社内のプロフェッショナルとして、データ処理基盤作成、エンジニア育成を担う

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▲東京オフィスで業務中の緒方

緒方は、Data-Informed事業本部Tech Divisionでデータ分析基盤の作成を主に手掛けています。業務の内容は、大きく2種類あります。

緒方 「1つはデータの加工処理の作成です。これができていないと、売上などをデータソースで比較分析する場合、そもそも実行ができません。そこで前処理として、Pythonというプログラミング言語を使ってフォーマットを整えています。

もう1つは、処理基盤の作成。加工処理を定期的に実施するために、処理したものを載せる基盤も構築しています」

業務のほかに緒方が力を入れているのが、エンジニアの成長を目的とする、CTOオフィス委員会の活動です。

具体的には、全員で技術書を読んで議論する“輪読会”や、参加者が自分の興味のある技術を調べて発表する“技術共有会”、エンジニアの評価制度の改定、技術に関する全社的な課題を解決するなどの活動を行っています。中でも緒方が深く関わっているのは、エンジニア教育です。

緒方 「とくに未経験の方に対して、データエンジニアとしての教育をするためのコンテンツの作成は、8割ほどを担当しました。知識をインプットするコンテンツ、アウトプットするコンテンツの2パートに分かれており、勉強しながら何かを作るといった内容です。

また、社内ではマネージャーかスペシャリストかでキャリアを選べるのですが、私はスペシャリストを選択しています。私の場合、社内からはデータ加工やデータエンジニアの教育面のスペシャリストとして認識してもらっています」

ギックスに入社する以前は、教育系の企業に勤めていた緒方。そのときの経験を踏まえて、教育コンテンツづくりでは、効率的な学びを心がけて作成しています。そして遡ると、緒方が大切にしている「自主的に動く」という価値観が、このような活動につながっていました。

緒方 「会社全体の知識を底上げしたいという想いから、自分が発起人になって輪読会や技術共有会を始めました。

『社内の制度やしくみにはないけれど、あったらいいと思うもの』は自主的に作り、責任をもって開催しています」

未経験でエンジニアに。競技プログラミングと個人開発に挑み、知識と技術を身につける

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▲輪読会のNotionページ

緒方が教育系企業を経てギックスに転職したのは、2019年のこと。データ分析業務を専門とするポジションでスタートし、半年後にエンジニアに転向しました。

緒方 「もともと何かをつくることが好きな性格のため、エンジニアになってアプリを作ることには関心がありました。また、半年間のデータ分析の業務を通じて処理基盤の構築にも興味が湧いて。そこで上司と役員に相談したところ、快く承諾していただき、未経験エンジニアとして新たなスタートを切ることになったのです」

当時は業務時間と生活に必要な時間以外は、すべて勉強に費やしていたと言う緒方。中でも競技プログラミングに力を入れていたと振り返ります。

緒方 「競技プログラミングとは、アルゴリズム力と実装力を競い合うもの。毎週コンテストがあり、それに出場すると、自分のレーティングが数値としてわかります。参加するたびにレーティングが上がっていくので、成長を実感でき、どんどん夢中になって勉強していました」

また、クラシック音楽のコンサート情報を検索できるアプリも個人開発していた緒方。学んだことが結びついたり、反対に理解できていないところが浮き彫りになったり。個人開発は有意義な時間になったと振り返ります。

さらに、 Google Cloud や応用情報技術者の資格取得、読書などを通じて勉強を継続。エンジニアとして半年が経ったころには、会社に価値提供できていると感じ始めるようになりました。

緒方 「経験を積むにつれて、少しずつできることが増えています。たとえば、データ処理基盤の幅広い部分を担当するようになって、今は人に教えられるようにもなってきました。

ただし、まだまだエンジニアとして知識不足を感じる場面も少なくないので、今後も勉強し続けていきたいです」

仕事を自分一人で抱え込まず、周囲へ発信する。業務を通じて培った価値観

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▲社内メンバーとともに懇親会でゲームをしている様子

緒方には、業務の中で思うようにいかずに、試行錯誤を繰り返した経験もあります。

緒方 「データの授受の面でお客様と私たちの間に認識のずれがあり、規定通りのデータが送られてこないといった出来事がありました。

それの何が問題になるのかというと、データ処理基盤を作る際のテストで不具合が発生したときに、原因の特定が難しくなってしまうのです。正しいデータが揃っていれば、テストをして不具合が生じた場合、処理そのものが正しくなかったと判明します。

しかし、正しいデータが揃っていないと、テストして不具合が発生したときに、元のデータが間違っていた可能性、処理が間違っていた可能性、どちらも想定でき、原因の特定に時間がかかってしまいます」

こうした経験を経て、データの授受で齟齬が発生した場合には、担当者との細かなコミュニケーションを心がけるようになった緒方。しかし今度は、別の問題に直面することになります。

緒方 「担当者の方とはやりとりするようになったものの、プロジェクト全体への周知はできていませんでした。そのため、データ処理業務が遅れてスケジュールに影響が出たときに、私たちの責任と捉えられてしまったのです。

私たちから全体への共有ができていなかったことが、その原因。そこで、最近ではデータが規定通りではない場合は正しい処理ができないことを、あらかじめプロジェクトの関係者全体に周知し、事前に認識をすり合わせるようにしています」

業務フローの上流から正すことで、意識を変えていった緒方。社内の業務では、“自分ですべてをやろうとしないこと”を心がけていると言います。

緒方 「自分一人でやろうとして、仕事を抱えてしまうと、仕事自体の認知がされず、本当は全員で負うべき責任を一人で背負い込んでしまう場合もあります。頑張ったのに、評価されない事態にもつながりかねません。そのため、日常業務でも、自分で何かをする前に周知することは大切にしています。

また、チームという観点でも、自分一人でやろうとすると、万が一自分が何らかの事情でできなくなったときに、引き継ぎにくくなります。それに、自分のタスクは一杯いっぱいになってしまい、緊急度の高いタスクが降ってきても受けることができません。適度にほかの人にお願いする、思い切って断ることも必要だと考えるようになりました」

プロジェクトの経験はもちろん、日々の仕事の中で緒方はこうした考え方を自らの内に築き上げていきました。

意欲が高いエンジニアの成長を支えられる土台を作る。これからのミッション

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今、社内への取り組みから自らの勉強まで、さまざまなことを自主的に動いて実践している緒方。その意識は社内の文化も関係していると語ります。

緒方 「ギックスの社員はみんな、自主的に動く人ばかりです。誰のタスクかわからない仕事ができても、『これは自分がやります』と積極的に手を挙げてくれることが多いですし、何かの情報を求められたときに、あったら嬉しい内容をさっと提供してくれます。

勉強の意欲も高いですね。輪読会も情報共有会も開催を呼びかけると、毎回数人は参加してくれます。社内コミュニケーションツール上に誰かが勉強した内容を共有していることもあり、勉強熱心な人が多いという印象を受けますね」

緒方自身も、勉強意欲の高い一人。未経験でエンジニアになった当時は業務の傍ら、半年間毎日、平日4時間、休日10時間の勉強を続けていたと言います。

緒方 「私より若くて、エンジニアとして技術面に秀でている人がたくさんいることは、エンジニアに転向した直後から私の中ではコンプレックスでした。それが、自分を勉強へと駆り立てた原動力の一つ。

また、私自身は一度ハマると、時間を忘れて没頭するタイプでもあります。なので、勉強で悩むことはあれど、苦でもなんでもなく、むしろおもしろいとさえ思っていました」

ストイックにも見える緒方。今後としては、エンジニアが活躍できるような環境づくりを見据えています。

緒方 「社内の課題を見つけて解決するのは得意なので、人を“支える”領域での活躍こそ、自分の強みを発揮できるポイントだと感じます。今は、後輩エンジニアと1on1をしたり、その人がどうしたら活躍でき、そのために自分はどんなサポートができるかを考えたりもしています。

また、最近はわからないことがあったときに社内で相談できる環境も整ってきました。実は、自主的な勉強に没頭していたのは、当時社内にデータエンジニアとしての専門性の高い人がいなかったから。しかし今は、私自身も教えられますし、技術分野での専門性が高いメンバーがいます。やる気さえあれば、いくらでも成長できる環境だと思いますね」

成長意欲を軸に、自主的に勉強に取り組み、未経験からエンジニアというキャリアパスを歩んできた緒方。謙虚かつ、尽きない成長への意欲を持ちながら、プロフェッショナルに至る道をこれからも走り続けていきます。