはお客様が待たずに参加できるチケットシステムなど、最後の現場調整まですべて行ったことは自信になりました」

パークやレストランの現場でお客様と触れ合いながら成長してきた北楯にとって、お客様の笑顔こそがやりがい。現在の仕事の醍醐味をこう語ります。

「鈴鹿サーキットもモビリティリゾートもてぎも、施設内に事務所があるため、すぐに園内に足を運び、お客様が実際にシステムを使って喜んでくださっている姿を目にすることができます。

また、従業員から『安心して使えるようになったよ』とフィードバックをもらう機会も多いんです。ユーザーの生の表情を見たり声を聞いたりできるのは、開発者として珍しいこと。それがホンダモビリティランドで働く醍醐味だと思います」

変わらぬ想い──仲間と共に、新しい挑戦へ

article image 4

北楯の次なる目標は、各部門のDXです。

「これまでさまざまな部門を経験し、育ててもらいました。今度は私がリーダーとしてICT課のメンバーを育て、各部門へと輩出していく番だと思っています。

現在、ホンダモビリティランドでは急ピッチでDXを進めています。ICT課で知識をつけた人材を社内の各部門に配置してその部門のDXを促進し、ICT課で知識をアップデートして再び各部門へと戻っていくような循環をつくるべく、メンバーを育てたいと思っています。

これまで学ばせていただいたことをいかして、会社にようやく恩返しができそうです。IT領域に限らず、ホンダモビリティランドの事業全体に明るい人材になりたいと思っています」

そして、お客様とも従業員とも深く関わる部門として、必要な要素をこのように考えます。

「ICT課は理系人材が中心となり活躍していますが、寡黙な職人タイプよりも、人とのコミュニケーションが好きな方が向いていると思います。ガチガチに固まった専門知識だけで対応したところで、いざトラブルが起こったとき、何が原因なのかわからないんです。だからヒアリングはとても大切で、コミュニケーションが必要になります。

何より、ここはお客様に喜んでいただく場です。人を喜ばせたい、楽しませたいという気持ちを持ち、どうしたら楽しんでいただけるかをイメージしながら、幅広いことに挑戦していける方と共に働きたいですね」

ホンダモビリティランドの唯一無二の魅力をこのように語ります。

「自分の仕事一つひとつがレース業界やモビリティ文化の発展につながるところが魅力であり、私の大好きなところです。F1やMotoGP™といった世界レベルのイベントを開催する国際レーシングコースにアミューズメントパークやホテル、交通教育施設を併設する場所は、世界でなかなか類を見ません。その施設のサービスをITの目線でより良くしていける仕事ができることにやりがいを感じます。

また、サービス業の中でも福利厚生が充実し、週休2日とまとまった休日が取得できるのも、Hondaグループならでは。ホンダフィロソフィーの“人間尊重”が深く根づいていると感じます」

たくさんのお客様に楽しんでいただきたい──その想いは新入社員だったころ、ホンダモビリティランドの魅力を深く知って衝撃を受けたときから変わりません。きっとその想いはこれからも北楯の心の中心となり、新しい挑戦への原動力になっていくはずです。

※ 記載内容は2023年7月時点のものです