うつになり当事者目線で感じた生きづらさ。ジェンダー学の理念に引かれる

▲大学時代のチアリーディング部。忘れられない全国大会

私が社会貢献やソーシャルビジネスに興味を持った大きなきっかけ──それは、大学2年生のときにうつ状態になって休学した経験でした。

当時、私はチアリーディングのサークルに入っていました。チーム自体は居心地も良く、心の支えになっていたのですが、手術を伴う大きなけがをしてしまったり、時間厳守などのルールにつまずいて自己嫌悪に陥ってしまったり……そして、うつと診断されることに。 

徐々に自分の中では変化が起き始めていたのだと思います。でも、初めは気づかなくて、そのまま走り続けていたらある日プツンと切れてしまったような感じでした。

お医者さんから「休むのも手だよ」と言われ、家族や周りの友人からも休むことを勧められました。休学という選択は、私にとって大きな決断だったのですが、周りのおかげでその選択をすることができました。

一般的に“良い”と思われているレールから降りて、走っていく電車をはたから見ているような、“普通”から外れた感覚を持ったのはそのときが初めてでした。この時期にそうした”普通”とは一体何か、また“普通”から外れることによる生きづらさを当事者目線で感じ、自分ごととして考えるようになりました。 

復学後は、興味のあったジェンダーについて学びました。普段から女性の権利について考える機会が多く、ジェンダーロール、つまり性別をもとにした役割分担などが残っていることに疑問を感じていたからです。

学んでいく中で、「誰も取りこぼさない」というジェンダー学の理念・信念に惹かれました。ジェンダー学では、ジェンダーに限らず、障がいやさまざまなマイノリティも含めて、誰ひとり取り残されない社会というのを大事にしています。ジェンダー学で出会った教授たちもそういった考えを持っていて、尊敬できる方ばかりでした。

また、私の進学した国際教養学部では海外留学が必須だったこともあり、ジェンダー学をより詳しく学びたいという気持ちから、2017年から約1年間アメリカ留学もしました。

留学先の大学で出席したジェンダー学の授業は、レベルが高くて、先生の話す英語のスピードも早く、スライドの情報量も多かったりととても大変でした。そのことを先生に相談したら、100名くらいいる授業の中で私一人だけのために話すスピードやスライドを調整してくれたんです。そのとき、まさに「取りこぼさない姿勢」というのを実感しました。

こうして、留学を通じ、醸成された私の考え方が、GPと結びつくことになります。

ゼネラルパートナーズと通ずる想い。背中をそっと押してあげられる存在へ

GPへの入社の決め手は、最終的にはフィーリングとしか言いようがないです(笑)。いろいろな企業の方とお会いしたのですが、GPの社員は尊敬できる方が多かったです。面接以外にも何人かの社員と面談してもらいましたが、皆さんそれぞれ一本軸が通っていて優しいんですよ。

ただ、一番の決め手は企業理念に強く共感したことです。「誰もが自分らしくワクワクする人生」を目指すという理念は、まさに自分がやりたいことを一言一句的確に表している言葉だな、自分の望む世界だなと思いました。みんなでこの理念を掲げて頑張っている会社の一員になりたいと思いました。

社会を変えたいと思ったときに、ひとりではできることが限られていますが、同じ志を持った仲間となら広げていけるだろうと思っています。

2020年10月現在は、atGPジョブトレ事業部にて、発達障がい・聴覚障がい者向け就労移行支援事業所「いそひと・リンクビー」の支援員をしています。主な業務内容は、募集業務、新規利用者の対応です。

新型コロナウイルスの影響で、最初はリモートで始まり、利用者さんともZoomでやりとりしていました。今は出社できるのでだいぶ業務にも慣れたかなと思います。

利用者さんや先輩職員との関わりの中で、思い出に残っている出来事がふたつあります。

ひとつは、先輩職員の利用者と向き合う姿勢を見たときのことです。

まず事業所、障がい者支援の理念として「私たち抜きに私たちのことを決めないで」というスローガンがあるのですが、職員は最後、絶対に利用者さんの意思を尊重して決めるんですね。中には一見合理的とは思えない選択をされる方もいますが、先輩職員は本人の人生の選択ということを尊重して、いい意味で絶対に導かないようにしています。

就職活動のことになると、こうした方がいいでしょと思うこともありますが、絶対にその本人がいいと思った道を応援する、その上で自分たちができることを全力でやることを徹底しているんです。そうした先輩方の姿からは、支援者としても人としても学ぶことが多いです。

支援そのものに答えはないので、一番葛藤が生まれる部分ではありますが「利用者さんの意思を尊重する」という軸は忘れないようにしたいです。

経験したからこそ見えてきたもの。自分を飾らなくてもいい居場所にしたい

もうひとつは、聴覚障がいがある方に初めて接したときのことです。

それまでは、聴覚障がいがある方は聞こえないことだけが問題だと思っていました。しかし、手話を第一言語としている方々にとって日本語はほぼ外国語のような存在であったり、逆に、かつてのろう教育で幼少期に手話を禁じられていた方々は手話でも日本語でも自分の考えをうまく言語化できなかったりします。

日本語を使いこなせないことで、聞こえる人とのコミュニケーションがうまくいかず、伝わらないこと、情報が入ってこないことによって就労に困難が生まれるなど、GPに入社して初めて、聴覚障がいがある方にはさまざまな困難があることを知りました。

そこで、事業所を一人ひとりが自分に少しでも自信を持て、自分らしさを肯定できるような場所にすることを心がけています。ここには、自分に自信を失っている人や、これまで周りに否定をされてきて鎧をまとって生きている人がたくさん集まってきていると感じるんですよね。

だからこそ、ここでありのままの自分を出せたことを心の支え、人生のベースにして今後を生きていってほしいなと思います。

コミュニケーションの取り方についても、本人の意思を尊重し、否定しないことに気をつけています。そして、今後本人自身がつらさを抱えないように、生きやすくなるための方法を一緒に考えています。

毎日びっくりすることの連続ですが、利用者さんの中にはいわゆる“普通”だったら取らない選択や考え方をする方もいます。もしかしたら、それが素直な選択のあり方なのかもしれません。そうやって飾らない自分を出せる場所が提供できているのは、いいことなのかなとも思います。

また、利用者さんの中で、自分でできなかったことが通所したことで解消されて、次のステップに移る上での自信になっているということを聞いたときに、嬉しくなりますね。

やっぱり、自分たちがやっていることは間違っていなかったんだな、後押しをしてあげられているんだなと思えますから。

分断がある場所をつながりの場所へと導く。一歩目はまず一人前になること

▲ふるさと、沖縄の夜の海辺

近年マイノリティの問題が顕在化してくると同時に、理解も広がりつつあります。言葉は悪いけど、ブームになってきているというか。

その問題を「対岸の火事」にしない社会にしたいと考えています。たとえば、健常者(マジョリティ)と障がい者(マイノリティ)のような二項対立的な考え、構造があります。

しかし、今はマジョリティだったとしても何かのきっかけで誰もがマイノリティというくくりに入る可能性はあるんですよね。他人ごとと捉えると社会が分断される気がするので、すべての問題は自分ごとだと考えています。

全員がそうした数々の問題を自分ごととして捉えられるようになり、みんなのためにも自分のためにも良い社会をつくっていきたいです。具体的には、まだ全然考えられてはないんですけど、SNSやメディアを通して、分断が起こりやすい匿名の場所を、つながりの場所にしていきたいなと思っています。

そのためにも、今はまず支援員として一人前になりたいですね。GPの就労移行支援事業所を利用した卒業生が活躍することによって、就職先の会社の中にある偏見を解消できると思っています。社会から偏見をなくすという大きな目標のために、職員も利用者さんとも一丸となって取り組んでいきたいです。

また、私は事業所に新規で見学や相談などに来られる方の対応をしているのですが、来所された方の多くが何かしら困って悩んで葛藤して「いそひと・リンクビー」にいらっしゃるんだと思います。これも縁があっての出会いだと思うので、その方が通うとしたら全力で支援したいですし、通わないことになったとしても何か気づきを持ち帰ってもらえたらいいなと思います。

GPに新卒で入社し、「いそひと・リンクビー」で働くことは、自分の人生にとって大きな区切り、スタートラインだなと思っていて。価値観だったり、仕事に対する熱意だったり、社会人としての大事な礎をこの場所で築けることになってすごく良かったです。仕事に対して、毎日熱意を持って取り組めているこの環境はありがたいですね。