管理職の役割は、メンバー一人ひとりの知識や意見をうまく引き出すこと

「銀行員になろう」と決心し、新卒で北國銀行に入行してから20年あまり。多彩なキャリアを持つ福田 雅之ですが、2022年現在はライフプラン部ライフプラングループのグループ長として全体統括を行っています。

福田 「ライフプラングループは、北國銀行における個人部門(BtoC)の企画業務を担当する部署。“人生の設計図”とも呼べるライフプランの中で、誕生・進学・就職・結婚など、人生で起こりうるさまざまなライフイベントではまとまったお金が必要になります。そのお金にまつわるお手伝いをするための商品やサービスを考えるのが、ライフプラングループです。

資産運用や保険などの各種商品や、サービスの新規導入・改善・廃止、キャンペーンやオンラインセミナーなどのプロモーション施策について、起案から実施、運営から結果分析までを行っています」

福田を含め13名で構成されたライフプラングループが企画した個人向け商品やサービスを展開する実働部隊の個人部や、関連会社のFDアドバイザリーと協力しあい、業務を遂行。グループ内には外交チームとして、企業型確定拠出年金担当2名と法人保険担当1名が所属し、営業店社員との帯同訪問を行っているのも特徴です。

福田がそのグループ長に就任したのは2020年4月のこと。大きなグループのマネジメントを任されたのはこれが初めてでした。とはいえ、福田のスタンスは常にフラット。「各人の担当分野の専門知識に関しては、私より部下のほうが詳しいですよ」と笑いながら、自身のマネジメント理念について続けます。

福田 「一人ひとりの知識や意見をうまく引き出すのがマネジャーの役割だと思っていますし、『管理職だからといって、すべてに精通している必要はない』くらいで丁度いい、というのが私の考え方です」

ライフプラングループ内で、営業店などで専門知識や多くの経験を積んだメンバーの割合は5割ほど。このバランスが「ちょうどいい」と福田は感じています。

福田 「その分野に対して知識や経験がある程度積み上がった人間だけで固まってしまうと、新しい発想が生まれにくくなることもあります。大切なのは、モチベーションを上げ、やりがいを持って仕事に取り組むこと。その意欲さえあれば、それまでの経験値とは関係なく、人は成長していけると感じています。こうした想いは、自分がグループ長という立場になってからより強くなりましたね」

すべての経験を前向きに捉え、「楽しんだ」先に待っていた本部の仕事

福田の銀行員人生を紐解いてみると、実にさまざまな経験を積んだことがわかります。なかでも、出向先の三井住友銀行(SMBC)香港駐在員として奮闘した時期と、法人RMを務めた問屋町支店時代は「最も楽しかった」と振り返ります。

福田 「当時、海外駐在員は公募制で、希望して採用された時はとても嬉しかったですよ。1年間でしたが本当に良い経験でした。海外では、価値観や生活スタイルが大きく異なる人たちとともに生活をするので、これまで知らなかったものを見聞きし、触れることが可能。仕事もプライベートも刺激的で楽しい毎日でしたね」

当時、中国では上海の勢いが増しており、北國銀行でもそれまでの香港営業所を閉鎖し、上海で事務所を開設することになりました。ちょうど事務所の閉鎖作業にも携わることになった福田ですが、持ち前のポジティブスピリットで「こんな貴重な経験、人生で1度できるかできないかだ」と捉えていたと語ります。

福田 「香港事務所は所長と私の2人体制だったのですが、所長は先に帰国することになり、出向先であるSMBCでのトレーニー期間が3ヶ月残っていた私が1人、すべての残務処理を行いました。

香港の支払手段の主流は口座振替ではなく小切手なので、光熱費の請求書を小切手で支払ったりだとか、そういった本当に細々した業務まで経験しましたね。でも結構、楽しみながらやっていたんですよ(笑)」

常に相手を笑わせようと冗談を飛ばし、「自分は楽観主義者です」と明るい人柄が滲み出る福田。問屋町支店では、現在、北國銀行の取締役会長を務める浜崎のもとで法人営業として邁進しました。

福田 「問屋町支店は金沢市内にあり、多くの法人顧客を抱える店舗。実は法人RMの仕事が初めてだったので、最初は周囲に教えてもらいながら、文字通り必死でした。

ただ、懸命に毎日働くなかで、徐々にお客様に感謝されたり、難しい案件を任せてもらえることが増え、自身の成長ややりがいを感じられるようになったんです。こうしたお客様とのつながりもそうですが、浜崎が支店長として上司だったことも含めて、さまざまな“ご縁”を感じる非常に思い出深い時期です」

金沢で生まれ育ち、関西の大学に通った福田はこのとき、東京での生活が未経験だったことから「一度東京で働きたい」という想いがあったとも明かしますが、次の異動は本部の総合企画部でした。

東京からは遠ざかりましたが、その本部では、現在、取締役頭取を務める杖村が課長として上司になったのです。何度も「振り返ってみると本当にご縁に恵まれている」と感謝を口にする福田は、ここから本部でのキャリアを歩むことになります。

福田 「北國銀行として一大プロジェクトだったシステム更改をはじめ、経営企画の仕事、アメリカ西海岸研修など、すべて本部でなければ経験できませんでした。本部への異動後すぐに感じたことですが、こうした経験を通して、ますます『本部の仕事が自分の性に合っている』と。入行以来、『お客様の人生をお手伝いしたい』という基本は変わっていませんが、自分にとってその実現には本部が最も適していたんだと思います」

単なる出世欲ではない──「部長や役員を目指す」真意とは?

▲福田が今も書棚にとってあるという就職活動時代に出会った冊子。銀行の就職活動資料で、顧客の夢のため奮闘する銀行員の姿に感動し自身も進路を決めた

その時々の自身の境遇や置かれた立場を充実させ、強力な縁を手繰り寄せてきた福田が大切にしているのは、やはり「人との出会い」です。そんな福田が、自身のこれまでの銀行員人生を振り返ってみて、これから目指そうとするのはどういった地点なのでしょうか。

福田 「漫画『島耕作』の作中に『昇進はサラリーマンのダイナミズムだ』というようなセリフが登場するんです。私に置き換えてみて、ダイナミズムとまではいわなくとも、職位が変わると見える景色や考え、入ってくる情報も違ってくる。やはり世界が変わるんですよね。そういう意味で、自分の成長のため、ひいては社会に貢献していくため、今後目指しているのは部長や役員です」

福田の話をさらに深く聞くと、それが単なる出世欲ではないことがよくわかります。

福田 「若手時代、会長の浜崎や頭取の杖村を上司に持ち、ずっとその姿を間近で見てきた経験が、自分の理念に大きな影響をもたらしてくれていると思います。人と人との縁やつながりは、非常に大切だしありがたいもの。

だから私が次にやるべきなのは、周りで働いている部下や後輩などの次世代に対し、自分の経験や感じてきたものをしっかりと伝えていくことです。それが結果的に会社の成長にもつながりますから。

自己成長や社会貢献に限らず、多くの部下や後輩にバトンを渡すためにも、この先、部長や役員を目指していきたいです」

「話に引用するのが漫画ばかりで漫画大好き人間みたいですが」と自身を茶化しつつ、鬼滅の刃に登場する「時代は変われど、人は変われど、想いは不滅」という言葉に自身の考えが重なる、と話す福田。その真意は、組織のDNAを受け継いでいく重要性にあります。

福田 「2021年10月1日に北國フィナンシャルホールディングスが設立されましたが、グループ全体として5年後、10年後、20年後につないでいくことを目指しています。今はその一員になりたいという気持ちで尽力する毎日です」

横一線のフラットな立場で部下を導き、後押し。新時代の管理職の在り方

さまざまな経験を積み、バラエティに富んだキャリア形成に成功した福田。その豊かなキャリアは、自身の希望通りになったこともあれば、思いがけない部署への配属となった時期もあると語ります。

福田 「どんな部署での経験でもいえることなのですが、多くの人との縁や出会いがあり、結果として現在の自分を作ってくれた。そして20年以上、北國銀行を見てきた私の入行当時より、一人ひとりがキャリアプランを考えやすい会社になっていると実感しています」

特にここ5年ほどで「本当に良い会社になったと思う」と福田は続けます。

福田 「さらに良い人材が揃ってきたように感じています。だからこそ、部下や後輩にも『一緒に前向きに仕事をしていこうよ』とエールを送りたい。毎日仕事をしていると、楽しいことばかりではありませんよね。でも、『こうして必ず未来へつながっていくよ』と声を大にして伝えていきたいです」

この「良い会社になった」「つながっていく」の理由について、福田は、現・頭取の杖村の変わらない理念が大きいのではといいます。

福田 「杖村さんは常々、『何事もお客様起点で考えよう』ということを昔から徹底してきました。そしてその想いを発信し続けている。その結果、お客様の幸せと、私たち北國銀行行員の幸せややりがいが、きちんとリンクするようになってきていると実感できるんですよ」

トップの発信するメッセージが、お客様、ひいては行員一人ひとりに届き、つながっていく──まさに銀行として理想の形です。

そして福田は今、グループ長としての責務とともに、さらに成長しようと、北國銀行が導入するリカレント教育を活用し、BBT大学院のリーダーシップ研修に参加し学んでいます。

福田 「私がマネジメントで最も大事にしているのは“聞く”こと。まず部下がどういうプロセスで、どんな思考回路でそう思っているのかを理解するよう努めています。自分が上に立つのではなく、横一線のフラットな立場で耳を傾け、『それでいいよ』や『いや、こういう見方とか考え方もあるんじゃない?』と伝えることを心掛けているんです」

福田のその姿は、上から威圧するのではなく、部下や後輩の手を取って一緒に成長していこう、と導く“人生の伴走者”そのもの。

座右の銘に「Where there is a will, there is a way.(意志あるところに道は開ける)」を掲げる福田。その言葉通りに道を切り拓いてきた福田は、北國銀行の未来とともに、部下や後輩の晴れやかな未来を夢みています。