ITやWebのスキルだけでなく、“働き続けるため”に必要な知識が身につく場所に

▲atGPジョブトレIT・Web心斎橋

ゼネラルパートナーズ(以下、GP)では、2012年から障がい者の就労移行支援サービスを行う事業所として、「atGPジョブトレ」を運営しています。中でも、「atGPジョブトレIT・Web」は、Webの制作スキルとITの知識を身につけることに特化しているのが特徴です。

「atGPジョブトレ」は、大阪の梅田にも拠点がありますが、「atGPジョブトレIT・Web」については、これまで首都圏の4拠点(渋谷、秋葉原、大宮、船橋)のみでの提供。それが今回、「atGPジョブトレIT・Web心斎橋」として、初めて関西にも開所することになりました。

うつ症状と発達障がいのある方専門、2つのコースを持つ就労移行支援事業所として「atGPジョブトレ梅田」が開所したのが今から8年前なので、関西では久しぶりの新しい拠点となります。8年前というと、まだ企業でも障がい者雇用について、今ほど認知されていなかった時代。就労支援事業所は、障がい者雇用を社会的に波及させていく役目も担っていました。

このたび「atGPジョブトレIT・Web心斎橋」を開所することになったものの、実際のところ関西では、IT・Web人材の求人数がまだまだ少ないのが現状です。8年前に「atGPジョブトレ 梅田」が開所したときのように、あえてニーズが拡大する前に事業所を立ち上げることで社会の認知を広げ、IT・Webの就労ニーズを生み出していく原動力になっていけばいいなと考えています。

「atGPジョブトレIT・Web心斎橋」の最大の魅力は、「デジタルハリウッド大学」を運営しているデジタルハリウッドとの提携、そして関東での実績に基づいた、ノウハウがあること。しっかりとしたITやWebの知識を身につけることができるカリキュラムが組まれていることにあります。

加えて、支援員のほとんどが「atGPジョブトレ梅田」で就労支援をしてきたメンバーです。これまで「atGPジョブトレ」が取り組んできた、社会人としてのマナーや自身の症状理解など、働く上で必要な知識も学ぶことができる。その点に、“ジョブトレブランド”としての価値があると思っています。

IT・Webの知識やスキルが身につけられると同時に、気持ちの部分での悩みや発達傾向に対する悩みなどの相談にも応じられる環境が開所の時点で整っているのは、「atGPジョブトレIT・Web心斎橋」ならではの大きな魅力です。

法人営業から、就労移行支援員に。自分らしさの肯定が、新たなフェーズへの足がかりに

新卒で入社した会社では、新規営業を担当していました。営業職を選んだ理由は、もともと人と話すのが好きだったこと。人見知りする性格ではなかったので、事務方の仕事よりも自分に向いていると思っていたんです。

実際、営業の仕事は大変でしたが、楽しかったです。自由にやらせてもらえたおかげで勉強になりましたが、丸3年勤め上げ、相応の経験を積んでスキルも身についたところで転職の道を選びました。

転職先としてGPを選んだ理由はいろいろありますが、若いころに経験したある出来事が決め手のひとつになったと思っています。

中高時代、母親に連れられて、地元の障がい者スポーツ協会に出入りしていたことがありました。当時、障がいがある方たちとは、友達のような感覚でお付き合いしていたんですが、GPの求人を見て、自分がかつて接していた人たちが、社会参加に苦労している現実があることを知ったんです。

そんな自分の経験や、障がいがある方への想い・感覚のようなものが、もしかしたらこの仕事で活かせるかもしれない。そう考えたことが「GPの面接を受けてみよう」と思うきっかけになりました。

GP入社後、法人向けのコンサルティング営業に携わりました。3年携わったところで声がかかり、「atGPジョブトレ梅田」に異動。そこで初めて、就労移行支援事業所の支援員として携わることになりました。

ジョブトレに異動になった当初、キャリアチェンジすることに悩んだこともありました。というのも、長く営業をしていたことや元来の性格から、誰に対しても、明るい調子で話してしまうところがあって。たとえば、障がいのある方から相談を受けているときでも、「それだったらこうした方がいいよ」とつい助言してしまうんです。

しかし、支援の現場で大切なことは、まずは相手の気持ちを受け止めること。最初はそれができず、「自分には難しいのかもしれない」と感じたこともありました。

気持ちを切り替えることができたきっかけは、ある方からのアドバイスでした。私が抱えていた悩みを相談したとき、その方は、「利用者の中には、そういうアドバイスを求めている人もいる。だから長久保さんが誰かに合わせる必要はなくて、今自分ができることをやったらいいんじゃないか」といってくれたんです。

その言葉で気持ちがずいぶんと楽になりました。確かに、体調が悪くてどうしようもないときは、私みたいなタイプの人に相談すると、しんどいと感じる方がいるかもしれません。でもその一方で、就職がなかなか決まらないときや面接に落ちたときなど、「大変だね」と共感するだけではなく、次につながるアドバイスが力になるときがある——「自分のアプローチもひとつの方法としてはアリかもしれない」と考えられるようになったんです。

今なら、施設長として、「いろいろなスタンスの支援員がいていいんですよ」と声を大にしていえます。皆で役割分担をすればいいのですから。

支援員を1年ほど務めた後、施設長になる話をもらいました。苦労ばかりで、自分ではうまくできた記憶はないんですが、良い評価をしてもらったと思っています。営業をやっていたので、周囲との調整を行ったり、うまくいかないときに対案を出したりすることに長けているのかもしれませんね。

苦労をしながらも、ゼロから立ち上げていく楽しさを実感

▲「atGPジョブトレIT・Web心斎橋」の立ち上げメンバー

「atGPジョブトレIT・Web心斎橋」が開所される話を初めて聞いたのは、2020年の末。関東に4拠点ある同事業所での実績ができてきたので、「この流れを関東だけではなく、関西にも波及させていきたい」という意図がありました。

企業にも、「人材がいない」とか「求人をどう出したらいいかわからない」というニーズがあります。利用者と企業をつなげる存在として、心斎橋を立ち上げたいという想いを聞いて、単純に「おもしろそうだな」と思いました。

ゼロから何かを作り上げていくという意味において、以前取り組んでいた新規営業に通ずるやりがいもありそうだと感じたことも、背中を押しました。

入居する物件が決まった2022年の1月くらいから、本格的に開所に向けた準備を開始。IT・Webについてのカリキュラムはすでにあったので、支援員の配置と、市役所への届け出、内装工事の手配などから取りかかりました。

支援員については、まず梅田から4名に異動してもらうことになりました。人選のポイントは、やはりIT・Webなのでパソコンに強いこと。あとは、症状ごとに知見を持ったメンバーを集めました。もちろん、梅田の事業所を維持するためのバランスにも配慮しています。

個人的に最も苦労したのは、市役所への書類申請などの事務的な手続きでしょうか。もちろん、必要な事前情報については聞いていましたが、実際に動き出してみると、やはりわからないことが多くて。調べたり、人に聞いたりしながらの作業となり、大変でした。

他方、各所への挨拶まわりに関しては、まったくストレスなく、良いフットワークで動けたと思っています。営業の経験が活きていますね。施設長としての役割は「atGPジョブトレ梅田」のときとあまり変わらないので、そこに不安は感じていません。

まずは多くの方に存在を知ってもらいたい。目指すのは、明るく活気にあふれた事業所

「atGPジョブトレIT・Web心斎橋」では、利用者が主体的に動けるサービスを提供していきたいと考えています。私たちはあくまでも支援員。手を出し過ぎるのは良くないと思っているんです。まずは利用者が自分たちから「やりたい!」という気持ちや活力を養えるような事業所にしていきたいと思っています。

その上で、利用者の方がやりたいと思ったことがどんどん実現できる事業所でありたい。本人たちが主体的に動く活力が、そのまま就職にも結びついていってほしいですね。

「atGPジョブトレ梅田」を知る企業の方や見学者からは、「活気があって明るい」とか「利用者がすごく頑張っている」といっていただくことが多く、イベントの運営などでは、職員と同じように活発に動いている利用者の方も多くいました。

同じ大阪にある拠点として、その明るさを大切にしていきたいですね。これまでは梅田が大阪で唯一の拠点でした。今後は互いにやりとりを密にしていきたいですし、同じIT・Web同士、関東とのつながりも意識しながら、独立した組織にならないよう、各所と連携していきたいと考えています。

「atGPジョブトレIT・Web」では、さまざまな取り組みをしていきますが、中でも楽しみなのが、全事業所が合同で行う“クリエイタースクランブル”です。一度見学させてもらったんですが、「こんなことまでできるんだ!」と、利用者が制作した作品のクオリティの高さに驚かされました。他の事業者の利用者の作品を見て、「うちも頑張らなければ」と刺激を受けられるといいですね。

今後の目標は、利用者を増やしていくこと。通所としては1日あたり30名くらいまでの利用が可能ですし、事業所ではその準備も整えています。事業所の認知度を上げる活動に力を入れていくつもりです。

支援員の皆さんも、アイデアをどんどん出してくれていて、とても助かっています。社内にはマーケティング部門もありますが、こちらから提案することも多いんです。たとえば、専門学校や大学にも、迷いや悩みを抱えている方がいると思っていて。「専門学校に通ってはみたけれどうまくいかない」、「大学に入ってみたけれどなかなか就職できない」という方たちにも、事業所の存在を知ってもらいたいと考えています。

そうやって、これまで梅田ではやってこなかった領域での広報活動にも、今後は積極的にチャレンジしていきたいと考えています。克服すべき課題はたくさんありますが、私自身、それも含めて、この状況を楽しんでいるかもしれませんね。