複雑に絡む社会問題──ボランティア活動を通して学んだ、志を持つ大切さ

▲ボランティア活動で赴いた国立ハンセン病療養所 邑久光明園の景色

私は学生時代からボランティア活動に力を注いできました。

恩師であり尊敬している教授が立ち上げた3つのプロジェクト(ハンセン病療養所、東日本大震災、ボランティアコーディネート)に参加し、現在も休日に活動を続けています。それらのプロジェクトでは、多くのことを学びました。とくに「志を持つことの大切さ」、「複雑に絡み合う社会問題の存在」を理解したことは、私の人生を変える学びでした。

たとえば第二次世界大戦前後、ハンセン病差別に根拠がないことは世界的にわかっていたといいます。しかし、日本は世界の動きに逆行し、ハンセン病患者の隔離政策を進めたのです。「健康はお国のため」といった標語をつくり、全体主義のもと迫害は加熱しました。

ボランティア活動をしながらこのような歴史を学ぶことで、社会問題の背景では複数の要因が絡み合い、ワンイシューで突破し解決するのは無理だと思うようになりました。いかに複雑さにアプローチするか……それはとても難しいことです。もし、第二次世界大戦後の当時に自分がいたとしても、差別解消のために声をあげられたかわかりません。だからこそ、主体的に動くために志を持つことの大切さを感じたんです。

そして就職活動では「ベンチャー気質があり若くして事業創造に関われること」「大学時代の活動と関連があり、問題意識を発展的に深められること」を選社軸に活動し、GPに出会いました。

弱い立場に立たされている人の視点から社会を見ることで、複雑な社会の問題を明らかにし、その問題の解決に取り組める会社だ──選考を進める中でそう感じました。また障がいに関連する事業以外でも、社会問題を解決することにチャレンジできる可能性を感じ、入社を決意します。

初めての配属は、GPの運営する就労移行支援事業所「シゴトライ・リンクビー大阪」の支援員です。うつ症状や発達障がいのある方を対象に、職場で長期就労するためのトレーニングや就職活動のサポート、さらには就職後の定着支援に携わりました。入社後4年目からは施設長となり、事業所全体を統括していく立場となりました。

やりがいを感じたのは、利用者が抱える根本的な課題をつかめた瞬間です。実はご本人でさえも障がいの詳細な症状や生活への影響を把握できていないことがあります。コミュニケーションを重ね、その人を深く理解することで根本的な課題を見つけ、その課題を共に解決できた瞬間は本当に嬉しかったですね。

学びを求めて新たな環境へ、ぶつかったのは新規事業普及の難しさ

▲入社2年目の2016年度には、全社員の中からVPに選ばれた

私が配属先で手掛けていた就労移行支援事業は、国の福祉制度により売上を得るビジネスモデルです。なので、国の方針によって事業の方向性が左右される場合もあります。

また、通所する数十名の方には密に接して、貢献できますが、一度に広い範囲へ社会貢献することは難しいです。「若いうちに、スケールの大きいビジネスに挑戦してみたい」──施設長に就任後しばらくして、そう考えるようになりました。

そして2019年5月、長く務めたシゴトライ・リンクビー大阪を離れ、求人メディア事業部へ異動することになりました。これまでとは違う環境で新しい学びを得ることに期待し、半年間東京に赴任することも決めます。入社してから5年目でのキャリアチェンジでした。

求人メディア事業部は2019年2月にリニューアルオープンした、障がい者の求人転職情報サイト「atGP」を運用する部署です。異動直後は営業を担当しながらサービス全般や業務フローを理解し、その後商品企画を兼務しました。そして、下半期にはスカウトサービスや求人作成を担う部門のマネジャーとして奮闘しました。

求人メディア事業部では11カ月を過ごしたことになります。その間に多くの経験を得ましたが、強く感じたのは新規サービスを軌道に乗せる難しさ。リニューアル後、数カ月は目標を達成していましたが、しばらくして実績が一定のラインを超えなくなってしまったんです。目標はどんどん高くなり、差が開くばかりでした。経営層からの期待の声と、「無茶な目標のもと評価されてはたまらない」というメンバーの不満の間で、板挟みになってしまいます。

苦しい状況の中「新規事業 達成しない」で検索すると、どんな新規事業もだいたい同じような状況に陥いるとわかりました。サービスが普及していく様子を曲線にすると、「死の谷」という普及直前で事業がとん挫しやすい部分があるといわれています。この「死の谷」を乗り越えるにはどうするべきか──それには成功要因を見つけ、部署内で展開・浸透させることが重要でした。

それからは仮説をたて、検証し、有効な施策に絞って実行して……の繰り返しです。成果を挙げているメンバーの行動や成功事例を分析していきました。すると顧客企業の採用検討から採用決定まで、状況をいくつかのフェーズに分類し、行動を変化させることが有効だと見えてきました。 

そこで個社の戦術をフェーズごとに担当者同士が打合せ、成果としてお返しするという方法を部署内で統一し、加えて「メンバーのマインドセット」「目標数値の調整」を行います。これらの取り組みにより、最終的には目標を達成できました。

メンバーの主体性を引き出し、チーム全体でサービスを向上させていきたい

▲プロジェクトや勉強会の進行を務めることも多い。ロジカルなプランのもと実行し検証、活躍が生まれればメンバーと称え合う

2020年度、メディア事業部は人材紹介事業部と統合され、私自身はサービス企画部門のマネジャーを務めることになりました。

サービス企画部門の主な役割はふたつあります。ひとつは、障がい者と企業の関係性が “win-win”となるような活躍モデルをつくることです。もうひとつは、「atGP」ブランドの全サービスを通じた就職数の最大化を支援することです。入社後に障がい者と職場の両方が満足する雇用をより多く実現し、「障がい者は働けない」という差別偏見の解消を目指していきます。

これらの役割を果たすためのプロジェクトを複数、マネジャーとして進める立場ですが、率直に「楽しい」と感じています。定型業務を黙々と行うよりも、考えを深めて形にしていくことが好きなんです。そして形にしていく過程では、自分だけでなく他のメンバーに問いかけ、意見を聞くことが大切だと感じています。

そのように意識するのは、やはり就労移行支援事業所や求人メディア事業部での経験があるからだと思います。どちらの配属でも大事にされていたのは、共通の目標を達成するために、チーム全体で議論しサービスを向上させていくことでした。そのためには、一人ひとりが目的や役割を理解し、主体的に考え、行動できるような環境や働きかけが不可欠です。

たとえばメディア事業部でメンバーの不満が募ったときには、経営層からメンバー全員に目標や戦略、予算の内訳を詳しく伝えてもらい、その上で「Will Can Mustシート」に取り組んでもらいました。これは自分のやりたいこと(Will)、自分のできること(Can)、会社に求められていること(Must)を整理し、三つの要素が重なり合っているか確認する作業です。

自分のキャリアプランと会社での役割がひも付いていることを実感できれば、求められるものをただこなすのではなく、自分の意志で行動できるようになります。ひも付かなければ環境を変える、という決断をすることもあり得ますが、不満を抱えたまま働き続けるよりも良いと思っています。自分の行動に納得感を持つことが重要なんです。

現在サービス企画部門では、障がい者と企業の “win-win”な関係性や活躍モデルを検討し、言語化することに取り組んでいます。当初は部門内で決めてしまう予定でしたが、検討段階で社員から広く意見を募るように提案しました。

実際にやってみると賛成する意見を多く感じました。しかし、まだ意見を言えていない社員も多いと思うので、そこにいかにリーチするかが今後の課題です。決まったことに現場が納得して、足並みそろえてサービスを向上していけるように、現場からのリアルな声をもとに進めていきたいと考えています。

多種多様さのポテンシャルを発揮し、社会問題を解決する事業で未来を創る

▲現在は一児の父に。柔軟な労働環境のもと、子育てと仕事を両立する

2020年度を迎えるにあたり、GPでは改革プロジェクトが発足しました。このプロジェクトの目的は、GPがよりクレドを体現し、お客様視点の事業運営へ変えていくことです。私もGPのクレド体現や事業の発展には、まだまだポテンシャルを発揮できる余地があると感じています。

クレドの目指す「誰もが自分らしくワクワクする人生」、この「誰もが」という言葉にはお客様だけでなく、社員も含まれています。実際、どんな事情を抱えた社員でも共に働いていけるように、フルフレックスやリモートワークなどフレキシビリティの高い労働環境が整えられているんです。

そのように時代を先取りするようなクレドの良さを実感する一方で、クレドは浸透しきっていないとも感じています。社内の制度や文化がクレドと合致しているのか、検証して改善を続けていくべきだと思います。さらに、クレドを体現するようなやりたいことがあれば、メンバーでもどんどん行動していけるといいですよね。

私が関心高く取り組んでいるのは、GPエンジン「挑戦・成長し続ける個人×多種多様なチーム」の部分。他事業部同士が連携し、「多種多様なチーム」として強いビジネスになっている状態をつくりたいです。

昨年(2019年度)は、事業部を横断し関西支社全体でサービス向上していくための取り組みを企画・運用していました。関西支社に所属する社員が12のプロジェクトに分かれ、それぞれ「やってみたい」と思うことに取り組みました。その結果、お客様への新たな価値提供や社員間の連携への意識が生まれたと感じています。

2020年度はサービス企画部門内で事業部連携のプロジェクトが立ち上がりました。関西支社で先行して取り組んだ経験を活かし携わっていきたいです。

入社した5年前と比べて、社会では障がい者雇用について認知が向上してきました。テレビなどでも特集され、勢いよく環境が変化していることを感じます。競合他社も増え、市場全体が活発な動きを見せる中で、障がい者雇用に対する社会の価値観をさらにアップデートしていきたいと意欲を燃やしています。

「障がい者だから」と活躍を期待しないのではなく、その人らしさを大切に一人ひとりが価値を発揮できる ――それこそ「誰もが自分らしくワクワクできる人生」の、ひとつのカタチとして、社会を変えるきっかけになるのではないでしょうか。

一方で、まだ見向きもされていない社会問題があるのも確かです。自分が介在できる社会問題は障がい者雇用に限らず、幅広くあるのだと気づかされます。将来的には社会的に認知が向上していない社会問題の解決に向けて、関わっていくことも良いのではないかと考え中です。

社内、障がい者雇用市場、社会問題……と視点を広げていけば、介在する余地のあるフィールドはたくさんあります。それゆえに迷うことや、自らの仕事への姿勢に悩むこともありますが、生じている問題から目を背けずにしっかりと事業を立脚させ、未来をつくっていきたいと思います。