経理処理や勤怠管理を紙からデジタルへ。顧客の業務を効率化するポジション

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ICT(情報通信技術)に関わるコンサルティングの専門部署で業務にあたっている山内。中でも日報作成や経理処理、勤怠管理といった顧客のあらゆる業務を、それぞれの要望に合わせてシステム化するクラウドサービス・kintone(キントーン)の開発や導入を担当しています。

山内 「製造業、卸売業、飲食業をはじめ、多岐にわたるお客様ごとにアレンジし、ご提案します。担当するのは主に地元の中小企業で、大手クライアントの案件を任されることも少なくありません。各社の課題について経営者に直接ヒアリングをする機会が多く、kintoneで業務アプリを作るなどして、解決につなげています」

たとえば、従業員が作成した日報を事務担当者がエクセルに転記するという二重の手間が生じていたケースや、全社員の勤務時間を手作業で計算していた会社もありました。ですが、いずれもアプリによって一括入力や集計が可能になりました。こうしてこれまで紙ベースだった仕事のDXを推進することで、業務の効率化を図っています。 

山内 「ヒアリングではお客様の要望を聞くだけではなく、こちらから提案することでお客様自身が気づいていない課題を引き出すこともあります。その結果『効果が出たから業界の仲間にも紹介したい』と評価されることもあり、とても嬉しいですね」 

ICTグループには、長年にわたりコンサルティングのみを担当しているメンバーが多いのが特徴。そのため、銀行の窓口から異動してきた山内には、彼ら、彼女らとは異なる視点が求められるといいます。 

山内 「数々のお客様と対面してきた経験から、私は相手の口調や仕草を通じて気持ちを読み取ることが比較的得意だと感じています。そこで、会話が止まった際の態度や発言の強弱に着目し、自分なりに先方の意図を解釈して同行した営業担当者にアドバイスしています」 

システムやアプリは経営者のみならず、すべての従業員が使用するものであるため、説明会を開いて実際に操作してもらい、マニュアルも作成し、組織への浸透を図ります。 

山内 「アプリがある程度の形になったらお客様に確認していただきながら改良を繰り返します。kintoneは長い間お使いいただくことになるので、細部まで手を抜かず、満足できるものを作らなければなりません」

貯蓄や融資について学び、銀行内でのキャリア形成を考えていた支店勤務時代

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山内は学生時代、商学部に在籍して日本と海外の企業のあり方を比較しました。そもそも大学に入る以前から会社という組織の成り立ちに関心があり、グローバル志向も手伝ってこの学問を専攻したといいます。

山内 「大学卒業後、新卒で北國銀行に入りました。都内の大学に通っていたのですが、東京から石川を見て『こんなに魅力があるとは知らなかった』と気づいたことがきっかけ。今まで自分にとっては地元の景色として当たり前にあった兼六園や金沢城が、県外の方々にとっては本当に価値のある場所だとわかりました。そんなこともあって『これからは石川に貢献したい』という思いが募り、北國銀行を選んだのです」 

入社後はまず鶴来(つるぎ)支店に配属され、窓口業務全般を担当。顧客の入出金、納税、業務のデジタル化をサポートしつつ、接客時は相手との会話を膨らませることに注力していました。 

山内 「ある方面からのアプローチが難しい場合でも、たとえばお客様から家族の話題を耳にしたら相続の支援を提案するなど、別の角度から当行にできることを模索していました。次に小松支店へ配属されましたが、鶴来支店とはお客様のカラーが異なり、最初はペースをつかむのがなかなか大変でした」

新しい環境に「とにかく慣れるしかない」と考え、積極的に窓口に立って顧客と話すよう努めた山内。当時は「銀行で働くのだから、貯蓄や融資といったお金に関する知識を身につけて、今後のキャリアを描いていこう」と考えていたのです。

ひとつのアプリを入れるだけで何人もの業務負担が減り、現場が変わっていく

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支店での日々を送る山内に、ある日CCイノベーションへの異動辞令が下りました。未知の部署への配属、また顧客が個人から法人に変わることに不安はありましたが、以前からICTに関心があったので期待のほうが大きかったと語ります。 

山内 「窓口でお客様のデジタル化を支援する中、便利な技術だと手応えを感じる反面、メリットが十分に伝わっていないかもしれない、と、もどかしく思っていたのです。異動辞令は突然でしたが、社内では前々から、他の業務にも関心があることを上司に相談してきたこともあり、柔軟に気持ちを切り替えられました」 

入社当初に比べて自分で成長を感じるのは、社内外を問わず人と話すようになったこと。コンサルタントという立場がそうさせるだけでなく、情報収集の意味でも自ら進んでコミュニケーションを取っています。 

山内 「仕事中に『自分が考えていること、そのために相手にしてほしいこと』を伝えるようになりました。スピード感が求められる部署においてチームがテンポ良く前進するためにも、私自身が積極的に意見することが大切なのです」 

一方、よく壁に当たるのは、各社の課題を解決しようとこちらは奔走するものの、体制の変化に拒絶反応を起こしてしまう従業員がいることです。彼ら、彼女らの理解をいかに得ていくか、経営者と共に解決策を見つけていかなければなりません。 

山内 「kintoneが本当に役に立っているのか、いつも気になります。納品後はお客様自身が作業することになるので『課題は解決できましたか?』と毎日のように連絡を取りたくなりますね。もちろん定期的にモニタリングするなど、アフターフォローにも力を入れています」 

コンサルティングの仕事では、最初のヒアリングやアプリの使用方法の説明に四苦八苦しますが、一度に多くの人間の業務負担を減らせるのが大きなやりがいです。ひとつのシステムやアプリを導入するだけで現場がみるみる改善し、感動や感謝の声を聞けるのが現在の業務の醍醐味だと、山内は語ります。 

山内 「kintoneは導入コストが低く、会社の規模に左右されることなく業務のシステム化への入口に立つことが可能。『工程管理が楽になったから、次は販売管理の改善に着手したい』などと、お客様の新たな展開を見届けられるのもこの仕事の魅力ですね」

銀行にとらわれない将来を考える今。後輩には「顧客に興味を」とアドバイス

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山内は自らの長所について「気軽に話しかけやすい雰囲気を持っていること」だと考えているため、相手と目を合わせ、心の底から微笑む姿勢を大切にしています。また、好奇心旺盛なのでコンサルティングの仕事に適しているのではないか、と考えています。

山内 「ICTの領域では、毎日のように新しい技術やサービスが誕生します。お客様にベストな提案をするためには、私自身が抱えている情報も絶えずアップデートする必要がある。そのため、常に興味を持って情報を収集できる性格は役に立っています」 

今はkintoneに特化していますが、いずれ他のツールに関しても機能や特徴を把握し、ベンダーの紹介も含めて顧客をトータルに支援できるコンサルタントになることが目標。さらにその先は、北國銀行への入社理由でもある地域貢献において、石川県のDX推進をさらに加速する一助になりたい、と語ります。 

山内 「お客様に対してツールを提案するだけでなく、北國銀行内のシステムやアプリも開発できたらうれしいですね。コンサルタントは、ある企業が将来に向かう際に必要とする力を与えられる、特別なポジションだと思っています」 

2022年9月現在、支店の窓口業務を担当している若手の社員に対しては、自らの経験に基づき「目の前の仕事だけでなく、あらゆる方面からお客様の話を伺うことを勧めます」とメッセージを送ります。 

山内 「窓口には企業の経理担当者などもお越しになります。そうした方々を担当するにあたり『会社でお困りごとはありませんか?』などとアプローチすることで、法人のお客様としての関係を築くきっかけになることも少なくありません。今まで以上に興味を持って接することで、いろいろな変化が起こると実感しています」 

銀行業務と直接関係のない部署に来た現在、支店勤務時代に思い描いていたキャリアとはまるで方向が変わり、銀行という枠にとらわれない将来を考えるようになったという山内。CCイノベーションへの異動は新たな自分を見つける機会となり、まさに人生のターニングポイントです。機会を最大限に活かしコンサルタントとして今後も邁進していきます。