想いの原点は障がい者福祉施設で見た、盲重複障がいの方々の姿

▲施設ボランティアの時にもらった手紙

私は本部企画という新規事業開発をミッションとする部署に所属しており、企画営業を担当しています。障がいのある方の定着支援施策の一環として、現在はサテライトサービスの事業化検討に取り組んでいます。営業戦略を立て、セミナーで登壇したり、企業の人事部にアプローチしたりと、試行錯誤しながらどうやったら障がい者の雇用を増やせるかという課題に取り組んでいます。

現状、私たちが実際に就労支援できているのは、障がいのある方のほんの一部に過ぎません。たとえば、就労意欲は非常に高いけれどスキル不足や体調管理に少し不安があって就職が難しい方。また、就労継続支援事業所での仕事では物足りないけれども、実際に企業に就職するほどの自信はない、といった狭間にいらっしゃる方たちには十分に支援できているとはいえません。その解決策のひとつとして、今回のサテライトプロジェクトを構想しているんです。

サテライトプロジェクトの目的は、企業に就職された障がいのある方を私たちがフォローし、定着を支援することです。面談や研修を行う形で2年をめどに定着支援を続けることを検討しておりますが、就業先の企業ではなく私たちが管理するオフィスで行うので、サテライトと呼んでいます。

「新規事業」というとすぐに成果に結びつかないことも多く、社内でもなかなか理解を得られないこともありますが、既存事業の対象とはならないところで新たな雇用を増やすための試みであり、「働きたいけれど働けない」という方たちに就業のチャンスを創出するためのものです。そして、就職できた方々ができるだけ長くその会社で働けるようになることで、次の雇用創出の門戸が開くと考えています。

私が障がい者の就労支援に携わりたいと考えるきっかけとなったのは、大学時代にボランティアで通った障がい者福祉施設での経験です。盲重複障がいといって、目が見えないことに加えて知的障がいなど複数の障がいがある方々の施設でしたが、スキル・お人柄的にも就労可能な人たちがたくさんいらっしゃいました。

でも、就職先が全然見つからない。施設としても職員の方は日々の仕事で忙しいので、新たな就労先を開拓するのは現実的に難しいですし、企業としても懸念材料が多くてなかなか受け入れるところまでいかない。でも、そういう方々を支援することで、社会の認識を変えられたらいいなと思ったのです。

実際に盲・知的併発の方は、年齢は40~50歳でも知能は7~8歳くらいというケースもあります。ですが、火を使って調理もできれば、髭も剃れる。洗濯物を自分で干すこともできます。もちろん訓練は必要ですが、とても楽しそうに自分のことを自分でやっている姿を見てきました。

障がい児をもつ親御さんの中には、お子さんが可愛いので身の回りのことをやってしまいがちで、自分が亡くなった後どうしようと悩んでいる方も多くいらっしゃいます。でも、サポートがあれば自分で自分のことができるようになるし、その成長や達成感は、本人にとってもとても楽しいことだと思うんです。それが原体験として私の中にあります。

人材紹介会社での経験を経て、障がい者の就労支援の道へ

▲前職時代の同期たち

そんな想いを抱いていた私が大学卒業後に入社したのは、大手人材紹介会社でした。

私がファーストキャリアとして障がい者就労支援を行っている会社を選ばなかった理由は、一般企業とはどんなものか、「人を受け入れること」に対してどういう認識を持っているのか幅広く知りたいと思ったからです。

入社した人材紹介会社は、クライアント企業の担当(RA:リクルーティングアドバイザー)も、就労希望者の面談やフォロー(CA:キャリアアドバイザー)も両方担当する一気通貫方式を取っていました。大手人材紹介会社は分業傾向が強いのですが、実はそのふたつの業務に必要な能力やスキルは全く異なります。通常であればどちらかを選択してキャリアを積んでいくことが多いのですが、両方を同時に学べるのはチャンスだと思って入社を決めたところ、たまたま一般企業ではなく、病院や施設をお客さんとするメディカルチームに配属されました。

看護師・助産師・保健師などを対象に、RAとしては年間で100社ほどを担当し、新規クライアントの開拓から既存のお客さんのグロース支援、紹介した方の採用後のフォローまで。CAとしては1次ヒアリングから面談、面接対策・同席、入職後のフォローまで延べ1000人を超える方と面談し、400名弱の就職支援をしました。2017年12月には数百名いる事業部の中で売上1位の成績を上げ、準MVP表彰もいただきました。ある程度、自分のスキルにも自信がつき、新卒指導も経験させてもらったので、本来やりたかった障がい者就労支援の会社への転職を決めました。

勉強のための4年間とはいえ、頑張れたのは仕事自体が楽しかったからです。担当した企業も求職者も、やはり結果が出ると喜んでくれますし、自分を頼りにしてくれて力になれた実感がありました。また、メディカルチームに配属されたことで、貴重な経験ができて複眼的な視点が持てるようになりました。「辞める時は何かしらの形で結果を残してから」と決めていたので、準MVP受賞はいい区切りになりました。

“貴重な経験”というのは、偶然にも担当エリアに精神科が多く、業務の一環で保護室をはじめ諸施設を見学して処置を見たり、実際に現場で働く看護師さんの話を直接聞いたりして、リアルを知ることができたことです。その入院患者さんは私が将来支援したいと思っている方々と重なるところがありますが、無事に退院しても行く場所がないのです。就労先を見つけるのも難しいです。将来的にそういう方たちの居場所を作りたい、というのが私の思いとしてあったので、とてもいい勉強になりました。

ゼネラルパートナーズ(以下、GP)への入社を決めた理由は、人です。転職先候補の会社はたくさん回りました。最後に訪問したのがGPで、人事担当の方の印象がとても明るくて明瞭で、オフィスで会う社員の波長が自分と合うように感じました。違和感が少しでもあるなら急いで転職しなくてもいいなと思っていましたが、GPに出会って即決でした。

一歩を踏み出すことで、切り拓ける未来がある

▲GPの仲間たちと野球観戦

GPで最初に配属されたのは、人材紹介事業部。企業担当業務については経験値が活かせましたが、その反面複雑な気持ちになることもありました。私が支援したい人はもっと就職しづらい、重複障がいや精神科を退院したあとの行き場のない人たちなんだ、という想いとのギャップがあったのです。

でも、そこで印象的な出来事もありました。これまで「精神疾患のある方に就労してもらうことは難しい」と言われていた企業さんに丁寧に説明して、「西原さんが言うなら会いましょうか」と言っていただき、それが採用につながったことです。後日「あの人すごくよかった、活躍してくれています」と言われてとても嬉しかったですし、精神疾患といっても人によって特性が異なることや、就労できる可能性があることを理解してもらえたので、社会の認識が一歩進んだように感じました。

その後「求人メディアサイトの立ち上げ部門でマネージャーをやってみないか」と誘われて異動になりました。従来の紹介とは異なるアプローチで幅広い層の求職者支援ができる、という点が魅力でしたが、実際のところ立ち上げるまでは順風満帆ではありませんでした。

「人が間に入らないで勝手にやり取りしてもらう仕組みそのものがどうなのか」という社内からの声もありましたし、新規事業を進めるにあたって考えなければいけないことが非常に多かったんです。課題が山のようにある中で、ほぼ新卒メンバー9人のマネジメントを並行して行う毎日。ローンチは3回遅延しましたが、立ち上げ後は売り上げも結構ついてきて、安心できる状況になったところで産休に入りました。

子どもが生まれたことで「この子が大きくなるころにはもう少しマイノリティといわれる人たち、生きづらさや働きづらさを感じる人たちが減る世の中になったらいいな」とより強く思うようになりました。

働き方については、残業はしなくなりました。GPはフルフレックスなので、朝の時間を有効活用して、業務時間内に収めるようパフォーマンスをどう上げるか考えながらやっています。一方で、子どもが寝た夜の7時以降は手が空くので、介護テック系企業での副業を始めました。将来的に施設の運営に興味があって、介護士さんや看護師さん、施設の管理者さんのリアルな声が聞きたいと思ったのです。

「メディアの立ち上げ」という新規事業を経験したことも、きっかけのひとつかもしれません。既存事業の枠を超えて一歩を踏み出すことの意味や大きさを感じたのです。新しいことをやるのはすごく勇気のいることで成果も未知数ですが、それでもやってみたらその結果何かが生まれ、新しい雇用が生まれることにつながればいいな、と思っています。

これまで支援の手が届かなかった人たちを、もっとそばで支援したい

前職時代から、人とのつながりはとても大切にしています。これまで担当してきた企業の方との信頼関係を築くにも、聞かれたことにはすぐに返事するとか、定期的に訪問するとか、小さなことの積み重ねを大事にしてきました。

誠実であることは、お客様に対しても仕事のメンバーに対しても共通して大切なことです。お礼はしっかり言う、名前をきちんと言う、嘘をつかない、といった基本を積み重ねることが重要だと私は思っています。お客様に対しても違うことは違うと言いますし、本気でいいと思ったらめちゃくちゃ押しますし(笑)。そういう私の性格も含めて、信頼いただいて仕事が進められた部分は結構あったのかもしれません。

今後については、障がいのある人の自立を支援するような施設を自分で作れたらいいなと思っています。いわゆる居場所づくりですね。盲重複障がいの方、聾と知的障がいの重複や重度の精神疾患の方とか、そういう方たちの生活支援ができる、居場所になるような施設を作りたい。そこと就労を絡められたらベストです。それをもしもGPとしてやっていくとしたら、実際に実現するための新規事業をどうやって進めていけばいいのかを考える必要がありますし、そのための人のネットワークの再構築や障がいへの理解を深める取り組みももっと必要だと思います。

これまでの私のキャリアの中では法人対応が多かったので、そろそろ当事者対応がしたいという思いがあります。障がいのある方に直接携わりたい。今まで就労支援の手が届かなかった就職しづらい方たちをもっと近くで支援したいです。

でも、私自身まだまだ知見、経験が不足しているとも感じています。子育てと仕事、副業を並行して行っていますが、まだまだやりたいこと・知りたいことがあります。支援できていない方に就労のチャンスを作ること、将来的には障がいがある人の居場所を作ること……。やりたいことがいっぱいあることが私の一番の元気の素かも知れません。