地域デジタル化の最前線──スピード感をもって、新しいことを

大学の商学部を経て、2006年に北國銀行に入社した馬場 末弘。主に営業畑を歩んできましたが、2021年に本部のオペレーション部オペレーション企画グループに配属となりました。2021年11月現在、地域デジタル化の企画業務などに当たっています。

馬場 「銀行の融資事務の企画と、お客様の銀行に対する事務手続きの効率化を目指し、ペーパーレスとキャッシュレスの地域デジタル化プロジェクトの企画、推進を担当しています。最近は地域デジタル化の仕事がメインです。当社でも、インターネットバンキングは徐々に普及し始めていますが、更なる地域のデジタル化とお客さまがデジタルをより活用し易くすることを目的として、今年は手数料の改定も行い、コスト面で優位な体系を戦略的に出し、周知を図っているところです」

銀行の仕事はやはり現金ありきといったイメージがありますが、コスト面からもキャッシュレスの重要性は増しています。

馬場 「銀行にとって、お客さまから現金を預かるというのは非常に有り難い反面、コストがかかるという事実もあります。現金を持ち運びする、管理・警備することには、大きなコストがかかるのです。一方で、お客さまにとって、キャッシュレスで支払いをした方が便利な場面は増えています。社会の全体最適で見ると、やはり現金の取り扱いを少しでも減らした方が、お客さま・銀行の双方にとってWin-Winだということを、お客さまにご説明しながら、キャッシュレスの取組みを進めていけるよう、丁寧に環境を整備しているところです」

現在所属している部署は、馬場が異動したタイミングで「事務統括課」から「オペレーション企画グループ」に名称が変更されたばかり。「企画」を前面に出した部署名になったことで、どんどん革新的なことを実施していく部署だと、馬場は捉えています。

 また、馬場は営業店にいた頃から、一度は本部の企画部署を経験したいと考えていました。

馬場 「現場でお客さまと接することはもちろんとてもやりがいがある一方で、どうしても『自分の目の前のお客さま第一』にとどまりがち。そうすると、個別最適を考えてしまい、なかなか全体を俯瞰して見ることができません。今後、一会社員としての生活に限らず、自身が成長していくためには、同じ会社の中でも違う種類の仕事を経験したいと考えていました。そういう意味でも全体を見渡し、全体最適を考えられる本部の業務をやりたいと思っていたのです」

海外勤務は希望していた──「チャンス」を掴んだニューヨーク勤務

馬場自身は信念を持ってキャリアを切り拓くというよりも、「会社が自分に望んでいることを、人事異動がかかった場所でチャレンジする方がいい」と考えるタイプだと自己分析します。一つのことに縛られるより、巡ってきたチャンスにできるだけ挑戦していこう、という考えでこれまでのキャリアを積み重ねてきました。

そんな馬場にとって巡ってきた大きなチャンスの一つが、海外勤務でした。

馬場 「北國銀行には海外研修制度があり、手を挙げて行きたい人が応募し、人事との面接などでその年の勤務者が決定します。私も入社3年目ぐらいに、上海の研修に応募したことがありましたが、残念ながらその時は選ばれませんでした。一度は海外で働いてみたいという希望は、若手社員の時から持っていました」

このように、海外研修制度への希望者は多く、倍率は高いのが現実。そんな中、思いがけずニューヨーク勤務のチャンスが馬場に巡ってきます。

馬場 「海外トレーニーは一時期、公募制ではなく指名制でした。人事希望で海外トレーニー希望を出していた私に、『ニューヨークトレーニー行ってみる?』と聞かれ、その場で『行きます!』とすぐに答えました」

思いがけず巡ってきたチャンスを見事に掴んだ馬場は、2014年から1年間、みずほ銀行ニューヨーク支店へと出向。日系現地法人への営業、与信管理業務などを主に担当しました。自分が所属する銀行や担当業務を離れ、期間限定の留学をさせてもらえるというような感覚だった、と当時を振り返りますが、自分なりのミッションを強く意識していました。

馬場 「行くと決まってからは、自分が行くにあたってのミッションについてよくよく考えましたね。会社からは何か具体的に細かく言われていたことはなかったのですが、自分が何を期待され、求められて、この1年間で何をすべきなのかというミッションを自分なりに考えました」

自分に課したミッションとして、馬場は毎月提出する現地レポートで北陸の製造業者が生産拠点を求めて海外に進出する中、海外にも力を入れ始めている北國銀行にとって有益と思われる情報、メガバンク海外拠点での業務の現状や考え方における自社との違いなどを発信することを意識しました。海外で様々なものを吸収し、自身の経験を銀行に還元することが自身の重要な責務の一つであると捉えていたのです。

「自分の会社ではないところ」で働いた経験が、広い視野へと繋がっている

ニューヨークでは、海外で働くという経験、違う銀行に出向したことによる企業文化の違いから、より大きな気付きを様々に得たと馬場は当時を振り返ります。

馬場 「出向してみて初めてわかったことは、企業文化の違いです。例えば、大事にしていることは全く違いますし、出向先のプロパーの方が日本との会議などで常に相当な忙しさで動いているのを間近で見て驚きました。

北國銀行は私が入社後、様々な業務で生産性向上に取り組んでいました。段々早く帰れるようになり、業務以外に使える時間は増えていきました。同業他社の方と話していても、自社の取組はかなり進んでいるんだな、良い環境で働いているんだな、と改めて気付けました」

違う組織で働き、異なる企業文化に触れたことで、改めて自分の職場の良さに気付くきっかけを得られたのです。

馬場 「自分が所属する以外の会社で働くというのは、非常に良い経験だと思います。ニューヨークから帰ってきた時に、若手社員向けに話す機会をいただいたのですが、その際も『出向などの経験は絶対した方がいい』と伝えたほどです。自分の会社で当たり前だと思っていることが、全く当たり前ではないと気付くことで、より広い視野で物事を考えることができるようになると思います。海外というよりも、他の会社で働いたことが、私にとって良い財産、貴重な経験となりました」

ニューヨークでは新たな出会いがあり、現在でも繋がりのある人も少なくないといいます。その中には同じ時期に別の地銀からニューヨークに赴任していた人で、帰国後に銀行を辞めて市議会議員になったという経歴の持ち主も。馬場は自分と異なる人生を歩む人の選択に驚くとともに、「出会いが増えるほど、やはり人生は楽しい」と実感できるといいます。

馬場はニューヨークから帰国後、富山支店配属に。そこから本店営業部を含めて6年間、法人営業を担当し、現在の企画部門に異動しました。ニューヨークや法人営業で得た経験を、現在の仕事にはどのように活かそうとしているのでしょうか。

馬場 「手応えは、正直なところまだありません。ただ、営業店を去る前、メンバーには『頭でっかちな本部にならないように、現場の意見も重視して現場と一体となって考えられるような体制づくりに努めます』と言って出てきました。今はまだそこまでちゃんと出来ていないなと反省していますが、その想いは変わらずに持っています」

「人事異動は大好き」。新しい環境、リカレント教育にも前向き

これまでもどのような環境、仕事でも自分を貫き、チャレンジを続けてきた馬場ですが、今後挑戦したいと考えていることについてこのように語ります。

馬場 「今の部署で出会ったメンバーの立ち振る舞いや考え方は非常に尊敬していて、目指したいところです。全体感というか、バランス感というか、常に全体最適で物事を考える方が多いです。また、今、当社が力を入れているリカレント教育、自主的な学習を積極的に実践している人の考え方や伝え方にはっとさせられることが多く、自身の成長意欲を掻き立てられています」

社会人の学び、すなわち「リカレント教育」を重視する北國銀行では、様々な講座受講などを推奨。馬場も、一部講座を受講しながら、まずは学ぶことを習慣化できるよう取り組んでいます。

馬場 「受講している講座には50人ぐらいの受講生がいます。本当は全国から来た様々な異業種の方と交流できる場になるのだと思いますが、今のところ期待していたほどではないかもしれないですね。異業種交流の場の半分以上は当社の社員が入っているので、それだけたくさん当社の社員が積極的に受講しているから、ともいえますね」

これまでも様々な経験を積んできた馬場は、自身の持つ「強み」についてどのように考えているでしょうか。

馬場 「『これだけは誰にも負けない』というところは、正直まだあまりないかもしれません。ただ、様々な環境に適応できる、バランス感覚はあるかな、と自分では思っています。また、特定の誰かを嫌いになるようなことがほとんどなく、誰とでも分け隔てなく接することができるのは、私の強みといえるかな、と考えています」

そんな馬場は、「人事異動が大好き」だといいます。

馬場 「自分は本当に人事異動が大好きで。異動が定期的にあるのは、銀行の良いところだとすら思っています。いつも異動の時に新しいフレッシュな気持ちになって、新しい出会いがあるので面白いですから」

常に自身のミッションを意識しながら全力でキャリアを描いてきた馬場。キャリア形成に対する考えを訊いてみました。

馬場 「自分のキャリアを今の時点で明確に描けなくてもいいと思います。描ける人は描けばいいと思いますが、無理やりこれだと描いて可能性を狭める必要はないかと。キャリアを描くことは大事です。一方で、学習し続けられる、習慣化できることも重要な気がしています」

今後自身の経験を積んでいく中で、どのようなキャリアパスが築かれるのかは未知数。それすらも前向きに捉える馬場が、それぞれの場所でチャンスを掴み、どのように可能性を広げていくのか目が離せません。