皆が働き易い環境の構築だけでなく、新しいシステムも貪欲に取り入れ進化させていく

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北國銀行は経済産業省から「DX認定事業者」のお墨付きを地銀として初めて取得。数多くの先進的な取り組みを実施することで話題を呼んでいます。なかでも社内の基盤を整備し、最新の情報へとバージョンアップしていくのが水摩の仕事です。

水摩 「私が所属しているのはシステム部 基盤・運用グループ。あまり目立たない部署ですが、社員が利用するパソコンやクラウドサービス、業務ごとに管理されているシステムなど、仕事をするために必要不可欠なシステムの基盤を作り、運用しています」

北國銀行はオールクラウド化に向け、IT基盤システムの全面更改、いわゆるグループウエアの刷新を行いました。このプロジェクトのシステム担当者が水摩です。

水摩 「社員が業務で利用しているパソコンを入れ替えるのを機に、自由にインターネットを利用できたり、もっとチームレスにオンライン会議を行ったりできるようにしました。システム更改前はセキュリティの関係上、自由にインターネットに接続することも、オンライン会議を行うこともできなかったのです」

水摩はベンダーと協力しながら環境を作り上げ、構想から3年がかりで運用に漕ぎつけることができたのです。

水摩 「MicrosoftのTeamsを導入し、部署を問わずに情報にアクセスしたり、オンライン会議ができたりするようになったことで、積極的な議論が交わせるようになりました。銀行の基盤システムとして大きな挑戦だったのではないかと思っています。新しいシステムですから、最初は使い方に戸惑う社員もいました。

しかし、ある程度の方向性だけ示すと、それぞれの部署でリテラシーの高い社員が主体となって活用されていったのです。苦労して作り上げたシステムを社員の皆さんが活用してくれる姿を見るのは感慨深いものがありました」

導入前に比べて、議論がリアルタイムに行われるようになりました。業務のスピーディ化、効率化が一気に進んだと感じています。

水摩 「現場の声を吸い上げるのはもちろんですが、ニーズを掘り起こして先んずることも重要だと感じました。ツールやアプリは日々進化していますし、新しいものは貪欲に取り入れ、利用させていくことも、北國銀行の特色だと思います」

思ったことはまず自分から行動する。波紋が広がることで環境が改善されていく好循環

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▲銀行から日本ユニシス(現BIPROGY)に出向したメンバーと

大学時代には経営情報を学び、企業のシステム開発や運用にとても興味を持っていた水摩。2013年から1年間、技術を学ぶために日本ユニシス(現BIPROGY)へ出向したことで、仕事に対する考え方が変わりました。

水摩 「技術は日々進歩していますし、一度北國銀行から外に出て、学べたことはとてもいい経験でした。ただし、その技術以外のところで受けた衝撃が、私にとっては大きかったです。上司に対して気軽に意見を取り交わしていたり、フラットにコミュニケーションを取ったりしている姿を目の当たりにしたことで、ぜひ北國銀行にも取り入れたいと思いました」

銀行という業種柄、上司に相談をするにも気軽には行えない雰囲気がありました。しかし、水摩と同様に出向していたメンバーも同じ考えだったため、少しずつ改革していこうと決めたのです。

水摩 「違う会社のカルチャーを体験して、良かったからすぐ導入というのは、北國銀行だけではなく一般的に考えてもなかなか難しいことです。そのため、気軽に相談するためにはどうすればいいのか考え、まずは自分の周りの後輩や部下に対して壁を取り払うというか、心理的安全性を確保しようとしました」

水摩が最初に行ったのは、「報連相」の仕方を変えること。以前はわざわざ場を設け、まるで面接のように行っていたのを止め、後輩やチームメンバーと普段の会話の延長線上でできるような雰囲気を作るように努めました。そのタイミングに合うように、組織のトップが変わったことで部の雰囲気も変わり、今では、それがシステム部でも当たり前の風景になりました。

水摩 「組織というのは良くも悪くもトップに影響されるもの。私たちが部内の雰囲気を少しずつ変えていこうとした時期と、北國銀行の変化がリンクしたということも大きかったと思います。会社も社員も働きやすい環境を目指して、変化を恐れずに実行していくことが大事だと実感しています」

オンラインとオフラインを上手に使い分け、システムも自己流にどんどん活用してほしい

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システムに関わる社員は、プロパー社員だけで約70名、サポートメンバーも入れると300人を超えます。システム部ではグループが4つに分かれていることもあり、やはりコミュニケーションは水摩にとって大きな課題です。社内のITインフラが充実し、ちょっとした相談であればTeamsを利用する人も多くなってきた今、水摩はあえてオフラインのコミュニケーションを利用することもあるといいます。

水摩 「Teamsで会議をするとき、もちろん参加者の顔は画面に映し出されていますし、不便さはありません。しかし、空気感を読んだり議論を活性化させたかったりするとき、また、しっかり合意を得て意識共有をしたいときには、オフラインのミーティングを活用することにしています」

コロナ禍でリモート勤務になり、Teams上のやりとりで完結するという土壌はできあがっています。だからこそ、本当に大切なことは膝を突き合わせ、面と向かって話をすることの重要性を感じているのです。

水摩 「システムやツールは、あくまで業務を助けるものだと考えています。システムに頼りすぎたり、人がシステムに使われてしまったりしては、本末転倒。自ら活用し、使いどころを考えることが大切だと感じています。

だからこそ、活用しやすいようなシステムとなるように開発を常に心がけていますし、運用の仕方も考えています。でも決まったルールにはしたくありません。押しつけ型ではなく、みんなでいい形を見つけ出していきたいですね」

水摩自身、技術を率先して調べ、トライ&エラーを繰り返しています。また、興味のアンテナを広げることで、提案できることも増えているといいます。

水摩 「知識だけあっても、実際に触ってみたら違うということはよくありますよね。導入するシステムも、業務で使わなくてもとりあえずいろいろな機能を使ってみるようにしています。たとえば、システムの活用法を誰かに聞かれたとして、自分で興味をもって突き詰めていなければ答えることもできませんから」

トレンドを取り入れながら、北國銀行にとって利用価値の高いシステムを構築し続ける

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2022年8月現在はDX採用にも力を入れるなど、システムだけではなく、さまざまな観点から銀行としての未来を追及している北國銀行。その中で、水摩には新たな目標があります。

水摩 「北國銀行として目指しているのは“次世代版地域総合会社” として、地域のDXを推進することです。法人向けのクラウドバンキングや、次世代CRM(顧客管理)システムを計画実行しているだけでなく、基盤面においてもBYOD(Bring Your Own Device)を導入するなど新しい取組に挑戦し続けています。

この動きを加速させるためにも、社員の使いやすいシステム導入の支援や、サポート体制をさらに整えていきたいと考えています」

あらゆる産業においてDXの重要性が説かれていますが、高度なセキュリティ体制が求められ、独自のシステムを築き上げてきた銀行において、DX推進は簡単なことではありません。また、先進的なシステムが導入されたとしても、それだけではDXも躍進も実現することは困難です。真に重要なのは、なぜそのシステムが導入されたのか、自分ならどう使うのかという社員一人ひとりのモチベーション。

水摩 「DXといっても、やはりついていけない人が出てきてしまうこともあります。そういう人たちを救って、さらには盛り上げる文化を作っていきたいと考えているのです」

水摩は、自分たちが開発している社内ITインフラが社員すべてに受け入れられるシステムなのか、を常に考えています。システムに関しても、新しい技術を取り入れることを恐れません。良いと思ったら試し、その結果として取り入れるか止めるかの取捨選択を繰り返す。

そこで残るものが、本当に利用価値の高いシステムとして積み重なっていくと信じているからです。水摩はこれからもITインフラの立役者として、北國銀行の社員やシステムの進化を支え続けていきます。