市民の生活を支える公共系インフラの設計に従事
2019年の入社以来、インフラエンジニアとして活躍している両角 拓真。2023年現在は省庁など国家機関のインフラシステムの設計・構築に携わっています。
両角 「私の所属するデータセンターサービス本部は、主にお客さまのシステムを監視・運用するサービスを提供する部署です。その中で私が担当しているのは、インフラの設計や構築などの上流工程。入社当初はインフラの運用業務も経験しましたが、現在はグループ会社の日立システムズを中心とするチームの一員として、海外製のシステム運用管理ツールのカスタマイズ導入などを担当しています。
ときには要件定義やお客さまへのヒアリングなどの工程にも携わっています。お客さまは国家機関ですのでシステムの規模は大きく、高い品質が求められる仕事です」
テレワークが進んだ今も、システムの導入・改修時にはデータセンターやお客さまのオフィスビルに行く必要があります。両角は、こうした現場で直接お客さまと会う機会を大切にしています。
両角 「直接運用の現場を訪れ、お客さまと会話することで得られる感覚が、とても大切だと思っています。お客さまのお気持ちは、実際に会って話してみてはじめて分かるもの。お客さまが非常に大事にしているシステムを自分たちが管理しているのだという使命感、責任感を改めて感じることができるんです」
未経験で入社して5年目を迎える両角は、マネージャー・リーダーという肩書こそまだありません。しかし実質的なリーダー業務を任されており、キャリアアップに向けて着実にスキルを高めています。
両角 「今は本格的にリーダーへ移行する準備期間という位置づけ。上司は私のキャリアアップのために、機会があるごとにメンバーのマネジメントを任せてくれています。新卒入社2年目のときには初めてのリーダー業務を担当しているので、かなり早いタイミングですよね」
業務で生かされている、海外旅行と災害ボランティアの経験
両角が大学時代に主に学んでいたのは地方自治などの政治学。ITについてはまったくの素人でした。しかし、大学で政治を学んだことが、IT業界を選ぶきっかけとなります。
両角 「大学では主に地方自治体と災害ボランティアの関わり方について研究していました。そこで現代の自治体が市民にサービスを提供する上でITが不可欠であることを知り、『ITってすごいな』と改めて実感。
ITを通じて人々の生活を支える仕事がしてみたいと思い、公共系のシステムを多く担っている当社を選んだのです。実際、入社後には省庁など国家機関のインフラシステムに携わることができ、やりがいを感じています」
そして両角が、学問と並んで大学時代に打ち込んだのが海外旅行と災害ボランティア活動。これらの経験も、現在の業務と深いつながりがあると言います。
両角 「海外に興味があって、欧米や東南アジアなど15カ国ほど旅行しました。自分の足で直接現地を訪れ、現地の人たちと触れあい、その場の空気を肌で感じることが大事だと思っていたんです。
カンボジアなどの発展途上国では、先進国との生活レベルの差を目の当たりにして衝撃を受けたこともありますが、それも現地に行かなければ実感できなかったでしょう。このとき学んだ『自ら現場に行くことの大切さ』は、現在の業務にも大いに生かされています」
一方、災害ボランティア活動の中でとりわけ印象に残っているのは、2016年の熊本地震。
両角 「熊本地震のときには、被災地に何回も足を運びました。被災地の映像はニュースで見ていたのですが、やはり現地に行ってみると、想像以上に被災者の方々は精神的に厳しい状況に置かれていることが分かりました。
こうした経験も、お客さまの気持ちを理解する上で役立っていると思いますし、ボランティア活動の中でリーダーの役割を経験したことも、リーダー業務に生かされました」
入社2年目にして、臨時リーダーとして抜擢
入社後はしばらくチームのサポート役のような位置づけで、顧客のシステムのリモート管理や、障害時の対応といったオペレーションに従事していた両角。そんな彼にとって、リーダー・マネージャーというキャリアを意識するきっかけとなったのが、入社2年目に経験したリーダー業務でした。
両角 「入社2年目の終わりごろに、お客さまのシステムに障害が起こり、急遽代替システムをお客さま先で実装することになりました。そこで私が、数名のメンバーを率いてプロジェクトを遂行することに。ピープルマネジメントは初めての経験でしたが、上司は私の今後のキャリアを見据え、チャンスを与えてくれたんだと思います」
初めてのマネジメント業務にプレッシャーを感じたという両角。事実、プロジェクトは一筋縄ではいかない難しいものでした。
両角 「それまでの私は、作業者として上司の指示に従っていれば問題ないという立場でした。そこで突然リーダーを任されたのだから初めて経験する仕事ばかりです。お客さまと直接交渉してさまざまな調整を行ったり、自分で状況を判断してプロジェクトの進め方を考えたり、さらにメンバーをまとめていかなければならない。これはかなり難しい仕事でしたね」
さらに、このプロジェクトは一度システムに障害が起きたところからスタートしたもの。お客さまからの信頼感は低下しており、そのために要求されるテストの量は膨大なものとなっていたのです。
両角 「このときのテストの量は経験したことがないもので、期間内に完了することが非常に困難な状況になりました。これがこのプロジェクトで直面した最も大きな壁でした。
しかし、システムの運用においてはあらゆるリスクを想定して万全を期するのが当然ですし、一度失ったお客さまの信頼を取り戻すためには、それにふさわしい努力が必要。これこそが、高品質なシステム開発・運用を大切にする日立グループの責任なのだと、私は思い知りました」
初めてのリーダー業務で、システム運用の厳しさを身をもって学んだ両角。不可能にも見える膨大なテストを前にして立ち尽くす彼に手を差し伸べたのは、経験豊かな上司でした。
両角 「私たちのチームでテストとバグの改修の両方をするのは無理だと判断し、上司に相談しました。その結果、社内の別の方がテストの改修を担当してくれることになりました。おかげで私が統括するチームはテストに集中することができ、何とか期限通りに納品することができました」
そして両角は、このプロジェクトを通じて日立システムズエンジニアリングサービスのリーダーならではのやりがいに目覚めます。
両角 「プロジェクトが完了したときには、お客さまから『ありがとうございました』と声をかけていただくことで達成感がありましたし、大変な状況の中でもメンバーがポジティブに仕事をしてくれたことにも誇りを感じました。
そしてこの仕事を経験して分かったのは、リーダーになるとメンバーと比べてはるかに多くの人と話す機会が増えるということ。とくに日立グループでは官公庁をはじめさまざまな組織の業務を担っているため、普段は接することのない幅広い方と出会い、自分の知らない世界を見ることができます。社内の別部署の方と接する機会が増えるのも、とても良い勉強になりますね」
高度な課題解決能力を備えたリーダーをめざし、挑戦は続く
入社5年目を迎え、いよいよ本格的にリーダーへの道を歩み出す両角。そのキャリアビジョンは、鮮明に示されています。
両角「当社では、新卒・経験者採用問わず継続的に自分の受けたい研修を受けられる制度があり、カリキュラムはかなり充実していると思います。また、1カ月に1回先輩社員と面談をする1on1制度があり、仕事上のフィードバックをもらえたり、今後のキャリアについて相談したりすることができます。社員のスキルアップや、キャリア形成を支援しようという社風を強く感じます」
両角には、すでにめざすエンジニア像、そしてリーダー像があると言います。
両角「従来の一般的なエンジニアの役割は、お客さまが提示したシステムを作って提供するというものでしたが、今はお客さまのサービスも複雑化し、お客さま自身が気づいていない課題が増えていると思います。そこで、これからのエンジニアに求められるのは、お客さまの潜在的な課題を発見してアプローチする力。私はそういう力を持ったエンジニアになりたいと考えています。
そして長期的な目標は、国や自治体などのインフラ構築プロジェクトをリーダーとして牽引し、多くの市民の生活に貢献すること。まずはそのために、小さな範囲から管理業務に挑戦し、リーダーとしてのスキルを磨いていきたいです」
日立システムズエンジニアリングサービスでリーダーをめざしたいというエンジニアにとって、最も重要な要素とは何か。それは技術ではない、と両角は考えます。
両角「当社のリーダーは、技術に長けているだけでは務まらず、高いコミュニケーション力や課題解決能力が求められる仕事。そういう資質を持っている方なら、新卒で入社した若手社員はもちろん、他社でメンバーとして経験を積んだ経験者採用で入社された方も、リーダーとして活躍できるチャンスはいくらでもある会社だと思います」