GPにテクノロジーの視点を──CTOとしてのミッション

私は2020年1月、CTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)としてGPにジョインしました。GPがやっていこうとしている事業、組織や皆さんの考え方そのものにテクノロジーの視点を入れることを目指しています。

具体的には、GPのビジョン実現に向けて、今後の事業戦略に基づきテクノロジーの視点を入れた話し合いの機会を事業・組織の中でつくることや開発体制の強化を行っています。また、組織の人材育成を含めて、人とソリューションの観点からGPにより合うテクノロジーの活かし方を検討する業務を担っています。 

私は2002年に就職をきっかけに韓国から来日し、最初はソフトウェア系の会社でSEとして働いていました。

そこで2年間働いたあと、2004年にヤフー株式会社に就職し、ちょうど立ち上げ時期にあった「Yahoo!知恵袋」(以下、知恵袋)の担当に。その後2018年に知恵袋を立ち上げたメンバーと一緒に「RadarLab」という会社を立ち上げました。社会課題をテクノロジーで解決することを目的とした会社で、私は2021年現在まで代表を務めています。

GPの事業は障がい者雇用の問題にフォーカスしていますが、大きく社会課題の解決という点では、私が今までやってきたことと近い部分もあると感じます。自分の強みはエンジニアとしてサービスをつくることなので、それを活かして、日本にたくさんいる障がいのある方々がより良い生活を送れるよう、支えになりたいと思っています。 

善意とテクノロジーで解決する─Yahoo!知恵袋と痴漢レーダー

私は知恵袋の立ち上げを経験するまで、「良い会社で良い給料をもらって、普通に生活できればいい」と思っていました。しかし、知恵袋での経験が、私の価値観を変えました。

知恵袋は、質問へ回答することにインセンティブがありません。それなのに、たくさんの人々が「質問に回答する」というサービスのしくみを通して助け合っているのを見て、その数の多さに鳥肌が立つくらい感動しました。知恵袋はすごい勢いで成長しましたが、その原動力は“ただの助け合い”。世の中には本当に悪い人はおらず、しくみさえ良いものをつくれば人々は助け合えるのではと感じました。

“ただの助け合い”が生まれるしくみを支えるのは、テクノロジーの力です。ひとりで実行するのは難しいことも、インターネットを通して助けを募れば時間や場所の制限もなく多くの人がつながることができ、より困っている人の支えになれる──テクノロジーによって多くの人に役立つサービスを生み出すことができると気づき、そのようなサービスづくりに今後もずっと携わっていきたいと思うようになりました。

知恵袋を立ち上げたあとは、ヤフー社内で広告プラットフォームに携わりました。サービスづくりに資金は欠かせないもの。資金を稼ぐためのプラットフォームづくりにも関わって、資金調達とサービスづくりの両方を経験できたことは良かったですね。

こうして、ヤフーでサービスづくりの一連の流れや、組織づくりに一通り携わった段階で、社内でさらに上の管理職を目指すかどうか考えました。「もっと細かいところまでテクノロジーの恩恵が届くようになれば、より社会が良くなっていくんじゃないか」という想いが私の中にはあったんです。

やはり自分は課題解決のためのサービスづくりが大好きで、「サービスづくりで世の中を変える」ことが、自分のやりたいことでした。

この想いから、2017年にヤフーを退職します。ヤフーを辞めて間もなく、一緒に仕事をしたいと思ったヤフーの社員に声をかけてみると、私の想いに共感してくれる人が多くて。こうして、RadarLab株式会社が誕生しました。

まずは身近な課題を解決できるようなサービスからつくろうと思い、「痴漢レーダー」というサービスを立ち上げました。

痴漢レーダーは痴漢被害を受けた際に申告をしてもらうサービスで、被害者は、LINEから被害と駅名を入力。回答が増えることで、痴漢が起きやすいエリアを可視化できたり、データを鉄道会社や警察、警備会社に共有して被害の抑制につなげています。

オープンなところで相談しづらく、みんな口に出さないけれど頻繁に起きている問題を考えたところ、「痴漢」に行きつきました。ヤフー在籍中に、女性の管理職として部下から相談をされることも多かったのですが、解決しようとしても周りの理解を得ることは非常に難しくて。そこで、まずはどういう場所でどれくらい起きているのか可視化することが必要だと思いました。実際にサービスをつくってみると、「そこまでたくさん痴漢による被害が起きているのか!」と驚きましたね。

現在は、痴漢以外にも身近に頻繁に起きている問題を見つけ、そちらの課題も解決できるよう検討中です。

障がい者を知り、向き合うこと──GPで貢献したい

▲RadarLabメンバー

RadarLabを立ち上げて1年ほど経ったころ、知り合いからRadarLabに興味をもっている人がいると紹介されました。それが、GPの広報室で働く佐藤 古都でした。佐藤に、GPでもテクノロジーをもっと活用したいという相談をされ、私ができる範囲でテクノロジーに関するアドバイスをしていました。 

このように少しずつGPと関わっていたのですが、ある日、代表の進藤 均から「もっと本格的にGPをサポートしてくれないか」と話がありました。会社の理念に共感していましたし、自分の強みを活かして貢献したいと思い、ジョインすることを即決しました。わたしは昔からあまり悩まない性格なので、この件についても悩むことはひとつもなかったですね。

「障がいのある人を助けるという事業を10年以上やっている会社ってすごいな」と思っていましたし、まだ世の中に存在する障がい者差別に対して、自分自身も貢献したかったんです。

また、RadarLabは会社の規模が小さく、解決できる問題がまだ少ないのですが、GPにジョインすることでより多くの社会問題を解決できることにわくわくしました。ひとつの会社にこだわらずパラレルに関わり、いろいろなサービスづくりにテクノロジーの力を活かして、より多くの社会問題を解決できるようになればいいなと思ったんです。

GPにジョインしてからは、まずは開発メンバーとともに現状を把握し、すぐに解決できる課題と長期的に解決すべき課題に分類しました。短期的に解決できる問題に関してはすぐに解決に動き、長期的な課題に関しては、どうやって人を巻き込むかから考えました。

それまでGPにはCTOがいなかったため、ソーシャルビジネスをテクノロジーで推進していくための方針がありませんでした。そこで、これまでのエンジニアや事業運営の経験を活かし、テクノロジーやデータを事業で活用していくための方針を定めました。今ではこの方針をもとに、開発案件の実行可否や優先順位を判断しています。

また今後テクノロジーの活用が会社のコアバリューになっていくことを踏まえ、開発体制づくりにも力を入れています。GPの開発メンバーは想いがあり優秀なので、事業のコアになる部分を彼ら自身の手でつくっていけるようにしたいと思っています。

私はGPにきてから、障がい者の給料の低さ、障がい者が職につくことへの周囲の偏見などを知りました。障がい者というと身体障がい者を思い浮かべがちですが、私の想像以上に精神障がい者の方が多いことにも気づかされました。また精神障がいにも、生涯を通して通院や治療などが必要なケースもあると知り、今まで見えてこなかった問題の深さや広さが、事業に関わることでより明らかになってきています。

まだまだ社会問題に対してテクノロジーをうまく活用できている事例は多くありません。CTOとしてGPに参画することで、「ソーシャルビジネスの可能性はテクノロジーによってもっと切り開いていくことができる」と、社内外の多くの人に感じてもらいたいと思います。

テクノロジーを活かし、社員の想いを活かせるしくみづくりをー

GPにはすばらしい社員がとても多いと感じています。事業の幅が広がるほど、社員の目的意識は散らばってしまうと思います。ですが、GPの社員はそれぞれ目的意識をしっかり持っていて、社会問題解決という共通した熱意が伝わってきます。私もそこから良い刺激を受けて「自分には何ができるか?」と気づきを与えられることも多いです。

 「素敵な社員の人たちがもっと前向きに働ける会社にしたいですね」って進藤によく話しています(笑)。そのために必要なのは、想いを実現するためのしくみです。これからも経営陣の皆さんと真剣に考えて、社員の皆さんが自分を信じて、自分のやりたいことに向かって進める組織にしていきたいと考えています。

また本質的な課題解決に向けて事業をスケールさせるには、テクノロジーを起点とした思考が不可欠です。GPでは先にビジネスのしくみがあって、そこをテクノロジーが支え、改善するという流れが一般的になっているのですが、その発想を逆にして提案していきたいですね。テクノロジーがあるからこそ実現できるソリューションもあるはずです。

今の事業が抱える課題も、テクノロジーの観点から解消することで、よりGPのバリューが発揮されるようになります。そのためには、社員のITリテラシーを高めることも必要な取り組みです。

一人ひとりの想いがあっても、想いを実現する力がなければ、社会問題は解決できません。所属する社員の想いと力を高め、それをうまく引き出すしくみを組織全体でつくっていくことが、これからのGPにとって大事なことだと思います。

今は解決が難しいと思うことでも、「障がい者のためになりたい」という想いはみんながもっているもの。つまずきを感じたら、いつでも相談に乗るのでぜひ声をかけてほしいです。GPの社員一人ひとりが自分たちのやっていることに自信をもっていけるように、今後も協力していきます。