歴史学科からIT業界への挑戦

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日立システムズエンジニアリングサービスで活躍するエンジニアの中には、主体的に学ぶことでスキルを習得した社員が多くいます。 2020年入社の渡邊 七海も、その一人。持ち前の好奇心を生かし、エンジニアの世界に飛び込み多くの壁を乗り越えてきた彼女の大学時代は、ITとはほど遠い分野を学んでいました。

渡邊 「私は歴史好きが高じて、歴史学科で西洋史学を専攻していました。専門は、現在のトルコ付近にあったヒッタイトという国です。大学での勉強以外にも、趣味でヨーロッパを旅行し、遺跡を見て回りました。旅費を稼ぐためにアルバイトもかなりたくさんしていましたね」

そんな彼女がITに興味を持つきっかけとなったのは、クラウドサービスを提供するベンチャー企業でアルバイトを経験したことでした。

渡邊 「その会社では、AIを使った企業向けクラウドサービスを提供していました。社員が海外に出張するときに必要になる手配や管理などの各種事務処理を効率化し、出張業務を改善するためにAIを活用したサービスです。ITの力でお客さまの困りごとを解決していけることがとてもおもしろいと感じ、就職活動のときにもIT業界を注目するようになりました」

早期から就職活動を開始し、80社以上もの企業に足を運んだという渡邊。さまざまな業界の企業を研究した結果、最終的に日立システムズエンジニアリングサービスを選びました。その、決め手は「人」。

渡邊 「私の担当リクルーターだった運用設計技術者からの話で、それまで持っていた運用に対するイメージが変わりました。それまでの私は運用に対して、決まったルールに従って手を動かす単純作業だというイメージを持っていたのですが、リクルーターの方から詳しい話を聞いて、それが誤解だったと気づいたのです。

当たり前ですが、お客さまに安心してシステムを利用していただくためには、システムが日々安定的に稼働する必要があります。昨今では、ランサムウェアによるデータロストや、情報漏洩、通信障害など、さまざまなリスクがあります。

日立システムズエンジニアリングサービスは、システム運用保守業務においてルールやプロセスを設計し、ITライフサイクル全体の最適化を行いながら、お客さまのシステムの安定稼働に貢献していく。そのためにできることは何でも挑戦していこうという担当リクルーターの姿勢に惹かれ、私もその仕事の中で成長したいと思い入社を決めました」

“今よりカッコいい自分”をめざし、不安を乗り越える

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大学時代にITの専門教育を受けていなかった渡邊は、エンジニアとして活躍できるのか不安も感じていたと言います。しかし、それを上回ったのが持ち前の向上心。研修を通じて着実にスキルを身につけていきます。

渡邊 「1年目の夏から半年ほどかけて受けた『モノづくり実習』というカリキュラムが、特に印象に残っています。プログラミング、システムの結合、テストといった一連のシステム開発を実際に経験し、最後に発表するというカリキュラムです。

入社時はサーバーやネットワーク構成といった言葉の意味もよく知らなかった私ですが、この研修を通じてシステムの運用設計をする上で必要なシステム開発の基礎知識は身についたと思います。

正直に言うと、今もエンジニアとして一人前になれるのかという不安はあります。でも、今できないことが“できるようになっているカッコいい自分”を想像し、何もしないで“できないままの自分”と比べたとき、どちらの自分になりたいのか。毎日それを考え、成長したいという意欲を高めています」

研修を終えたあと、渡邊が配属されたのは運用設計チーム。研修で学んだシステム開発とは違う業務内容や考え方に戸惑いつつ、 新たな業務の意義に目覚めていきます。

渡邊 「配属後は、クラウドサービスを利用した認証認可システムの設計やIoTの研究開発に参画し、その後、18カ月にわたる法人様向けシステムの運用設計プロジェクトに携わりました。この長期プロジェクトを通して、改めて運用設計に必要な考え方やスキルが何なのか、理解できました。

システム運用設計を行うためには、幅広い知識と広い視野で全体最適を考えることが必要です。ITライフサイクル全体を見て、最適化を設計するためには、システムの仕様書や導入される機器(サーバー、端末、ネットワーク機器など)の設計書を読み込み、安定的なシステム稼働に必要な運用体制や管理基準、作業環境を設計するなど、考えることは多岐にわたります」

失敗から学んだ教訓を生かし、プロジェクトの成功に貢献

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渡邊にとって重要なターニングポイントとなった、法人様向けシステムの運用設計プロジェクト。とりわけ彼女を成長させたのは、経験不足による失敗でした。

渡邊 「このプロジェクトで私たちのチームは、設計部門が作成した運用手順書をもとに実機を用いたテストやレビューを行い、問題がないことを確かめてから運用部門に引き継ぎをするという役割を担っていました。

ところが、設計チームから送られてくる手順書がなかなか期限通りに来ません。もともとスケジュールに余裕を持たせているので、2、3日の遅れならカバーできますが、大幅に提供が遅れると、十分にテストができず、本番稼働後の運用に影響が出てしまう可能性がありました。

私は設計チームと密に連携を取り、さみだれ式に手順書を連携してもらうよう調整し、自身のチームの作業効率を上げるためにドキュメント管理方法やコミュニケーションルールの見直しを行い、何とか期日にテストを完了することができました」

こうしたスケジュールの遅延は、システム運用設計の現場では珍しくありません。しかし、それを未然に防ぐこともエンジニアの役割なのだと、渡邊は気づきました。

渡邊 「私が事前に『この期限を過ぎたら対応できない』という意思表示をしっかり示すべきだったのです。また、設計チームに作ってもらう手順書のフォーマットを、もっと細かく指定しておけば、作成の手間も減って私たちのレビューも効率化されたはずでした。

次の仕事からこの2つの教訓を踏まえて対応したところ、手順書は納期通り届くように。設計を担当していた会社の方からも『うまく調整していただいて助かりました』と感謝してもらうことができました。そして、本番稼働後も、運用者から『問題なく運用ができています』と報告を受け、大変でしたが、チームで頑張って乗り越えてよかったと思いました」

リーダーをめざし、顧客への提案活動にも挑戦中

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失敗や厳しい局面を乗り越えたことで、渡邊は日立システムズエンジニアリングサービスだからこそ得られる、システム運用設計のやりがいがわかってきたと言います。

渡邊 「当社は、これまで幅広い事業のお客さま一人ひとりと向き合い、共に問題を解決してきました。お客さまの現場の潜在的なニーズを汲み取り、真の問題を発見して解決することをテーマに掲げてサービスを提供しており、設計、開発、運用設計、運用・保守までのすべてを自社内で完結できるノウハウを持っています。なかでも運用設計は社内外の多くの方々と関わり、多岐にわたる技術にも触れる仕事なので、知識や視野を広げられると感じています。

最近は、日立グループ会社と共同のプロジェクトだけではなく、当社独自のサービスや価値をお客さまへ直接提供しようという動きが活発になっています。実際に私も、営業に同行してお客さまからお困りごとをヒアリングし、社内の他事業部と協力してお客さまの業務のデジタル化に向けて提案活動を行っています。まさに『お客さまの真の問題を解決』できる仕事に、魅力を感じます」

入社4年目を迎え、「お客さまに喜んでいただけるサービスをチームで作っていく」ことをめざしている渡邊。その目標を達成できる環境が、この会社にはあると彼女は確信しています。

渡邊 「今以上にお客さまの課題解決ができるエンジニアとして成長するため、これからも知識や経験を身に付け、まずはサービス提供までの企画・提案ができる人財になりたいです。

また、これからの私のめざす姿は『多様な人の考え方を受け入れて柔軟に判断し、部下を育成できる、そして、お客さまに喜んでいただけるサービスをつくり、責任を持って提供できるチームを作るプロジェクトマネージャー』です。

当社は今、事業変革期を迎えていることもあり、若手社員の挑戦を受け入れる風土が生まれていると思います。やりたいことを伝えれば実現できる環境があるので、私もあきらめずに自分がめざすキャリアを実現していきたいです」

渡邊は、西洋史学専攻というITと無縁の環境からこの世界に飛び込み、今ではエンジニアとして明確な目標を見出すに至りました。そんな彼女だからこそ、就職活動に励む学生に対して伝えたいことがあります。

渡邊 「学生のころにやりたいことが見つからないという方は多いと思います。私自身もそうでした。でも、やりたいことがわからないからこそ、何にでもチャレンジできる可能性を秘めているとも言えるのではないでしょうか。

まずは『こうやってみたらどう?』と言われたことに対して、『とにかくやってみます』という気持ちで挑戦する。それを続けていくうちに、きっと本当にやりたいことが見えてきます。

今、すでにIT技術を勉強している方はもちろん、少しITに興味がある方でも、きっと当社の仕事にやりがいを見出し、成長していけると思います」

※ 記載内容は2023年5月時点のものです