ワンチームで作り上げた「トリマ」。多くのユーザーに利用される理由とは
「トリマ」とは、ジオテクノロジーズがサービス提供するポイント活動アプリケーションです。利用者が移動することによってポイントが付与され、会社側は得られた位置情報データを用いて、事業に活かすことができる仕組み。2020年のリリース以来、900万ダウンロード(2022年4月時点)を記録しており、多くのユーザーに利用されています。そんなトリマ事業の企画運営に携わる大川に、その特徴を聞いてみました。
大川 「『トリマ』の最大の特徴は、移動するだけでポイントが貯まるということです。移動以外にも、アンケートに回答したりミッションをクリアしたりすることでもポイントがもらえます。それらのポイントは、各種ポイントや現金、商品引換券などと交換することが可能です。
また、B2Bビジネスとしては、『トリマ』を媒体として広告を配信することができる集客サービス『トリマクーポン』を運営しています。店舗の商圏内の狙ったユーザーにだけ広告を配信することができるため、効率的な販促に役立つサービスとなっています」
トリマがこれほどまでに人気を博したのには、理由があると大川はいいます。他のポイント活動アプリと大きく異なるのが、“移動距離”に応じてポイントが貯まる点です。
大川 「当時、歩数に応じてポイントがもらえるアプリはありましたが、移動距離に応じてポイントがもらえるアプリはありませんでした。“移動”という誰でも日常的に行うことでポイントが貯まるという手軽さが人気の理由ではないかと思います」
立ち上げ当時のチーム組成については、次のように語ります。
大川 「『トリマ』を企画して立ち上げたトリマチームの初期メンバーは私を含め3人しかいませんでしたが、そこで事業計画や仕様などを検討していきました。事業計画が承認された後、開発メンバー4人が加わり、7人のチームになりました。
開発メンバー含め全員が自分の意見を発信できるチームなので、とてもやりがいを感じていたと思います。新規事業企画には、チームメンバー一人ひとりに『絶対に成功させる』という強い意思や熱量が必要だと思います」
チームが一丸となり作り上げた「トリマ」。リリース後には想定していたKPIをはるかに超え、計画の数倍のダウンロード数を記録し、チームの皆で喜びを共有したといいます。
地図ビジネスからソリューションビジネスへ。ジオテクノロジーズだからできたこと
大川らが生み出したトリマ事業は、ジオテクノロジーズがカーナビゲーションビジネスだけでなく、新たなビジネスへと踏み出していく契機となりました。このサービスを企画したきっかけについて、大川は語ります。
大川 「弊社の既存サービスで提供している静的な位置情報データだけでなく、動的な人流データを集めることで新しいビジネスに展開できるのではと思い、企画しました。これからの時代は既存の資産を使ったビジネスだけではなく、新たな価値を生み出すビジネスも創出していく必要があると考えています」
ジオテクノロジーズは、「カロッツェリア」のカーナビにも地図データを提供しており、創業以来地図事業を取り扱ってきました。市場ニーズの推移に伴い、ナビゲーションビジネスやコンテンツビジネスといったかつての地図ビジネスだけでなく、「トリマ」に代表される“ソリューションビジネス”にも力を入れています。
市場ニーズや時代背景を踏まえて、「トリマ」という新規企画を打ち出した大川。誰もが対等に意見交換でき、共に新たな取り組みを目指すことのできるチームを作ったことが、スムーズに企画が進んだ理由だと話します。自社の社風や社員の強みについては、次のように捉えています。
大川 「当社は地図を作る会社ですので、膨大なデータを扱います。その品質を保ち続けるのはとても大変な作業ですが、皆が真面目に業務に取り組んでいるところが強みです。皆が協力し、確実に計画を立てて真面目に取り組むことで、質の良い製品を生み出していると思います」
社員の持つこの“真面目さ”も、「トリマ」を成功に導いた一因だと語る大川。地図以外のビジネスが確立したことで、ジオテクノロジーズの可能性は大きく広がったのです。
ユーザーの声にも耳を傾けて。気づきや学びを紡ぎ合わせ、「トリマ」を共同作品へ
リリース後、大きなプロモーションをせずとも順調に利用者数を伸ばしてきた「トリマ」。リリース当初はユーザーからどのような反響があったのでしょうか。
大川 「リリース直後は、おもしろいという意見をたくさんいただきました。しかし、当時はポイント活動自体が今ほどは浸透していなかったので、これほどまで多くの人に使ってもらえるとは思っていませんでした。
『トリマ』のコアターゲットとして設定していたのは、20代から30代のサラリーマンや主婦ですが、蓋を開けてみると老若男女さまざまな世代の方に利用していただいています。また、あらかじめ想定されていなかったような使い方をするユーザーもいて、トリマグループ内では発見や驚きもありました。
想定をはるかに超えるKPIやダウンロード数、そして反響の多さには正直驚きました。しかし多くのユーザーに利用してもらうことで、より良い方向への改善ができます。いただいた意見や感想は一つひとつ大切にしています」
さまざまな反響を得て、運営側としても数多くの気づきや学びがあったという大川。それらを今後どのように活かしていきたいのか、次のように語ります。
大川 「称賛の声やお叱りの声など、本当にたくさんのご意見が寄せられていますが、可能な限り対応してサービスに反映していきたいと思っています。ユーザーからの要望は非常に重要な情報ですし、今後も満足して利用していただけるよう、解決に努めています。ユーザーの期待を良い意味で裏切ることができるよう、今後もより一層励みたいと思っています」
トリマチームでは、ユーザーの要望を即座にサービスに反映できる開発手法を取り入れています。大川らによってゼロから生み出された「トリマ」は、ユーザーとトリマグループとの相互協力により、今後さらに進化していくでしょう。
トリマ事業の成功事例を経て、新たなるビジネスの創出へ
何か新しいサービスを立ち上げたい。そんな想いを胸にジオテクノロジーズに入社した大川。
大川 「前職はWebデザイナーでしたが、これからは新規事業を立ち上げて運営したいという想いから、ジオテクノロジーズに中途入社しました。今ではその想いを叶えることができましたし、日々やりがいを感じながら業務をしています」
ユーザーの意見を踏まえながら、自分たちの納得するサービスを作り上げることができるのは、ジオテクノロジーズの持つ強みの1つ。大川らトリマチームはサービスを作り上げる中で、さまざまな価値観に触れ、どうすればサービスがベストな状態を維持できるかを常に考えています。そんな彼は、今後の目標を次のように語ります。
大川 「『トリマ』という芽を育てていくのが当面の目標ですが、ビッグデータを用いることで、社会の役に立つ新たなビジネスを立ち上げることも視野に入れています。これは、さまざまな位置情報データを持つジオテクノロジーズだからこそ可能なことだと考えています」
今よりもっと多くの人に「トリマ」を利用してもらえるように工夫を凝らし、ユーザーからの情報を集めて、社会に役立つソリューションを提供していきたいという大川。「トリマ」に限らず、さまざまなデータを持つ強みを活かした事業展開も目指しています。
大川 「ジオテクノロジーズは、なかなか変わった会社だと思っています。他の会社にはないノウハウを持っていますし、地図データや住所データというとても貴重なデータを扱っている会社なので、いろいろな可能性を秘めた、とても珍しくおもしろい会社だと思います」
かつての「地図を作る」というビジネス以外にも、多くの可能性を秘めたジオテクノロジーズの新規事業。「トリマ」のように、チームメンバーの想いが詰まったサービスが、これからも世界へと羽ばたいていきます。