異業種から転職した2人。「障がい者雇用に役立ちたい」という同じ思いで

▲(左)佐藤、(右)合谷

2016年4月に愛知県名古屋市にオープンしたゼネラルパートナーズ(以下、GP)名古屋支社。東海3県(三重・岐阜・愛知)を中心に、身体・精神障がいのある方と企業の架け橋として、就職をサポートしています。メンバーは計7名(2022年1月現在)。マネージャー1名とスタッフ6名で運営しています。

合谷 「私は今リクルーティングプランナー(RP) として働いています。業務内容としては、企業様に人材を紹介して、面接の日程調整、内定者への通知も含めて、採用に関する一連のプロセスすべてを担当する役割です」

合谷がGPに入社したのは2019年。異業種からの転職で、人材紹介業は初めての経験だったといいます。

合谷 「障がい者に特化した人材サービスであることに興味を持ちました。また、身近にうつ病を患っていた人がいたので、そういう方の力になれるのではないかと思って入社を決めました。

前職は食品業界の営業で、扱う対象は“モノ”、決まった日に納品することが求められる仕事でした。しかし、GPでは“人”が対象です。入社当初は、人の気持ちをコントロールすることができないことを痛感して、難しさを感じることもありました」

企業側をサポートする合谷とは異なり、就労を希望する求職者側を担当するのが佐藤です。

佐藤 「私が担当する業務は、キャリアプランナー(PL) といって、就労を希望している障がいのある方に対してカウンセリングをし、希望条件をうかがってその方に合った企業をご紹介することです。

企業担当者との連携が大切な業務で、求職者のご希望の就労先が東京や大阪というケースもあるので、本社・大阪支社の企業担当者とやり取りする機会もあります」

基本的には東海3県を中心とした居住者を対象としていますが、転居などの理由から、東海3県以外のエリアの企業側担当者とのやり取りが発生することも多いのです。

佐藤 「名古屋支社とそれ以外のエリアの企業担当者と連携する割合は、現状ざっと半々というところ。最近はオンラインで顔を見ながらやり取りできるので、以前と比べるとずいぶん連携を取りやすくなりました。

私がGPに入社したのは2018年。金融業界からの転職でした。大学の時に心理学部で発達障がいなどについて学んだこと、知的障がいをもつ弟がいて、もともと福祉や障がい者の力になれる仕事に興味があったので、GPへの転職を決めました」

情報共有と連携力。目標達成に向けてチーム一丸となって取り組む

▲佐藤さん出演の合唱コンクールに、愛知から三重まで応援に来た名古屋メンバー

名古屋支社のミッションは、身体障がいや精神障がいのある方の就労支援です。具体的には、求職者の就労に関するサポート、また企業側に対しては採用につなげる支援業務を推進することが大きなテーマです。

合谷 「名古屋支社で、ここ数年変わらず掲げている目標は『名古屋でナンバーワンになる』こと。ナンバーワンとは、求職者が転職で満足する結果を得られている数を指します。

名古屋支社の強みは、RP部門とPL部門の密な連携だと私は思っています。応募から書類選考、面接に進むまでのプロセスで、ご本人の意向確認や企業側の候補者に抱いている期待や懸念などの情報連携はとてもうまくいっています。少人数だからこそ発揮できる連携力や情報共有力は、他の支社に負けない部分だと考えています」

佐藤 「私も同じ意見です。一つひとつの案件に対しての連携もそうですし、チームとして一体となって、目標を絶対達成したいという気持ちを共有し、高め合うことができています。全員で高いモチベーションを保てていることが成果につながっているのかもしれません」

名古屋支社では目標を貼り出しているほか、週1回の定例ミーティングで進行中の案件状況やお客様の情報を全員で共有しています。

佐藤 「PLの私たちは、カウンセリングなどを通じて把握しているお客様の情報を可能な範囲で伝え、場合によっては懸念点などのマイナス情報もしっかり共有するようにしています。

それによって企業担当者ともスムーズに連携できますし、ミーティングの中で時間があるときは案件相談の時間を作り、チーム全体で意見を出し、みんなで対策を話し合うこともあります。その話し合いから良い結果につながるケースもたくさんありました」

チームの連携プレーが求職者・企業双方が納得する結果に結びつく

障がい者雇用においても、地域によって傾向が異なります。名古屋支社が管轄するエリアでは、精神障がいや発達障がいのある方の就労がなかなか決まりにくい傾向があります。

佐藤 「理由として、採用側が『精神障がいのある方と一緒に働いたことがないのでコミュニケーションの取り方がわからない』といった、漠然とした不安を抱いていらっしゃるケースが多く、悩まれる企業様も多いです」

しかし、チームの連携により、思いがけない成果につながることもあります。

佐藤 「私がカウンセリングをした発達障がいのある方が、とてもスムーズなコミュニケーションが取れて電話口の印象もすごく良いので、ある企業様にご紹介することにしました。企業様側としては、身体障がいの方をご希望ということでしたが、その方のご経験やお人柄について、合谷を通じて企業様側にプッシュしてもらった結果、書類選考をパスすることができたのです。

通常、面接対策はPLで行うことが多いのですが、今回の案件では合谷に同席を依頼し、企業担当者目線でのアドバイスをもらったことで無事入社が決まって。ご本人のご希望に沿った満足いただける条件で決まったので、本当に嬉しかったです」

まさにチームの連係プレーが生んだ成果であり、企業側も納得の好結果が生まれた事例。書類だけでは伝わらない応募者の魅力を伝えて面接のチャンスを生み出し、その後の対策に企業側の担当者も加わってサポートすることで、成功体験をつかむことができました。

合谷 「チームの一体感や連携プレーが生まれる秘訣は、特にこれ、というものはないと思います。ただ、名古屋支社のメンバーはみんな年齢が近く、良いところはちゃんと褒めて、ダメなところや改善点はお互いに言い合える。言われたほうもちゃんと受け止める素直さがあるところがプラスに働いていると思います」

佐藤 「加えて、マネージャーがそれぞれのメンバーの性格や特徴を理解していることも大きいです。判断に迷うときには明確な指示をくれますし、困っていることを相談すると改善のためのアドバイスももらえるのでとてもありがたいです。

また、上司と1on1の定例ミーティングなどの場で、豊富な経験に基づいた的確な指示をもらえるので、そうした積み重ねのおかげでステップアップができていると思います」

職歴的に似たメンバーが多いわけでもなく、新卒を含む若手スタッフも増える中で、横の関係も縦の関係もしっかりと信頼関係が構築されているのが名古屋支社の強み。仕事以外の時間も、オンライン飲み会などでコミュニケーションを図っています。

佐藤 「一般的に会社の飲み会は敬遠されがちかもしれませんが、私たちの場合は企画にすごく力が入っています(笑)。タイムスケジュールやプレゼン資料も作って、遊びも仕事もみんな本気で楽しみながら取り組んでいるんです」

合谷 「私が入社したときから、そういったアットホームで自由な感じはすでに根付いていました。情報共有をしっかりやる文化も、当時から変わらず続いていますね」

「本当に良かった」と思える就労のために、寄り添い、伴走する

情報を共有し、連携を意識しながら仕事をし、成功体験や成長実感も共有できる環境であればこそ、名古屋支社は安定的な実績を残せる組織となってきました。

合谷 「入社して3~4カ月のころ、ある企業様からお叱りを受けたことがあります。まだ選考の進め方もわからず、候補者様の個人情報をどこまで企業様側にお伝えしていいかもわからない中で、候補者様の情報を『それは個人情報だからお伝えできません』と繰り返してしまっていたのです。

でも、企業様にとってみれば、せっかく人材紹介会社を使っているのに、何の情報もくれないのでは意味がない。そこで、PL側の先輩が間に入ってくれて、企業様側、候補者様それぞれの困っていることと対策、やるべきことを整理してくれたのです。個人情報であっても本人に許可をもらえばこういうことも伝えられる、といったことが理解できて、ひとつ成長できた出来事でした」

頭ごなしに否定するのではなく、本人が考えて判断できるように問題を整理するというリーダーのサポートがあったからこそ、合谷は自信を喪失することもなく、次のステップへと成長を遂げました。

一方、佐藤が相対するのは、個人のお客様。そこにはまた異なる悩みがありました。

佐藤 「私の場合、入社1年目の時に、異業種出身で何もわからない状況であったにもかかわらず、求職者様に障がい者雇用の説明や面接対策のアドバイスをするという仕事に抵抗感を覚えていて。自分に自信が持てず、お客様とお話するのが怖くて、泣き出したこともありました。

その時に、名古屋支社の先輩から『それはちょっと無責任だよね。たくさんのお客様があなたをプロだと思って相談してくれている。1年とはいえサポートの実績があるのだから、あなたが自信を持たないとお客様がかわいそうだ』と言われて、ハッとしたんです。

加えて、私たちのやることはお客様に寄り添うことで、相手の話を聞き、相手の気持ちを大事にして一緒に考えるスタンスがいいんじゃないか、とアドバイスしてもらえて。ものすごく気持ちが楽になりました」

そんな佐藤の目標は、一人ひとりの「本当に良かった」と思える就労のために、お客様に寄り添い、一緒にしっかり考え、伝えるべきことは臆せず伝えることだといいます。

佐藤 「私の業務では直接企業の方と接点を持ちにくいところもあるのですが、障がいのある方の個人的な魅力やいい面をしっかり伝え、企業様の理解を少しでも広げたいです。そうすることで少しでも障がい者雇用の機会を増やし、良い出会いの機会を増やせたら、と」

合谷 「私は企業様側の担当なので、佐藤とはアプローチが異なりますが、いろんな方を受け入れてくれるところを増やし、働ける人をもっともっと増やしていきたいと思います。

スキルや人柄だけで見れば、障がいなんか関係ない、と個人的には思います。人によって性格が違うように、精神障がいだから困るとか、身体障がいだから受け入れやすいとかではなく、フラットにみんなが働けるような環境にしたいです。そのために、まずは人事担当の方や現場の方に知識や情報をご提供し、一歩ずつでも心理的な壁を緩和していく動きをしたいと思います」

仲間たちを心から信頼し、連携を図り、互いの成長を願って切磋琢磨する名古屋支社チーム。佐藤も合谷も、自分たちの行動の積み重ねが障がい者雇用の市場を少しずつでも広げることにつながると信じています。

そうした奮闘が新たな成功事例を作り出し、東海圏、ひいては日本社会の「あたりまえ」を変える力になっていくのです。