法人営業がやりたいという想いで入社。大切にしてきたのは、自分のスタンス

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▲ある大学で障がい者雇用に関するテーマで登壇

私は現在、キャリアプランナーと呼ばれる障がいのある求職者サイドのマネージャーを務め、自身もプレイヤーとして求職者と接しながら、5名の部下のマネジメント業務を行っています。

日々の仕事で大切にしているのは、自分のスタンスの取り方です。たとえば、自分がマネジメントしているチームのメンバーと接するときには、一番に求職者のことを、次に企業のことを考えて話すように心掛け、メンバーにも同じスタンスで仕事をするよう求めています。また、自分の上司と話をするときには、現場の視点はもちろん、経営的な視点も踏まえた上で意見を述べるというスタンスを徹底しています。

そもそも私がゼネラルパートナーズ(以下、GP)に入社したのは2012年。それ以前は、2年ほど不動産会社で個人向けの営業に携わっていたのですが、長く続けていくには厳しい労働環境がありました。

そこで、将来的に長く働き続けられる会社で仕事がしたい、個人営業ではなく法人営業としてビジネスパーソン相手の営業スキルを身につけたい、というふたつの理由から、転職を決意。業界を限定せず、そのふたつの条件に当てはまる求人を探して応募し、縁のあったGPに入社しました。

入社当時、おもしろいと感じたのは、社長である進藤さんの考え方。今でもGPの理念となっていますが、「障がい者の“良き認知”を社会に広める」という話をする一方で、「その社会が実現できれば、最終的にGPがなくなったとしても構わない」とも言っていて。会社を経営する立場にある人がそのような発言をすることに驚くと同時に、その想いの強さに心を打たれました。

入社後は、希望どおり法人営業の部門に配属され、そこで約9年間法人営業に携わります。その間に、メンバーからリーダー、そしてマネージャーへとステップアップも経験しました。そして2021年4月に求職者サイドの業務を受け持つ部門へ異動し、現在にいたるまでマネージャーを務めています。

仕事も育児も中途半端になるくらいなら、1カ月間育児にだけ向き合いたい

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▲チームのメンバーたち

育児休業を取得したのは、法人営業部門のマネージャーを務めていた2020年8月のこと。ちょうど8月1日から末日まで、丸1カ月間取得しました。

育休を取得しようと思った理由のひとつは、生まれた子どもが双子だったこと。その年の3月に誕生したのですが、妻が育児をする様子を見ながら、「ひとりではどうにもならないレベルだ」と感じていました。また、ちょうどコロナ禍に突入したタイミングで、リモートワークが普及し始めたこともあり、私も家で仕事をしながら子どもの面倒を見ていて、「このままだと仕事と育児のどちらも中途半端になってしまう」という想いもありました。

もうひとつの理由は、GPではここ10年近く男性社員が育休を取得した例がないと聞いて、「これはおもしろそうだ」と単純に思ったこと。「自分がパイオニアになってやろう」と考えたわけです。

妻からは「たった数日程度育休を取得して、子どもの面倒をみた気になるのは父親の自覚が不足していると思うから、しっかり長期間(最低1カ月)育児専念期間をもうけてほしい」と言われていて。だからといって、2〜3カ月も取得するのは気が引けるし、生活のための収入も必要だったので、キリよく1カ月としました。

とはいえ、当時は慣れないリモートワークの中、初めて十数名のメンバーをマネジメントしたり、社内の組織体制が変更したタイミングだったりと、やや慌ただしい状況がありました。

とくにマネジメントにおいては、メンバーと同じ空間で仕事をしていたときとは違い、体調なども含めてメンバーの様子が見えにくくなり、一人ひとりの状態を把握できない。日々のコミュニケーション量も格段に減って、メンバーがちょっとしたことで困っていても、相談がなければこちらから気づく手段がないことにもどかしさを感じていました。そのころを振り返れば、正直なところ、「こうしておけば良かった」と思うことがたくさんありますね。

ところが、そんな状況でも、私が育休を取得するといったときの人事やチームのメンバーなど周囲の反応は温かなものでした。「ぜひ取ってみてほしい」と、後押しする声もたくさんもらいました。

1カ月間の育児休業取得が、自分の価値の再発見につながった

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育休の取得を決めてから実際に育休に入るまでの期間は1カ月弱。その間にいろいろな準備を進める必要がありました。不安が非常に大きく、「自分がいなくなったら仕事が回らなくなるのでは」という考えもありました。

ただ、上司には以前から、メンバー一人ひとりが自立して動ける組織を作り、たとえマネージャーである私が異動などで抜けたとしても、グループとして機能するようにしておくようにといわれていたんです。

そこで、私は自分の業務の棚卸しを行い、“自分があえてやらなくてもいい業務”と、“自分がやったほうがいい業務”を整理しました。そして、自分があえてやらなくてもいい業務はリーダーに任せ、自分がやったほうがいいと思う評価業務や判断業務などは、私の上司に指示を仰げるようにパイプをつなぎました。

そして、いざ育休に入ってみて感じたのは、“私がいなくても回るものは回る”ということ。

私がよくメンバーから相談を受けていたのは、「求職者のサポートにおいて、法人サイドと求職者サイドがそれぞれどのように協力して進めたらいいのかわからない」ということ。ところが、私がいなくなったことで、双方で話し合って最良の策を見出すことができるようになっていました。

逆に、“私だからこそ価値を提供できる点”を発見することもできました。

それは、メンバーが新しい施策などを実行してみたいと思ったときに、背中を押すこと。新しいことを始めるときには不安がつきものですが、「別にやっていいんじゃない」と私が一言添えるだけで、気持ちが軽くなることがあるとわかりました。自分が必要に応じてメンバーの背中を押してあげられる存在であると気づけたのは大きな収穫でしたね。

育休を取得している1カ月のあいだ、「育休を取って良かった」と感じられることが他にもたくさんありました。とくにうれしかったのは、丸1カ月間、仕事のことをまったく気にせずに、子どもの成長を見られたことです。それまで見ることができなかった、寝返りを打つ瞬間に居合わせることができ、成長の過程を間近で感じられた気がして感動しました。

また、GPの男性社員が育休を取得したのは約10年ぶり、しかも私が史上2人目ということで妻が大いに喜んでくれて、家庭内の円満につながりましたね(笑)。

仕事を任せられるようになったことで、新しい仕事を受ける余白が生まれた

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育休の取得を迷っている人が、「一度長い休みを取ってしまったら自分の仕事がなくなってしまうのではないか」と不安に思っているケースも多いと思います。実際、私にも同じ不安がありましたが、あえて休んでみることで、自分の介在価値を再確認することができました。

また、育休の取得をきっかけに、仕事をほかのメンバーに任せることへの抵抗が軽減され、仕事への取り組み方が大きく変わりました。育休明けに別の部署のマネジメントも請け負うことになったのですが、あえて自分でやらなくてもいい仕事を人に任せられるようになったことで、空いたリソースをそちらに回すことができたんです。

休むことを不安に思う気持ちは理解できますが、ネガティブに考えすぎる必要はないのかもしれません。私の場合、自分がいなくてもチームが回ることをポジティブに捉えられるようになったことで、何かしらを“やめてみる勇気”が得られたと思っています。前の仕事がなくなったとしたら、それは新しいことに取り組めるチャンス。そうやって断ち切って、前向きに考えることもできるのではないでしょうか。

2022年3月現在は週に2回出社し、週3回はリモートワークという形で働きながら、家事育児も分担しています。私は基本的に朝のパート担当で、朝ご飯を作って食べさせたり、着替えやおむつ替えをしたり。夜は17時から18時半のあいだに仕事をひと段落させ、子どもをお風呂に入れて寝かしつけ、再び21時ごろから1時間だけ仕事が進められれば理想的という毎日を送っています。

仕事と育児の両立のために心がけているのは、意図的に時間を作ること。“ここまではやるけれど、時間になれば一切やらない”という具合に、メリハリをつけることを意識しています。そうすることで、仕事に集中する習慣も身につきました。

育休取得を経て、今考えているのは、時代に合った新たな教育体制の構築です。リモートワークが主流となり、物理的な距離が大きくなったことによって、メンバーによって成長の度合いにムラが生じていると感じるようになりました。まだ具体的な動きが決まっているわけではありませんが、リモート下でも教育育成を効果的にできる体制を構築し、安定した成長を促すことができればと考えています。