人材育成を通して、目指すは企業や経営層の「架け橋」

article image 1

西嶋 「私が現在在籍している大阪オフィスのチームは、コンサルタント8名ほど、コンサルタントをサポートするプロジェクトマネージャー2名という体制です。入社して数年は、関西エリアの食品、製薬会社、電力会社など幅広いジャンルの企業を複数担当していましたが、現在は、ある大手メーカ一のみを担当しています」

入社して5年。担当しているのは1社ですが、本社に加え、独立する複数の事業会社の人材開発もサポートしています。徐々に案件規模も大きくなってきたため、現在では西嶋に加えコンサルタント数名体制で担当しています。

西嶋 「ここまで取引が拡大したのは、長年のグロービスという組織全体への信頼だと思っています。加えて、担当企業が事業会社化したことも大きな要因です。本社と各事業会社の人材開発がうまく連携していないといけません。本社は各事業会社の担当者に、『どのような思想や考えのもと、どういった人材開発をしているか』を説明しなくてはいけない。けれども、現実にはここを正しく伝え、整合させる交通整理がなかなか難しいわけです。

そこで、長年ご一緒してきた私たちが間に入り、本社と事業会社の架け橋のような役割を果たしながら、グループ全体の人材育成のお手伝いをしています

架け橋という意味ではもうひとつ、人事担当者・プログラムの参加者(社員)と経営層のパイプ役という側面も。

西嶋 「大きな会社であればあるほど、経営層の発信に込められた本当の意味を正しく現場まで伝えていくことは困難です。だからこそ、経営側の意図をうまく汲みながら、具体的なプログラムに落とし込んで現場まで伝え浸透させていくことも、私たちの大きな使命だと感じています

担当しているのは日本を代表する大企業。ただプログラムを提供するのではなく、企業や社会を強くするインパクトの大きい仕事だと語ります。

人材育成に正解はない──答えのないことに向き合うために原動力を見つける

article image 2

西嶋の前職は、金融機関。まったくの異業種であるグロービスへなぜ転職したのでしょうか。

西嶋 「学生時代からリーダーシップ開発に関心があり、大学では国際公共政策を専攻、修士課程まで進んだのですが、縁あって金融機関に就職しました」

入社以降、個人顧客の資産運用や相続対策、本社での投資金融業務など、やりがいの大きな業務を担当していた西嶋でしたが、リーダーシップ研究に関わる仕事がしたいという想いが捨てきれず、退社を決意します。

西嶋 「大学院で研究できるところを探しつつ、転職エージェントに登録したところ、リーダーシップ開発や人材開発を専門的に行っている民間企業があると知り、グロービスと出会いました」

社名も知らないまま説明会と面接に参加した西嶋。

西嶋 「このときの面接担当者から感じた“人への情熱”に深く共感し、仕事内容はよく分からないまま入社を決めた、というのが正直な話なんです(笑)。人が成長する可能性を信じること、それを信じている人たちと一緒に働くという価値観に、強く惹かれました

ところが、入社してすぐに大きな壁にぶつかります。

西嶋 「人材開発は、とてつもなく広くて深い領域。基礎知識を身につけることはもちろんですが、人材開発には正解がなく、ゴールが見えにくいんです。

私自身が正解を探すタイプで頭も硬かったので、正解のない問いと日々向き合うことに、苦しみすら感じていました

入社3カ月ころ、上司とこんな対話をしたと言います。

西嶋 「『今自分は、終わりの見えない砂漠のど真ん中にいる気分です』と、上司に言ってしまいかなり心配させてしまいました(苦笑)。ただ、そんな正直な想いも吐き出せるようなチームでした」

結果、これが西嶋のブレークスルーのきっかけになります。

西嶋 「上司から『西嶋さんって、どんなときに火がつくと思う?』と、繰り返し質問され、一緒に考えてもらう機会をもらいました。その問いを自分で考えたり、自分の様子を上司からフィードバックしてもらうなかで、自分は研修受講者や人事担当者、経営者の想いを知ることで心に火がつくと気づいたんです。

『だったら、受け身で機会を待っているのではなく、そういう方々に自分からコンタクトしていけばいいんじゃない?』とアドバイスをもらったことをきっかけに、受講者にインタビューしたり、担当企業の創業記念館や工場見学に参加したり、経営者の方とに時間を設けてもらってお話を聞いたりするようになりました」

自分に火がつく行動を意図的に重ねていくことで、結果モチベーション高く頑張れたという西嶋。

西嶋 「決して私一人では抜け出せませんでした。グロービスは、個人の成長するスイッチを一緒に探してくれて、そのヒントを与えてくれる会社だと思っています

価値あるサービスは自分が創ればいい──葛藤を払拭したターニングポイント

article image 3

自分のスイッチを見つけたことをスタートに、以前は苦手意識があった「正解のない問い」も、現在はおもしろいと感じるまでに。そこに到達するには、いくつかのターニングポイントがあったと振り返ります。

確実に変化が起こったのは、入社して一年ほどで立ち会った、ある企業のリーダー研修の最終回。
そこで、目の当たりにしたのは、研修参加者の痛烈な想いと覚悟でした。 

―研修参加者の言葉―
「事業がうまく回っていなくて、このままでは自分が責任を負って辞めるしかないと思っていた。そこまで追い込まれていたとき、この研修への参加要請がありました。死ぬほど忙しい状況下で何をさせるんだ、迷惑だと思って参加していました。
でも、そんな状況下だからこそ、自分にも悩みを吐露できる仲間がいることに気づかされ、救われたんです。リテラシーを強化して武器を授けてもらった。いま初めて『もうちょっと頑張りたい』と思えています

西嶋 「この言葉を聞いて、私は涙をこらえられないほど、ショックを受けたんです。参加者はこんなにも本気なんだ。はたして自分は、同じくらい本気でこの人たちに向き合えていただろうか。その問いに、Yesとは答えられませんでした。自分の覚悟を問う最初の経験になりました

しかし一方で、「自分達のサービスは、本当に顧客のためになっているのか?研修を通じて参加者は変われているのか?」と、確信を持ちきれない自分もいたと言います。

そんな中、徐々に独り立ちをし、主担当を担うようになります。

西嶋 「正直言うとそれまでは、“最終的には先輩がいる”と、甘えていたところがあったと思います。だからこそ当然ながら、自分がメイン担当になることで、お客様への提案の質も下がりましたし、実際にネガティブなフィードバックをいただいてしまったこともありました」

自分が決める立場に身を置くと、もともと抱えていた正解の見えなさ、本当に顧客のためになるサービスなのか?という自信のなさに、いっそう向き合うことになります。

西嶋 「結局、先輩含めほかの人が創ったものを借り物の言葉で説明しても、お客様には心の底から納得してもらえないし、自分自身も自信を持って価値があると言い切れなかったんですよね。

だったら、本当にお客様の役に立つものを、自分で創ればいいじゃないか。そのために迷わず精一杯努力すれば良いじゃないか。
そう思うようになっていったんです。
自分がお客様の置かれている状況をしっかりと理解し、衆知を集めてこだわって設計したプログラムであれば、一番力強い言葉で語ることができる。


そして結果としてお客様にも価値を受け入れてもらえるんだと、意識転換したのが二つ目の変化でした。
そして実際にそのプログラムが実施されて参加者が変わっていく現場に立ち会うことで、自分でも本気で取り組めば価値を生み出せるんじゃないかな?と感じるようになりました」

西嶋が、“自分で選択して決める自由と責任”を獲得した瞬間でした。
さらには、グロービスでの講師デビューに向けた社内試験も、彼の意識に大きな影響を与えます。

西嶋 「自分が講師になると、受講者全員に学びを持って帰ってもらい、登壇しているクラスを必ず成立させねば!という強烈な責任感が生まれます。講師はその場からは逃れられないわけです。この意識が、コンサルタントとしてお客様の前に立つときの覚悟にも影響したと実感しています」

企業を支援するパートナーとして、個人がプロとして成長し、チームで価値を広げる

article image 4

日々、自己研鑽を積み担当企業に価値提供し続ける西嶋ですが、決して一匹狼的に仕事を進めているわけではありません。

西嶋 「現在担当している大手メーカーは、すでに5年ほど担当させてもらっているので、私自身、会社の内情にも詳しくなっていますし、企業の考え方も把握しています。お客様からすると『西嶋なら細かいことを言わなくてもわかってくれる』という想いも持ってくださっていると思います。

ただ、私だけが把握している状態は、組織として健全ではないですよね。誰かが抜けても、同様の価値を提供できる状態を創る必要があるんです。現実問題、私一人では対応できない規模に育ってきているので、今はチーム総力戦で担当しています。その中で、メンバー相互の知見や情報を共有することで、よりバージョンアップしたものをお客様に届けることができるんです。

一人ひとりがプロフェッショナルに責任を持ちながら仕事に向き合いながらも、決して一人ではない。チームで知恵を出しながら連携する意味とその大切さを、最近とくに感じます

今後さらにステップアップしていくために、西嶋は「お客様の進化を支援するパートナーであり続けたい」と強く言い切ります。

西嶋「企業は、サスティナビリティやDXなど、次々と新しい領域を取り入れ進んでいかねばなりません。その進化を後押しするためには、私たち自身も進化していく必要があります。『最も学びを重ね、知識と経験を身につけているのは自分だ』と、胸を張って言えるようにしたいです。

社内にはリーダーシップをはじめ、テクノロジーなど各分野の研究機関があり、そこに参加して、新しいケーススタディを開発したり、最先端の経営や成功事例を知ったりすることもできます。学ぼうと思えば、際限なく学べる環境が整っているのが、グロービスの魅力的な点ですね。この環境をフル活用したいです」

時代が急激に変化する中で、顧客の課題や要望は多岐にわたっています。だからこそ、経験の有無ではなく、多様な強みを持った仲間がジョインしてくれることを期待している西嶋。

西嶋 「私がそうだったように、未経験入社の場合、当然戸惑うことはあると思います。そんなときは、不安を抱えず吐き出してほしいです。それをポジティブに受け止めてくれる環境です。そうして、自分に火がつくポイント、突き動かされる動機に真正面から向き合って、その人それぞれの強みを活かしたチャレンジの好循環サイクルを創っていってほしいと思います

西嶋の火のつくポイントは、人の想いに触れること。そこを起点に、人材育成を通して、自分自身も進化を続けていく。西嶋の成長は、とどまることを知りません。